【巻機山】野中沢タキ沢遡行・五十沢川南中尾沢下降・中ノ滝沢遡行
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- GPS
- 19:54
- 距離
- 18.4km
- 登り
- 2,537m
- 下り
- 2,215m
コースタイム
- 山行
- 8:00
- 休憩
- 0:23
- 合計
- 8:23
天候 | 1日目曇り、2日目晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2022年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
なお、桜坂駐車場は、日帰りでの利用者ばかりのため心配するので、日を跨いで駐車する場合は計画書等をダッシュボードに置いておいてほしいとのこと。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・タキ沢沿いには径路があり、左俣出合の先までは続いている。 ・裏巻機登山道旧道は利用者が非常に少ないが、整備はしっかりされている。 ・井戸尾根登山道はオーバーユースがひどい。 |
その他周辺情報 | ・タキ沢中俣は、上信越の谷105ルートでも紹介されている。 ・南中尾沢、中ノ滝沢については、登山大系以外に記録を見つけられていない。 ・登山大系では、南中尾沢と東中尾沢が地理院地図とは逆になっており、小兜山の位置も1339m峰となっているため、参照時は要注意。 ・「巻機山研究」には、中ノ滝沢が上ノ滝沢の名で載っている。 ・「渓流釣場事典」では、タキ沢の名称が大滝沢、タキ沢右俣の名称が大沢とされている。 ○タキ沢の他の記録 ソーメン滝登攀:https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1179393.html |
写真
装備
備考 | ・ロープは50mハーフ1本と、50m細引き1本。50mハーフのみで十分だった。 ・タキ沢はフェルトソールの方が良い。中ノ滝沢はぬめりが酷いものの、乾いた部分も多いのでラバーの方が良い。 |
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感想
【計画の経緯】
この週とその前の週は、新潟県内在住のyamakurumiと行くことになったため、車が2台使える。車2台が有効活用できるルートで、秋に丁度良さそうな水量のルートということで、今回の継続遡下行を企画した。
前の週は悪天候により実行できなかったため、この週に行くことになった。
【山行】
○野中沢タキ沢遡行
5年前、2017年にジロト沢左俣(https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1358300.html
)に来て以来の、野中沢流域。あの頃とは、一緒に沢に行く仲間も変わったし、自分も変わった。そんなことを思いながら最初の堰堤を巻いていく。径路は最近整備されたばかりのようで明瞭で、ジロト沢や左俣の出合を過ぎても続き、ゴーロ歩きを結構ショートカットできてよかった。
径路も微妙になってきたので沢に入ると、ぬめりが酷い。先が思いやられる。暫くで右俣出合となり、左手には野中の大滝。豊野さんは登れそうなんて書いているが、そんな代物ではなく、触りもせずに巻く。巻き道は微妙に踏まれていて、マイナー沢なのに意外だと思ったが、滝上の魚影が濃かったので、釣り師でも入っているのだろう。大滝は立派だが、写真を撮りやすい場所がないのは残念。巻いている途中、底が見えないほどの深い岩の割れ目があったのが印象的。
大滝を巻き終えると沢はまた平凡になるが、魚影が濃い。mt-maruが釣り具を忘れたことを悔しそうにしていて、手掴みを試みていたが、うまくいくことはなかった。途中で右からソーメン滝が落ちる。ヤマレコで登った記録を見たが、う〜んという感じ。
暫くすると側壁がスラブ状になってきて、本流には2段12m滝。これは左から快適に登れてなかなか良い。ゴルジュの始まりの、ややハングした4m滝は、mt-maruがトライして駄目だったので、巻こうかと思ったが、巻きも割と面倒なことがわかり、tamoshimaがトライ。何とか登れたので、豊野さんが巻いていたこのゴルジュは突破できた。
ゴルジュが終わると二ノ沢と左沢が入ってきて、進むこと少しで宙に浮いたCSのあるゴルジュが見える。これはなかなかの景観。その下の滝が登れれば尚良かったのだが、相当厳しそうな上に激シャワーは免れないので、右の枝沢から巻く。ゴルジュの立派さの割に楽な巻き。
その先は雪渓が遅くまで残っていたような雰囲気の場所があるが、特筆点はなく、853m三俣となる。コルに詰めるためには中央の沢だが、出合の滝を巻くルートには現役の蜂の巣があったのもあり、mt-maruリードで直登することに。下部はぬめって脆いが簡単で、上部は右から巻き気味に登るという、微妙な滝だった。
三俣を過ぎたあたりから沢のぬめり度合いはさらに増し、結構不快。940m二俣では両側に滝があって、tamoshimaは直登したが、落ち口がぬめって一歩が出ず、巻いたmt-maruからお助けをもらう始末。
その後もぬめる滝が続き、水が涸れかけた最後の2つの滝は厳しいモンキークライム。それを見ていた他の2人は巻いていたが、それが正解かも。これが終わるとすぐにコルで、詰めがほぼないのはとても良い。
○南中尾沢下降
コルから少し下るとすぐに沢型が出てきて、水も間もなく出てきて、なかなか良い。最初に出てきた滝らしい滝である3段15mは、いきなり懸垂下降となり、捨て縄をして懸垂。一応ロープ連結したが、1本でもよかった。
登山大系ではこの沢は顕著な滝が1つと書かれていたので、もう何もないかと思っていたら、そんなことはなく、ゴルジュ状の中に滝が出てきて、また懸垂下降。親指より少し太い程度の灌木に捨て縄したが、先週の雲竜瀑に比べれば安心感は段違いである。ゴルジュの最後の滝も懸垂下降だったが、ここには古びた残置ハーケンがあり、それを使った。
この沢最後の5m滝は、手も足も横向きの木に頼るクライムダウンとなり、浮遊感を味わえるなかなか珍しい物だった。
五十沢川に合流し、少し下ると登山道が交わって、昨年の下ノ滝沢の遡行時にも来たことが思い出された。
○中ノ滝沢遡行 1日目
五十沢川を少し下り、下ノ滝沢に入るが、ぬめりが酷い。昨年は、こんなにぬめった覚えはないのだが…中ノ滝沢の遡行もぬめりに悩まされそうで不安になる。
5m斜瀑をぬめりに悩まされながら巻いて少しで中ノ滝沢出合となり、中ノ滝沢に入ると、やはりぬめる。げげーっ
少し進んだところで平流となり、目論見通り幕営適地を発見。この先暫くは適地がなさそうなので、まだ2時台だが行動終了。
○幕営
この日の幕営は、非常にうまくいって、なかなか快適だった。もともと平らな場所だったし、整地も時間をかけられたし、焚火も飯炊きもうまくいったし、カレーもおいしくできた。
失敗したのは、ポップコーンの弾けが悪かった(油が足りなかった?)のと、パスタソースで2人分が同じ袋に入っていると思ったらそれが1人分で、味が薄いのを食べる羽目になった人がいたことくらい。
今回のパーティはぶなの会と山登魂と無所属の混成とあって、それぞれの流儀の違いがわかり、なかなか面白かった。
○中ノ滝沢遡行 2日目
6時出発を目指していたが、少々遅れた。出発するといきなりゴルジュで、しかも悪そうな2段9m滝が。しかも、朝一で胸まで浸からないと取り付けない。登山大系ではこれを巻いているが、巻きは大変そうなので、とりあえずtamoshimaが取り付いてみると、ぬめりが厄介だがフリーで登れた。これは幸い。
次の滝は問題なく、ゴルジュの抜け口に8m滝が出てきて、厳しそう。mt-maru、tamoshimaがノーロープで取り付いてみたが、やはり厳しいのでロープを出してmt-maruリード。プロテクションを取れれば悪いムーヴもこなせ、フリーで登れた。ゴルジュ突破に成功して嬉しい。
ゴルジュはいったん途切れたものの、滝は続く。幸い、登れない滝も小さく巻けるものばかりで、巻きもそれなりに面白い。まとめて巻くことも出来そうだった10m滝は、左凹角でチムニー登りが楽しめそうだったので、tamoshimaリード。上部はモンキークライムになって微妙だったが、下部は予想通りワイドが結構面白かった。
ぬめる斜瀑を2つ越え、狭いゴルジュに落ちる2m滝を登ると、今度は厳しいCS滝。ここはショルダーでyamakurumiが突破し、後続はお助け紐でゴボウ。なかなか面白い。
この先は直登できない滝が続くが、巻きは容易で、ペースは上がる。進んでいくと、両岸ともにスラブで、左岸には岩塔もある素晴らしい景観が展開。これは良い沢を発見したと、テンションアップ。
大滝が左から落ちるのが見えると、5mCSが行く手を阻む。遠目には厳しそうに見えたが、近づいてみると登れなくもなさそうということで、tamoshimaから取り付いてみたが、滑ってフォール。次にmt-maruが見事突破し、後続はお助け紐使用。一癖あって面白い。
さて大滝は、大系では巻いているが、空中写真等から想定したとおり、登れそうに見える。mt-maruもリードしたそうだったが、流れ的にtamoshimaが1ピッチ目をリード。出だしのトラバース以外は超快適で、滝の右を50m弱伸ばし、2.5cmくらいの灌木にカムとハーケンを追加してピッチを切る。次のピッチは難しいスラブに見えたが、mt-maruが行ってくれるとのことで、リードを任せる。なんだか怖々登っている感じだったが、見事リード成功。いざフォローしてみると、フォローでも厳しいレベルのクライミングだった。オンサイトしたmt-maru、素晴らしい。きっとこの滝は初登だろう。なお、落ち口付近は左岸が厳しく、右岸の方が易しそうであったが、右岸を登る場合は、どこで水流を横断するかが問題となるであろう。
大滝を越えても小滝は続くが、厳しい物はなく、ぬめりにだけ注意すれば問題ない。登山道も交わってきて、エスケープもできるが、勿論しない。
登山道以降はやや平凡となるが、相変わらず美しい景観は続き、紅葉が見頃なことも相まって、素晴らしい。いくつも滝を越えていき、右岸から支流が入り、平凡になってきたのでもう終わりかと思ったところで、登れない8m滝がでてきて、まだあるのかと思う。これを左から巻いていくと10m滝も眼下に見え、やはり登れないのでまとめて巻く。初めて、この沢に入って大高巻きをしているような気がする。
最後に超ぬめる滝を登り、二俣を右に入ると、ついに水は涸れ、今度は三俣。もう詰めようということで、右を選ぶと、草原を少し登るだけで登山道に合流。いやー、全く素晴らしい沢だった、ぬめりが多いこと以外は。
○登山道
牛ヶ岳まではまだ170mくらいの登りがあり、結構疲れていたこともあってなかなか大変。が、こんな利用者の少ない登山道もばっちり整備されていて、頭の下がる思いである。いつ廃道になってもおかしくないので、早めに来ておいて良かった。
牛ヶ岳を過ぎると登山道は急に立派になり、とても歩きやすい。廃道のはずなのに道標が残っている朝日岳方面への分岐を経て、2度目の山頂。限界まで積まれたケルンが印象深い。
避難小屋まで下ったところで休憩し、ここから一気に下山。紅葉は相変わらず綺麗で、紅葉の中に聳える割引沢の天狗岩は興味深い。途中まではそんな景観を楽しんだが、しまいには延々続く登山道にうんざりし、ぎりぎりヘッドライトを使わずに済む時間に下山した。
【感想】
会の枠を超えた若手3人で、記録の非常に少ない3つの沢を繋げた山行をやり遂げることができ、しかも中ノ滝沢の遡行価値が予想以上に高く、大滝まで直登でき、極めて充実した山行ができた。1泊2日の沢の満足度としてはほぼMAX。
【総評】
・タキ沢は、宙に浮いた見事なCS以外に大した見どころがなく、下山が面倒なこともあって、あまりお勧めできない。枝沢の方が遡行価値があるかもしれないが、やはり下山に悩むことになるだろう。
・南中尾沢は、タキ沢の下山路として利用価値があるが、わざわざ行くような沢ではない。
・中ノ滝沢は、ゴルジュとスラブと滝が飽きることなく続き、非常に遡行価値が高く、お薦めできる。ぬめりが強いのだけが難点だが、行くタイミングよってはさほど気にならない可能性もある。集水域の狭さから、沢の長さの割に水は少ないので、秋にお薦め。紅葉も美しい。なお、今回はハイペースだったのでほぼ日帰りで遡行しているが、一般的なペースであれば、1泊2日かけて丁度の沢だと思う。ただし、幕営適地は少ないので要検討。
中ノ滝沢の出合は下ノ滝沢と比べ明らかに貧相で、人気が無い理由がよく分かる。ゴルジュもどうせ巻きだろうと期待していなかっただけに、良い意味で期待を裏切られた。
ご一緒させていただいた二人がやたら強くて速いので、写真を撮りつつ後ろをついて行くだけとなってしまったが、フォローに徹しても十分に楽しめるくらい密度の濃い沢だった。紅葉もとても綺麗で、目にも楽しめた。
車のデポ要員として以外ろくに仕事せず、少し申し訳無い気持ちはありますが…。
二人ともありがとうございました!またよろしくお願いします。
中ノ滝沢は、下ノ滝沢に気を取られて自分だけでは行かなかっただろう沢。1日で遡行したのでヘトヘトだったが、強烈に印象に残った。畏縮させてくるゴルジュ内の小難しい滝たち、フレークを掴んで攀じった爽快な大滝、詰めの草原。美しかった。アプローチが他の沢の遡下降だったのも良い。L、ナイスな計画をありがとうございました!
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