【南ア】芝沢ゲートから行く冬季聖岳
- GPS
- 11:17
- 距離
- 33.1km
- 登り
- 3,384m
- 下り
- 3,388m
コースタイム
- 山行
- 10:15
- 休憩
- 1:27
- 合計
- 11:42
天候 | @天気 曇り時々小雪(上部では濃いガスと地吹雪) @気温 芝沢ゲート2℃(AM6:00頃)、苔平−4℃(AM9:30頃)、薊畑分岐点−8℃(AM10:30頃)、聖岳山頂−13℃(AM13:00頃) @風 稜線上では西の風非常に強く(聖岳山頂で15〜27m/s) |
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過去天気図(気象庁) | 2021年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
冬季期間ということで、人っ子一人いないと思いきや、この日は自分を含めて10台位駐車されていた。自分以外は全員聖平避難小屋泊かテント泊のよう。南アルプスは比較的雪が少ないとはいえ、そこは3000m級の高山なので、上に行けばそれなりに積雪しており、もちろん積雪の状況は刻一刻と変化している。そのため万全の冬山装備が必要。 以下、区間ごとの状況。 @芝沢ゲートから便ヶ島まで 延々と続く林道がかなり退屈かもしれない。長々と7.5kmもある。傾斜は緩やかなので自転車という手もある(自転車は通行OKのよう)。この日林道上に積雪は無かった。 @便ヶ島から西沢渡まで 便ヶ島からは登山道になるが途中は荒廃した林道で、斜面からの土砂崩れが道を覆っている箇所が何箇所もあり歩きづらく滑落に注意。また、西沢渡の渡渉点では手動のゴンドラがあるが、動かすのに大変力が要り非常に難儀すると思われる。近くに簡易的な橋もあるのでゴンドラを使わずに普通に渡渉したほうが圧倒的に速くて楽。 @西沢渡から薊畑分岐点まで この間約4.5kmで標高差1300m余りを登るかなりの急登。特に序盤は所々ロープなどの設置があるほどの急斜面で、落ち葉がたくさんあり特に下りでは滑りやすく慎重を要する。ここに雪が付いていたら登り上がるのは困難に思われた。今回は苔平の手前から雪が繋がっていた。雪質は以前に降った雪が氷化しているような感じだったためチェーンスパイクが最適なシチュエーションだった。積雪量としては5〜20cmくらい。 @薊畑分岐点から小聖岳まで 稜線の灌木帯を登っていくシチュエーション。積雪量は30〜40cm位でフカフカの雪質。たまにズボッといくときもあったがラッセルになるというようなことは無かった。樹林帯を出るとダイレクトに風が吹き付け、雪も硬く締まった状態となりつつあったので、ここから12本爪のアイゼンとバラクラバとゴーグルとウィペット2本を装着。 @小聖岳から前聖岳の斜面 小聖岳から先は岩稜帯となる。序盤は細い尾根が軽くアップダウンするような感じで無雪期であれば快適なハイクを楽しめると思われるが、積雪期である今は滑落しないように注意を要する。ルートは比較的明瞭で迷うようなことは無いと思う。比較的穏やかな尾根を過ぎると、山頂までは標高差300mほどの急斜面となる。この日は斜面全体がアイスバーン状の雪に覆われていて、夏の登山道はよく目を凝らさないとほとんど判別不能。12本爪のアイゼンが良く効いたのでまだ良かったが、非常に強い風と濃いガスと細かい氷のような地吹雪で視界が極端に悪くGPS機を見ながら慎重に慎重に時間をかけて登った。写真撮影どころでは無かった。この状況での登高は全くオススメできない。この状況であれば撤退をオススメする。極めて危険。 @前聖岳山頂 物凄い強風と地吹雪とガスで、立っていられないほどの状態だった。写真撮影を試みるもデジカメは低温で起動不能。懐に入れて温めていたスマホで辛うじて1枚写真を撮ったが、シャットダウンすると嫌なのですぐに懐に仕舞った。この直後、時間にして3分位だったが、完全なホワイトアウトの状況となった。見えるのは自分の体だけで他は白一色となり流石に恐怖だった。無闇に動かず標識から離れないようにして現在位置と方向感覚の把握に努めた。その後も視界数メートルの状況が続き、恐怖を感じながらもその場にとどまり続けて冷静さを欠くことのないよう努めた。その後、ものの1分位だったと思うが突如ガスが完全に吹き飛び、完全な青空となって視界が利くようになった。このタイミングで下降点を探してその場を逃れた。極めて危険な状況だった。 |
その他周辺情報 | 登山中にも看板を見掛けた『かぐらの湯』 https://tohyamago.com/osusume/kaguranoyu-2/ しかしながら設備の落下事故の影響で当分の間休業、再開の目処も立っていない模様。 |
写真
感想
今年の冬はどうも雪が多そうな予想となっていて、各山岳では実際早くから多くの積雪となっており、自分も早くから雪山を楽しんでいる。しかし雪が多すぎるのも困ったもので、無謀な雪山登山となってしまってもいけない。そういった意味で、今のうちに行ける山には行っておきたいと考えて今回のハイクとなった。
比較的雪は少ない南アルプス方面だが、この日は冬型の気圧配置真っ只中なので天気は良さそうだが風は強そうとの見立てで臨んだのだが、実際は晴れ間は殆どなく、特に高山帯ではガスと強風が著しく少し残念な気もした。特に標高が2700mより高い場所では厳冬期さながらの厳しい状況で、普通には到底オススメできるようなシチュエーションではないように感じた。しかし個人的には大変な緊張感をもって臨めたのは良かったと思う。
装備に関してはいつも(特に冬場は)結構過剰な位に持っていくのだが、今回はそれを活用して無事に登山を終えることができた。やはり装備を準備しておくことは大事だなと思った。装備・体力・知識、この3つがしっかりとしていることが安全登山には重要なことを今回のハイクでより感じることができた。
以下、備忘録。
@着用衣服・装備(スタート時)
メリノウールのベースとタイツ、ハードフリースジャケット、靴下(厚手)、ビーニー、ハードシェルパンツゲイター内蔵、薄手のグローブ、前後コバ付き冬季ブーツ
@持参装備・衣服(状況により使用する物など)
チェーンスパイク(使用)、12本爪アイゼン(使用)、ウィペット2本(使用)、ハードシェルジャケット(使用)、バラクラバ(使用)、ゴーグル(使用)、予備化繊ベースレイヤー、予備靴下、化繊中綿ジャケット、化繊中綿パンツ、夏用化繊シュラフ、厳冬期のグローブ2個(1個使用)、ウールのグローブ、ヘッドランプ2個(1個使用)、調理器具一式、予備のGPS機(使用)、気象観測計(使用)
@飲・食料
ポカリ3.5リットル(うち1.5リットル消費)、コンビニおにぎり2個(1個消費)、大きいアンパン(消費せず)、カップらーめん(消費せず)、塩分チャージ飴5個(消費せず)、ブドウ糖アメ5個(消費せず)、小魚ナッツ20グラム入り(消費)、ビスコ1袋(消費)、ブラックサンダー3個(消費)
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