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Yamareco

記録ID: 541476
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
奥秩父

両神山周回藪岩トレ(尾ノ内渓谷〜八丁尾根〜天武将尾根〜犬曳尾根〜表参道〜八丁尾根〜坂本)

2014年11月02日(日) ~ 2014年11月03日(月)
 - 拍手
体力度
7
1~2泊以上が適当
GPS
15:43
距離
20.8km
登り
3,069m
下り
3,032m
歩くペース
速い
0.70.8
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
8:52
休憩
0:19
合計
9:11
距離 11.9km 登り 2,237m 下り 1,418m
9:07
66
10:13
10:22
98
油滝
12:00
25
12:25
36
13:01
116
14:57
15:07
59
16:06
88
17:34
2日目
山行
5:24
休憩
0:55
合計
6:19
距離 8.9km 登り 839m 下り 1,618m
6:15
33
6:48
24
7:12
7:36
15
7:51
14
8:05
31
8:36
24
9:00
12
9:12
29
9:41
10:12
52
11:04
90
大岩
12:34
坂本
天候 11/2
9時まで 晴
9時から 曇時々晴

11/3
快晴
過去天気図(気象庁) 2014年11月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
※車のほうが楽です

【往路】
 ↓(西武秩父線)
西武秩父駅 0648着/0700発
 ↓(西武観光バス)
小鹿野役場 0736着/0740発
 ↓(西武観光バス)
尾ノ内渓谷入口 0811着

【復路】
坂本 1240発(1日5本しかなく、これを逃すと4時間後:1630発)
 ↓(西武観光バス)
小鹿野役場 1314着/1334発
 ↓(西武観光バス)
西武秩父駅 1415着/1425発赤矢、1438発急行
 ↓(西武秩父線)

※西武秩父エリアは「秩父漫遊きっぷ」を使うと非常にお得
http://www.seibu-group.co.jp/railways/railway/ticket-info/otoku/chichibu-manyu-kippu.html
ただし、小鹿野役場⇔西武秩父駅行きの路線は
小鹿野町営バスも運行しており、そちらでは使えないので注意。
つまり、日向大谷、白井差、両神温泉薬師の湯は対象外。
1314に小鹿野役場に着くバスには、両方が接続しているが、
町営バスの方が先(1329)に来る(小型のポップなデザインのバスなので見分けはつく)。
コース状況/
危険箇所等
※軌跡はGPSロガーでトレースしています

■尾ノ内コース(尾ノ内沢〜油滝〜八丁尾根)
※一般ルートではありません
マーキングは新しいものが一定間隔であり。
油滝までは部分部分で細いが、踏み跡は概ね明瞭。
沢の渡渉が幾度かあり。対岸にマーキングがある。雨天日、雨天翌日注意。
油滝から上はルートが落葉に埋まっていて踏跡希薄、
マーキングも古くて分かりにくくなり、上部は痩せトラバースが数ヶ所あって悪い。
八丁尾根までの残り数100mに渡って鎖がかかっているが、錆びて老朽化している。
このルートは、下りでは使う気になれない。
【すれ違った人:なし】

■天武将尾根(前東岳〜天理岳)
※一般ルートではありません
八丁尾根からの下降点が分かりづらい。
八丁峠から来る場合、死角になるので見逃しやすい(詳細はフォト)。
マーキングは下降点直下から一定間隔であり。
尾ノ内沢よりも踏み跡明瞭だが、途中、落葉絨毯がすごい。
尾根上部と天理岳付近は藪多し。天理岳の東直下に鎖があるが、古い。
【すれ違った人:下降点で1パーティ3人、天理岳東側で1人】

■犬曳尾根(天理岳東の鞍部〜表参道会所付近)
※地図に記載されていないルートです
天理岳東側の広い鞍部の南側にテープがあり、そこに伸びる尾根へ下降。
植樹の作業道があり、傾斜もさほどでもないので、危険は感じられなかった。
【すれ違った人:なし】

■表参道(会所〜両神山)
※情報が豊富なので詳細は割愛します
夕方近くになると、下りは間違いやすいかも。
沢に迷い込んでいるパーティがいた。
【すれ違った人:たくさん、天武将尾根下降点ですれ違ったパーティと再会】

■清滝小屋
無人だが、テン場も小屋も綺麗に保たれている。
小屋は詰めれば20人以上、テン場もエアリアには10張とあるが、もう少し入りそう。
水場(炊事場)もトイレも清潔だが、流し台に残飯が少量流れていたのが残念。
【宿泊者:小屋10人くらい、テント5張くらい】

■八丁尾根(両神山〜八丁峠)
※情報が豊富なので詳細は割愛します
コースタイムはエアリアを当てにしないほうがいい。
ルートの狭い箇所でのすれ違いや鎖場での待機時間があるので、
足の速い人でもタイムアドバンテージを計算できる場所ではない。
【すれ違った人:けっこうたくさん】

■坂本コース(八丁峠〜坂本)
※一般ルートとは言えない悪路です
エアリアでは以前から実線ルートになっているが、
全長5km弱のうち、八丁隧道登山口分岐(八丁峠から約700m)から
残り1kmの山の神まではずっと悪路。
ルートファインディングができないと、特に下りや単独では危険。
踏み跡は乏しく痩せ気味で、倒木多数、エセマーキング(以前のもの)あり、
沢の渡渉多数、石に苔がこびりついている箇所多数で滑りやすい。
八丁峠から2km地点の大岩から林道にエスケープできるが、
坂本まで7km以上余分に歩くことになる。
なお、2012のエアリアでは八丁峠→坂本が1時間50分と記載されていたが、
2014では2時間35分になっていた。
【すれ違った人:1人】

※登攀具は、自分自身に対しては出番なしでした
その他周辺情報 ※魔法瓶を拾得し、小鹿野警察署へ届けています。
http://www.yamareco.com/modules/diary/19423-detail-83748

【登山ポスト】
小鹿野役場バス停前の観光案内所内に鍵付ポスト有。
ただし、平日は朝8時、土日祝日は8時半からしか開かない。
坂本の登山口にも鍵なしポスト有。

【下山後】
小鹿野役場前にJA直売所があり、ちょっとした食べ物が買えるそうだ。
入浴は・・・有名な両神温泉薬師の湯は、日向大谷からじゃないといけない・・・。
クルマだと近いのだけど。
西武秩父駅。3週連続できましたが、今週は復路としてではなく、往路として利用します。朝もやがかかるブコーさんが美しいです。
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西武秩父駅。3週連続できましたが、今週は復路としてではなく、往路として利用します。朝もやがかかるブコーさんが美しいです。
小鹿野役場バス停前の観光案内所内に登山ポストがあります。まだ空いていなかったので、計画書を入れた封書を隙間から中に投げ入れました。
小鹿野役場バス停前の観光案内所内に登山ポストがあります。まだ空いていなかったので、計画書を入れた封書を隙間から中に投げ入れました。
尾ノ内渓谷入口バス停です。明け方までの雨で、まだ路面が濡れています。尾ノ内沢、大丈夫かな〜・・・。
尾ノ内渓谷入口バス停です。明け方までの雨で、まだ路面が濡れています。尾ノ内沢、大丈夫かな〜・・・。
見ての通り。ハッタリではないです。
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見ての通り。ハッタリではないです。
映える八丁尾根。が、この雲の流れはちょっと嫌な感じです。晴天はそう長く持たなさそう。
映える八丁尾根。が、この雲の流れはちょっと嫌な感じです。晴天はそう長く持たなさそう。
尾ノ内ふれあい館の奥の吊り橋。ここから登山スタート。橋の左に「熊出没注意」の掲示がありますが、渓谷沿いは特に危ないですので、熊鈴をじゃんじゃん鳴らして歩きました。ごめんね、クマさん。
尾ノ内ふれあい館の奥の吊り橋。ここから登山スタート。橋の左に「熊出没注意」の掲示がありますが、渓谷沿いは特に危ないですので、熊鈴をじゃんじゃん鳴らして歩きました。ごめんね、クマさん。
こんな感じの沢の渡渉を幾度か強いられますが、目印は明瞭です。
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こんな感じの沢の渡渉を幾度か強いられますが、目印は明瞭です。
山の神。何だろうと思って左手を見たところ・・・
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山の神。何だろうと思って左手を見たところ・・・
文字通り、山の神が祀られています。今回も安全に登山できますように。
文字通り、山の神が祀られています。今回も安全に登山できますように。
だいぶ奥まってきました。あたりに響くのは、沢の流音と自分の息遣い、足音、熊鈴が鳴る音だけです。
だいぶ奥まってきました。あたりに響くのは、沢の流音と自分の息遣い、足音、熊鈴が鳴る音だけです。
分かりにくいところにはケルンもちらほら。
分かりにくいところにはケルンもちらほら。
ヘツり気味の鎖場も出てきますが、表参道や八丁尾根のようにしっかりとしたものではありません。よく探ればスタンスは取れるので、あまり荷重をかけないほうが無難。
ヘツり気味の鎖場も出てきますが、表参道や八丁尾根のようにしっかりとしたものではありません。よく探ればスタンスは取れるので、あまり荷重をかけないほうが無難。
油滝着。ここまではエアリアの実線ルートですが、ほとんど歩かれていないので、荒れ気味です。ここで尾ノ内沢に別れを告げ、龍頭(りょうかみ)神社奥宮、尾ノ内渓谷入口にある龍頭神社の奥の院に向かって突き上げていきます。
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油滝着。ここまではエアリアの実線ルートですが、ほとんど歩かれていないので、荒れ気味です。ここで尾ノ内沢に別れを告げ、龍頭(りょうかみ)神社奥宮、尾ノ内渓谷入口にある龍頭神社の奥の院に向かって突き上げていきます。
地獄岩。根元にクラックがありますね。ちょいと覗いてみます。
地獄岩。根元にクラックがありますね。ちょいと覗いてみます。
這いつくばれば、中に入れそうですね。ちょいと入ってみます。
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這いつくばれば、中に入れそうですね。ちょいと入ってみます。
中は人間が立てるほどの広さ!最高のビバーク適地ですが、この岩室でビバークするようなルート設定をする人はそういないかと・・・。
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中は人間が立てるほどの広さ!最高のビバーク適地ですが、この岩室でビバークするようなルート設定をする人はそういないかと・・・。
上部ではトラバースを繰り返します。通過後に撮影しましたが、見ての通り、どこがルートだか判別困難なほど悪いです。
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上部ではトラバースを繰り返します。通過後に撮影しましたが、見ての通り、どこがルートだか判別困難なほど悪いです。
しかし、テープだけはしっかりあります。ありがたい。
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しかし、テープだけはしっかりあります。ありがたい。
見ての通り、非常に悪いトラバース。鎖がなければ、一見どこがルートかもわかりません。雨の時はスタンスを取るのも一苦労しそうです。ここから上は痩せた藪岩の急登で、八丁尾根まで数100mに渡って鎖が連なります。
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見ての通り、非常に悪いトラバース。鎖がなければ、一見どこがルートかもわかりません。雨の時はスタンスを取るのも一苦労しそうです。ここから上は痩せた藪岩の急登で、八丁尾根まで数100mに渡って鎖が連なります。
長かった尾ノ内コースもまもなく終わり、ようやっと八丁尾根が目の前に。
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長かった尾ノ内コースもまもなく終わり、ようやっと八丁尾根が目の前に。
そしてゴール。長く危険な道のりでした。ちらっと見えているのは、龍頭神社奥社の屋根です。
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そしてゴール。長く危険な道のりでした。ちらっと見えているのは、龍頭神社奥社の屋根です。
尾ノ内渓谷入口にあった看板と同じものが。八丁尾根から来ると、カムフラージュして下降点を分かりにくくしてあります。下りでは使いたくない。
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尾ノ内渓谷入口にあった看板と同じものが。八丁尾根から来ると、カムフラージュして下降点を分かりにくくしてあります。下りでは使いたくない。
龍頭神社奥社・・・。暴風か何かでなぎ倒されてしまっています。直せないものか・・・。
龍頭神社奥社・・・。暴風か何かでなぎ倒されてしまっています。直せないものか・・・。
八丁尾根の東岳へ上がる鎖ですが、尾ノ内ルートに比べると、精神的にはずっと楽です。乾いているし。ホールドもがっちりしているし。
八丁尾根の東岳へ上がる鎖ですが、尾ノ内ルートに比べると、精神的にはずっと楽です。乾いているし。ホールドもがっちりしているし。
天武将尾根。ここを下っていきます。
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天武将尾根。ここを下っていきます。
迂闊にも通り過ぎてしまうハプニングもありましたが、天武将尾根の下降点に着。15分くらいタイムロスしてしまいました。
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迂闊にも通り過ぎてしまうハプニングもありましたが、天武将尾根の下降点に着。15分くらいタイムロスしてしまいました。
天武将尾根上部は藪の下り。藪岩好きとしては萌えますが、危ない岩もあるので、油断禁物。
天武将尾根上部は藪の下り。藪岩好きとしては萌えますが、危ない岩もあるので、油断禁物。
昨冬に悪戦苦闘した辺見尾根が見えます。左の双頭が辺見岳。
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昨冬に悪戦苦闘した辺見尾根が見えます。左の双頭が辺見岳。
落葉の絨毯に覆われています。昨秋はここを歩荷トレで登ったので、頭も身体もどうにかなりそうでしたが、軽荷で下りだと、雪上のグリセードのように下れます。
落葉の絨毯に覆われています。昨秋はここを歩荷トレで登ったので、頭も身体もどうにかなりそうでしたが、軽荷で下りだと、雪上のグリセードのように下れます。
1200m位まで下がると、紅葉がまだ映えています。
1200m位まで下がると、紅葉がまだ映えています。
天理岳。すっかり曇天です。時間もないので、清滝小屋までのルート選択を考えます。
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天理岳。すっかり曇天です。時間もないので、清滝小屋までのルート選択を考えます。
天理岳南直下にある長井屋沢尾根(仮称)。下降点にリボンがあるということは使用形跡があるわけですが、七滝沢コースに下りてしまうので、時間的に考えて諦めました。
天理岳南直下にある長井屋沢尾根(仮称)。下降点にリボンがあるということは使用形跡があるわけですが、七滝沢コースに下りてしまうので、時間的に考えて諦めました。
もう少し東へ進むと、犬曳尾根への下降点があります。こちらは会所の少し日向大谷寄りに下りますが、割と使われているルートなので、こちらを下ります。
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もう少し東へ進むと、犬曳尾根への下降点があります。こちらは会所の少し日向大谷寄りに下りますが、割と使われているルートなので、こちらを下ります。
見ての通り、明瞭。
見ての通り、明瞭。
会所の分岐。無事に表参道へ下りました。この時点で明るいうちに清滝小屋に着くのは不可能だったので、普通に表参道を上がることに。七滝沢コース、まだ一度も歩いたことがないんだよなあ・・・。
会所の分岐。無事に表参道へ下りました。この時点で明るいうちに清滝小屋に着くのは不可能だったので、普通に表参道を上がることに。七滝沢コース、まだ一度も歩いたことがないんだよなあ・・・。
謎の「山道」道標。どうやら産泰尾根末端への取付点のようです。この後、ほどなくして暗くなってしまいました。
謎の「山道」道標。どうやら産泰尾根末端への取付点のようです。この後、ほどなくして暗くなってしまいました。
翌朝。朝からイナバのタイカレー。胃にヘヴィですが、ウマいんだよな、これが。
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翌朝。朝からイナバのタイカレー。胃にヘヴィですが、ウマいんだよな、これが。
清滝小屋で朝陽を待ちます。
清滝小屋で朝陽を待ちます。
そして、辺見岳からこの日の太陽がおはようございます。
そして、辺見岳からこの日の太陽がおはようございます。
朝陽を受けて出発。清滝小屋は7年ほど前に小屋番の方が亡くなられて以来、無人になっていますが、今でも小屋もテン場も荒廃することなく、多くの登山者に愛されています。
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朝陽を受けて出発。清滝小屋は7年ほど前に小屋番の方が亡くなられて以来、無人になっていますが、今でも小屋もテン場も荒廃することなく、多くの登山者に愛されています。
今日はいい天気。両神のギザギザがくっきり見えます。嬉しい。
今日はいい天気。両神のギザギザがくっきり見えます。嬉しい。
去年なかったよなあ、これ。お山ブームで登山者が増えるとともに、こういう安全策を打つのは、とてもいいことだと思います。
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去年なかったよなあ、これ。お山ブームで登山者が増えるとともに、こういう安全策を打つのは、とてもいいことだと思います。
両神神社です。朝のご挨拶をします。ニホンオオカミ、いわゆる対のお犬様を祭った神社です。
両神神社です。朝のご挨拶をします。ニホンオオカミ、いわゆる対のお犬様を祭った神社です。
おみくじ・・・中を見たら、おみくじではなく、小銭が入っていました。
おみくじ・・・中を見たら、おみくじではなく、小銭が入っていました。
見ての通りです、ハイ。人気ルートゆえ、事故も多いところです。
見ての通りです、ハイ。人気ルートゆえ、事故も多いところです。
両神山頂直下の分岐。梵天尾根、白井差新道、そして廃道となっている上落合橋への下降点。道標が外されていますが、梵天尾根、白井差新道はエアリアにも記載されています。
両神山頂直下の分岐。梵天尾根、白井差新道、そして廃道となっている上落合橋への下降点。道標が外されていますが、梵天尾根、白井差新道はエアリアにも記載されています。
早朝の両神山頂、本当に爽やかで気持ちよく頂に立つことができました。ありがたいことです。
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早朝の両神山頂、本当に爽やかで気持ちよく頂に立つことができました。ありがたいことです。
八丁尾根。前日に続いて歩きます。2日続けて同じところを歩くのも、なかなかレア。
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八丁尾根。前日に続いて歩きます。2日続けて同じところを歩くのも、なかなかレア。
奥秩父主脈と富士山。
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奥秩父主脈と富士山。
上州の山々。遠くには浅間山も見えます。
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上州の山々。遠くには浅間山も見えます。
ブコーさんの上からは燦々と輝く太陽が。
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ブコーさんの上からは燦々と輝く太陽が。
もう、山だらけで何が何だかわからないけど、とにかく美しい。とりあえず、八ツや金峰が見えるのは分かる。
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もう、山だらけで何が何だかわからないけど、とにかく美しい。とりあえず、八ツや金峰が見えるのは分かる。
ず〜っと向こうには谷川連峰が。これから、人々を寄せ付けない魔の山と化していきます。
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ず〜っと向こうには谷川連峰が。これから、人々を寄せ付けない魔の山と化していきます。
前日通り過ぎてしまった天武将尾根下降点の目印。この脇から両神山に向いて左後ろへルートを外れた踏み跡を辿ると、すぐ下降点です。八丁峠から来ると死角になるので、気を付けていないと通り過ぎてしまいがちです。自分も気を付けていたつもりですが、500m近く通り過ぎてしまいました。道標板が外されたこの杭が唯一の目印です。
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前日通り過ぎてしまった天武将尾根下降点の目印。この脇から両神山に向いて左後ろへルートを外れた踏み跡を辿ると、すぐ下降点です。八丁峠から来ると死角になるので、気を付けていないと通り過ぎてしまいがちです。自分も気を付けていたつもりですが、500m近く通り過ぎてしまいました。道標板が外されたこの杭が唯一の目印です。
都心方面。カメラ性能が悪いので分かりにくいですが、肉眼ではよく見通せました。
都心方面。カメラ性能が悪いので分かりにくいですが、肉眼ではよく見通せました。
前日上がってきた尾ノ内ルート。ちょうどなぎ倒された龍頭神社奥宮がこのルートを遮る形になっています。
前日上がってきた尾ノ内ルート。ちょうどなぎ倒された龍頭神社奥宮がこのルートを遮る形になっています。
ようやく西岳。東岳〜西岳間が八丁尾根の核心部ですが、八丁峠まで気は緩められません。
ようやく西岳。東岳〜西岳間が八丁尾根の核心部ですが、八丁峠まで気は緩められません。
八丁峠からやってくる登山者が見えます。この日は15パーティくらいはすれ違ったかな。
八丁峠からやってくる登山者が見えます。この日は15パーティくらいはすれ違ったかな。
そしてようやく八丁峠に到着。4年ぶりの八丁尾根フル縦走でしたが、とてもスリリングでした。これから、坂本へ下ります。
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そしてようやく八丁峠に到着。4年ぶりの八丁尾根フル縦走でしたが、とてもスリリングでした。これから、坂本へ下ります。
赤岩尾根方面。ここもいつか歩いてみたいものです。
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赤岩尾根方面。ここもいつか歩いてみたいものです。
4年前に散々な目に遭った坂本コース。お山ブーム到来でもう少し踏まれているかな、と思いましたが、変わらず荒れています。
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4年前に散々な目に遭った坂本コース。お山ブーム到来でもう少し踏まれているかな、と思いましたが、変わらず荒れています。
足元は悪いし、ルートは不明瞭だし、かなりハードなコースですが、たまに振り返ると、素晴らしい景色をもたらしてくれます。ハードな時ほど、周りを見ないとね。
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足元は悪いし、ルートは不明瞭だし、かなりハードなコースですが、たまに振り返ると、素晴らしい景色をもたらしてくれます。ハードな時ほど、周りを見ないとね。
大岩。やっと3分の1。まだまだ先は長いです。
大岩。やっと3分の1。まだまだ先は長いです。
荒れたルートを抜け、ようやっとゴールが見えてきました。二子山。
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荒れたルートを抜け、ようやっとゴールが見えてきました。二子山。
無事下山!4年前に一度歩いていただけに、気持ちに余裕が持てたかもしれません。
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無事下山!4年前に一度歩いていただけに、気持ちに余裕が持てたかもしれません。
無事帰還!最寄駅の改札を出ると、夕陽が2日間の登山を労ってくれているかのようでした。
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無事帰還!最寄駅の改札を出ると、夕陽が2日間の登山を労ってくれているかのようでした。

装備

個人装備
小屋素泊まり装備一式 食糧(朝夕1・行動2・非常2) 低周波治療器 8mm×20mザイル1 メット スワミ ATC ビナ4 シュリンゲ4

感想

「怖れを受容し、内包する」

恐怖とは、打ち克つものではなく、受容し、自身に内包するもの。

4月以来、ずっと自分に言い聞かせてきたこのことばを、
改めて深く刻み込んだ。

-----

龍頭(りょうかみ)という小さな神社がある、
埼玉西部、小鹿野町の群馬県境に近い尾ノ内集落。
そこから両神山に連なる八丁尾根まで登り詰めた龍頭神社奥宮の祠は、
天の爪になぎ倒され、無残な姿を晒していた。

尾ノ内集落のひとびとは昔、
集落に豊かな水をもたらす尾ノ内沢を遡上し、険しい岩壁を登り、
八丁尾根まで詰めた場所に、
日々の恵みに感謝するためにこの祠を建立したと想像する。
けれど、時代の流れとともに、お山を畏れ、崇めるという習慣は薄れたのだろう、
その参道は、地図に記載はされているものの、
情報豊かな現在のネット環境からでも登山記録はそう多くない。
つまり、一般ルートとしては廃れてしまっていることは、
現在の祠の姿からも想像できる。

ぼくはこの古い参道から八丁尾根に登り、
2日間に渡って両神を巡り歩くことにした。

-----

自分の今の状態を、自分でもまだ理解しきれていなかった。
受傷から半年以上経過し、身体の状態もさることながら、
特に心の状態は未知数だった。
昨年の秋冬の2度に渡って試練をもたらした両神というお山は、
それを測るに相応しい場所と言えた。

濡れた岩場やホールドがよくない場所をトラバースする時、
知らず知らずのうちに腰が引け気味になっていることに気が付く。
腰が引けると、スタンスが悪くなる。
故、更にバランスが悪くなるという悪循環。
心拍数が上がり、手足に痺れのような感覚が襲う。

9月、金峰山の五丈石を攀じ登っているときに覚えた恐怖感は、
やはり錯覚でも何でもなく、ぼくの心身に深々と刻み込まれていた。

下山しようか。
ここを下れば、すぐに下山口だ。
やってくるバスに乗れば、家に帰ることができる。
次の動きを逡巡していると、そんな声が脳内に木霊する。

木霊?
そのことばも、自然がもたらしたものだ。
弱い自分が囁く声も、自然がもたらすことばだ。
もう一人の自分の声が、脳内に木霊する。

それではおまえはあそこへ戻ることができない。
戻りたくてここまできたのではないのか?
この怖れを受容し、内包するためにここにやってきたのではないのか?

途中、1回だけ長めの休憩を取り、
上下左右から語り掛けてくる自分の声に、落ち着いて耳を傾ける。
おまえはどうしたいのだ?
帰りたいのか?行きたいのか?

行きたい。

そう決め、1日目の泊地である清滝小屋に向かった。
既に夕方の時間帯、両神の表参道を下る登山者の流れを遡り、
清滝小屋に辿り着くころには、すっかり暗くなっていた。

-----

あまり眠れぬ夜を過ごしたものの、
ひと晩を経ると心はすっかりと落ち着いていた。
快晴の素晴らしい朝陽を浴びると、
ここにいてよかった、帰らないでよかった、と心から思う。

人々が本格的に動き出す前に、表参道を両神山頂に向けて登りはじめた。

遠くから見ると、鋸の刃のように峻嶮な八丁尾根は、
近くで見ても同じように鋸の刃のように峻嶮で、
すぐ近くの次の刃が、手が届きそうで届かない。

そうだ、ぼくは怖いのだ。
だから、次の一手を四肢で確実に捉えよう。
そうすれば、落ちない。

そこかしこに張り巡らされている鎖には触れず、
岩や樹木の根などの自然の造形物をこの手で、この脚で感じながら、
ひとつ登り、ひとつ降りる。

すると、前日に感じた手足の痺れを感じることなく、
腰も引けず、次の手を逡巡もせず、
少しずつ前に進むことができた。

-----

八丁峠から、群馬県境に接する坂本集落への沢沿いの道は、
日向大谷からの表参道に対して、裏参道と言われている。
しかし、大理石の採掘のため、八丁峠のすぐ下まで道が拓かれたので、
坂本からわざわざ歩く登山者はほとんどおらず、
尾ノ内集落からの参道と同じように廃れている。

目印はあるものの、鉄砲水で押し流された岩や木々が道を遮り、
しばしば行き先を見失いそうになる。
有名なガイド地図には実用ルートとして明記されているが、
実際には廃道に近い状態だ。

広葉樹林に深々と覆われた沢沿いのこの道を歩くと、
あちらこちらで天からの爪痕が消えることなく
克明に刻まれていることが分かる。
以前よりもお山を歩く人が増えた今、
もう少し道が明瞭になっているかと思ったが、
お山を歩く人の多寡に関わらず、
手がつかない場所は、手がつかないのだ。
この荒れた道を見ていると、
自分の心の中に横たわっている怖れと重なるような錯覚を覚える。

初めて両神山に登り、初めて八丁尾根を歩いたという2人組が、
そのままぼくと同じく坂本集落へと辿っていた。
この爪痕を時には避け、時には受け容れながら歩くのは、
なかなか骨だったと思う。

無事に坂本まで辿り着いても、
「両神山なんてもう二度と行きたくない!」
と思わないだろうか、と少し心配したけれども、
坂本のバス停で、この日の空と同じような晴れ晴れとした2人組の表情を見ると、
それは取り越し苦労だったようで安心した。

-----

今回の山行にあたって、ぼくは自身にいくつかの題を課した。
それらは、十全に果たせたわけではなく、
自身の弱さを目の当たりにする場面もあったけれども、
4月に決心した、「あそこへ戻る」という「その場所」に近づいていることを、
心身の両面で確かめることはできたように思う。

「怖れを受容し、内包する」こと。
その真は、これからもぼくにずっと問い続けることだろう。

両神というお山は、登るたびに何かとぼくの心に重い題を課してくれる。
たぶん、次に会う時もそうなのだろう。

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コメント

今年も天武将尾根
歩いたんですね。
今年は激下りコースですね(笑

怖れを受容し、内包する
う〜ん、難しいことばですね。
私も(?)失敗しています。
再び同じ場所に立って、経験を教訓として大地と対峙できるのかなぁ。
恐怖が蘇って足がすくんでしまうかも。。。
どういう心情で足を運べば良いでしょう、感謝?集中?励まし?決意?
その時は来るかも知れないし来ないかも知れないし、神のみぞ知る、でしょうか

で、ロープ出しましたか?
2014/11/7 0:18
>kihaさん
思えば、昨年の同時期に天武将尾根ですれ違ったのが最初でしたね。
もう1年ですか。
今年は落葉絨毯に乗っかってガンガン下りましたが、
天理手前の小ピーク3連発(P1145とその西にある2つの小ピーク)の
1つ目で弱気の虫が大暴れでした。

今回は、ただ戻りたいという想いだけで両神に足を運びました。
昨年からいろいろと試練を与えてくれているこのお山が、
自分の想いや自問自答を炸裂させるに相応しい場所だと、
ほとんど直感的に思ったまでのことでした。

12月第1週の土曜にもう一度その場所に立つつもりでいます。
その前に、両神で弱気の虫に大暴れしてもらってよかったなあと、
何となく思います。
弱気の虫がどんな暴れ方するかを分からないうちに戻ると、
却ってよくないような気がするからです。

で、ロープは結局自分用には出しませんでした。
坂本へ下るとき、結果的に2人組を先導する形になったのですが、
数ある沢の渡渉のうちの1か所が悪く、滑ると下流の深みにドボン、
という状況だったので、自分が渡った後にそこで初めてロープを出し、
ビレイした状態で2人に渡渉してもらいました。
2014/11/7 1:10
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