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Yamareco

記録ID: 5822633
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
塩見・赤石・聖

南アルプス南部縦走 沼平〜鳥倉登山口

2023年08月11日(金) ~ 2023年08月13日(日)
情報量の目安: S
都道府県 長野県 静岡県
 - 拍手
体力度
10
2~3泊以上が適当
GPS
29:14
距離
55.5km
登り
6,615m
下り
5,777m
歩くペース
速い
0.70.8
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
6:46
休憩
0:49
合計
7:35
距離 17.2km 登り 2,680m 下り 1,357m
7:07
7:08
25
7:33
7:34
47
8:22
8:24
60
9:24
9:39
86
11:06
11:26
72
12:38
12:39
6
12:44
12:49
5
12:54
12:59
20
13:20
13:20
50
14:10
14:10
3
14:13
2日目
山行
11:15
休憩
1:47
合計
13:02
距離 23.0km 登り 2,769m 下り 2,632m
14:13
3
2:13
2:13
25
2:38
2:39
43
3:22
3:22
55
4:17
4:23
63
5:26
5:26
28
5:54
5:56
7
6:03
6:04
44
6:49
6:58
32
7:30
7:35
9
8:14
8:50
40
9:31
9:31
70
10:40
10:41
2
10:44
10:45
11
11:07
11:08
8
11:17
11:18
25
11:42
11:43
26
12:09
12:38
40
13:44
13:44
71
14:55
15:05
14
3日目
山行
5:41
休憩
2:18
合計
7:59
距離 15.3km 登り 1,178m 下り 1,794m
15:19
45
6:09
6:09
5
6:14
6:14
19
6:33
6:42
5
6:47
6:47
69
7:56
8:45
3
8:48
8:50
1
8:52
8:52
26
9:18
9:20
32
9:52
9:59
28
10:27
10:27
4
10:31
11:26
10
11:59
12:04
28
12:31
12:33
49
天候 晴れ。午後には稜線でガス。
過去天気図(気象庁) 2023年08月の天気図
アクセス
利用交通機関:
バス
往路は毎日アルペン号で畑薙第一ダムの沼平ゲートへ。
帰路は鳥倉登山口からバスで松川ICへ。高速バスに乗り継ぎ東京方面。
コース状況/
危険箇所等
一般登山道ではあるが、破線ルートの荒川前岳から高山裏避難小屋へ向かうルートの崩壊は大きく、明日崩落が進んで通れなくなっても驚かない。
高山裏避難小屋近辺のトラバース道も、一般的な登山道と比べるとワイルド。
その他周辺情報 松川IC近くの清流荘で温泉に入った。バス停から速歩きで往復40分ほど。乗り継ぎがギリギリだったが、一緒に行ってくれた方と楽しく歩いた。帰りはビールを飲みながら歩いたのも良い思い出。千葉の方、ありがとうございました!
バスに揺られて6時間、沼平より入山。
2023年08月11日 06:26撮影 by  SO-41A, Sony
8/11 6:26
バスに揺られて6時間、沼平より入山。
畑薙大吊橋。
2023年08月11日 07:07撮影 by  SO-41A, Sony
8/11 7:07
畑薙大吊橋。
ウソッコ沢小屋の下の河原歩き。
2023年08月11日 08:00撮影 by  SO-41A, Sony
8/11 8:00
ウソッコ沢小屋の下の河原歩き。
樺段。やっとここまで来た。あと少し!
2023年08月11日 10:37撮影 by  SO-41A, Sony
8/11 10:37
樺段。やっとここまで来た。あと少し!
茶臼小屋の手前で視界が開けた。
2023年08月11日 11:03撮影 by  SO-41A, Sony
8/11 11:03
茶臼小屋の手前で視界が開けた。
ようやく茶臼小屋。
延々と森の中を登ってきて、ぱっと開けてこの景色。天国みたいだ。
2023年08月11日 11:04撮影 by  SO-41A, Sony
1
8/11 11:04
ようやく茶臼小屋。
延々と森の中を登ってきて、ぱっと開けてこの景色。天国みたいだ。
南アルプス南部の稜線に乗った。
2023年08月11日 11:40撮影 by  SO-41A, Sony
1
8/11 11:40
南アルプス南部の稜線に乗った。
茶臼岳を眺める。今回は眺めるだけ。
2023年08月11日 11:40撮影 by  SO-41A, Sony
8/11 11:40
茶臼岳を眺める。今回は眺めるだけ。
上河内岳が大きく見えてきた。
2023年08月11日 11:53撮影 by  SO-41A, Sony
8/11 11:53
上河内岳が大きく見えてきた。
今日の宿泊地、聖平小屋が見えた。
2023年08月11日 12:26撮影 by  SO-41A, Sony
8/11 12:26
今日の宿泊地、聖平小屋が見えた。
南部の山々を振り返る。
2023年08月11日 12:33撮影 by  SO-41A, Sony
8/11 12:33
南部の山々を振り返る。
上河内岳の山頂から。聖岳が大きい。
2023年08月11日 12:45撮影 by  SO-41A, Sony
8/11 12:45
上河内岳の山頂から。聖岳が大きい。
ガスる前に山頂に来れてよかった。
2023年08月11日 12:46撮影 by  SO-41A, Sony
8/11 12:46
ガスる前に山頂に来れてよかった。
登山2日目。聖岳山頂。
ご来光待ちの人がちらほらいたが、今日は行程が長いため、先を急ぐ。
2023年08月12日 04:23撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 4:23
登山2日目。聖岳山頂。
ご来光待ちの人がちらほらいたが、今日は行程が長いため、先を急ぐ。
聖兎のコルへ向かう途中、山肌が赤くなる。
2023年08月12日 04:50撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 4:50
聖兎のコルへ向かう途中、山肌が赤くなる。
兎岳に朝日が差してきた。
2023年08月12日 05:08撮影 by  SO-41A, Sony
1
8/12 5:08
兎岳に朝日が差してきた。
兎岳山頂直下。すごいロケーションに兎岳避難小屋。
2023年08月12日 05:54撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 5:54
兎岳山頂直下。すごいロケーションに兎岳避難小屋。
兎岳に着いた。
2023年08月12日 06:03撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 6:03
兎岳に着いた。
子兎、中盛丸山、大沢岳方面。
知名度は低いが、どの山も立派な山だった。
2023年08月12日 06:03撮影 by  SO-41A, Sony
1
8/12 6:03
子兎、中盛丸山、大沢岳方面。
知名度は低いが、どの山も立派な山だった。
赤石岳と、向こう側には北部の山々も見えてきた。
2023年08月12日 06:03撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 6:03
赤石岳と、向こう側には北部の山々も見えてきた。
兎岳山頂にいた方からライチョウ目撃情報をもらった。
探しながら降っていくと、自分も無事にライチョウを発見。
2023年08月12日 06:08撮影 by  SO-41A, Sony
1
8/12 6:08
兎岳山頂にいた方からライチョウ目撃情報をもらった。
探しながら降っていくと、自分も無事にライチョウを発見。
小兎岳へ登る途中、兎岳を振り返った。
2023年08月12日 06:39撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 6:39
小兎岳へ登る途中、兎岳を振り返った。
聖岳はこっちから見てもデカイ。
ここでライチョウ博士に会う。
2023年08月12日 06:40撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 6:40
聖岳はこっちから見てもデカイ。
ここでライチョウ博士に会う。
小兎岳に着いた。
2023年08月12日 06:56撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 6:56
小兎岳に着いた。
中盛丸山からの降り、大沢岳が構える。
2023年08月12日 07:32撮影 by  SO-41A, Sony
1
8/12 7:32
中盛丸山からの降り、大沢岳が構える。
堂々とした大沢岳。
2023年08月12日 07:40撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 7:40
堂々とした大沢岳。
中盛丸山を振り返る。
2023年08月12日 07:44撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 7:44
中盛丸山を振り返る。
所々歩き難いトラバース道を進んでいくと、百間洞山の家が見えた。
2023年08月12日 08:11撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 8:11
所々歩き難いトラバース道を進んでいくと、百間洞山の家が見えた。
ベンチで休憩させてもらい、コーラを買って飲む。
2023年08月12日 08:51撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 8:51
ベンチで休憩させてもらい、コーラを買って飲む。
百間平への登り始め。まるで山頂直下の急登の様相。
2023年08月12日 09:02撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 9:02
百間平への登り始め。まるで山頂直下の急登の様相。
汗だくになりながら、百間平へ登り詰めた。
2023年08月12日 09:27撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 9:27
汗だくになりながら、百間平へ登り詰めた。
赤い斜面を突っ切る道が見える。地図にある「大斜面のトラバース」。迫力満点。
2023年08月12日 09:57撮影 by  SO-41A, Sony
1
8/12 9:57
赤い斜面を突っ切る道が見える。地図にある「大斜面のトラバース」。迫力満点。
赤石避難小屋。人生に迷ったら泊まりに来よう。
2023年08月12日 10:41撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 10:41
赤石避難小屋。人生に迷ったら泊まりに来よう。
ガスと青空がせめぎ合う赤石岳山頂。
2023年08月12日 10:42撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 10:42
ガスと青空がせめぎ合う赤石岳山頂。
残念ながらガスに飲まれた山頂。
2023年08月12日 10:44撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 10:44
残念ながらガスに飲まれた山頂。
小赤石岳と椹島への下降点。
2023年08月12日 10:49撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 10:49
小赤石岳と椹島への下降点。
2023年08月12日 11:04撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 11:04
小赤石岳から降り、大聖寺平と荒川小屋へのトラバース道。
2023年08月12日 11:35撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 11:35
小赤石岳から降り、大聖寺平と荒川小屋へのトラバース道。
荒川小屋を振り返る。疲れていたのか、写真を取り忘れた。
2023年08月12日 12:45撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 12:45
荒川小屋を振り返る。疲れていたのか、写真を取り忘れた。
荒川前岳への登り途中、鹿よけのフェンスあり。
扉を開けて進む。
2023年08月12日 13:14撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 13:14
荒川前岳への登り途中、鹿よけのフェンスあり。
扉を開けて進む。
ザレた登りに苦戦し、ヒイヒイ言いながら山頂下の分岐へ着いた。
2023年08月12日 13:37撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 13:37
ザレた登りに苦戦し、ヒイヒイ言いながら山頂下の分岐へ着いた。
荒川前岳に着いた。
自分はよく見ていなかったが、山頂の地面に亀裂が入っていたそうだ。その内に山頂も崩壊してしまうのか。
2023年08月12日 13:43撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 13:43
荒川前岳に着いた。
自分はよく見ていなかったが、山頂の地面に亀裂が入っていたそうだ。その内に山頂も崩壊してしまうのか。
噂の登山道崩落現場、通過後に振り返った。
2023年08月12日 13:47撮影 by  SO-41A, Sony
8/12 13:47
噂の登山道崩落現場、通過後に振り返った。
3日目の朝、高山裏避難小屋を出発。
2023年08月13日 05:09撮影 by  SO-41A, Sony
8/13 5:09
3日目の朝、高山裏避難小屋を出発。
苔がきれいな道を歩く。この辺は尾根道はきれいな道だが、トラバースの道はかなりワイルド。
2023年08月13日 05:34撮影 by  SO-41A, Sony
8/13 5:34
苔がきれいな道を歩く。この辺は尾根道はきれいな道だが、トラバースの道はかなりワイルド。
瀬戸沢ノ頭手前の広場。
2023年08月13日 06:34撮影 by  SO-41A, Sony
8/13 6:34
瀬戸沢ノ頭手前の広場。
小河内岳への登りで振り返る。
昨日歩いた山々が全部見えて、嬉しくなる。
2023年08月13日 07:35撮影 by  SO-41A, Sony
1
8/13 7:35
小河内岳への登りで振り返る。
昨日歩いた山々が全部見えて、嬉しくなる。
小河内岳の山頂まで、あと少し。
2023年08月13日 07:44撮影 by  SO-41A, Sony
8/13 7:44
小河内岳の山頂まで、あと少し。
小河内岳山頂に着いた。まだ天気も良かったため、大休憩をとった。
2023年08月13日 08:00撮影 by  SO-41A, Sony
8/13 8:00
小河内岳山頂に着いた。まだ天気も良かったため、大休憩をとった。
前小河内岳への稜線の向こうに、大きな塩見岳。
2023年08月13日 08:00撮影 by  SO-41A, Sony
8/13 8:00
前小河内岳への稜線の向こうに、大きな塩見岳。
南アルプス北部、仙丈ヶ岳や甲斐駒ヶ岳も見えた。
2023年08月13日 08:01撮影 by  SO-41A, Sony
1
8/13 8:01
南アルプス北部、仙丈ヶ岳や甲斐駒ヶ岳も見えた。
小河内岳避難小屋。
2023年08月13日 08:02撮影 by  SO-41A, Sony
8/13 8:02
小河内岳避難小屋。
2023年08月13日 08:49撮影 by  SO-41A, Sony
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8/13 8:49
小河内岳から前小河内岳への縦走路。この区間は最高に気持ち良かった。
2023年08月13日 08:55撮影 by  SO-41A, Sony
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8/13 8:55
小河内岳から前小河内岳への縦走路。この区間は最高に気持ち良かった。
小河内岳避難小屋を振り返る。だいぶガスも出てきた。
2023年08月13日 08:59撮影 by  SO-41A, Sony
8/13 8:59
小河内岳避難小屋を振り返る。だいぶガスも出てきた。
前小河内岳山頂から、小河内岳。向こうにはまだ兎岳も見えた。
2023年08月13日 09:18撮影 by  SO-41A, Sony
8/13 9:18
前小河内岳山頂から、小河内岳。向こうにはまだ兎岳も見えた。
烏帽子岳に着いた。
2023年08月13日 09:52撮影 by  SO-41A, Sony
8/13 9:52
烏帽子岳に着いた。
三伏峠小屋が見えた。意外と崩落地から近い。
2023年08月13日 10:01撮影 by  SO-41A, Sony
8/13 10:01
三伏峠小屋が見えた。意外と崩落地から近い。
稜線に別れを告げた直後に酷く転ぶ。幸いシナノのポールが犠牲になっただけで、ほぼ無傷。
2023年08月13日 10:22撮影 by  SO-41A, Sony
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8/13 10:22
稜線に別れを告げた直後に酷く転ぶ。幸いシナノのポールが犠牲になっただけで、ほぼ無傷。
三伏峠に着いた。
2023年08月13日 10:30撮影 by  SO-41A, Sony
8/13 10:30
三伏峠に着いた。
カレーが11時からとの事で、休憩しながら待機。
2023年08月13日 10:30撮影 by  SO-41A, Sony
8/13 10:30
カレーが11時からとの事で、休憩しながら待機。
カレーライスをゲット。人参が沢山入っていて美味かった!
2023年08月13日 11:07撮影 by  SO-41A, Sony
8/13 11:07
カレーライスをゲット。人参が沢山入っていて美味かった!
バスの時間に余裕があったため、ゆっくり降りてきた。
林道が見えて、感慨深い気分になる。
2023年08月13日 13:21撮影 by  SO-41A, Sony
8/13 13:21
バスの時間に余裕があったため、ゆっくり降りてきた。
林道が見えて、感慨深い気分になる。
鳥倉登山口に着いた。
2023年08月13日 14:05撮影 by  SO-41A, Sony
8/13 14:05
鳥倉登山口に着いた。
撮影機器:

感想

8月10日 

仕事を終えて帰宅すると、玄関脇の暗がりで犬のウン◯をがっつり踏む。なんでこんな所に…とボヤきながら靴を洗ってウン◯を掃除する。
運が付いて良かったんだという事にして、気を取り直し台風や林道通行止め情報を改めてチェック。
とりあえず13日下山なら大丈夫だろうと、出発を決定する。

京王八王子駅を24時15分に出発する毎日あるぺん号に乗るため、最寄りの駅に30分かけて歩く。もうこの時点で汗だくでやばい。
びちょびちょの自分に追い打ちをかけるように、電車遅延のアナウンス。しかし終電でのアクセスで時間が余るくらいだったので事なきを得る。

無事に京王八王子駅の毎日あるぺん号発着場所に到着し、バスの到着を待つ。
辺りにはバス待ちの登山者が続々集まってきて、自分の気分も上がってくる。
お盆休み渋滞のためバスは少し遅れて到着したが、無事に我々登山客を、それぞれのバスに乗せて各地の登山口へ向けて出発していった。


8月11日 登山1日目

渋滞する東名を抜け、延々と細い山道を走り続けてバスが沼平に到着した。
爽やかなバスの運転手さんに大変な運転の感謝を告げて、6時30分、いよいよ登山開始。

7月に茶臼岳と上河内岳、光岳に登っていたので、上河内岳までは予行演習済みだ。
茶臼小屋までの5時間程のキツイ登りは、熱中症にならないように気を付け、水を大量に飲みながらじりじり登っていった。

シャツもパンツも靴下もびちょびちょになりながら登り続け、ウソッコ沢小屋、横窪沢小屋、樺段を通過。木の階段を越えた所で、今日初めて視界が開けた。
抜けるような青空の下、沢が流れる草原の斜面に、沢山の布団が干された茶色い小屋が見えた。
やっと茶臼小屋に着いた。

茶臼小屋に着いたら休憩と決めていたので、テーブルを借りて一休み。水を汲んでトイレを借り、日焼け対策を施す。
隣のテーブルの方と少しお話。お互いの山行計画を教え合い、気を付けて、と送り出してもらう。元気をもらい、稜線に向けて再度歩き出した。

茶臼小屋から稜線に向かう短い登りで、お洒落なサングラスをかけて手にプラティパスを持った若者集団とすれ違う。どこかの大学の子たちかとは思ったが、後々の情報によると都内の有名私立大学の山岳部と判明。流石お洒落だった訳だ。

稜線に乗り、未だに快晴の茶臼岳方面を見やる。山頂から光岳や光小屋を見たい気持ちもあったが、早く聖平小屋に着きたかった為、今日は上河内岳方面に直行した。
だいぶ雲が増えてきたが、お花畑からはまだ青空の下の上河内岳が大きく見えた。
7月に来た時はガスで何も見えなかったが、今日はまだイケる!そう思って先を急ぐ。

森林限界を越え、恐らく奇岩竹内門と地図にある大きな岩の間を進み、アルプスらしい岩稜帯を上河内岳の肩に向けて登って行く。
すると、先を行く登山者が何やらキラキラと光っているのに気付いた。
あれは…日傘か!山では初めて見たぞ!

日傘なら、長袖じゃなくても良さそうだし、身に付ける物に直接日光も当たらないしある意味理想的だな、などと考えている内に肩に到着。
ザックをデポして上河内岳山頂へ急いだ。

ザックの重さから開放されて気分良く登って行き、念願の晴れた上河内岳の山頂に着いた。
雲が多くなって来ていて快晴とはならなかったが、大きくそびえる聖岳、歩いて来た茶臼岳方面の稜線を見ることが出来て満足した。
そして山頂には先程の日傘の方がいて、思わず日傘やあれやこれやと話し込んでしまった。
すぐ後に登ってきた若者2人ともお喋りした後に、山頂から聖平小屋へ向けて歩き出した。

なんだか妙にウマが合う気がしてしまい、日傘の方と一緒に色々な話をしながら降って行く。
今日の登山も終盤、一人なら降りで足が辛くなるが、お喋りしながらだとそこまで辛くはない。人間というものは不思議なものだ。
岩稜帯から森の中を降っていき、お花畑に出て木道を少し歩くと、本日の幕営地、聖平小屋に到着した。

せっかくなので一緒にテントを張り、小屋の脇のテーブルで初日の打ち上げをした。
ビールを片手にお互いの山の話、装備の話をしたが、IさんはUL方面にとても詳しく、今後の自分の装備の参考になる話を沢山してもらった。
ザックや小物、ドライフードを自作してしまう人のお話はとても面白く、軽量化に対する考え方、トレランの話やポッドキャストの話などなど。テングラヂオ、早速聴いてますw

テントに戻り夕食を済ませ、翌日自分は早出の為、Iさんとはここでお別れである。
望外の楽しい時間をありがとうございました!今後もお互い、元気に山に行きましょう!


8月12日 登山2日目

今日は高山裏避難小屋まで行く予定だ。2時出発に向けて、1時位に起床。
昨晩の内に水で戻しておいたリゾッタで朝食。寝袋の中で温めておいたが何故か漏水していたようで、念のため入れておいたジップロックの中がびちょびちょになっていた。ギリギリセーフか。

外に出て夜空を見ると、満点の星空。今日も良い天気になると良い。
2時を少し過ぎ、聖岳へ向けて出発。

ナイトハイクで黙々と歩いていく。
樹林帯を抜け、小聖岳を通過し、聖岳の砂礫の大斜面の登りに取りかかる。
だがしかし、しばらく登った所で足元がずりずりになって、ルートミスに気づいて大いに慌てる。
下に他の登山者が居るし、石でも落としたら大変だ。
ヘッドライトで辺りを見渡すが、何処が登山道か分からない。
しょうがないからスマホでルートを確認して、10mほどトラバースして無事に登山道に復帰。ヤマレコ様々である。
この後おまけのルートミスをかました後、何とか前聖岳山頂へ到着。
もっとしっかりしないと色々危ないな、と凹む。
しかし夜明け前の空は綺麗で、富士山のシルエットにも癒やされる。

前聖でご来光を、とも考えたが、まだまだ先も長いし進んでおく事にする。
少し歩いてる内に、山肌が薄く赤く染まって来た。
夜が明けていく山の中を歩いていると、なにか幸せな、安心するような気分になるのは自分だけだろうか。

聖兎のコル近辺の道は、凄まじい斜度の山肌にどうにか付けたような道だった。
おいおいおい、と一人で山にツッコミながら、慎重に越えていく。
兎岳を登り始めると朝日が差してきた。今日も暑くなるのを確信し、汗をかきながら山頂を目指す。
兎岳山頂直下に、ハイマツに埋もれるように兎岳避難小屋あり。

兎岳の山頂からは、これから向かう小兎岳、中盛丸山、大沢岳がよく見えた。ノーマークの山々であったが、どの山も堂々として格好良い。
赤石岳と、今まで見えなかった北部の山々も見えてきて嬉しくなる。

山頂にいた方からライチョウ情報をもらい、頂上付近でライチョウを発見。全然逃げなくてこっちがびっくりだ。
とりあえず写真に収める。

小兎岳の山頂下では、ライチョウに大変詳しい青年に出会った。
ライチョウの羽の特徴を教わり、行き先を告げると励ましをもらった。ありがとう、ライチョウ博士!

小兎岳を越え、特徴的な山体の中盛丸山を越え、大沢岳が真正面にそびえ立つ百間洞下降点に着いた。
当初は大沢岳に行くつもりだったが、正直もう疲れてきた。
百間洞山の家で休憩することにして、トラバース道に進路をとった。

百間洞山の家、こんな場所に綺麗な山小屋があるなんて、ちょっと信じられないような場所にある。
そしてコロナ前まではカツ丼が食べられたなんて、もっと信じられん。
カツ丼は無くともコーラを買い、トイレを借りて、小屋前のテーブルで大休憩。
誰もいないのを良いことに、靴も脱いで根っ子が生えそうになる。

しばらく休んだ後、重い腰とザックを持ち上げ、赤石岳に向かい出発。
まずは百間平への登りだ。
休憩で回復した体力を瞬く間に減らしながら、岩がゴロゴロした急斜面を登っていく。
しんどいなーと思いながらも、大汗をかいて何とか百間平に乗る。
その名の通り広々とした百間平を進んでいくと、赤石岳の赤い斜面に定規で線を引いたような道が見えた。
地図にある、「大斜面のトラバース」だ!

赤石岳の懐に飛び込むようなトラバース道を進んでいき、さらに回り込みながら登り詰めて行く。
下から見えていたニセピークを通過すると道はなだらかになり、避難小屋と山頂標識が見えた。

だいぶガスが上がって来ていて景色は望めないが、今日歩きながらずっと見ていた赤石山脈の盟主、赤石岳の山頂に遂に着いた。
赤石岳避難小屋と山頂標識を写真に納め、きっと晴れた日にまた来ようと心に思う。

赤石岳でゆっくりしたい所ではあるが、まだ荒川前岳が残っている。
時間もだいぶ遅くなってきたので、雲の中に隠れてしまった荒川岳に向け、そそくさと山頂を後にした。

小赤石岳を通過して急坂を降っていくと大聖寺平。
その先にトラバース道がくっきり見えている。
行動時間が9時間を超え結構疲れた。荒川小屋で早く休憩したい。その一心でトラバース道に入ってい行く。

この辺りの山小屋にお決まりの、小屋近くの急傾斜のジグザグをこなし、荒川小屋に着いた。
この山小屋も、こんな山の中に有るのにとても綺麗で驚く。
トイレを借りて水を汲み、高山裏避難小屋の情報収集。
やはり高山裏避難小屋ではビールが売っていない事を確認し、ビールと柿ピーを買う。
最後に400m位登るというのにザックが重くなってしまったが、取り敢えず気にしないことにして意気揚々と出発。早く着いて早くビールを飲もう。

荒川前岳への登りは、やはりキツかった。
雨が降ってきませんよーに。雷が鳴りませんよーに。と願いながら登っていく。
幸いにも雨も雷も大丈夫だったが、稜線が近づくにつれて道は急になりザレてきた。
登りづらい道に苦戦しながらも、今日の最後の登りなんだと、ヒイヒイ言いながら登りきった。

稜線に乗ったら即左折。悪沢岳はまた今度だ。
果たして2日目の最後の山頂、荒川前岳に到着した。
疲れてるし景色も無いし、ササッと山頂標識の写真を撮って、もうそこに見えている登山道崩壊地点に向かう。

荒川前岳山頂からすぐの登山道崩壊地点を前にして思ったことは、「やっぱり話題になるだけあって、結構やばいな。」だった。
崩壊地点を通過後に思ったことは、「この道は早く廃道にして、他に崩れなさそうな所に道を作らないと駄目だ」だった。

崩壊地点をビビり散らしながら通過して、最後のひと仕事、「標高差約600mのカールの大斜面」の降りに取りかかる。
岩がゴロゴロの急傾斜を、黙々と降って行く。が、ここまでの歩きで疲弊した足にはマジでツラい。
スライドする登山者達と互いを応援しあい、転ばぬよう注意しながら延々と降っていった。

岩だけしか無かったカールの先に森が出て来た。そろそろ降りも終わりかと期待するも、森に入ってもまだ降る。
地図に小広場とある所からトラバースの道に入って行ったようだが、どこが小広場だったのか気付かず通り過ぎた。

ワイルドなトラバース道を進み、小屋手前の水場に着いた。
荒川小屋で、高山裏避難小屋で水が少ないから手前で水を汲んでおくように。と張り紙があったので、今日明日の水をとる。がしかし、ここで追い抜かれた方達の話によると、高山裏でも水はちゃんと出てるとの事。
どうしようかと思案するも、小屋から水場は結構遠いとのことだったので、やはりここで水を汲んでおく事にした。
ビールと水4Lが重く肩にのしかかるが、15分ほどで高山裏避難小屋に着いた。

今まで見てきた南部の小屋の中でも、特別質素な高山裏避難小屋。
いかにもここの管理人をしてそうなおっちゃんに、テントの受付とカップヌードルの購入をお願いした。
翌日の鳥倉登山口のバス時刻も近くにいた方から教えてもらい、さあ!今日は閉店だ!

まだ空いていた区画にテントを張り、湯を沸かして夕食の準備をする。
昨晩の夜露と結露で濡れたままのテントに、自分のウェアも濡れたまま乾いていない。不快指数100%であるが仕方ない。
せっせとカップヌードルとカレーメシを作り、はるばる荒川小屋から買ってきたビールを飲む。
疲れの為か、あっという間に酔いが回る。
この2日間の山の思い出に浸りながら、なんて事もなく、食事を終えたらとっとと寝てしまった。


8月13日 登山3日目

台風の為か、遠くに下山する人達は早出が多かったようだ。
1番早いグループは、昨晩11時にスタートしていった。
自分は鳥倉下山に向けて5時出発。何だか予想外に天気が良さそうだ。

この2日間とは異なり、風が通って気持ちが良い。
苔の綺麗な尾根道、ワイルドなトラバース道、崩壊地の縁を順々に巡り進んでいく。
板屋岳(山頂票は有ったのだろうか?)、瀬戸沢ノ頭を通過。しかし今日は足が重い。流石に3日目ともなると疲労が抜けないようだ。
でも今日は降りるだけ。時間もかなり余裕がある。ゆっくり気楽に歩いて行こう。

てくてく歩いて行き、気が付いたら小河内岳の登りに取りかかっていた。
森林限界を抜けてハイマツ帯になり、視界が開けた。
これ以上ない青空の下、ハイマツに覆われた山頂への道が見えた。
振り返ると、昨日と今日、歩いてきた山々が全て見えた。

山行最終日にこんなボーナスがあるなんて、なんてツイてるんだと、良い気分で登り小河内岳の山頂に到着した。
360°遮るもののない山頂からは、ハイジが住んでいそうな小河内岳避難小屋、荒川岳、赤石岳、大沢岳、中盛丸山、兎岳、百間平の向こうに聖岳が見えている。
北部の山々も良く見え、塩見岳、仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳も見えた。他の山は勉強不足で分からなかったが、これ以上ない景色を山から貰った気がする。

天気も良くて風もある。テントを干すにはうってつけだった為、広い山頂の端っこでフライもインナーも干すことにした。

日向ぼっこしながらぼーっとしていると、昨日から行程の重なった親子2人の登山者が山頂に到着し、色々と話相手になってもらう。
このお2人とは鳥倉まで休憩が度々重なり、その度にお話をした。
随分遠くから南アルプスに来たという話、山岳部の話や、息子さんとの登山のあれこれ、どのお話も面白く聞かせてもらい、ありがとうございました。

さて、小河内岳の山頂でゆっくりしていると、東側の山の稜線を雲が越えてきた。まだ早いがぼちぼち行こう。
広げていた荷物をしまい、前小河内岳に向けて歩き出した。

背の低いハイマツの中の登山道を気持ち良く歩いて行き、時々振り返れば小河内岳避難小屋が小さくなって行った。
だいぶ雲が増え、日が陰ってきた。涼しい風が抜けて行く。

前小河内岳に着いて、小河内岳を振り返る。南部の山も小さくなったがまだ見えている。
写真を撮って、烏帽子岳に向かう。

鳥倉のバス時刻には余裕があるし、三伏峠小屋で何か食べたいな、などと下山モードになりながら、烏帽子岳に到着。
稜線の景色もこれで最後かと、烏帽子岳山頂から周りを見渡す。
3000m級の山の頂きはもう雲の中、崩壊地の近くに三伏峠小屋を見つけ、写真に収めた。
まだ見えていた兎岳、中盛丸山、大沢岳の連なりを目に焼き付けた。

三伏峠小屋に向けて樹林帯の中に入っていくと、何回か崩壊地の縁を通る。もう少しで尾根を離れる所で、木々の間から稜線が見える場所があった。
本当にこれで最後だなと、ちょっと感傷的な気分で景色を眺めた。

そして、踵を返して一歩踏み出した時、足元の木の根っこに気付かずに盛大にコケる。もう、これ以上ないくらいコケた。
しかし、シナノのポールが下敷きになってくれたお陰で、肘をちょっと擦りむいたくらいでほぼ無傷。不幸中の幸いである。
自分の代わりに犠牲になったシナノはぐにゃりと曲がったが、まだいけそうなので鳥倉まで頑張ってもらった。

三伏峠小屋に着くと、まだ10:30。聞くとカレーは11:00からとのことで、暫し待機。
時間になってカレーを無事にゲットしぺろりと完食。人参が沢山入っていて美味しかった。

後はもう、ゆっくり歩いて行くだけだ。急ぐ必要もない。
ほとけの清水で最後の南アルプスの天然水を飲む。
最後の最後、登山口までほんの少しの所に、ちょうど良い休憩ポイントがあったからまた休む。
親子の2人も一緒に休み、降りるのを惜しむようにまたお話。
ずっと休憩していたくもなるが、バスに乗れなくなっても困るのでいよいよ歩き出した。

程なくして木々の隙間に林道とバス停の小屋が見えてきた。
木陰にはバス待ちの登山者達。皆、良い山歩きが出来たのだろうか。
林道に出て、振り返って登山口の写真を撮った。

3日間で40本のカロリーメイトを食べた山旅が、終わった。

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