雨水?雪解け水?西吾妻山登山はちょっとした沢登りだった。
- GPS
- 08:26
- 距離
- 11.9km
- 登り
- 1,021m
- 下り
- 1,016m
コースタイム
- 山行
- 7:16
- 休憩
- 0:55
- 合計
- 8:11
▼復路は西大巓山頂を踏んでいないので、西大巓直下と修正した。
▼今回も下りが苦手という私の特質がタイムに表れている。ゴンドラ山頂駅から西大巓間の登り、下りに要した時間は、下りのほうが長くなっている。これが主原因で標準CTに対して、山行巡行スピードが1.1〜1.2という指数を叩き出すことになったと思われる。今回はひざ痛によるスピードダウンはなかったことを付け加えておく。
天候 | ▼当然のことではあるのだが、梅雨の時期は天気が悪い。この週末も天気には決して恵まれていなかった。行先候補は色々あったが、西吾妻山が最有力候補に収束していく中、天気が良ければねという条件を最後まで外すことができなかった。 ▼山行前日の西吾妻山の天気予報は、明け方に小雨が降るがその後は曇り午後に晴れ、風は一日中強く吹くというものだった。てんくらの登山指数は強風が影響してか、一日中Cだったと思う。強風が気になるが、2000m級の山ならなんとかなるだろうということで、K副隊長がやるべしの最終決断をした。 ▼山行前日の夜、とある駅に集合。予定集合時間から少し遅れての出発となったが、日付が変わる頃無事デコ平口駐車場に到着。デコ平口駐車場までの林道が荒れていて、普通乗用車で通行するのは難しいのではないかと警戒していたが、思っていたより遥かに路面のコンディションが良く、私の心配は杞憂に終わった。(それでも林道序盤は路面状況があまりよくなく、びびった私はゴンドラ山麓駅からの登山を提案したのは内緒) ▼車から降りると満天の星空、天の川がほぼ夏の夜空を薄い白い靄のように横切っていた。気温は道中に設置されていた温度計によると25℃前後、寒くて眠れないことはないだろう。明け方雨だと予報は言っていたけど、予報は外れだなと確信した。車内に侵入した大量の虫を退治した後、車中で眠りについた。 ▼明け方、雨粒が車体を叩く音で目が覚める。5時前くらいだったと思う。「なんだよ、天気予報通りかよ、しかも小雨ではなく結構本降りだね」と半ば不貞腐れながらも、「今日のコースは比較的楽なコース、8時くらい出発でも構わないのでしばらく様子見だね。これで二度寝が出来る」と色々入り混じった感情を持ちながらウトウトしていた。 ▼タイヤが小石を噛む音で目を覚ます。別グループの車(写真2)が駐車場に入ってきた。雨はほぼ止みかけていた。彼ら4人の一行は、手際よく準備を済ませ、颯爽と出発していく。K副隊長「彼ら麓の方で天気が回復するという予報を入手したから、この駐車場まで来ているのではないかな?雨も止んでいることだし、我々もそろそろ出かけましょうか?」因みにデコ平口は携帯の電波が通じていない為、我々は最新の天気予報を入手できていない。 ▼雨上がり直後の朝靄で霞む7時17分、登山口を出発する。K副隊長「雨のおかげで蒸し暑さがありませんね。夜中は暑かったので車の窓を少し開けたくらいだったので」湿度は高いが、風もそこそこ吹いていることから日が照らない限り、蒸し暑さはなさそうだと私自身も感じた。 ▼湿原の木道は雨で濡れていた。滑らないように細心の気を遣う。やがてゲレンデを登り始めるが、陽射しもなく心地よい風が吹いているので登りにも関わらずあまり汗をかかない。鬱陶しいのは雨で活性化したと思われる虫の群れだけだった。 ▼そして写真18地点から苦行が始まる。至る所に岩が露出した歩きにくいフラストレーションガ溜まる登山道に、上から水が滴り落ちてくる状態が延々と続くというのは、精神衛生上非常によろしくない。とにかく滑らないように気を張っていなければならない。できるだけ考えないようにと努めるが、下山時はもっと滑るだろうという心配も襲ってくる。下山時には雨水はほとんど落ち切っているかもしれないではないか、そう自分に言い聞かせて何とか納得しようとしていた。 ▼そんな矢先、写真24の残雪が目に飛び込んでくる。「今までの登山道を流れる水は、雨ではなく雪解け水だったのか?下山時も登山道は水でヒタヒタだねえ」そんなことを考えていた矢先に、写真25の急登が目の前に現れる。柔な私のメンタルにヒビが入った瞬間でした。登山を継続するのが嫌になり、下山しようと思いました。 ▼3人には先に行ってもらい、しばらく深呼吸を繰り返し気持ちを落ち着かせてから登山を再開した。写真25の急登はそれほど長続きせず、気が付いたら路面のコンディションも乾燥した普通の登山道になっていた。ほどなくして西大巓山頂に息を切らせながらたどり着いた。 ▼西大巓出発直後は、相変わらず空を雲が多く眺望はそれほどでもなかったが、視界が開けたことにより気持ちが軽くなったのが分かった。西大巓から西吾妻山までの登山道も途中水に浸かっていた箇所が数多くあったが、あまり不快感を感じなかった。写真18地点から西大巓までの登山道と何が違うのかと問われると、気持ちが違うとしか答えようがない。気持ちの持ち様で、行動意欲が受けるインパクトの大きさを今更ながら強く感じた次第。 ▼私の気持ちが変わったからからという訳では決してないだろうが、空模様も少しずつ変化し始めた。西大巓、西吾妻山山頂、天狗岩と進んでいくに連れ、雲の合間から青空が顔を覗かせはじめた。そして青空の領域は広くなっていく。K副隊長「西大巓から西吾妻山頂間で、天気が良くなりそこそこ眺望が楽しめたので今回の山行は甲斐があった」この一言に尽きると思う。 ▼下山時の天狗岩→西大巓間は更に陽が強く射し始め、期待していた通りの眺望が楽しむことができた。寧ろ日焼けを気にしなければならないくらいの陽射しだった。首に巻いていたタオルを、顔に少し被るように頭に置き、その上から帽子を被り即席の日焼け対策を実施する程だった。陽にさらされた時間は短かった筈だが、やはり日焼けはしたみたいで、顔に火照りを感じながらの下山となる。 ▼再び憂鬱な登山道に入る。樹林帯ということもあり眺望はほぼない。現金なもので、もう陽ざしは要らないと思い始める。やがて転倒しないことに気を取られ始めると、天気のことなど気にしている余裕がなくなる。再び天候に関心が戻ったのは、ゲレンデを下っている時、往路と違い虫がいないことに気が付いた時だった。登山時の強い陽射しも悪いことばかりではないと。 ▼下山後温泉で入浴、日焼けにお湯が沁みたということはなかったが翌日まで顔の火照りは続いていた。 ▼下山後スマホの電波が復活、この日群馬の館林市で6月としては最高の40度越えを記録したことを知る。その余熱が生み出した産物なのかはわからないが、帰り道の東北道、福島栃木の県境当たりだったと思うが雷を伴うバケツをひっくり返したかのような夕立に遭遇したことを付け加えておく。 【後日記]2022年6月27日に気象庁は関東甲信地方の観測史上最速の梅雨明けを宣言しました。我々が雷雨にあったのは、東北と関東の境目あたりだったと思うので微妙ですが、今思うとあの雷鳴は梅雨明けを告げるものだったのだなと考えている。 |
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過去天気図(気象庁) | 2022年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 自家用車
電車:最寄駅 → 集合場所 自家用車:集合場所 → デコ平口駐車場 【復路】 自家用車:デコ平口駐車場 → 香の湯 → 集合場所 電車:集合場所 → 最寄駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【総括】 ・危険や緊張を強いられる個所はありませんでした。2022年6月25日現在、登山コース上にある残雪部分は、写真24地点の非常に狭い箇所のみ(せいぜい畳2〜3畳分くらいか?)で、後2・3日で解けてなくなると思われる。 ・休憩時座れる場所が非常に少ない。雪解け水や沢・湿原の水でコースが濡れている箇所が多いため。安心して座れたのは天狗岩周辺部だけだった。 ・本コース下部は虫が非常に多いと感じた。虫よけスプレーはあったほうが良い。長袖を着て防虫スプレーも使用しましたが、帰宅後腕に刺された痕が複数個所あることが判明しました。虫刺され痕からブヨの類かなと思っています。ブヨは黒やネイビーなどの色を好むらしく、まさしくそんな色の服を身に着けていました。幸い私は強いアレルギー反応は出ていませんが、ブヨは人によっては重篤なアレルギー反応が出ることがありますので、お気を付けください。 【登山口〜写真18地点】 ・特筆事項なし。デコ平湿原の木道は、雨上がり等濡れているときは滑りやすいと思われるので注意。 【写真18地点〜西大巓】 ・難易度の高い箇所はないのだが、岩が露出しとにかく歩きにくくストレスフルな登山道であった。雪解け時は、雪解け水が登山道に浸みだしてくる模様。路面はチョロチョロながれる雪解け水で濡れた岩が延々と続く感じ。幸い岩肌は、そんなに滑りやすいものではなかったが、転倒すると色々面倒なので細心の注意を要し、私は登り・下りとも疲弊した。 ・下山時無事この区間を歩き切った際、振り向きざまに「馬鹿野郎、二度と来るか、ボケー」とこのコースを口汚く罵ってしまうほどこの区間の山行は、ストレスを抱えたものだった。 【西大巓〜西吾妻山頂〜天狗岩〜西吾妻避難小屋】 ・この山行でのメインディッシュ区間であり、ここで眺望が楽しめれば山行は成功である。その眺望は日本百名山に選出されるだけのこともあり、心が洗われる風景である。 ・アップダウンはあるが、今回の私と違い心身が充実していればしんどいものではない。 ・(写真18地点〜西大巓)区間同様、コースが水に浸かっている部分があるが、眺望があるせいかそれほど気持ちはネガティブにならなかった。敢えて言えば写真34地点の、笹で登山道が覆われ上部湿原からの水が浸みだして路面に淀んでいる感じがする箇所で気持ちにさざ波が立つくらい。 ・山頂にはがっかりする人が多いかもしれない。大菩薩嶺の山頂に少し似ている感じか?K副隊長曰く「大菩薩嶺山頂のほうが、まだ山頂らしさがある分救いがある」とのこと。よって、山頂で引き返さずに、そのまま天狗岩まで足を延ばすことを強くお勧めする。天狗岩には西吾妻山山頂で得られなかった山頂感が存在するので。 |
その他周辺情報 | ▼ゴンドラ山麓駅からデコ平口まで続く林道は、アスファルト舗装ではなく、砂利が敷き詰められています。序盤即ち山麓駅に近い程、路面のコンディションが悪く、デコ平に近い程路面の状態は良くなる。写真林道-1〜-3を、参考資料として載せておきますので路面の状態をご確認ください。明るいうちなら、オフロード車でなくてもゆっくり進んでいけばそれほど大きな問題なく通過できると思います。私の意見と、実際に運転したK副隊長の意見とで一致しているのが、八ヶ岳の美濃戸口から赤岳山荘辺りまでの林道の路面状況よりは遥かにコンディションが良いということです。 ▼デコ平口にあるトイレは据え置き型だが、洗浄液が流れるタイプで匂いもなくかなり清潔で使いやすいトイレと感じました。 ▼山と高原地図によると、デコ平口駐車場は35台のキャパがある様に記載されているが、そんなに止められるかなあという印象を持った。 ▼ゴンドラを含むグランデコ東急関連の施設は、例年この時期はお休みで、7月後半からの稼働開始となっている模様。この時期は、西吾妻山は登るにはあまり良い時期ではなく、登山客も観光客も少ないからと思われる。登山に不適な理由は、虫の多さと雪解け水かなと身をもって体験した教訓です。 ▼下山後利用した温泉、裏磐梯温泉 露天風呂 香の湯(こうのゆ)については写真キャプションを参照のこと。クチコミも載せておく→ https://onsen.nifty.com/bandaisan-onsen/onsen007775/ |
写真
感想
▼あまり天気に恵まれない梅雨の合間を縫って、西吾妻山に登ってきました。写真キャプションを記入し終わったので、取り合えずアップしてしまう。何か思いついた点があったら、後日加筆する。
【備忘録】
・虫より水と雪が嫌い(済)
・東吾妻山から縦走(済)
▼今回も動画を撮影したのでアップしておく。
↓天狗岩からの風景。風の音が五月蠅いため、音量注意
↓西大巓山頂直下のビューポイントにて撮影
【後日記】
■私は登山道が水に浸かっていたり、雪が積もっていたりするのが、虫が多いより苦手な様だ。その2つに対する許容範囲がかなり狭いことを、今回はっきりと自覚した。それらを嫌う理由は、やはり滑り易いからだろう。滑るのが嫌な理由は怪我や命に関わる重大事故に繋がりかねないからだろう。山道で滑って転倒し手首を痛め、完治まで数ヶ月掛かったとか、雪で滑って怖い思いをしたといった経験を重ねた結果、醸成されたアレルギー反応だろう。2022年に入って2回ほど残雪期ハイクをした時にも薄々感じていたが、雪が格別に嫌いになった様だ。今回山行中に心が乱れたのも、ほんの僅かに登山道に残っていた雪の塊を見たのがきっかけだった。こんな事では雪山なんか絶対に無理だろう。無理で良い、本当にやりたくないんだから。
・一方、水が許容できないことはかなり致命的な欠点ではないか?これは克服したいなあ。幌尻岳は登れなくても良いが、宮ノ浦岳は登りたいので。
・今回の山行タイトルは、沢登りとは大袈裟だ、雪解け水が登山道に少し流れ込んだだけだろうと感じる人がほとんどだろう。自分でも大袈裟と思う。でも、大袈裟タイトルをつけた動機の裏側には、転倒の原因となる雪や濡れを蛇蝎のごとく嫌う強迫観念があったということを記しておきたい。
■深田久弥の百名山で吾妻山と言えば、一般的には西吾妻山の事らしい。おそらく吾妻連峰で最高峰だからだろう。只、西吾妻山単独ではあまり魅力はない。特に山頂を目指すだけだと、物足りなさを感じるのは普通のことだと思う。
・日本百名山を読み返すと、吾妻山と定義している。【抜粋】一口に吾妻山と呼んでも、これほど茫漠としてつかみどころのない山もあるまい。福島と山形の両県にまたがる大きな山群で、人はよく吾妻山に行ってきたというが、それは大ていこの山群のほんの一部に過ぎない。この山群には一頭地を抜いた代表的な峰がない。それでいて、東北では貴重な千九百米以上の高さを持つ峰が、十座近くも群がっている。しかもそれらの峰がいずれもずんぐりした形で、顕著な目じるしがないので、遠くからこの山群を望んで、どれがどの峰かにわかに識別しがたいほどである。そのなかで吾妻小富士が名の通り一つのまとまりを見せているが、しかし千七百米しかなく、形も小規模なので、これをもって吾妻山の代表とするわけにはいかない。東吾妻、中吾妻、西吾妻という名称の使いわけも、この山群の地形を分明にするものでない。それらと同資格の一切経山、東大巓、西大巓などが、他に譲らず頑張っている。この厖大な山群には、渓谷あり、高原あり、湖沼あり、森林あり、しかも山麓をめぐってあちこちに温泉が湧いている。包含するところの景勝は甚だ豊富であるが、それを極めつくすのは容易ではない。【抜粋終わり】
・以上からも、深田久弥が百名山として指名したのは、吾妻連峰であることは明白で、本来なら西吾妻山だけを登ったから百名山の一つをクリアしたとはならないのだろう。Mさん【元インド駐在】が提案した、浄土平から西大巓まで縦走するのが、正しいスタイルなのだろう。30kmを超える大縦走は私の能力を大幅に超えているだけではなく、時間的な制約も考慮した上でMさん【元インド駐在】に賛同しなかったことは、間違っていないと思っているが、吾妻連峰こそ百名山と知ってしまうと、Mさん【元インド駐在】の提案をサポート出来なかった無力さを嘆きたくなる気持ちを殺しきれない。そしていつか達成してやるという気持ちが一切湧かない自分を呪いたくもなる。だって、東吾妻山から西吾妻山への縦走は、今回同様常時濡れた登山道が存在するであろうから。長めの自己嫌悪に陥入りそうです。
■あーあ、楽な山行のはずだったのに、どんなに長くても6時間くらいで帰ってくるはずだったのに。色々削られた私が足を引っ張りスピードダウン、休憩入れて8時間も掛かるとは思わなかった。先週の湯の丸山に、標高差で300m、時間で1時間半ちょっと加算されるだけと思ったんだけどなあ。幸い膝の調子は悪くなっていない。
■裏磐梯温泉 露天風呂 香の湯(こうのゆ)は、以前天城山を下山後に使用した温泉(湯治処ごぜんの湯)を彷彿させるものがあった。香の湯とごぜんの湯の比較をしておく。果てしなくくだらないのですが、後日このレコを読むときに、自分がクスリと笑うための備忘録です。
<類似点>
・接客してくれた人が、かなり年配の男性
・露天風呂が非常にオープンで、大らかな造り
・湯の温度が非常に高い
<相違点>
・香の湯は男女別々、ごぜんの湯は混浴
・香の湯はアメニティーは備え付けられていたが、蛇口が機能せず。ごぜんの湯は蛇口は機能したが、アメニティーは備え付けられていなかった。
<得られる教訓>
・地方の温泉では、湯の質さえ良ければ十分で、充実した設備まで求めるのは野暮な考えである。
天城山のレコのアドレスを貼っておく→ https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1689217.html
■Mさん【元インド駐在】のヤマレコIDが判明したので、IDと当レコの紐付けを実施した。(2022年7月26日)
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