御神楽岳(蝉ルート) 大苦戦の単独行


- GPS
- --:--
- 距離
- 9.9km
- 登り
- 1,166m
- 下り
- 1,176m
コースタイム
天候 | 晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
■沢の徒渉、鎖場など危険箇所多数。 ■すべて夏道。湯沢の頭の少し先、および山頂付近にすこしだけ雪がある。 ■1年前にはあった登山ポストが撤去されていた。 |
写真
感想
「下越の谷川岳」と称される御神楽岳は、凄まじい湯沢の岩屏風が特徴であり「危険な美しさ」に満ちている。だが、その美しさを眼にするには屈指の難ルートとされている「蝉ルート」をたどらなければならない。蝉ルートは急で痩せた岩稜が連続し、登山口から山頂までの全行程で緊迫感が漂っている。
私はそのコースをほぼ1年前にも登ったが、その記憶は薄れ、目に焼き付けたはずの「美しさ」も風化してしまった。今回は失われた記憶をよみがえらせようと思い、単独でアタックすることにした。
■登山口に至る砂利道は、昨年の水害のため荒れている。路面には溝ができ、あちこちに倒木も転がっている。
■登山口にポストは無い。事前に警察署に提出することになる。
■ほぼすべて夏道。山頂付近に少しだけ雪が残っていた。
■「湯沢の出合」までの徒渉はスリップに注意する。また、ホタル沢のへつり道は危険ポイント。十分に注意したい。
■「湯沢の出合」から少し先の登り斜面はルートを見失いやすい。
■「湯沢の出合」以降、水場はない。
■「湯沢の出合」から「高頭」へと登る途中から眼にする岩屏風は、実に美しい。
■ロープ、鎖場が非常に多いがどれもしっかりしていた。蝉ルートのピストンには、「八海山・屏風道コース」に耐えられるだけの腕力と握力が要求されるであろう。
■標高1386.5mで決して高い山ではないが、蝉ルートにはかなりの体力が必要。私個人の感覚では、越後三山の「中ノ岳」を十字峡から日帰りでピストンできるくらいの体力が必要だと思う。
■「湯沢の頭」付近ではヤブこぎを強いられる。
■「湯沢の頭」および山頂では、携帯電話の電波が通じた。山頂から電話をかけることができた。
■山頂まであと数歩というところで、登山道が崩れてきている場所がある。その下は数十メートル切れ落ちている。今回、もっとも危険なポイントだった。
■もう、ブヨがけっこう出てきていた。
■1年前に比べ、コース全体のヤブ化が進んでいる気がした。
■熊鈴は必携である。
私にとって、今回のアタックを表現すれば「実にきわどい山行だった…」と言えるであろう。寝不足、そして食料が足りなかったことで、失態を演じてしまった。無事に戻れてよかったと思う。そして、あの美しい「湯沢の岩屏風」や山頂から見れる「スラブ」の記憶を蘇らせることができて本当によかったと思う。
繰り返すが、今回は実にタフできわどい単独行だった。それでは、最後まで私の心の支えになったのは何だったのか?それは他でもない「フェイスブック」だった!
(参考文献)
・『新潟100名山』 新潟日報事業社
・『新潟の山旅』新鉄山岳連盟編 森谷周野監修 新潟日報事業社
・『阿賀町 山岳ガイドマップ』阿賀町役場発行
・『関越道の山88』打田0 著 白山書房
・『決定版 日本二百名山 登山ガイド 中』 山と渓谷社
・『越後の山旅』藤島玄 著 富士波出版社
・『山野草ガイドブック』高橋秀男監修 永岡書店
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◆追記◆
その後、阿賀町役場上川支所に連絡し、山頂付近の危険箇所を報告したり、登山ポストの件について問い合わせたりした。担当職員の方はとても丁寧な対応をして下さり、以下のような回答をもらった。【2014年5月15日(木)現在】
[稠、御神楽岳は6月の第1日曜日に山開きを行うが、その日を目安にして「登山ポストの設置」「登山道やロープ・鎖の点検」「登山口までの整備」を行っている。現在は、その手配中である。登山ポストは雪で押しつぶされないよう、冬期期間は撤去している。
∋劃塞婉瓩隆躙渦媾蠅砲弔い討蓮GW中に御神楽岳に登った登山者からも知らせを受けていた。山開きまでには整備を行う予定。
とのことである。その職員の方からはとても感謝していただいた。もうまもなくすれば、もっと快適な登山ができるようになると思う。そしてより多くの人に、御神楽岳のすばらしさと美しさを知ってほしいと思う。
コメント
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こんばんは。
あいかわらずこの山の蝉コースは素晴らしいです。
写真に見入ってしまいます。
私も昨年6月に登りましたが、やはり水の消費が半端ではなく、体力の限界だったように思います。
しかしこの山には間違いなくそれだけの価値があると思います。
私も今年、もう一回登ってみようと思いました。
DSAさん、こんばんは。
コメントを下さり、ありがとうございます。
私も今回のアタックに際し、事前に昨年度のDSAさんのレポをじっくり読ませていただきました。大変参考になりました。
今回は数年に1度あるかないかの大苦戦をし、御神楽岳からこってり油を絞られたかたちとなりましたが、それでも再び行きたくなるんでしょうね…あの危険な美しさを目にするために。
そこが御神楽岳の魅力だと思います。
もしも行かれるようでしたら、どうかお気をつけ下さい。
素晴らしいレコ拝見させて頂きました!
参考にさせていただきます
iide_sanさん、初めまして。
コメント、ありがとうございます
この御神楽岳レコはもう古くなった記録です。ですが、あの「湯沢の大岸壁」や「燕返しの奥壁」は、いまでもきっとすばらしい景観のままでいることでしょう…
蝉ヶ平からのコースを歩かれるようでした、どうかお気を付け下さいm(_ _)m
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