戦場(千丈沢)から生還!硫黄岳おまけ奥丸山


- GPS
- 36:45
- 距離
- 39.1km
- 登り
- 3,890m
- 下り
- 3,900m
コースタイム
- 山行
- 13:08
- 休憩
- 0:26
- 合計
- 13:34
- 山行
- 10:13
- 休憩
- 0:36
- 合計
- 10:49
- 山行
- 10:13
- 休憩
- 0:41
- 合計
- 10:54
天候 | 曇時々晴&ガス及び小雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
千丈乗越までは一般登山道 乗越からはバリルート道なし 硫黄岳に登ろうという方なら危険ヶ所なし。詳細は感想で |
予約できる山小屋 |
槍平小屋
|
写真
感想
果たして戻って来られるだろうか。不安と緊張感。今回の硫黄岳はこれまでにないプレッシャー。
1日目が思った以上に時間がかかり奥深くまで入ったことを実感した。無事に千丈乗越戻れるだろうか。登頂が叶うかどうかより心配でたまらない。千丈と掛けて戦場から脱出、無事生還の気持ちだった。
そもそもこの硫黄岳を知ったのは二百高山だ。全国に硫黄岳は数ある。百高山の先も見え、次は二百高山と思っていた。だがこの硫黄岳がどこにあるかわからなかった。調べていくうちに槍ヶ岳の北西の硫黄岳と分かった。もちろん登山道はない。レコはと探してもほとんどない。これじゃあとっても無理と諦めていた。
しかし同じく無理と思っていた北鎌尾根を登ることができた。その時千丈沢を挟んで聳える赤茶色の荒々しい硫黄岳を見た。不気味に聳える硫黄岳には強烈な印象を受けた。いつか登ってみたいがきっとダメだろう…と言う気持ちを持った。
【1日目】
・市営無料P~千丈乗越
2泊3日なら余裕と楽観して、右俣川を遡行していく。久しぶりの重荷にペースは上がらず、CT通りで千丈乗越に到着。稜線はガスと強風、北側の風の陰で休んでいると、槍に行く登山者が来た。他愛のない話をして出発。登山者から「そちら道が違いますよ」と声を掛けられた。そう普通千丈沢へ降りていく登山者は居ない。説明も面倒なので「こっちの山に登るんです」と忠告をありがたく受けとり出発した。
・千丈乗越~四ノ沢
硫黄岳取付きTS地まで標高差1000mなので4時間くらいだろうと甘い見積もりだった。全くとんでもない甘ちゃんだ。最初の下りは水俣乗越の下りよりは随分緩やかだ。100m位は踏跡があったが、あとは累々たる岩屑の斜面。ケルンのようなものもあるが、人為的かどうか疑わしい。中間点に雪渓があった。この下に水があったがすぐになくなった。雪渓の前後にはお花畑があった(愛でる余裕なし)。
岩が大きくなり樹木が現れてきた。ルート取りも難しく、段差が大きく足への負担も顕著なってきた。2時間かかってようやく四ノ沢出合に到着。
・四ノ沢~硫黄岳取付きTS地
四ノ沢には水が流れていて給水の心配はない。天狗沢までは水量も少なく、飛び石渡渉で快適な沢歩きができた。
次第に水量が増えていくが中山沢までは飛び石渡渉で下って行けた。ただ岩が大きくなってきたのでルーファイによっては時間がかかる。
中山沢からは一気に水量が増え、飛び石渡渉はできなくなった。出合辺りで、すぐに左岸から右岸へ靴脱ぎ渡渉した。いつもながら足が痺れるほどの冷たさだ。渡渉してもしばらく足の感覚がない。
なるべく渡渉しないようにと我慢の下りが続いた。なんでもない所でよろけてドボン!左の靴が水没。出発から10時間が過ぎているので、体力も限界に近付いている。踏ん張りが効かなくなっていることを自覚した。
慎重に歩くようになり、さらに時間がかかった。2回目の渡渉後は巻き道やらで遅々として進まず焦る。あと少しの所で左岸から右岸へ、100m位下り再び左岸へ渡渉。ここにはケルンがあった。つまり4回の渡渉。ケルンと確認できたのは、ここと四ノ沢出合の2ケ所のみ。
最後の渡渉後、硫黄岳方向からの押し出しに登った。まもなく取付きなので、ザックを置いて取付きとTS地探しに出かけた。体が重く空身になっても楽になった感覚がなかった。
・取付き地探し
押し出しから尾根末端へ行った。ピンテなど目印があると思って薄暗くなりかけた藪を探すも見つからなかった。そこでGPSを頼りに探した。結局ピンテなどなし、一面藪。諦めて取り付けそうな所の目星をつけて、TS地を探しながら引き返した。幸いTS地はまあまあの平坦地を見つけ、今夜のお宿にした。早々に晩飯を食べて寝たが、明日を思うと気が重い。
【2日目】
・硫黄岳登り
目覚めるとパラパラと小雨の音がする。ただでさえ気が重いのに…。アタックもせず帰る訳にもいかないので、ダメ元覚悟で出発した。
取付きは目星をつけた尾根末端の雑木藪の隙間から取付いた。小岩と苔の激急の斜面を雑木やら笹やらを掴んで攀じ登って行った。標高差は850mだが、藪漕ぎなので1時間でh200mとして4時間超と計算し、タイムリミットは12時とした。だが同じところで泊まると翌日1日で新穂高へ帰れるか?心配の種は尽きない。
樹林帯に入ると藪は薄くなった。しかし巨岩や大木が立ち塞がる。巻いて攀じ登ったりするので、帰路とても同じ道を辿れる自信がない。そこで環境配慮型目印(トレぺ)を10カ所位取り付けた。帰路確認できたのは3~4所だった。h2200mにガレに立つカラマツ?が唯一のランドマークだった。
延々と続く灌木交じりの笹薮、踏跡と確認できるところはない。h2300mからはハイ松が混じる。稜線が見えると一面のハイ松、シャクナゲ、笹のMIX藪の海。見晴らしはいいが、この激藪を登るのかと思うと気持ちが折れそうになった。中間点にピンテを見つけた。初めて人為的なものを見つけた。ありがたい。言葉にならない。もう少し上にピンテがあった。結局ピンテは2ケ所のみ。藪漕ぎの連続で腕と肩と太腿が痛い。明日の筋肉痛を思うと…(T_T)
稜線に出て左折、まだ藪続いた。ガスで見晴らしは全くない。上へ上へと登って行けばいいが微妙に曲がっている。帰りは大丈夫かと不安になる。山頂直下も笹薮、これをあと少し、あと少しと励ましながら登った。
ついに4時間半かけて10時前に到着。回りはガスで見晴らしなし。北鎌尾根が見たかった。仕方ない。三角点を探すとハイ松に隠れるように鎮座していた。さっそく登頂の記念写真を撮った。
・硫黄岳下り
展望もないので一休みし下山にかかった。藪漕ぎの痕跡を探しながら下って行く。心配した通り、灌木交じり藪で痕跡がなくなり、GPSと薄い記憶を頼りに下って行く。あと少しで稜線を右折という所で詰まってしまい右往左往。さすがにこんな所で迷ったら大変だ。緊張感MAXで「ちむどんどん」。右斜め下と確信をもって下って行くと記憶にある所を下っていた。そして間もなく右折の目印に付けたトレぺを発見。ホッ
ハイ松、シャクナゲ、笹のMIX藪を下り始めたが、一面の藪でどっち行けば全く分からなくなった。ピンテを探しながら急斜面を下って行くと、やはり左にずれていた。助かった‼
その後も何度も往路を外れた。どこが危険かわからないので、往路を外すと危険度が高まる。所々見覚えがあるので安心するが、外しても見覚えがあるのでその都度GPSで確認が絶対必要だった。
沢の音が聞こえ取付き近づいたことは分かるが安心はできない。慎重に下りほぼ取付き地点に着地できた。一応安心したが、千丈から脱出しなくてはならない。
・取付きTS地~二ノ沢出合TS地
急いでテントを撤収して出発した。少しでも千丈乗越に近付いておきたい。最低でも中山出合までは引き返しておきたい。昨日2時間半かかっているので3時間はかかりそうだ。怪我をしないよう慎重に遡った。結局6回渡渉した。急流と冷たさには参った。
二ノ沢出合に砂地の適地を見つけ、ここまでとした。疲れた_| ̄|○
【3日目】
・TS地~千丈乗越
出発準備をしているとまたしても雨音。大雨はないだろうと思うがまた雨か(T_T)グズグズしながらの出発準備で目標の5時出発からはかなり遅れてしまった。引き返すだけとは言え、標高差800mもある。
四ノ沢出合までは順調、ケルンを確認し給水して出発した。小雨は上がり次第に晴れてきた。硫黄岳もはっきり見え、今日だったらいい眺めだったのにと恨めしく思った。
晴れてきたので気分もよくなり、お花畑の花を見る余裕も出てきた。浮石やザレた個所も多く焦りを抑えて登った。西鎌尾根の登山道はすぐ上に見えてきたがなかなか辿り着けない。踏跡を辿ってようやく千丈乗越に着けた。
・千丈乗越~奥丸山~市営新穂高P
時間的余裕があれば槍を登ろうと思っていたが、とんでもない!であった。それでも違うコースで戻りたいとの意地から、奥丸山経由とした。
登山地図では赤破線であったが、下道はあるものの笹被りでまたもや藪漕ぎ。ここは赤破線じゃないよ〜。ガスがかかり始め、展望の良い奥丸山も槍、笠はガスで見えなかった。その後も笹被りは中崎山分岐まで続き、足元が見えないので、よく転んだ。
左俣へ一気に下り林道を新穂高まで歩いた。
◎感想
念願を果たしたが、山頂はガスに包まれていたためか、達成感はあったが喜びが薄い。千丈沢を下れば下るほどこんなに奥深くまで入ってしまって戻れるか心配になった。
一番大変なのは、千丈沢の往復。特に中山沢出合から取付きの間。登頂できるかどうかは、藪に心が折れないこと思った。
GPSがないと下れない。どこも同じような急斜面だから。終始チェーンスパイクを履いた。グリップ力がいい。
千丈沢に滝がなく、よかった。高巻きがあったら道があるかとても心配していた。
二百高山最難関(と思う)の硫黄岳を踏破し、達成がグッと近づいた。
知多半島のyama56こと山ごろです。
昨年、8月に硫黄岳の記録を拝見させて頂きました。
私も今年、夏から秋にかけてのぼろと思います。
装備品は登攀具は、記録では懸垂下降の事は書かれてないようですが、ロープは40mはいりますか。支点は樹木等、残置捨て縄はありますか。ハーケン、ハンマーは不要ですか。
その他、諸注意等有りましたらアドバイスをお願いします。
知多半島新四国の旅が良いですね、地元なのでいつかは歩いて行ってみたいと思います。
6月5日に荒島岳ー鷲鞍岳縦走いいです。
私も前日に平家平、鷲鞍岳、平家岳と忙しく登っていました。
宜しくお願い致します。
カムエク登山の北海道への船の中で一緒になった方ですよね!
岩や沢はやらないので登攀具は最初から持っていません。😅
登攀具はいりません!岩はほとんど無く、巻けれます。薮の急登ですが
滑るのでチェーンスパイクが有効でした。後はヘルメット。つまり薮装備。
山登りより千丈沢が厄介です。取り付き天場まで行けば、ひたすら薮漕ぎで上を目指すのみ。
天気が良ければ大展望間違いなしです💪
登攀具は無用となれば軽量化が図れので助かります。
黒檜山と小日影山とルートファインディングをミスるとロープが欲しい場面に出くわしました。そこは冷静に判断して正しいルートに戻れば、ロープは不要でした。
硫黄岳もその様な感じですね。体験者の貴重なご意見ありがとうございます。
カムエク登山の北海道への船の中で思い出しました。懐かしいです。twvv1979さんもその時カムエク登頂されていましたね。遅まきながらおめでとうございます。
ヤマレコでフォローさせていただきました。
何となく行動パターンが似ています。お会いしましたら宜しくお願い致します。
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