立山・剱岳
- GPS
- 13:26
- 距離
- 23.7km
- 登り
- 2,630m
- 下り
- 2,616m
コースタイム
- 山行
- 4:06
- 休憩
- 0:33
- 合計
- 4:39
- 山行
- 8:38
- 休憩
- 0:59
- 合計
- 9:37
過去天気図(気象庁) | 2022年10月の天気図 |
---|---|
アクセス | |
予約できる山小屋 |
剣山荘
|
写真
感想
急にぐっと冷え始め、山の上では初冠雪となった週末、せっかくの三連休なので飯豊山のリベンジと平ヶ岳でも行ってやろうかと思っていたが、どうにも天気がいまいちだった。
土曜と月曜が天気悪く、日曜だけはなんとか持ちそうという、せっかくの三連休なのにもったいないなぁと思う天気で、とはいえ雨の中遠出するモチベーションもなく、どうしたもんかなぁと地図を眺めていた。
三連休のメリットはなくなるが、普通の土日で、片方雨の時用にとっておいた劔はどうかと思い計画を立てていたところ、そういえば室堂にはいい温泉があったことを思い出した。温泉泊をセットにできたらいい感じの行程になるぞ。
この三連休の直前に予約が入るかなと思いつつ、ここ最近の雪や当日の天候的にワンチャンキャンセル枠に入れるかなと思い電話したところ、一人なら行けるとのことで、これはやったぞと即予約。楽しみな休日の計画となった。
当日は扇沢より黒部アルペンルート。
なのだが、ナビの設定を間違えて常念岳の三叉登山口に設定していたことに途中で気づき、予定していた電気バスに乗れず一本後ろになった。なんならウェブ切符の予約の変更手数料で500円取られた(席を押さえているので致し方ない)。
ここ一年で4回目の黒部アルペンルート。初回のようなワクワク感はさすがにないが、黒部ダムの雄大さは何度見ても圧巻だ。
予定より30分遅れて室堂に到着。30分くらいですんでよかった。
初日は雨なので立山をぐるっと歩く予定で、別山も行こうと思ってたけどガスだしパスした。
今年の冬にスキーで歩いた道を歩く。懐かしい。
みくりが池温泉にある程度荷物をデポらせていただき、とりあえず真砂岳を目指す。
途中、雷鳥沢付近の紅葉がとんでもなかった。多少ガスってはいるが、燃えるような紅葉とはまさにこのことで、これまで見たことのない彩度が視界いっぱいに広がるのは圧巻だった。
沢沿いに進み尾根に取り付く。あるところより上はそんなに紅葉してない。普通逆では?
さらに高度を増すと、雪がチラホラ出てくる。初冠雪どんなもんかと様子を見ていると、上の方は場所によって20cmくらい積もってて、これはもう雪山だ。ペースが落ちます。
雲が取れたりガスったりを繰り返しながら、真砂山、富士ノ折立と進み、大汝山へ。
前回スキーできたときは雄山止まりだったので、改めて立山最高峰を踏めた。(三角点は雄山なので雄山を立山とする派閥もあるようだが、個人的には最高峰で登頂としているのでこれで登頂。ただこの定義だと石槌山を登ってないことになるんだよな…)
山頂からはもうすぐ晴れそうだったがガス。
そこから雄山を経由しみくりが池温泉へ。
下の方は霧雨だった。
みくりが池温泉は久々の温泉宿でテンション上がる。しかも秘湯の会である。
スタンプも押してもらったし、富山県民割の長野県ブロックで5,000円割り引いて二千円クーポンもらった。強い。
しかもモンベルカード持ってるとコーヒーもらえる。至れり尽くせりである。
温泉はこれこれこれ〜という感じの硫黄泉。乳頭温泉に近いものを感じる。
加水加温無しでどぎつい硫黄ではないので、誰でも入りやすい。
こんな適温の温泉がコンコンと湧いてるの、地理的チートだろと思ってしまう。この良さを知ってしまったら、そりゃ昔の人は釜に湯を沸かしてでも入りたくなるわ、と思った。
部屋は相部屋の二段ベッドで布団だけあるゲストハウススタイル。一人だとこっちのほうが気が楽ですね。
ただ、布団がせんべい布団で、腰が痛くてたびたび起きてしまった。フリース下にひいたらマシになったので、最初からなんかひいとけば問題ないはず。
2日目は温泉入ってたらふく朝飯を食べてから7時ごろ出発。(昨日の夜もたらふく食べた)
これでも予定より早く出ているんだけど、室堂近辺から劔に向かうにはややなめた計画ではある。ただまあ最近どの山に登るときもこんな感じなので今更感はある。
今日はいい感じに晴れてて、快晴ではないが日差しは遮ってくれるし景色はしっかり見えるタイプの晴れでめちゃくちゃちょうどいい。
改めて雷鳥沢近辺は紅葉がほんとに素晴らしい。
立山も雪と緑と紅葉のミックスだし、紅葉部分がもう目の中に収まりきらないくらい溢れててとんでもなかった。
御前劔まではスイスイ登る。
御前劔に出ると、ついに剣のお姿がお出ましになる。
なんと壮大な貫禄だろうか。アルプスの父のような、ラスボス臭がプンプンする。
とはいえ懸念の雪はなさそうだし、パッと見はまあ登れそうな道もあるしなんとかなりそうじゃんとは思っていた。
ここから剣山荘に向かう途中、便意が襲ってきて、剣山荘に行けばトイレがあるだろうと思って腹を調整してたら、なんと小屋閉めしていてトイレがなかった。
本当なら本丸前に出すもの出しておくのが理想だったのだが、実は今日2回目のトイレで水と食べ物調整すればなんとか降りてくるまで乗り越えられそう、ということでそのまま向かった。
お陰で終始なんとなく腹にもの抱えた感じで歩くことになってしまった。
取り付いていくつか鎖を超えて、前剱のガレ場へ。
上にも下にも人がいるので、絶対に落石させない強い意志と緊張感が求められる。
難易度的にはこれまでの経験的に上りはなんとかなるので、この辺は落ち着いて歩けていて、むしろ下りが危ないかもなあとか思いながら歩いていた。
ところが前剱を超えると道の雰囲気が変わる。
平気で落ちたらアウトなところに鎖をかけてくる。
特に下りの鎖が出てきたあたりから恐怖心がチラチラ出てきて、緊張感の維持と合わせてメンタル的に疲れが出てきていた。
とはいえ一つ一つの難所は安定してクリアできていたので、前には進む。
途中なんか視界に動くものが写って、茶色い小さい動物がいて、ネズミかな?と思ったらなんとオコジョだった。
オコジョ生で見るのは初めてですごい嬉しかった。めっちゃかわいい。思ってたより小さい。
で、平蔵の頭を超えその先劔の本筋、どこを登るんだろうと思ってたらカニのタテバイが出てきた。
こいつ、ここで出てくるのかーー。(剱=カニのタテヨコバイという意識が抜けてた)
自分が見てきた鎖では一番長いし、前後人いないから見届人もいない。もちろん巻き道もない。ハーネスもない。
これほど気持ち的に背水の陣である登山は初めてだったが、よく見るとポイントポイントはこれまで乗り越えてきた鎖で、それの組み合わせでしかない。
となれば、これほどコンディションよい時もしばらく無いだろうし、ここから退くとかは考えられないので、意を決して取り付いた。
なるべく冷静に、足場を確保し次進む道を考えながら進んでたが、気を抜くと恐怖心に乗っ取られるのが見えていたので、なるべく感情は無視して一歩一歩登っていった。さすがに周りの景色を見る余裕はなかった。
途中、足場が確保できなくて鎖に頼らざろう得ない瞬間があって、その時だけ撤退や救助要請が頭をよぎった。ただ、ここからはもう登り切るのが最善だと瞬間的にその情景を上塗りして、次の足場を探していった。
あと一箇所たぶん雪解けが凍っていて足場に使えない部分があって、それはだいぶ怖かった。
とかなんとかありつつ、カニのタテバイをクリアできた。なんて道だと思った。
ここからはもうウィニングロードで山頂へ。
かなりの達成感があった。過去一の達成感だったと思う。やったぞって感覚だ。
山頂からは日本海、白馬、鹿島槍〜五竜、立山が一望できた。
ここから降りたくないし、というか下りのほうが怖いし、しばらくいたい気持ちもあったが、なんか食べると便意が来そうだったので、水ひとくちとせんべい一つ食べて、そそくさと下山へ。
ちょっと行くと早速やってくる、カニのヨコバイ。
こればかりは画像でも見たことあるが、上りと下りで別れてるってことは、下り用に多少は歩きやすくなってるんだろう…と淡い期待を持って下り始める。
するとすぐに、これがカニのヨコバイたるゆえんか〜〜と思われる横に這いつくばりながら下りる道が来る。ペンキで足場がマークされているので、ここに降りて鎖をたどればいいのね…と理解できるが、これ余裕がないと足場見えないしペンキの意味を理解できないと思うので結構怖い。
足場を確保すればその後はまだ歩ける。高度感があって恐怖感は襲ってくるので、腰が引けがちになり膝とかスネとか岩にぶつかりまくるが、足場がなくてやばい、とはならない。
途中もうちょい写真撮りたいなと思いつつ、さすがにスマホ出す余裕は無いなとなり、なんとか鎖の下まで降りてきた。最初の足場さえおりてしまえば、あとは体感一瞬だった。
ここまでクリアすると、他の鎖場に対して自信を持てる。上りのときは下りきつそうだなと思った鎖も、安定してすすめる。かなりサクサク進むことができた。
時間が日の出部隊より遅いこともあってか、鎖待ちはほぼなくおりてくることができた。この日雨の狭間の日だったし、前日まで雪で凍結の心配もあったから空いてるほうだったと思うけど、岩は全面乾いていたし凍結もほぼなかったので、ほんと奇跡的な一日だったと思う。
剣山荘までおりて、トイレのために剱沢山荘に立ち寄るルートにしようかなと思ったけど、思ったより腹が落ち着いてくれていたので、巻道で剱御前へ。ここの途中でトイレの見通しがたったのでようやく昼食のカップ麺を食べれた。
剣御前についたくらいでちょうど雨が降ってきた。
ここからはほとんど下りなので大した問題ではない。むしろここまで持ってくれて大変ありがたい。
トイレで出すもの出して、そそくさとおりて、みくりが池温泉で置いておいた荷物を回収し、時間があったので最後風呂入って、終トロリーバスで扇沢へ。
全体的にすごくいい山行だった。天気が微妙な予報だったが、うまく合間をぬって最高の登山ができた。
この調子で来週はジャンダルム・大キレットといきたい。
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