両神山周回藪岩トレ(尾ノ内渓谷〜八丁尾根〜天武将尾根〜犬曳尾根〜表参道〜八丁尾根〜坂本)
- GPS
- 15:43
- 距離
- 20.8km
- 登り
- 3,069m
- 下り
- 3,032m
コースタイム
- 山行
- 8:52
- 休憩
- 0:19
- 合計
- 9:11
天候 | 11/2 9時まで 晴 9時から 曇時々晴 11/3 快晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2014年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
【往路】 ↓(西武秩父線) 西武秩父駅 0648着/0700発 ↓(西武観光バス) 小鹿野役場 0736着/0740発 ↓(西武観光バス) 尾ノ内渓谷入口 0811着 【復路】 坂本 1240発(1日5本しかなく、これを逃すと4時間後:1630発) ↓(西武観光バス) 小鹿野役場 1314着/1334発 ↓(西武観光バス) 西武秩父駅 1415着/1425発赤矢、1438発急行 ↓(西武秩父線) ※西武秩父エリアは「秩父漫遊きっぷ」を使うと非常にお得 http://www.seibu-group.co.jp/railways/railway/ticket-info/otoku/chichibu-manyu-kippu.html ただし、小鹿野役場⇔西武秩父駅行きの路線は 小鹿野町営バスも運行しており、そちらでは使えないので注意。 つまり、日向大谷、白井差、両神温泉薬師の湯は対象外。 1314に小鹿野役場に着くバスには、両方が接続しているが、 町営バスの方が先(1329)に来る(小型のポップなデザインのバスなので見分けはつく)。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
※軌跡はGPSロガーでトレースしています ■尾ノ内コース(尾ノ内沢〜油滝〜八丁尾根) ※一般ルートではありません マーキングは新しいものが一定間隔であり。 油滝までは部分部分で細いが、踏み跡は概ね明瞭。 沢の渡渉が幾度かあり。対岸にマーキングがある。雨天日、雨天翌日注意。 油滝から上はルートが落葉に埋まっていて踏跡希薄、 マーキングも古くて分かりにくくなり、上部は痩せトラバースが数ヶ所あって悪い。 八丁尾根までの残り数100mに渡って鎖がかかっているが、錆びて老朽化している。 このルートは、下りでは使う気になれない。 【すれ違った人:なし】 ■天武将尾根(前東岳〜天理岳) ※一般ルートではありません 八丁尾根からの下降点が分かりづらい。 八丁峠から来る場合、死角になるので見逃しやすい(詳細はフォト)。 マーキングは下降点直下から一定間隔であり。 尾ノ内沢よりも踏み跡明瞭だが、途中、落葉絨毯がすごい。 尾根上部と天理岳付近は藪多し。天理岳の東直下に鎖があるが、古い。 【すれ違った人:下降点で1パーティ3人、天理岳東側で1人】 ■犬曳尾根(天理岳東の鞍部〜表参道会所付近) ※地図に記載されていないルートです 天理岳東側の広い鞍部の南側にテープがあり、そこに伸びる尾根へ下降。 植樹の作業道があり、傾斜もさほどでもないので、危険は感じられなかった。 【すれ違った人:なし】 ■表参道(会所〜両神山) ※情報が豊富なので詳細は割愛します 夕方近くになると、下りは間違いやすいかも。 沢に迷い込んでいるパーティがいた。 【すれ違った人:たくさん、天武将尾根下降点ですれ違ったパーティと再会】 ■清滝小屋 無人だが、テン場も小屋も綺麗に保たれている。 小屋は詰めれば20人以上、テン場もエアリアには10張とあるが、もう少し入りそう。 水場(炊事場)もトイレも清潔だが、流し台に残飯が少量流れていたのが残念。 【宿泊者:小屋10人くらい、テント5張くらい】 ■八丁尾根(両神山〜八丁峠) ※情報が豊富なので詳細は割愛します コースタイムはエアリアを当てにしないほうがいい。 ルートの狭い箇所でのすれ違いや鎖場での待機時間があるので、 足の速い人でもタイムアドバンテージを計算できる場所ではない。 【すれ違った人:けっこうたくさん】 ■坂本コース(八丁峠〜坂本) ※一般ルートとは言えない悪路です エアリアでは以前から実線ルートになっているが、 全長5km弱のうち、八丁隧道登山口分岐(八丁峠から約700m)から 残り1kmの山の神まではずっと悪路。 ルートファインディングができないと、特に下りや単独では危険。 踏み跡は乏しく痩せ気味で、倒木多数、エセマーキング(以前のもの)あり、 沢の渡渉多数、石に苔がこびりついている箇所多数で滑りやすい。 八丁峠から2km地点の大岩から林道にエスケープできるが、 坂本まで7km以上余分に歩くことになる。 なお、2012のエアリアでは八丁峠→坂本が1時間50分と記載されていたが、 2014では2時間35分になっていた。 【すれ違った人:1人】 ※登攀具は、自分自身に対しては出番なしでした |
その他周辺情報 | ※魔法瓶を拾得し、小鹿野警察署へ届けています。 http://www.yamareco.com/modules/diary/19423-detail-83748 【登山ポスト】 小鹿野役場バス停前の観光案内所内に鍵付ポスト有。 ただし、平日は朝8時、土日祝日は8時半からしか開かない。 坂本の登山口にも鍵なしポスト有。 【下山後】 小鹿野役場前にJA直売所があり、ちょっとした食べ物が買えるそうだ。 入浴は・・・有名な両神温泉薬師の湯は、日向大谷からじゃないといけない・・・。 クルマだと近いのだけど。 |
写真
装備
個人装備 |
小屋素泊まり装備一式
食糧(朝夕1・行動2・非常2)
低周波治療器
8mm×20mザイル1
メット
スワミ
ATC
ビナ4
シュリンゲ4
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感想
「怖れを受容し、内包する」
恐怖とは、打ち克つものではなく、受容し、自身に内包するもの。
4月以来、ずっと自分に言い聞かせてきたこのことばを、
改めて深く刻み込んだ。
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龍頭(りょうかみ)という小さな神社がある、
埼玉西部、小鹿野町の群馬県境に近い尾ノ内集落。
そこから両神山に連なる八丁尾根まで登り詰めた龍頭神社奥宮の祠は、
天の爪になぎ倒され、無残な姿を晒していた。
尾ノ内集落のひとびとは昔、
集落に豊かな水をもたらす尾ノ内沢を遡上し、険しい岩壁を登り、
八丁尾根まで詰めた場所に、
日々の恵みに感謝するためにこの祠を建立したと想像する。
けれど、時代の流れとともに、お山を畏れ、崇めるという習慣は薄れたのだろう、
その参道は、地図に記載はされているものの、
情報豊かな現在のネット環境からでも登山記録はそう多くない。
つまり、一般ルートとしては廃れてしまっていることは、
現在の祠の姿からも想像できる。
ぼくはこの古い参道から八丁尾根に登り、
2日間に渡って両神を巡り歩くことにした。
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自分の今の状態を、自分でもまだ理解しきれていなかった。
受傷から半年以上経過し、身体の状態もさることながら、
特に心の状態は未知数だった。
昨年の秋冬の2度に渡って試練をもたらした両神というお山は、
それを測るに相応しい場所と言えた。
濡れた岩場やホールドがよくない場所をトラバースする時、
知らず知らずのうちに腰が引け気味になっていることに気が付く。
腰が引けると、スタンスが悪くなる。
故、更にバランスが悪くなるという悪循環。
心拍数が上がり、手足に痺れのような感覚が襲う。
9月、金峰山の五丈石を攀じ登っているときに覚えた恐怖感は、
やはり錯覚でも何でもなく、ぼくの心身に深々と刻み込まれていた。
下山しようか。
ここを下れば、すぐに下山口だ。
やってくるバスに乗れば、家に帰ることができる。
次の動きを逡巡していると、そんな声が脳内に木霊する。
木霊?
そのことばも、自然がもたらしたものだ。
弱い自分が囁く声も、自然がもたらすことばだ。
もう一人の自分の声が、脳内に木霊する。
それではおまえはあそこへ戻ることができない。
戻りたくてここまできたのではないのか?
この怖れを受容し、内包するためにここにやってきたのではないのか?
途中、1回だけ長めの休憩を取り、
上下左右から語り掛けてくる自分の声に、落ち着いて耳を傾ける。
おまえはどうしたいのだ?
帰りたいのか?行きたいのか?
行きたい。
そう決め、1日目の泊地である清滝小屋に向かった。
既に夕方の時間帯、両神の表参道を下る登山者の流れを遡り、
清滝小屋に辿り着くころには、すっかり暗くなっていた。
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あまり眠れぬ夜を過ごしたものの、
ひと晩を経ると心はすっかりと落ち着いていた。
快晴の素晴らしい朝陽を浴びると、
ここにいてよかった、帰らないでよかった、と心から思う。
人々が本格的に動き出す前に、表参道を両神山頂に向けて登りはじめた。
遠くから見ると、鋸の刃のように峻嶮な八丁尾根は、
近くで見ても同じように鋸の刃のように峻嶮で、
すぐ近くの次の刃が、手が届きそうで届かない。
そうだ、ぼくは怖いのだ。
だから、次の一手を四肢で確実に捉えよう。
そうすれば、落ちない。
そこかしこに張り巡らされている鎖には触れず、
岩や樹木の根などの自然の造形物をこの手で、この脚で感じながら、
ひとつ登り、ひとつ降りる。
すると、前日に感じた手足の痺れを感じることなく、
腰も引けず、次の手を逡巡もせず、
少しずつ前に進むことができた。
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八丁峠から、群馬県境に接する坂本集落への沢沿いの道は、
日向大谷からの表参道に対して、裏参道と言われている。
しかし、大理石の採掘のため、八丁峠のすぐ下まで道が拓かれたので、
坂本からわざわざ歩く登山者はほとんどおらず、
尾ノ内集落からの参道と同じように廃れている。
目印はあるものの、鉄砲水で押し流された岩や木々が道を遮り、
しばしば行き先を見失いそうになる。
有名なガイド地図には実用ルートとして明記されているが、
実際には廃道に近い状態だ。
広葉樹林に深々と覆われた沢沿いのこの道を歩くと、
あちらこちらで天からの爪痕が消えることなく
克明に刻まれていることが分かる。
以前よりもお山を歩く人が増えた今、
もう少し道が明瞭になっているかと思ったが、
お山を歩く人の多寡に関わらず、
手がつかない場所は、手がつかないのだ。
この荒れた道を見ていると、
自分の心の中に横たわっている怖れと重なるような錯覚を覚える。
初めて両神山に登り、初めて八丁尾根を歩いたという2人組が、
そのままぼくと同じく坂本集落へと辿っていた。
この爪痕を時には避け、時には受け容れながら歩くのは、
なかなか骨だったと思う。
無事に坂本まで辿り着いても、
「両神山なんてもう二度と行きたくない!」
と思わないだろうか、と少し心配したけれども、
坂本のバス停で、この日の空と同じような晴れ晴れとした2人組の表情を見ると、
それは取り越し苦労だったようで安心した。
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今回の山行にあたって、ぼくは自身にいくつかの題を課した。
それらは、十全に果たせたわけではなく、
自身の弱さを目の当たりにする場面もあったけれども、
4月に決心した、「あそこへ戻る」という「その場所」に近づいていることを、
心身の両面で確かめることはできたように思う。
「怖れを受容し、内包する」こと。
その真は、これからもぼくにずっと問い続けることだろう。
両神というお山は、登るたびに何かとぼくの心に重い題を課してくれる。
たぶん、次に会う時もそうなのだろう。
歩いたんですね。
今年は激下りコースですね(笑
怖れを受容し、内包する
う〜ん、難しいことばですね。
私も(?)失敗しています。
再び同じ場所に立って、経験を教訓として大地と対峙できるのかなぁ。
恐怖が蘇って足がすくんでしまうかも。。。
どういう心情で足を運べば良いでしょう、感謝?集中?励まし?決意?
その時は来るかも知れないし来ないかも知れないし、神のみぞ知る、でしょうか
で、ロープ出しましたか?
思えば、昨年の同時期に天武将尾根ですれ違ったのが最初でしたね。
もう1年ですか。
今年は落葉絨毯に乗っかってガンガン下りましたが、
天理手前の小ピーク3連発(P1145とその西にある2つの小ピーク)の
1つ目で弱気の虫が大暴れでした。
今回は、ただ戻りたいという想いだけで両神に足を運びました。
昨年からいろいろと試練を与えてくれているこのお山が、
自分の想いや自問自答を炸裂させるに相応しい場所だと、
ほとんど直感的に思ったまでのことでした。
12月第1週の土曜にもう一度その場所に立つつもりでいます。
その前に、両神で弱気の虫に大暴れしてもらってよかったなあと、
何となく思います。
弱気の虫がどんな暴れ方するかを分からないうちに戻ると、
却ってよくないような気がするからです。
で、ロープは結局自分用には出しませんでした。
坂本へ下るとき、結果的に2人組を先導する形になったのですが、
数ある沢の渡渉のうちの1か所が悪く、滑ると下流の深みにドボン、
という状況だったので、自分が渡った後にそこで初めてロープを出し、
ビレイした状態で2人に渡渉してもらいました。
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