ヒマラヤ = 空気が薄いとはこういうことか(;´д`) =
- GPS
- 907:34
- 距離
- 184km
- 登り
- 15,636m
- 下り
- 17,047m
コースタイム
https://wonders-adventure.com/
天候 | ずーと、晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年11月の天気図 |
アクセス |
・行き:成田国際空港→クアラルンプール(マレーシア)→トリブバン空港(カトマンズ)→ルクラ ・帰り:ルクラ→マンタレー→カトマンズ(車)→クアラルンプール→成田国際空港 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・標高が高く空気が薄いので、ゆっくりと順応を意識しないと高山病の恐れあり。 ・ロブチェイーストのサミットプッシュ以外は、特に危険個所はなし。 ・チョラパスを越えるなら、軽アイゼンは必携 |
その他周辺情報 | ・行き前泊:「ナインアワーズ成田空港」 https://ninehours.co.jp/narita/ |
写真
感想
ネパールに着いてから風邪をひき(たぶん)、38℃以上の体温、止まらない咳(特に、夜、ベッドに横になると)、ズルズルの鼻汁、倦怠感に悩まされ、最後まで最悪に近い体調で歩き通したことは、自分なりに意地を見せたなと言う感はあります。標高が高く、空気が薄く、乾燥しているためか、一度引いた風邪はついに治らなかったし、咳も鼻汁も薬を飲んでも改善しませんでした。たぶん、乾燥・低気温の環境を変えなければ、自己免疫力も高まらず、治らないのだと思います。3週間のトレッキング&サミットプッシュで、何と体重が5kg減少しました。中学生の頃に経験した体重が今、再現されるとは思ってもいませんでした。これは、筋肉までもエネルギー源に消費されたことを意味します。帰国した今、ゆっくりと時間を掛けながら体調の快復に努めたいと思います。
いずれ、目標としていたチュクンリ5,550m、カラパタール5,560m、ロブチェイースト6,119m(6,090m、どちらが正確か?)、ゴーキョピーク5,360mはいずれも登頂できたこと、美しく壮大な山々を楽しめたこと、世界最貧国と言われるネパールの人々の生活や文化を垣間見ることができて、有意義な山行だったと感じています。
11月2日(水)ルクラ→トクトク
コンデリやクスムカングル、タムセルクなどの山々に目を奪われた。アップダウンの小さい歩きやすい道だったが、ゾッキョや馬、ロバの糞で足の置き場に困るほどだった。
11月3日(木)トクトク→ナムチェバザール→アーミーキャンプ→ナムチェバザール
朝食前のSPO₂ 92%、心拍数80回/分
ダイナモックス半錠服用。もともと緑内障の薬だが、高山病の予防薬として使われる。脳神経を刺激し酸素を取り入れる能力を高めるが、手のしびれや頻尿が副作用としてある。実際に、手がしびれて不快だった。
クンピラが目立つ。神の山として登山が禁止されている。
ナムチェバザールまでは標高差800mくらいをひたすら登る。着いて一休みしてから、アーミーキャンプまで20分ほど登る。小高い丘に、テンジン・ノルゲイの銅像が立ち、カンテガ、タムセルク、クンビラ、タブチェ、アマダブラムなどが見えた。
11月4日(金)ナムチェバザール→ホテルエベレストビュー→クンデピーク4,053m→ナムチェバザール
Hエベレストビューのテラスからは、タブチェやエベレストのイエローバンド、ヌプツェやローツェがはっきりと見え、寛げる空間だと感じた。
クンデピークへの途中、クムジュン村では柔道指導を通してネパールの青少年の健全育成を行っている日本人がいる。クンデピークからは、テンジン・ノルゲイの故郷であるターメ村が見えた。白い川はドウドウコシ川で水量が豊富な荒々しい川。
11月5日(土)ナムチェバザール→タンボチェ→デボチェ
エベレスト街道をアップダウンを繰り返しながらひたすら登る。タンボチェでは、エベレスト登山で命を亡くした日本人の慰霊碑があり、加藤保男のものもあった。デボチェに着き、夕食時に熱を計ったら38.6℃あった。バッファリンを2錠服用した。SPO₂85%、心拍数105回/分。
11月6日(日)デボチェに停滞
体温が38.7℃、標高を上げると悪化する懸念もあるので、一日シュラフにくるまっていることにする。しかし、どこの宿もだいたい同じだが、とにかく寒い。せいぜい夕食時にみんなが集まってくる食堂に火が入っても、それ以外は寒さに堪えるだけだ。「HOT SHOWER」という極めて水に近いシャワーを浴びると完璧に風邪をひく。夕食時の体温38.1℃。
11月7日(月)デボチェに停滞
体温38.3℃、SPO₂84%、心拍数85回/分、下痢(下痢ストッパー1錠服用)、ネパールの風邪薬1錠服用。
夕食時、体温37.2℃、風邪薬1錠、下痢ストッパー1錠服用。
11月8日(火)デボチェ→ディンボチェ
朝、SPO₂86%、心拍数84回/分、体温37.2℃
咳、のどの痛み、鼻汁がまったく改善されず、睡眠もめちゃめちゃ状態。しかし、熱が少し下がったので、気力で前に進む。同行のMさんも同じような症状で辛そう。パンボチェを過ぎたあたりでついに耐え切れず、ほとんど隠れようのない岩陰で用を足した。下痢ストッパーを3錠上げた。
14時30分頃、ディンボチェのロッジに到着。体温37.6℃。
11月9日(水)ディンボチェ→チュクンリ5,550m→ディンボチェ
ガイドのDKさんと朝4時に出発。ヘッデンと月明りで進む。2時間半ほどでチュクンに到着、先行していたみなさんにびっくりされた。軽く朝食を済ませ、自分を含め4人&ガイド2名で登った。頂上からの展望は素晴らしく、ローツェ、ヌプツェ、アイランドピーク、アマダブラム、マカルー、ギャチュンカンなど錚々たる山々が眼前にひかえていた。
ディンボチェまでDKさんと戻り、17km、13時間の今日の山行が終わった。体温37.5℃。
11月10日(木)ディンボチェ→ロブチェ
朝6時30分頃、SPO₂84%、心拍数83回/分
天気は連日晴れ、今日も良さそうだ。咳と鼻汁は相変わらずだが、行動はできそうだ。というか、やる! 周りでは馬やヘリコプターに乗って移動するなどの変更も出てきたが、俺は絶対に歩き通す。
リンゴ1個450RP、トイレットペーパー1個450RP。
高原から眼前にタブチェ、ゾラッツェ、ロブチェがパノラマ写真のように並び、振り返るとアマダブラム、カンテガ、タムセルクなどおなじみの顔ぶれが威風堂々と雄姿を見せている。馬で移動してきた人が、途中で追い抜いて行ったが、羨ましいとは思わなかった。15時30分頃、ロッジに到着。SPO₂80%、心拍数90回/分、体調に変化なし。悪い状態で安定。
11月11日(金)ロブチェ→ゴラプシェプ→カラパタール→ロブチェ
SPO₂81%、心拍数88回/分。
7時30分出発。DKさんと自分とOさんが歩き、SさんとYさんが馬、他のメンバー5人は体調不良のためステイ。
緩やかな丘陵地帯を進む。中央にリンテルン、左にプモリ、エベレストの手前にクンブツェ、ローラなどが現れた。ヌプツェは圧倒的な迫力で、エベレストより大きく見える。ゴラプシェプに近づくにつれ、氷河によって削り取られたU字の瓦礫谷を4か所乗越して、約3時間でゴラプシェプに着いた。ロッジで一休みしてからカラパタールの頂上を目指した。登頂者は、自分を含めて6名(内、3名がガイド)だが、標高が高いため見た目よりも厳しい登りだった。間近にエベレストやローツェが見られてよかった。ロブチェへの下山は、2名が馬利用。自分とYさん、DKさんは歩きで16時半頃、ロッジに着いた。
11月12日(土)ロブチェ→ハイキャンプ
SPO₂77%、心拍数84回/分
10時頃にチェパさんと出発。15時30分頃、ハイキャンプに到着。
チェパさんと2人のポーターがノースフェースの5〜6人用テントをあっという間に設営し、ポーター2人は下りて行った。テント内で淹れてもらったコーヒーとビスケット、チーズがとても美味しかった。
11月13日(日)ハイキャンプ→ロブチェイースト6,119m→ハイキャンプ→ゾンラ
夜中、時折突風がテントを揺らす。テント内の気温はー20℃位だったとチェパさんは言った。昨日の残りごはんとコーヒーを朝食にして、出発の準備をした。薄い空気のため、何をするにもハァハァ、ゼーゼーと息が苦しい。何一つ自分でできない技術はないが、頭も体もまったくあてにならない環境の中で、チェパさんは完璧なフォローをしてくれた。二重靴のチェック、アイゼンの装着、数十回に及ぶアッセンダーの掛け替え、スリングを使っての上部からの安全確保などである。
下山途中で若いガイドとカナダ人の若い女性とすれ違った。何と彼女はサングラスを忘れたという。こういうガイドとは絶対に一緒に登りたくないなと思ったが、チェパさんはすかさず自分が持っていた予備のサングラスを彼女に貸してあげた。いつも用具は2セット持っていくという。さすがだなぁと思った。9時頃、ハイキャンプに無事戻り、コーヒーを飲んで、インスタントラーメンを食べたが、その間にチェパさんがアイゼンやシュラフを片付けてくれた。その後、ポーターが一人上がってきて、テントも撤収された。予定では、ロブチェまで戻ることだったが、体力的な消耗を考え、ポーターと自分が2人でゾンラまで移動することになった。タブチェとソラツェに見守られ、2時頃にゾンラに着いた。疲労困憊だった。
11月14日(月)ゾンラ→チョラパス→ゴーキョ
7時頃、朝食(スクランブルエッグ、トマトスープ、ホットチョコレート)を食べて出発。小1時間で氷河に出たが、軽アイゼンがなかったのは失敗。峠を越えてから、途中で用足しをしたが何と血尿が出ていた、サングラスをかけていたので、そんなふうに見えたのかもしれないが。タンナに13時半頃着き、おかゆとホットチョコレートを取り、1時間の休憩後にゴーキョを目指した。氷河湖の周りの入り組んだゴーロを気が遠くなるほど、くねくね曲がったり、アップダウンを繰り返しながらようやく17時頃にゴーキョに着いた。約19km、8時間の今日の山行が終わった。
11月15日(火)ゴーキョ→ゴーキョピーク5,360m→ゴーキョ
一晩中、咳と鼻かみ、鼻の下がヒリヒリして痛い。自分以外みんなレスキューヘリでカトマンズに行ってしまった。ツナ・ポテトサンドイッチを注文したが、パンがモソモソして喉を通らず、付け合わせのキャベツ、ニンジンも苦くて美味しくなかった。早く日本食が食べたい。風呂に入りたい。床屋に行きたい。
10時頃、DKさんと二人で登り始める。体調が悪いまま埃っぽいジグザグ道をゆっくり登り、登り3時間くらい、下り1時間くらいかかった。山頂からは、エベレスト、ローツェ、ヌプツェなどお馴染みの山以外に、チョーオーユやギャチュンカンなどもはっきりと見え、山野井さんはどこを登ったんだろうと、思いを寄せてみた。ゴーキョから見る2つの湖は本当に美しいエメラルドグリーンだ。
11月16日(水)ゴーキョ→モンラ
16時50分頃、ロッジに到着。とにかく、一度も平坦な道なし。下りなしのジグザグ登りが続いて死にそうだった。途中で、マスクディアという珍しいシカに出会い、写真に収めたがパッとしない感じで残念だ。
11月17日(木)モンラ→モンジョ
8時40分頃出発、12時30分頃にナムチェバザールの「Hotel Kamalに着く。ここは、DKさんの叔父さんが経営している。ここまでの道は、下りベースで時折アップダウンがあるものの、通常の体調であれば歩きやすいコースだろう。
11月18日(金)モンジョ→ルクラ
12時30分頃、「Four Season Lodge & Restaurant」で昼食。
マンゴージュースとリンゴ、いよいよこの程度しか食べられなくなった。
鼻汁ダラダラ、頭痛、倦怠感、、、見事な病人である。夕方になって長い登りをフラフラで登り終わると、そこはルクラの街だった。あー、これでもう歩かなくていい、というのが本音だった。
コメント
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血尿が出るまで体を酷使しての登頂。さすがです。
出発前に会った時に「あ〜、これが最後の姿になるのか」と半分考えてましたよw
体調が戻ったら、報告&ご苦労会をしましょう!
テレビでよく見る山々の名前が出てきて、お写真を見ながらすごくワクワクしてました♪
無事に帰国され安心ですね(*^.^*)
衛生的な日本でゆっくり体を休めてくださ〜い(^-^ゞ
出だしからすっかり体調を崩し、十分楽しめたかどうかわからない面もありますが、写真でしか見たことのない山々を、実際に自分の目で見ると、「おーっ」という驚きしかありませんでした。どうぞ、いつか行ってみてください。
iPhoneの充電やザックはなにがいいか、そんなことを考えているところでした。
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