鳳凰三山 赤抜沢 右俣
天候 | 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2022年08月の天気図 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・赤抜沢は鳳凰三山の南西側に位置する沢で、お隣の有名なシレイ沢に比べると遡行者は少ないそうだ。 ・東京起点120のガイド本(旧版?)に掲載されている。グレードは3級上。新版は左俣に書き換えられている ・赤抜沢の左俣はネットに記録あるが、右俣の記録は見当たらず ・渓相も良く水が美味しく綺麗。 ・平面距離2.5kmに対して1000m程標高を上げるので、まあまあ斜度もあり、ロープなしで越えられる滝が沢山出てきておもしろい。 ・核心は右俣ゴルジュに入ってから ・どのくらい悪いゴルジュか分からないので、念のためウェットスーツの上とアブミ、スカイフック、ハーケン多めの装備 ・最初の5mCS滝は空身でCSをくぐり抜けてからバック&フットで突破後に荷上げ ・ぼろぼろの下部ハング15m滝は左壁から登って、テラスに上がり一旦荷上げ。 最後は落口に抜けるには足がなく、左右の壁はヌメりが酷かったのでカムアブミでマントル返し 結局ロープ出したのはここだけだった。 ・トイ状30m滝を登った後は、2350付近からなるべく左に向かって2660のコルを目指して進む。尾根に乗ると途中から踏み跡が超明瞭になり、楽に稜線へ出れた。 ・並走していた風化した白い花崗岩の詰めは、すーぱー歩きにくそうだった。 ・ログ取り忘れちゃった。 |
写真
感想
Yさんと平日に沢へ行くことになり、ガイド本をペラペラめくっていたら目についた赤抜沢。
やった事ないアルプスの沢だし、登った事のない鳳凰三山へ抜けれるし、右俣の記録がないから面白そうだなぁ、最近読んだ「山を渡る」と言う漫画の影響でオベリスクにも登ってみたかったので平日で空いてそうだし、丁度良いじゃないかと提案。
とは言え、右俣ゴルジュに入ってからが核心らしく、記録や写真もネット上にはなく、どんだけ悪いかも分からなかったので1日で抜けられなかった時の為に2日確保して泊まり装備で出発。
朝横浜を出て、夜叉神から8:07の広河原行きバスに乗り、赤抜沢橋で降ろして欲しい旨を伝える。
入渓9:00〜稜線16:00〜鳳凰小屋17:00〜翌朝5:00起床〜オベリスク登って広河原へ下山〜12:00
と言う感じだった。
赤抜沢だけの遡行なら、夜叉神から5:00台の始発バスで行けば1日で終わらせられそうだが、長時間行動で疲れそうなので、あまり山に行かない自分にはこの泊まりで遡行する方が余裕があってちょうどよかった。
ただ、泊まり装備でシビアな滝を登るのは難しく、慣れない荷上げで時間がかかったり、上手い方法が見当たらず戸惑ってしまった。
荷上げの技術勉強したいなぁ。
入渓して序盤はゴーロ歩きが続く。
連瀑帯が出てきてからは楽しい滝が続くいた。
ヌメりは全体的にけっこうひどくて、神経を使うところもあった。
下山が長いのでラバーにしたが、フェルトと下山用シューズとかでも良いかもしれない。
渓相は綺麗だが、派手に崩壊している所も何箇所かあった。巨岩が多くて、一瞬で巻ける所をムキになってハンマー投げたり空身で突破したり、ワイワイキャーキャーやりつつ遡行する。
そうこうしてる内に、なんか登るのも飽きてきちゃったなぁっと思った頃に二俣に到着。
まだ見ぬ右俣へドキドキと進む。
最初の5mCSは難なく抜られたが、次の15m滝が悪かった。高さはないが見た目がイカつい。
落口に抜けるのが難しい以外は検椶らいでクライミング的な難しさはないが、岩が脆くてボッロボロ。
苔も沢山育ってかなり肉厚。そしてやはりヌメる。
登られてない感が満載でかつてない脆さの滝だった。
ビレイヤーにはちょっと遠くでビレイしてもらって、登りながら、拳から片手でギリ持てるくらいの様々な大きさの岩を落とす。50回くらいは放り投げたような。
プロテクションが設置出来そうなクラックやリスを見つけてもハンマーで叩くと丸ごと取れたりして、怖い。ヌメりもブラシで磨いて、関係各所をクリーンにしつつ、まさに石橋を叩くようにして登った。
下部がハングしてるのと、ルート取りがトラバース気味だったので、落口に抜けてからの荷上げが難しいと判断し、落口手前のテラスへ一旦ザックを荷上げする。
ここでヒヤリハット。
テラスに辿り着き、ボールナッツとハーケンで分散支点を作ってマイトラで引き上げてる最中にハーケンが抜けてしまう。
ボールナッツで持ち堪えてくれたが、もし支点が崩壊したらそのマスターポイントにセルフビレイを取ってたので危うく自分もザックの重量に引き摺られてフォールする所だった。
ビレイはしてもらってたとは言え、その下のプロテクションまで落ちるわけだから、けっこうな危険案件。
めんどくさがらずに、ちゃんとセルフビレイ用の支点を探して、荷上げの支点とは別にするべきだったか。そこまで頭が回らなかった。反省。
落口はちょっと難しく、ホールド探す。
探してる間に図らずとも水流を大の字ポーズで真正面から受け止める体勢になってしまう。
10秒、20秒、滝の水を浴び続けてるとゲームのキャラがHPがどんどん減って行くように、徐々に身体が冷えて行くのを感じる。
せっかくウェットスーツの上を担いできたのに何故1番欲しい時に着てないのだ俺は。
やばいなぁ、一回戻るか、、
と思った所で30%くらい信用出来そうなカムが決まったのでカムスリングアブミで体重ほんの少しだけ右足に分散してマントルを返した。
はあ怖かった。
荷上げ含めてこの滝だけで突破するのに1時間半くらいかかってしまった。
長々とビレイしてくれたパートナーに感謝。
そのあとは適度にアトラクションがあり、尾根に出た所で明瞭な踏み跡があったので、意外と遡行されてるのか?と思ったが、あの15m滝の登られてない感は、、?
あれを登らないでこの尾根に乗るとなると相当前から巻かないといけないっぽいけどなぁ?などなど地形図見ながら、はてなはてなで稜線に出た。
稜線は標高が高いので景色が開けていてとても清々しい。
いつも詰め上っても樹林帯などの標高が低い沢ばかりなので、達成感もあって気持ち良い。登山してるなぁと言う感じ。
景色も最高で南アルプス良いですね。
最近はフリークライミングばかりだが、自分は山が好きなんだと言う事を思い出す。
そのまま鳳凰小屋へ行って幕営。
鳳凰小屋は沢沿いに建っていて雰囲気が素敵。
テン場も平坦で水も豊富で居心地良かったです。
小屋番の方やスタッフさん達もとても気さくだった。
赤抜沢を登ってきたと言ったら変態達さん認定されて、写真を撮ってくれた。
次の日はオベリスク登攀。
5.8くらいの6mくらいのハンドサイズのクラック。リンクカム3つで中間支点を取った。
沢靴でも問題なし。
最後のマントル返しが核心か。
事前に終了点があるかどうか分からなかったが(なくてもカムを使ってクライムダウンできる。)
鉄パイプに細引を3〜4本通したものがうまくクラックの頂点に引っかかる様になっていた。
オベリスクのてっぺんは2人寝そべるくらいのスペースがあって案外居心地良く、40分ほど滞在した。眺めも最高。
しかし、クライミング経験の無い人がロープなしで登るのは危険なので避けた方がいいと思う。
その後は稜線を歩きつつ12:00に下山して、温泉入ってご飯食べて、中央道を走らせて横浜に戻り、スマートフェスティバルという30分で2万発を打ち上げる謎の花火大会に友人夫婦と行って、帰りに美味しい焼き鳥を食べて夏を満喫した。
沢登りは不確定要素が多くて個人的にはとてもデンジャラスな遊びだと思っている。
その中で安全に帰ってくるために限界に近いグレードだと下調べをする事が多いが、今回は遡行図だけの記録がない所で、探り探り進んで行く事で、登山の本来持っている冒険的な要素を体験出来てとてもおもしろかった。
とは言えこんな事を年中やってると精神が持たないので、1年に一回くらいで良いかな。
沢自体はガイド本に載ってる3級上ほどには感じなかったが、滝は全部登れるし、詰めはけっこう快適、ボロいが威圧感のある15m滝は登れると達成感がある。もっと遡行されてても良い、なかなか充実出来る良い沢だと思う。
今回の、沢を詰めてアルプス縦走して山小屋でビール買って宴会してオベリスクも登攀出来て、2日目には花火大会に行って打ち上げで焼き鳥を食べる時間的な余裕まであるこのプランは満足度高めだった。
お勧めモデルコースとして推奨したい。
もちろん、焼き鳥付きで。
Yさん、お付き合い頂きありがとうございました。
また遊びましょ〜
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