剱岳登攀合宿 剱岳南壁A2・平蔵谷
- GPS
- 27:14
- 距離
- 21.8km
- 登り
- 2,846m
- 下り
- 2,843m
コースタイム
- 山行
- 0:44
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 0:44
- 山行
- 2:28
- 休憩
- 0:08
- 合計
- 2:36
- 山行
- 7:45
- 休憩
- 0:53
- 合計
- 8:38
- 山行
- 10:29
- 休憩
- 1:37
- 合計
- 12:06
天候 | 26日:曇り時々晴れ 27日:曇りのち雨 28日:雨のち晴レルヤ 29日:快晴 30日:雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2022年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
予約できる山小屋 |
|
写真
感想
登攀系の夏合宿を医学部山岳部と全学山岳部の合同で計画した。その場所は北アルプスの剱岳。私はこの山域(剱・立山連峰)に行くのはもう7回目になる。とにかく剱岳とその周辺の山域は他の国内の山々とは一線を画する雰囲気があり、何回も足を運んでしまうのだ。。谷の深さ、尾根の鋭さ、雪渓の厚み(氷河もある)、ブッシュをほとんど纏わない岩壁、すべてが素晴らしく、国内でも唯一無二だと思う。
もともとの計画は
1日目:雷鳥沢幕営地
2日目:剱沢幕営地・平蔵谷と別山北稜でのアイゼン歩行訓練と登攀訓練
3日目:源次郎尾根主稜〜剱岳
4日目:本峰南壁A2〜剱岳
5日目:立山を経由して室堂へ下山
であったが、天候の関係により源次郎尾根主稜の登攀はできなかった。だが、本峰南壁A2の登攀はすることができ、メンバー6人で訓練した成果を剱岳の大岩壁で発揮することができた。
8/26
信濃大町駅に集合し、15時半ころに室堂を出発した。夜行で到着し、朝から登り始めることもできなくはないが、夜行を降りて一気に2400mまで乗り物で上がり、ぎりぎりまで動くことは身体的負担が大きすぎる。それは判断能力や集中力の低下を招き、転倒や滑落のリスクを大きく高めてしまう。だから私は夜行で朝から登り始める登り方はやりたくない。この日は40分ほどで行動を終了した。
8/27
雨が降る前にBCとなるテントを剱沢に設営することを目標とした。テント設営後は平蔵谷や別山北稜で各種トレーニングをするつもりだったが、風雨が強くなり以降はテント内で停滞した。
8/28
源次郎尾根主稜を登攀する予定だったが、未明から雨が降り続いており中止。7時半には雨が止んだが、源次郎尾根を登攀するには今から出発では遅すぎる。そのため、2日目に行うトレーニングをこの日に行うこととした。最初は平蔵谷で雪渓を登る訓練を行った。剱沢の途中でアイゼンとピッケルを装着した。剱岳の雪渓は雪渓とは云うものの、氷のような硬さだ。しかもこの時期はクレバスやシュルントが所々に大きな穴をあけている。その深さや規模は我々が普段白神や岩木山で見ているそれとは比べ物にならない。剱沢は最初はガスに巻かれて視界が効かなかった。そのため、平蔵谷の手前の谷を平蔵谷と間違えてしまうミスもしてしまった。谷の規模の小ささからすぐに間違えに気づいた。平蔵谷に入ると傾斜は急になり、クレバスも多くなる。途中にどうしてもクレバスを飛び越えなくてはならないところがあり、ロープを出してクレバスの全容を確かめてから全員を通過させた。平蔵谷の一番急で狭くなっている部分を通過し、通過困難でないことを確かめ、剱沢へ引き返した。午後は剱沢野営地からすぐ上に見える別山北稜で登攀訓練を行った。簡単で手ごろ、訓練にはいい場所である。訓練中に視界が晴れて剱岳東面の全容が見えた。平蔵谷は午前中に上ったところから上が雪渓が切れてガレ場になっているのが確認できた。このことから、明日の南壁A2へのアプローチは平蔵谷は時間がかかりすぎると判断し、別山尾根の登山道からアプローチすることにした。
8/29
朝から快晴。南壁A2の登攀成功を確信した。別山尾根を淡々と登り、すんなりと南壁の直下に到達。登攀を開始した。6人一気には登れないため、3人1チームで時間をずらして登攀した。先発隊のリードは私、後発隊のリードはY君である。
【本峰南壁A2】
1P目
凹角からリッジに上がり、ハイマツのテラスでピッチを切った。まるで岩壁上を舞っているような気持のよい登攀。
2P目
垂直の壁を攀じる。露出感があり緊張する。岩が脆く、ガバホールドでも一つ一つ確かめながら登った。
3P目〜山頂
垂直のフェースからナイフリッジへ。ロープの流れが悪くなりやすい地形なので注意する。終了点からはフリーソロで残りのリッジを登ったが緊張感があり、ロープを出すべきだったと後から思う。ガレ場に出てしばらく登れば山頂についた。帰りは平蔵谷を下る予定だったがタイムリミットを超えていたため、別山尾根の登山道を下った。
8/30
前線が伸び、その影響で未明から雨が降っていた、急いで撤収し帰路につく。みくりが池温泉で入浴し、室堂に無事に下山できた。
今回の山行では山岳におけるマルチピッチクライミングのノウハウ、雪渓のルートファインディング、アイゼンとピッケルを用いた登降など多くを実践することができた。また、山行の2カ月前から座頭石で訓練し本番に臨むまで過程で他のメンバーは登山者として大きく成長できたと思う。登攀系の山行はきちんとした技術の伝承ができないと行うことができない。技術を絶やさないためにも登攀系の夏合宿は継続し、ノウハウを伝承していきたい。
半数以上のメンバーが長期および登攀山行を経験したことが無いなか、無事山行を終了することができたのは日々の山行や登攀訓練で指導にあたった諸先輩方や上級生、この山行に向けて訓練や体力錬成に勤しんだメンバーおかげであり、感謝である。当初予定していた源次郎尾根主稜の登攀は天候に恵まれず断念せざるを得なかったが、メインである南壁A2を登攀することができ、大満足の山行であった。
アルパインクライミングは前穂高北尾根をフォローで登って以来、3年ぶり2度目であり、今回はリードとして初めての挑戦であった。十分に登攀訓練をしたが、やはり高度感から足がすくむ。しかし、登りきった時の達成感は最高である。
南壁A2 Yチームメンバー:Y、M、K
1p 09:00 リード:Y、ビレー:K
石が動くのでホールドを慎重に選びながら登る。足はすごくきまる。
2p 09:56 リード:Y、ビレー:M
Y 写真44で難儀、右手付近のクラックに左手を入れ登るが左手の岩が崩壊、フォールする。幸いリード者よりも高い位置のボロハーケンで中間支点をとり、これが効いたため3m程のフォールで済んだ。ケガや道具類の破損は無し。ビレー者のおかげで命拾いした。感謝。。
3p 11:09 リード:Y、ビレー:K
リッジで高度感があり、恐怖と楽しさが交互。
3p終了点 12:05
山頂までザイルを出さずに登る。トラバース気味に登るのでザイルを出さなかったがMとKには怖い思いをさせたかもしれない。時間はかかるがザイルを出すべきか?
山頂からの景色は控えめに言って最高であった!
今回山行に参加したメンバーにはぜひ今後も長期山行やアルパインクライミングを続けて、技術の向上および伝承に努めてほしいと思う。
いつも記録を見ていただきありがとうございます。今後も安全第一で活動していきますので、応援していただければと思います。
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