白馬縦走(猿倉から栂池)
- GPS
- 29:52
- 距離
- 25.7km
- 登り
- 2,731m
- 下り
- 2,147m
コースタイム
- 山行
- 5:14
- 休憩
- 0:25
- 合計
- 5:39
- 山行
- 6:46
- 休憩
- 1:03
- 合計
- 7:49
5:49猿倉-9:02白馬鑓温泉小屋-11:06分岐-11:32天狗山荘
7月29日(土)
3:43天狗山荘-4:29白馬鑓ヶ岳-5:37杓子岳-7:03白馬岳-7:43三国境-8:15小蓮華山-9:28白馬大池-10:00白馬乗鞍岳-10:45天狗原-11:36栂池ロープウェイ駅
天候 | 7月28日(金) 晴れ後曇り、15-16時頃雷雨、16時以降は小雨後晴れ ほぼ無風 7月29日(土) 晴れ後曇り ほぼ無風 |
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過去天気図(気象庁) | 2023年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス タクシー 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
・八方から猿倉までタクシー利用。1台で3500円程度なので、人数が揃えばバス料金と変わらない。 ・栂池ロープウェイとゴンドラ利用。ロープウェイは20分間隔。ゴンドラは随時運航。 ・栂池から八方までバス利用。夏山シーズンは1時間に1本程度。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
危険箇所は特に見当たらなかった。 ・猿倉から鑓温泉小屋:樹林帯歩きが続く。小日向のコルまでは登りが続くがその後小屋までアップダウンが続き標高が上がらない。この区間標高は2000メートル以下なのでこの時期は暑い。花も少ない。 ・鑓温泉小屋から天狗山荘:全般的に急登の連続。鎖場を過ぎるとお花畑が何箇所もあった。天狗山荘の水場は利用可能。テント場で携帯利用可。 ・白馬稜線:登山者多く自分のペースで歩くのは困難。花の時期は終盤。 |
写真
感想
7月28日(金)
白馬八方の駐車場には4:28に到着。猿倉へのバスは6時で早過ぎたのでしばらく仮眠した後支度に取り掛かる。支度中白馬三山に朝日が当たるのが見えた。クルマの外で準備をしているとタクシー相乗りの有り難いお誘いが。少し待ってもらえれば、と伝えたら快く応じてもらえた。6時の始発バスよりはだいぶ早くに八方を出発。道中タクシーが多く見られたので、バスを待たない人も多いようだ。5:40頃に猿倉到着。お礼を言って5:49に行動開始。猿倉は2年前の7月以来。出発直後は前後に多くの人が歩いていたが、鑓温泉ルートに入ると人が全然いなくなった。このコースを登る人は多くないようだ。静かな登山道を歩く。天気は晴れ。気温も高い。しかも無風。樹林が日光を遮ってくれるものの、蒸し暑さはどうにもならずとても暑い。大汗をかきながらの登りとなった。暑くて汗をかくので、休憩はきっちり1時間に1回取る。止まって持参した麦茶をがぶ飲みする。水分を取らないと足が攣りそう。小日向のコル付近までは順調に標高を上げるが、その後小屋が見えてからが長かった。このコースを歩くのは3回目だが、ここまで来てようやく思い出した。小屋までアップダウンを繰り返しつつ距離を伸ばすが、標高は上がらない。周囲は高山植物が見られ始める。鑓温泉小屋には9:02に到着。汗だくで、シャツを絞ったら汗が落ちてきそうだった。座って大休止。ここまでで水も結構消費したので足していく。水がある小屋で有り難い。天気は既にガスが湧いてきていて、やはり午後は雨が降りそうな気配。雨の前にテントを張らねば。
小屋を後にするとしばらく鎖場が続く。大したところではないが慎重に通過する。天気は曇りになったが時折晴れて夏空が見える。雲が出ている時は涼しくて良いが展望は乏しい。反対にガスが取れると展望は開けるが、今度は暑くて仕方ない。登りの時間に関しては、正直雲って涼しいほうが体には楽だ。大出原を登るのも三度目だが、過去はいずれも9月だったので、花は全くなかった。今回あまり期待していなかったが、この区間のお花畑は中々見応えがあった。チングルマやハクサンコザクラが多く、またハクサンイチゲの咲き残りも見られた。こんなに花が多いところだとは知らなかった。季節を変えて来てみるものである。次から次への現れるお花畑にいちいち止まりながらになるので、ペースは落ちたがきれいなので仕方ない。そして稜線に近付くとコマクサが見られた。7月の大出原は花好きにはもってこいのところだと思った。11:06に分岐到着。白馬鑓ヶ岳がよく見える。稜線歩きになって少し風が出てきた。風がないとやってられないくらいに暑いのでちょうど良い。稜線の花は最盛期と比べると数も種類も少ないが、さすがに白馬なので色々咲いていた。シーズンが終わったと思っていたウルップソウもまだ少数だが見られた。天狗山荘には11:32に到着。先行者は2張りのみ。広大とは言い難いテント場ではあるが、張る場所は十分選べた。雨が降る予報なので水はけの良さそうな、水たまりにならないところを選んでテントを設営。水も残雪のところで取れるので非常に助かる。このテント場は稜線にあるにも関わらず水が豊富なのがとても有り難い。この日も冷たい水を得られた。
テント設営し水くみも終え、テントの内外で時間を潰す。テント場のすぐそばを雷鳥の親子が歩いていた。これがその後の天候変化の予兆だったのかもしれない。15時前になると周囲に雨雲が湧き始めたのがスマホの雨雲レーダー画面からも分かった。この時間はまだ雨はなかったが、雨に備えて再度水くみとトイレを済ませ、テントに戻ろうとしたところ大粒の雨が落ち始めた。雨には大して濡れずに済んだがその後の展開はかなり怖かった。雨が落ち始めて間もなく風雨が強まり、更に雷まで鳴り始めた。最初雷鳴は遠かったものの次第に近くなり、最後はすぐ近くに落雷があったのが分かった。その上吹き下ろす風でテントが持って行かれそうになる。雨も強いしかなりやばい状況になった。テントの中でポールを押さえてテントが飛ばされたり潰されたりしないようにする。これまで何度もアルプスの稜線でテント泊してきたが、今回ほど怖い目に遭ったことはなかった。風と雷が強かったのは恐らく15分程度だったと思うが、その間は生きた心地がしなかった。テントの中は浸水するし、風でテントポールが折れるかと思うほどだった。恐怖の時間が過ぎるのをただ待つしかなかった。次第に風雨は弱まり雷鳴も遠ざかったが、テントの中は既に水浸し。持参したタオルで拭いて絞るを繰り返す。マットの上に濡らしたくないものを全部乗せて浸水被害を防止する。16時を回ると雨も止んだので外に出る。テントは幸いに水たまりにはなっていなかったが、グランドシートが田んぼに敷いたような状態になっていた。これはだめだ。山行中にきれいにするのは恐らく不可能なので、そのまま放置する。テントがたっぷり水気を含んでいたので、外に出て拭き取りをする。よく見ると周囲のキャンパーも皆同じことをしていた。テント内は水浸しだったのも同様のようだった。酷い目に遭った。18時頃まで小雨は断続的に降り続いたが、その後は回復に。ガスは着いたり晴れたりで、夕方にはテント場から白馬鑓ヶ岳がきれいに見えた。天気に翻弄された1日だったように思う。色々くたびれたのでまだ明るいうちに就寝。雷雨に打たれたためか、テント場で宴会を催すようなパーティもなかったようだ。標高が2700メートル超と高いため、色々着込んで寝る。雨に備えてシュラフカバーを持参して良かった。これがあれば浸水したテントでも比較的安心して寝られる。
7月29日(土)
2:15起床。天候晴れ。昨日の強雨強風雷が嘘のように静かだった。空は星空。色々濡らして後始末が大変そうだったので、早めの起床とした。支度と食事を終えて外に出る。外は風も弱く、薄着でも寒さを感じなかった。テントはびっしょり濡れいていたが乾かすのは下山後なので、軽く水を切って防水袋に入れる。フライシートも同様。問題はやはりグランドシートで泥まみれ。重いし汚いがもうどうしようもないのでそのまま袋に詰めて持っていく。濡れ物は多かったが撤収自体は慣れた作業だったためか、予定どおりに支度が終わり3:43に行動開始する。まだ真っ暗なのでライトがないと歩けなかったが、東の空は少し明るくなり始めていた。昨日とは逆方向に歩き白馬鑓ヶ岳を目指す。目をこらすとあちこちライトが見え、この時間から歩いている人がいることが分かる。自分もその一人だ。分岐を過ぎ登りにかかる。岩がガラガラして登りにくいが、この時間はまだ誰もいないのでペースを乱されることなく歩くことができる。白馬鑓ヶ岳の山頂には4:29に到着。日の出前だった。ザックを下ろして日の出を待つことに。日の出は4:47頃。その時間には3人が山頂にいた。日の出を見た後先も長いので行動再開。一回大きく下ってから杓子岳山頂に向けて登り返す。コマクサがあちこちで咲いていた。ここの岩がガラガラで歩きにくい。上から下りてくる人もいるので落石注意で歩く。杓子岳5:37到着。もう人は多数の時間になっていた。山頂でサングラスを付け、落石に注意して下りる。下りきったらその先は登り基調の登山道が続く。花もこの辺りからは賑やかになってきた。ウルップソウはもう終わりだが、ハクサンフウロなどが見られた。振り返れば白馬の二山、左手側には剱岳が見える。稜線歩きが楽しいところだ。頂上宿舎付近になると人の数は更に増える。登りも下りも多数。これから行動開始する人ばかりだと思うが、こちらは既に3時間縦走してきたので、最後の登りが思ったよりも辛く足が上がらない。ゆっくりのペースで進み7:03に白馬岳山頂に到着。例によってここはカオスだったが、適当なところに腰掛けて休憩する。山頂標の写真に順番待ちが出来ていた。ここでまだ今日の行程の1/3程度なので、長居はせずに進む。天気は相変わらず良く、これから目指す小蓮華山までよく見える。そしてその稜線のあちこちに人の姿も見える。今日は人が多いコースなのがよく分かった。
白馬岳山頂からは岩場の狭い道が続くのですれ違い待ちが多い。それでも遅いパーティに追いついてしまうので、適宜先に進ませてもらう。三国境7:43通過。雪倉岳方面へ進みたいが、今日は時間も食料も足りないので諦める。雪倉岳方面はほとんど人がいないが、小蓮華山方面はカオスだった。人が多いので追いついたり抜いたりを繰り返す。テント泊装備なのでそれほど速いペースでは歩けないが、それでも追い抜くことが多かった。小蓮華山は8:15に到着。やはりカオス。人多過ぎ。休憩スペース狭小だったが、白馬岳山頂から歩きづめだったので、座って休む。山頂からは白馬大池が見えた。小蓮華山から下り始めると、小さいながらもお花畑が何箇所も見られた。このコースも過去何度も歩いているが、7月は初めてで花がこれほど多いとは思わなかった。花だけでなく人も多いが、そうなる理由も分かる気がする。船越の頭を過ぎると大池が近付く。大池のそばまで下りてくるとここもお花畑になっていた。チングルマとハクサンコザクラ。どちらも群落になっていた。やはり花の時期に来ると違うなと思った。白馬大池山荘には9:28に到着。ここもカオス。全ての人が泊まる訳ではないと思うがとにかく人が多く、休憩場所を探すのもひと苦労だった。ここまでで持参した1.5リットルの水の内、約半分を消費していたが、この先は下り基調だしコースタイム的にももちそうなので給水はせず進むことに。
大池の北側を半周しつつ岩場を歩く。ゴロゴロの岩で歩きにくいし、すれ違いも多い。ここは栂池からロープウェイとゴンドラを使って比較的楽に到達できるため、人が多いのは致し方ない。白馬乗鞍岳の登りに差し掛かると人だかり。雷鳥の親子がいた。10時ちょうどに白馬乗鞍岳に到着。ここは4月か5月にスキーで来るのがやはり楽だと思った。その時期なら岩場が雪で埋まっていて歩き易いし、何よりスキーならあっと言う間にこの先の斜面も下りられる。しかし今日は普通の山歩きなので岩場の斜面を下るしかない。登りの人を交わしつつなので下りのペースは遅い。それにここまで既に6時間以上歩いているので足も疲れてきた。スリップや滑落に注意して下る。途中一箇所雪渓を横断した。岩場をこなして木道の天狗原に10:45到着。ワタスゲなどがまだ少しだが咲いていた。ベンチにて休憩。このあたりまでくると標高があまり高くないので暑い。しっかり水分を取らないと熱中症になりそう。ここから栂池までは辛いところ。既に展望のない樹林帯歩きになるし、何よりこの時期暑い。笹藪を切り開いただけの殺風景な登山道は、歩いても楽しめる要素もない。それでも登りの登山者はひっきりなしなので、あちこちですれ違い待ちをしつつ進む。栂池まで下りると観光客多数だった。アスファルトの熱気もあるし、山から下りてきた身としては暑くてたまらない。11:36に栂池ロープウェイ駅に到着。今回の縦走のゴール。4分後に出発なので急いでチケット購入して乗り込む。その後はゴンドラを乗り継いで下界へたどり着く。バスの時間まで30分程度あったが、日陰のバス停で待ちつつ過ごす。早めに冷房の効いたバスが現れたので、さっさと乗り込んで休憩。涼しくて快適なので居眠り。バスは定刻12:40に出発し、ほぼ定刻で八方に到着。暑い八方に戻ってきた。
猿倉から栂池の縦走は今回で3回目だったが、季節が違ったので新鮮に感じた。ただ最盛期のため人の数が多いのは致し方なく、この点は違う季節のほうが良かったかもしれない。
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