刈安山〜鬼場倉ノ頭〜猫又山(南又側より)
- GPS
- 56:00
- 距離
- 23.6km
- 登り
- 2,103m
- 下り
- 2,103m
コースタイム
- 山行
- 3:50
- 休憩
- 0:30
- 合計
- 4:20
- 山行
- 6:40
- 休憩
- 0:40
- 合計
- 7:20
- 山行
- 11:00
- 休憩
- 1:40
- 合計
- 12:40
過去天気図(気象庁) | 2011年05月の天気図 |
---|---|
アクセス | |
その他周辺情報 | 計画に当たっては、「岳人」に掲載された「黒檜山岳会」のガイド「東芦見尾根から毛勝三山」を参考にしました。 |
写真
感想
05/03(水)天候:晴れ
タクシーはキャンプ場まで。これより長い林道歩きとなる。南又谷林道は倒木や残雪が多いものの全く通行できないことはない。雨乞いとして有名な蛇石を越えると河原状になっていて、ここで市道と林道が分岐する。ルートの選択に躊躇するが、ここは一段上にある右岸の市道南又1号線(高巻きルート)を選ぶ。この道は桐杉の自然観察路として土倉谷出合(新土倉橋)まで魚津市により昨年(平成22年)整備されている。
新土倉橋の横にある大きな洞杉を見学した後、橋を渡って左岸にルートをとり、今回の課題である土倉谷と坂様谷の間の支尾根の末端部を観察しながら進む。やがて右岸に南又発電所が現れ、釜谷出合付近へ通じる巻き道の始点(特徴的なブロック)直下が雪崩れる心配が少ないと判断しツエルトで幕営。
05/04(水)天候:晴れのち曇り
坂様谷への取り付きは、釜谷へ通じる林道が一段上に上がって最初に突き当たる坂様谷1号堰堤より取り付く。堰堤に銘板があるのでわかりやすい。踏み跡はないが堰堤付近で対岸の緩傾斜の草付を10分ほど直登すれば容易に支尾根に取付くことができる。
支尾根に上がったところの下降点に標識赤布をつけていたら前方に熊発見。大きくなく格闘しても勝てそうな小〜中サイズの熊だが、こちらに全く気づいていない様子だったので、怒鳴り声やピッケルでスコップをたたいて大きな音を出し、存在を知らせると、威嚇してこちらに突進してきたので緊張するが、すぐ手前で尾根からそれて急斜面を降りて逃げ去った。過去にもこの山域で熊に遭遇しているが、その時も今回と全く同様、直前で向きを変えて逃げたのでこの習性を知っていたら遭遇しても慌てることはない。むしろ慌ててとっさの行動をした結果、転落や滑落するほうがずっと怖い。この熊がいた場所に真新しい別の熊の死骸があり、踏まないように注意して飛び越える。生きている熊よりこちらのほうが怖かった。
支尾根は、境界標識板や杭があり迷う心配はない。不明瞭だが人の踏み跡がある。先ほどの熊の生活道路にもなっているのだろう。左手には、ほぼ水平に見える枝尾根があり、これを見ながらどんどん高度を稼ぐ。やがてキノコ雪、ナイフエッジ、雪壁が次々に現れ、次は一体何が現れるのか楽しませてくれる。尾根の上部で坂様谷の上部雪渓がせまるので、途中で雪渓に飛び移り、コルに向かって直登すれば時間を短縮できるかもしれない。雪渓のツメやコルの降り口も急ではない。コルからの展望はよくない。
刈安山手前で尾根の向きがかわる1400m付近は樹林のまばらな斜面になっていて視界が悪い場合は迷いやすい。また刈安山直下は相当急な斜面(雪の着いた前剱のような感じ)になっていて下降する場合はザイルが欲しくなる。刈安山より展望がよくなりパノラミックな雪稜歩きが満喫できる。雪庇は南又谷側へ発達する。刈安山以降は尾根が広くどこでも幕営可能であるが、細蔵山支尾根のジャンクションピーク手前に二重山稜のような吹き溜まりがあり、風もなく快適だ。ジャンクションピークを越えてしまうと核心部となり幕営適地も大猫山までなくなるため、時間・体力・気力と相談し二重山稜部を本日の幕営地とする。当初、雪洞の予定であったが、雪を切り出しイグルーにした。
05/05(木)天候:くもり
イグルーの居住性がよく何回も夢を見てさらに二度寝で朝寝坊し遅い出発。ジャンクションピークまでは単調な登りが続く。このジャンクションピークは、末端の馬場島発電所から細蔵山を経由する尾根ルートと合流している。
ジャンクションピークより尾根の向きが変わる箇所から鬼場倉ノ頭の間が核心部で、綱渡り感覚のバランスが要求されるナイフエッジの雪稜が連続する。バランスを崩した場合、落ちる方向、飛ぶ向き、滑落停止をイメージしながら確実にステップを切り進む。
鬼場倉周辺は露岩と草付きのミックスした急斜面があり朽ちた残置ロープがあった。ロープは雪に埋まっているが、むしろ雪が付いているほうが楽な感じだ。鬼場倉ノ頭〜大猫山間は困難な箇所はなく、やっとナイフエッジから解放される。稜線も広くなり大猫山までは単調な登りが続く。
大猫山からは稜線が広く幕営適地が多数ある。また最近できた道より大猫山よりブナグラ谷へエスケープも可能だ。東芦身尾根と猫又山主稜線との分岐点は明瞭でないが、まもなく右手にブナグラ谷からの尾根がせまってくるのでそれとなくわかる。南又谷右股の下降点は、東芦見尾根側に少し下ったところに位置し下降点の適当な木に標識赤布をつけた。
猫又山直下は樹林のない広い急斜面になっていて、下降時に視界が悪く目標物が確認できない時は注意を要する。山頂付近で下降ルートを誤りブナグラルートより登り返したという2名パーティと会い、南又谷右股への正しい下降ルートを教える。
お地蔵さんがまつられている山頂は、風で雪が飛ばされていて地面が露出しており、吹き溜まりの雪のほうが山頂より高く、何だか間抜けな感じがする。山頂で一休みしたあとコルまで急な斜面を下降する。結局アイゼンは一度も使用せず、わかんで歩き通した。
コル直下にさっきの2名パーティが見える。毛勝谷ほどではないが最初の降り口は急なので確実にステップを切り、適当なところでシリセードにて下降する。釜谷出合までは長い下りで雪が腐ってやわらかい為難儀する。笑われるかもしれないと思って持参した、わかんが今回は大活躍した。釜谷付近で左岸の台地状に高巻いてトレースのある巻き道へでてさらに下降、17時過ぎにスタート点である坂様谷堰堤に到着した。時間的に本日は小沢あたりで幕営かと思ったが、先を急ぎ、19時にオノマ(第三発電所取水口)、このあたりで暗くなり、20時前に片貝キャンプ場へ到着。久々の強行軍であった。
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