カムイエクウチカウシ アウトレンジ戦法で日帰り
- GPS
- --:--
- 距離
- 31.6km
- 登り
- 1,800m
- 下り
- 1,800m
コースタイム
天候 | 曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
1)ピョウタンの滝-中札内ヒュッテ:橋の付け替えは完了しており、今年はヒュッテ前まで車で来れました。 2)ヒュッテ-七の沢出合:途中の土砂崩れの個所はきれいに片づけてあり、自転車やミニバイクなら走行可能。 3)七の沢出合-八の沢キャンプサイト:渡渉個所多いが巻き道を利用することで時間短縮、渡渉回数を減らすことができる。ただ巻き道も一部不明瞭なところあり。 4)八の沢キャンプサイト-カール:一番厄介なのは土や流倒木が堆積した地帯の突破。雪渓の溶け残りの上に堆積しているので雪渓を踏み抜いて落ちる恐れあり。 次に気を付けたいのが1000m三俣付近のコース取り。間違えやすいところが2か所ある。ポイントポイントで直進すべきか、左にそれる巻き道がないかテープをチェックすること。ここで間違えると時間と体力をロスし、滑落の危険が増すので要注意。 5)カール-頂上:道がしっかり付いているので、ガスっていても道を外れなければ迷わない。稜線へはかなりピラミッド峰寄り登っていく。稜線からはハイマツの枝がうるさい。 途中のナイフリッジは慎重に。 |
写真
感想
カムエクは昨年ピョウタンの滝から橋の架け替えのため(歩行者含め)全面通行止めで泣く泣く諦めた。今年は(本当は6月の北海道が一番好きなのだが)カムエククラスの山は少しでも人の足跡があった方が安全だろうとの読みから早割でピークシーズンの7月下旬の日程を確保した。ところがNetで今年も奥の林道で数か所の土砂崩れが起き、通行不能との情報。今年もまた諦めざるを得ないのかと意気消沈しつつも山岳センターに問い合わせをしたところ、今年は札内ヒュッテまでは車で通行可。七の沢までは通行止めにしてはいないので、自己責任で行ける方はどうぞとのこと。俄然やる気が湧いてきた。
カムエクを登るのに日帰りするか、はたまた八の沢出合かカムエクカールまでテントを持ち込み1,2泊するかという問題にずっと悩んでいた。昨年は札内川ダムから歩きということだったので、八の沢までテントを担いで前泊するのを当然のごとく想定していた。今年は札内川ヒュッテまで車で入れる。そこからだと3+5+4+3=15、6時間あれば行って帰ってこれそうだ。朝の3時半に出ればいくら暗くても林道歩きは問題ないし、道がなくなる七の沢出合に着く5時頃は十分明るいだろう。別にテントを持っていくのが嫌なのではなく、私は日程が長引いた際に天候が急変し、川が増水して立ち往生するのだけは避けたいと考えていた。カムエク登山に充てられる前後3日のうち、最も条件の良い日をアタック日にあて、安全に下山するためにも、私は日帰りを基本路線に計画を練った。かの小沢治三郎中将は航続距離の長いゼロ戦で敵の攻撃可能範囲の外から遠距離攻撃を仕掛ける「アウトレンジ戦法」を編み出した。私もゼロ戦のように身軽になり航続距離を長くするため、カムエク登山の常識から少々逸脱する以下のアイデアを打ち出した。
1. 沢靴は持っていかない・・・渡渉個所が多いので登山用の靴とは別に沢靴を用意するのがセオリーとされているが、2足仕様にすると片方が荷物になる。私はトレッキングシューズのみとした。その代り上州屋などで手に入るネオプレン製のソックスを履いた。毛糸の靴下は濡れると冷えて体温が奪われるが、ネオプレンソックスは全く冷たく感じない優れものなのである。
2.水筒に余計な水は入れない・・水が豊富にあるところにいくのにわざわざ担ぐ必要はない。担いだ量はせいぜい1.5Lである。
3.山刀は持っていかない・・いざ熊と遭遇して意を決して戦わざるを得なくなった場合のための山刀は持っていると安心かもしれないが、重たいし、熊と相撲をとるのはそもそもごめん蒙りたいので、ナイフを持っていく代わりに鈴と笛だけを携行することとした。
4. トレッキングポールは1本だけ・・渡渉のために最低1本は必要だが2本は必要ない。
5. 炊事道具なし・・・軽くするには当然。
北海道は旭川空港に着いたのは7月18日の夜。19,20,21のいずれかをアタック日に充てることが可能であったが、後半ほど天気が良くなるとの予報であったので21日をアタック日とした。20日にはニセイカウシュッペに登っていたのだが、ニセカウ頂上から雲一つないカムエクも見渡せ、20日でも問題な無かったことが少々悔やまれた。ニセカウ下山後十勝に車を走らせるうちに、曇り空になり、少々焦ってきたが、予定は変えられない。18時過ぎに札内川ヒュッテに到着。宿泊予定者は1人のみ。翌日は早立なので、19時に無理やり就寝。
3時起床、月が出ているが薄曇りのよう。3時20分出発。15分近くトンネル歩き。林道に出ると間もなく崩落個所通過。崩落直後の航空写真には林道は崩れて再生不可のように見えたがちゃんと土砂が除かれ車が通行できるようになっていた。ただしこの崖はむき出しなのでいつまた崩落を起こすか予断を許さない。林道は車がすれ違うのもやっとの普通の林道だが、途中で現れる覆道や橋は国道級の高規格なものでちぐはぐ感が半端ない。七の沢出合からはいよいよ道なき道と気を引き締めたが、結構赤スプレーや赤テープでマーキングが施されており、私的には道に迷うような危険は感じなかった。むしろ昨年登ったペテガリ岳の峠越えの方がいやらしかったと思う。出発して3時間で八の沢キャンプサイト到着。ここまで順調である。しばらく登ると倒木が押し寄せ溜まった地帯に突入。エスケープルートがなく、通過に難儀する。ここを突破すると最初の雪渓で滝のあるところを通過、次に1000m三俣といわれる景色のよい雪渓と滝の個所に至る。この先は滝状の本流を左に見ながら枝沢を登るパターンになるが、2か所、直登せずに左に高巻く個所がある。今回私はマークを見逃さず事なきをえたが、ここで直登してしまうと時間のロスや滑落につながるらしいので十分注意されたい。カールの少し手前で下山中のパーティとすれ違う。山頂はピーカンとのことで元気が出る。霧の中、カールに到着。1本道ができているので迷うことは無かった。稜線に出た途端、まぶしい光に晒される。日高側は良く晴れていて、ピラミッド峰やカムエクは半分だけその姿を現していた。ここから頂上まではちょっとハイマツの枝がうるさかったものの、景色のよい気持ちの良い稜線歩きであった。頂上は三角点標柱しかないので少々寂しかったが、雲海の上にいる気分が味わえ、達成感と共にとても気分が良かった。帰りには八の沢でキャンプ設営中の数パーティとすれ違う。明日登頂予定とのこと。本日の日帰り登山は私だけのようである。帰りの本流はなるべく脇道を忠実に辿ってみたら、ほとんど河原に出ることなく七の沢出合に来れた。ヒュッテに戻ってきたのは19:00とほぼ予定通り。疲れてはいたが、荷物を軽くしたせいで特に後遺症もなく、私のアウトレンジ戦法は一応の成功を見たということにしたい。
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