奥駈道(玉置山→大斎原)ゴールへは渡渉で。五大尊岳、大黒天神岳、七越峰…【奈良県、和歌山県】
- GPS
- 07:52
- 距離
- 18.0km
- 登り
- 1,015m
- 下り
- 1,960m
コースタイム
- 山行
- 7:14
- 休憩
- 0:36
- 合計
- 7:50
.丱垢破楜楝膽卅阿ら十津川温泉へ
本宮大社前 720 =<奈良交通バス>= 十津川温泉 755(※迂回による遅延あり)
▲丱垢能縦点邁浩瑤ら玉置神社まで
十津川温泉 844 =<世界遺産バス>= 924
1駈道縦走
玉置山神社 926 ― 頂稜の分岐点(奥駈道に合流) 933 ― 玉置山 937/942 ― 玉石社 946 ― 三柱神社 955 ― 玉置神社本殿 1000/1006 ― 本殿下の奥駈道分岐点 1007/大杉往復/1009 ― 犬吠檜 1018 ― 玉置辻(南登山口) 1023 ― 林道から山道へ 1030 ― 第九靡分岐点 1044 ― 甲森分岐点 1104 ― 大森山 1125/1126 ― 大水ノ森 1132/1133 ― 最初のロープ 1139 ― 第八靡岸の宿 1156 ― 篠尾辻 1157 ― 第七靡・五大尊岳(北峰) 1222/1223 ― 五大尊岳825mピーク 1234/昼食/1256 ―第六靡・金剛多和 1337 ― 水場分岐点 1343 ― 大黒天神岳 1354/1400 ― 二度目の鉄塔下 1426 ― 宝篋印塔 1440 ― 山在峠 1442 ― 吹越山 1454/1459 ― 吹越宿、林道横断 1504/1506 ― 吹越峠 1532/1537 ― 林道へ 1548 ― トイレやアスレチック施設 1551 ― 七越峰取付き 1554 ― 七越峰 1556/1607 ― 七越峰下の分岐点 1609 ― 二度目の林道接点 1620 ― 林道から熊野川への分岐点 1622 ― 備崎経塚跡 1636 ― 熊野川堤 1639 ― 堤防から川原への降下点 1641 ― 渡渉準備 1645/1653 ― 2度失敗の後、渡渉 1701 ― 大斎原 ― 大斎原大鳥居 1714 ― 世界遺産センター駐車場 1718
● 行動時間 07:52
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
(泊地=世界遺産センターP、本宮大社前=<奈良交通バス>=十津川温泉=<世界遺産バス>=玉置神社) 玉置神社駐車場―玉置山―玉置神社―大森山―五体尊岳―大黒天神岳―七越峰―水垢離―大斎原―世界遺産センター (世界遺産センターP=和歌山市内) ●登山口へのアクセス ○本宮大社前 ・五条、新宮、紀伊田辺などからのバスが発着するターミナル。世界遺産センターの前にある ・この地域のバスは、海外並みに一つの時刻表にすべての会社(コミュニティバスを除く)を記載するなど、ちょっとでも外国人を含む観光客の利便を高めようと工夫している ・マイカーの場合には、世界遺産センターの駐車スペースはわずかに30〜40台程度だが、裏手の河川敷に百台超規模の駐車場があるので、そちらを利用することができる ○十津川温泉 ・JR五条駅、近鉄大和八木駅、本宮大社前BS、新宮駅前BSなどからバスで訪れることができる。それぞれ本数が少ないので注意。奈良交通バス以外では、十津川村コミュニティバスが本宮大社前から2往復通じている ※本日時点では、国道168号が十津川村内で土砂崩れ通行止めとなっており、十津川温泉BCには本宮大社側から行くよりない ○玉置神社駐車場 ・国道168号で十津川温泉へ。平谷より玉置神社への道が続く。これを上ること約40分で駐車場へ ・駐車可能台数。駐車料金は不詳 ・世界遺産バスは年にも依ろうが、4〜11月運行。1日一往復のみ。十津川のホテル昴と十津川温泉BCから。所要約40分。810円。現ダイヤでは十津川温泉844発、玉置神社駐車場924着 ・バス乗降は、第2駐車場前。道を挟んで玉置山への歩道入口がある (いずれの記述も2023.4現在) |
コース状況/ 危険箇所等 |
○玉置神社駐車場〜玉置山〜玉置神社本殿下 ・玉置山周辺はよく整備されており、駐車場から玉置山、玉置山から玉置神社も道取りは明瞭。玉置山から玉置神社へは急な木段の下りになる。純粋な山道なので、それ相応の靴で行くべき場所 ○玉置神社〜南登山口〜大森山〜篠尾辻 ・奥駈道はさほど整備状態はよくなく、へつり道では足の置き場もないようなところも時折ある。県境に出てからは尾根道となり、おおむね道幅のある明瞭な道が続く ・道標は奈良県内では目標地と距離付きの定形のものがほどよく整備されている ○篠尾辻〜五大尊岳〜六道ノ辻 ・五大尊岳はピークが何度も現れるギザギザの山。下降の都度ロープが設けられている ・案内標示は分岐点にあるものくらいだが、「新宮山彦グループ」さんが設置している「←玉置山 本宮→」の標示があればルートを外していないことがわかる。この区間は基本的に一本道なので迷い箇所はない ・五大尊岳の山名標は790mピークに設けられている。昭文社の地図はそうなっているが、ヤマレコではそちらを「北峰」として、825mピークを五大尊岳と称しているようだ。別の山地図では825mピークを五大尊岳としているものもある。現地の825mピークには別看板に手書きで「五大尊岳」とされている ○六道ノ辻〜大黒天神岳〜山在峠 ・大黒天神岳の南、530mピークから山在峠へと降りていく際、鉄塔から鉄塔へと降りていくことになる。最初の鉄塔脇にはルート外の踏み跡があるが、地図を見ないと見分けが付かない。次の鉄塔付近にも保線管理道があるため本道がどれだか判りにくい。道なりに進んでいくと、一番最後に「本宮」と記した標示が現れるのでそれに従う ・山在峠(さんざいとうげ)では林道を横断する ○山在峠〜吹越山〜七越峰〜備崎 ・“本宮”“玉置山”と記した大きな木製道標が多数あるのでルートは明瞭 ・吹越山から下降し再び林道を横断する。七越峰から二度林道に接して最後は横断後に熊野川へと下降するのだが、その間にも標高差約60mの上り返しがある。細かな昇降の多いルート ○備崎〜大斎原(熊野川を渡渉する“水垢離”) ・一級河川熊野川を直に渡る。古式に則れば、音無川で水垢離してから大斎原に参拝したとのこと。人によっては、この渡渉は水垢離のようなものだとも言う ・音無川合流地点付近を見渡し、中でもおとなしい水面に狙いをつけた。渇水期であればせいぜい太ももまでと聞くが、本日は腰高まであった。歩くも辛いレベルながら、水流は比較的緩く、水がきれいで床面を見通すことができた。そのため、先の予測を立てることができた。 ・音無川合流点よりも下流側は流れが速く、確かに太ももレベルではあったが流れに負けそうで諦めた ・本日は今朝までの雨もあって、その分の水量があったのかもしれない (いずれの記述も2023.4現在) |
その他周辺情報 | ●買う、食べる ・コンビニエンスストアは本宮にはあるが24h営業ではないので注意。ふつうのコンビニは新宮市内または田辺市大塔までない ・十津川温泉には飲食店はそれなりにあるようだ ●日帰り温泉 ・十津川温泉には宿屋多数。多くの宿で日帰り入浴できるようだ (2023.4現在) |
写真
感想
熊野古道の1つでもある奥駈道も、最終部分は当然ながら和歌山県内にある。
そこに行くことは前々から考えていたのだが、2つの検討ポイントもあってなかなか条件が整わなかった。1つは玉置山への世界遺産バス、もう1つは水垢離とも謂われる最終場面での熊野川渡渉。
バスについては冬場の12月から3月までは運行がないということ。熊野川渡渉については渇水期である冬場が望ましいということ。相反する2つを成り立たせるには、11月か4月、5月となるのだが、陽の長さも考えると4、5月しかなさそうだ。
加えて、天候も重要で、前日が雨だったりすると増水で渡渉どころではなくなる。流されたりはしないまでも、転倒して全身ずぶ濡れも御免被りたい。今時の電子機器を最大頼っている身としては、避けたいことだ。
そうこう考えているうちに、昨年はチャンスを逃し、今年になった。他の用向きもあって新宮宿泊の翌日となる16日に行くことを決断し、バスの予約を入れた。過去2度しか陽の目を見ていない、水中シューズ活躍の時だ。
朝、本宮大社前でバスを待っていると、ポーランド人女性の単独熊野古道歩きと出会った。2度目の来日で前回は中辺路、今回は小辺路を踏破するとのこと。今日は道の駅奥熊野から勝浦までとのことだから超長距離だが、これまでのことを聞くと、彼女にとってはふつうのようだ。無事を祈って見送った。
こちらは十津川温泉バスセンターへ。センターで約50分待ちで玉置山への世界遺産バスに接続している。接続にしては待ちが長いが、1日1本しかないバスだからこれでもマシだと思うべきだ。出先で泊まりなおかつ早起きの割には、歩き始めは9時半になってしまうのが残念なのだが、これも致し方ない。
玉置山への坂道を小さなバスは喘ぐように登る。標高1,000mにもなる駐車場には時刻通りに到着し、たった二人の乗客を降ろすと、狭い道路での方向転換を始めた。
バスの目の前から始まる山頂への遊歩道を行く。バスで折り返す予定のもう一人の乗客を途中で追い越して進む。ほどなく頂稜部に到着。ここからは奥駈道ともルートが重なる。頂稜を少し進むと玉置山山頂。東面が開けている。正面にはおそらく西峯と思われる高い山が見える。
山頂からは、玉置神社に向けて急な木段付きの斜面を降りる。途中で何人もの観光客とすれ違う。ここは車が入るので、ラフな姿の観光客が入り交じる。むしろ、山行きスタイルのこちらの方が違和感があるくらいだ。
玉石社を経由して神社境内へ。裏側から入ったことになるようで、真名井社、三柱神社と続き、本殿が現れる。山中とは思えないほど大きな社だ。周囲には夫婦杉、神代杉などの巨木もある。
本殿を出ていよいよ奥駈道へと進む。先ほどまでの人通りが嘘のように、閑かな空間になる。山道をひたひたと歩く。ほどなく玉置辻にて林道と離合。
奥駈道は、さらに分岐する林道沿いを行くようだが、設置された標示に従い、林道脇の細い山道へと進む。細い山道はわずか先で分岐林道と再合流。その少々先で改めて林道に別れを告げる。
この辺りの奥駈道はメジャーな山道の割には道が悪い。斜面にへつり付けられた道はところによっては崩れそうな状態で、歩くにも危険に思うほど。修験の道なのでそれも当然なのかもしれないが、災害があるとひとたまりもなさそうだ。
大森山が近づき、これまで緩やかに下降してきた分を一気に登り返す。県境尾根に出ると、甲森方面の分岐が明示されている。そこからは一登りで大森山。あまり眺めのない山頂を後にして三角点のある大水の森へ。大水の森からはロープも設置された急坂を下りていきやがて第八靡岸の宿を経て篠尾辻に到着。仮にバス無しであれば、本宮から直接ここに登ってきたかもしれない地点だ。その際の登路である切畑や萩方面へも案内が付けられており、この道も使われてはいるようだ。
篠尾辻からは道に様相が急に険しくなる。上昇と下降を繰り返す。下りごとにロープが置かれている。ロープが必要なほどではない傾斜もあるが、落ち葉が甚だしくよく滑るので、ロープがあることはありがたくもある。
何度目かのピークに登ると突然五大尊岳という標記が目に入る。ヤマレコではこちらは北峰でありピークはこの先の825m点のはずだ。しかし古の行者像が安置されていたことなどもあって、こちらを山頂と称しているようだ。そこからも続く険しい尾根の上り下りの末、五大尊岳825mピークに到着。こちらにはきちんとした山名標はなく、手製標示に手書きで五大尊岳と記されている。
ここで昼食を摂る。ふと見ると小バエが集まりだした。まだ春先だから虫には苛まれることもないと思っていたが、そろそろ現れ始めたようだ。もう冬ではない。
改めて出発。825mピークからもロープで下降する。ここからは標高差400m近い下降になる。途中何度かの見晴らしも得て金剛多和に到着。竈のような石積みに挟まれて仏様が鎮座している。かつての靡のようすが伝わるものだ。ここからは道の駅付近へ向けた道が分岐しており、そちらにも案内標記がある。
改めて先へと出発。大黒天神岳へと登り返し、その先は標高200m台の山在峠へと下ることになる。高圧送電線のために切り開かれた斜面の開けたところの端部を下降する。保線道と見分けの付かないような一帯を抜けて更に下ると宝篋印塔のある壇へ。その先に山在峠があり、舗装された林道を横切る。
そこからはまたも登り返して吹越山。もう一度林道へと下降し、登り返したピークを越えると吹越峠。吹越峠は名前の上では峠となっているが、あまり峠らしくはない。分岐道はあるものの、緩やかな下り坂の途中に過ぎない。
不思議な峠を見回しながら一休み。もう何度も登り返しがあるので、気分の上でも疲れてきた。久方ぶりに本格的な縦走路を歩いていることもある。やはり単発の低山ばかりでは、山の鍛錬にはなっていないのかもしれない。
峠からは穏やかな道取りになる。暫く進むと、大斎原付近が一望できる展望点に着く。昔もここから同じような眺めがあったのであろうか。長い長い険しい道を経て、ゴールである大斎原を見下ろしたとき、人はどう思ったのであろうか。などと感慨にふけってしまう。
しばらく進むといったん林道のような道に吸収される。それを下っていくと、遊具のある広場をかすめて再び山道になり、木段を上っていくと七越峰に到着した。
小さな広場に祠のある山頂だが、眺望がない。代わりに、春紅葉や、咲き残るタムシバ、さらには濃淡各種の赤いツツジが咲き誇りとても華やかだ。若々しい緑の中によく映えている。
そこからはよく手入れされた山道を下って林道を渡り、いよいよ熊野川を目指す最終盤へ。ところがそこからも更に60m登り返しがあり、最後のひと踏ん張り。川面が見えはじめ、川音が耳にも届いてくる。それを頼りに一気に駆け下り、川原へと進む。川原で靴などを履き替え、渡渉準備。今日はどのくらいの水量かは不明だが、見た感じでは渡れそうに見える。
まずは、音無川との合流点付近のやや水流はあるもののその分浅いはずのところで挑戦。しかし浅そうに見えたその辺りも太ももまでは優にあり、水流の早さも相俟って倒れずに進める自信が持てない。やむなく引き返し、水面の穏やかな合流点よりも上流側へ。今度は水流に負ける心配はないが、深さが心配になる。水面が穏やかなだけに深さがあることにもなるのだが、案の定、早々に腰近くまでになってしまう。幸いにも水がきれいで川底が見えている。先に進んでもそれ以上深くはならないことが判ってきたので、意を決して進む。見込み通り対岸側の方が浅くなり、どうにか腰高までの渡渉で渡りきることができた。
残念ながら、倒れずに渡ることに集中していたため、途中でカメラを取り出す勇気はなかった。
濡れた足下、短パンのまま大斎原にお詣り。ちょうど映画上映のイベント準備をされており、17時を回った時間帯にも拘わらず人が多い。神聖な場所でそれにふさわしいものが上映されるようだ。興味はあったが、時間のこともあって見るのは諦めた。
どうにか世界遺産センターのクルマに帰着。下着もずぶ濡れだが、カメラやスマホがギリギリ濡れなくてほっとした。
まだ奥駈道を完走したわけではないが、玉置山から歩き通し、水垢離の上でお詣りもしたからには何か御利益があるといいのだが。
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