今は安曇野市となった旧三郷村小倉から鍋冠山方面へと山を駆け上って行く三郷スカイライン。展望台の少し下にある冷沢登山口駐車場から夜明けとともに出発します。
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今は安曇野市となった旧三郷村小倉から鍋冠山方面へと山を駆け上って行く三郷スカイライン。展望台の少し下にある冷沢登山口駐車場から夜明けとともに出発します。
駐車場からまもなくでスカイライン展望台。標高はすでに1400mで、グライダーの離陸台から見下ろす松本平は雲海に覆われていました。
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駐車場からまもなくでスカイライン展望台。標高はすでに1400mで、グライダーの離陸台から見下ろす松本平は雲海に覆われていました。
展望台の先で、“なめしあたま”へと登って行く三郷スカイライン跡と別れ、島々谷(鍋冠)林道を辿ります。展望台から1kmほどでゲート、その気になればここまで車で乗り入れることも可能です。
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展望台の先で、“なめしあたま”へと登って行く三郷スカイライン跡と別れ、島々谷(鍋冠)林道を辿ります。展望台から1kmほどでゲート、その気になればここまで車で乗り入れることも可能です。
これから登る鍋冠山(なべかんむりやま)。名前の通り、お鍋をかぶったような丸い山容です。鍋冠山を越えて大滝山へ至る道はかつて飛州新道と呼ばれ、江戸時代に開通し信州松本と飛騨高山を結んだ交易の道でした。
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これから登る鍋冠山(なべかんむりやま)。名前の通り、お鍋をかぶったような丸い山容です。鍋冠山を越えて大滝山へ至る道はかつて飛州新道と呼ばれ、江戸時代に開通し信州松本と飛騨高山を結んだ交易の道でした。
駐車場から林道を歩くこと3.5km、1時間半ほどかかって実質的な登山口となる冷沢に到着です。島々谷林道の名の通り、林道はここで峠を越えて冷沢から島々谷方面へと下って行きますが、地形図の通り旧安曇村島々から登って来る島々谷(島々)林道とは3km余りの未開通区間があり、しばらく先で行き止まりとなっています。あちらの林道もちょっと面白いんですが…(笑)。
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駐車場から林道を歩くこと3.5km、1時間半ほどかかって実質的な登山口となる冷沢に到着です。島々谷林道の名の通り、林道はここで峠を越えて冷沢から島々谷方面へと下って行きますが、地形図の通り旧安曇村島々から登って来る島々谷(島々)林道とは3km余りの未開通区間があり、しばらく先で行き止まりとなっています。あちらの林道もちょっと面白いんですが…(笑)。
ここは江戸時代に島々谷から梓川へと流れる冷沢の水を尾根を越えて安曇野・烏川へと流した冷沢用水の工事が行われた場所で、200年経った今も水は安曇野へと送られています。ここが大滝山への最後の水場、写真左奥の小さな堰堤の先で、冷沢の小さな流れで喉を潤します。
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ここは江戸時代に島々谷から梓川へと流れる冷沢の水を尾根を越えて安曇野・烏川へと流した冷沢用水の工事が行われた場所で、200年経った今も水は安曇野へと送られています。ここが大滝山への最後の水場、写真左奥の小さな堰堤の先で、冷沢の小さな流れで喉を潤します。
冷沢から大滝山へは標高差900m、およそ7kmの道のりです。少し長丁場ですが、大滝山の稜線直下の急登以外は比較的なだらかで、ほとんど人が歩かないルートの割には歩きやすい道が続きます。今の登山道とはちょっとルートが異なる場所もあるんですが、そのあたりはやはりかつての街道だった名残でしょうか。
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冷沢から大滝山へは標高差900m、およそ7kmの道のりです。少し長丁場ですが、大滝山の稜線直下の急登以外は比較的なだらかで、ほとんど人が歩かないルートの割には歩きやすい道が続きます。今の登山道とはちょっとルートが異なる場所もあるんですが、そのあたりはやはりかつての街道だった名残でしょうか。
標高2194.24m、三等三角点「鍋冠」が埋設された鍋冠山山頂です。山頂含めここまでほとんど展望はなく、原生林の中の道が続きます。人気の蝶ヶ岳や常念岳に近接しながら誰にもお会いすることなく、とても北アルプスとは思えない静寂の道です。
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標高2194.24m、三等三角点「鍋冠」が埋設された鍋冠山山頂です。山頂含めここまでほとんど展望はなく、原生林の中の道が続きます。人気の蝶ヶ岳や常念岳に近接しながら誰にもお会いすることなく、とても北アルプスとは思えない静寂の道です。
なだらかな八丁ダルミを過ぎると傾斜もきつくなり、やがて高山植物が咲く明るい斜面を行くようになると、まもなく稜線に出ます。
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なだらかな八丁ダルミを過ぎると傾斜もきつくなり、やがて高山植物が咲く明るい斜面を行くようになると、まもなく稜線に出ます。
秋のお花畑を彩るミヤマトリカブト(キンポウゲ科)。青紫色の美しい花ですが、トリカブトはドクウツギ、ドクゼリと並ぶ日本三大有毒植物の一つ。
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秋のお花畑を彩るミヤマトリカブト(キンポウゲ科)。青紫色の美しい花ですが、トリカブトはドクウツギ、ドクゼリと並ぶ日本三大有毒植物の一つ。
可憐なピンクの花はハクサンフウロ(フウロソウ科)。夏のお花畑の代表種で、最初に発見された山からハクサンの名を冠しますが、白山に限らず東北から中部にかけての高山に広く分布します。ハクサンイチゲやハクサンコザクラなど「ハクサン」の名を冠した高山植物が多いのは、白山で古くから高山植物の研究が進められたため。
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可憐なピンクの花はハクサンフウロ(フウロソウ科)。夏のお花畑の代表種で、最初に発見された山からハクサンの名を冠しますが、白山に限らず東北から中部にかけての高山に広く分布します。ハクサンイチゲやハクサンコザクラなど「ハクサン」の名を冠した高山植物が多いのは、白山で古くから高山植物の研究が進められたため。
カンチコウゾリナ、別名タカネコウゾリナ(キク科)。漢字で書くと「髪剃菜」と書き、その由来は茎や葉に生える剛毛が、触ると手が切れそうなことから剃刀(カミソリ)菜が転じたとも、剛毛のザラザラした感触が髭剃り後のような感じであるからとも云われています。
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カンチコウゾリナ、別名タカネコウゾリナ(キク科)。漢字で書くと「髪剃菜」と書き、その由来は茎や葉に生える剛毛が、触ると手が切れそうなことから剃刀(カミソリ)菜が転じたとも、剛毛のザラザラした感触が髭剃り後のような感じであるからとも云われています。
振り返れば、ずいぶん遠くに鍋冠山が見えます。1835(天保6)年に信州・小倉村から上高地を経て飛州・中尾村まで完工した飛州新道。そしてその道は、登山者なら誰もが憧れる槍ヶ岳や穂高岳を開山した僧侶・播隆上人が辿った道でもありました。
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振り返れば、ずいぶん遠くに鍋冠山が見えます。1835(天保6)年に信州・小倉村から上高地を経て飛州・中尾村まで完工した飛州新道。そしてその道は、登山者なら誰もが憧れる槍ヶ岳や穂高岳を開山した僧侶・播隆上人が辿った道でもありました。
常念山脈の主稜線に出て、南へ緩く登ればまもなくで本日の宿泊地となる標高2616mの大滝山北峰です。晴れていれば槍穂高の姿も望めるんですが、この時はガスで拝めず。
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常念山脈の主稜線に出て、南へ緩く登ればまもなくで本日の宿泊地となる標高2616mの大滝山北峰です。晴れていれば槍穂高の姿も望めるんですが、この時はガスで拝めず。
テント場から100mほど南へ進めば、北アルプスの喧騒とは無縁の大滝山荘です。この時は留守にされていて、後ほどテントの受付(一人2000円)をお願いしました。水は1ℓ200円、小屋ではコーラ(500㎖ペットボトル500円)なども売っていました。
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テント場から100mほど南へ進めば、北アルプスの喧騒とは無縁の大滝山荘です。この時は留守にされていて、後ほどテントの受付(一人2000円)をお願いしました。水は1ℓ200円、小屋ではコーラ(500㎖ペットボトル500円)なども売っていました。
テント泊初めての仲間二人のために、夕食は定番のカレーを作ります。個人的にはワンゲル時代そのままに、米は洗わず炊いて野菜は皮を剥かずに使ってほしかったんですが、そこは仲間に抵抗されて、米は無洗米、ニンジンやジャガイモはしっかり皮を剥かれていました(涙)。
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テント泊初めての仲間二人のために、夕食は定番のカレーを作ります。個人的にはワンゲル時代そのままに、米は洗わず炊いて野菜は皮を剥かずに使ってほしかったんですが、そこは仲間に抵抗されて、米は無洗米、ニンジンやジャガイモはしっかり皮を剥かれていました(涙)。
天気図を書いたり夕食を作っているうちに気が付けばガスが取れ、槍穂高のシルエットが薄暮の空に浮かび上がっていました。右奥に見える小さなとんがりが槍ヶ岳、その手前のなだらかな黒いシルエットが蝶ヶ岳です。1826年、播隆上人は小倉村の中田又重を案内人として飛州新道を辿り、大滝山から蝶ヶ岳を越えて熊倉沢を下り、そこから槍沢を詰めて槍ヶ岳初登頂を果たしました。
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天気図を書いたり夕食を作っているうちに気が付けばガスが取れ、槍穂高のシルエットが薄暮の空に浮かび上がっていました。右奥に見える小さなとんがりが槍ヶ岳、その手前のなだらかな黒いシルエットが蝶ヶ岳です。1826年、播隆上人は小倉村の中田又重を案内人として飛州新道を辿り、大滝山から蝶ヶ岳を越えて熊倉沢を下り、そこから槍沢を詰めて槍ヶ岳初登頂を果たしました。
久しぶりに味わうアルプス稜線でのテン泊。
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久しぶりに味わうアルプス稜線でのテン泊。
眼下の賑やかな灯は松本市街。空にも地上にも無数の星が輝いていました。
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眼下の賑やかな灯は松本市街。空にも地上にも無数の星が輝いていました。
一面の雲海となった夜明け。
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一面の雲海となった夜明け。
遠く東の空には黎明の富士。
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遠く東の空には黎明の富士。
振り返れば、槍穂高がモルゲンロートに染まっていました。
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振り返れば、槍穂高がモルゲンロートに染まっていました。
穂高連峰。左から前穂高岳(3090.5m)、奥穂高岳(3190m)、涸沢岳(3110m)、北穂高岳(3106m)。奥穂左奥の小さく尖った2つのピークが、西穂へと続く稜線上にあるジャンダルム(左)とロバの耳(右)。
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穂高連峰。左から前穂高岳(3090.5m)、奥穂高岳(3190m)、涸沢岳(3110m)、北穂高岳(3106m)。奥穂左奥の小さく尖った2つのピークが、西穂へと続く稜線上にあるジャンダルム(左)とロバの耳(右)。
そして天を突く槍ヶ岳(3180m)。槍も穂高も学生時代以来遠ざかっていて、こんな景色を見ると久しぶりにまた歩きたくなります。
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そして天を突く槍ヶ岳(3180m)。槍も穂高も学生時代以来遠ざかっていて、こんな景色を見ると久しぶりにまた歩きたくなります。
南東方向には、富士山と南アルプス。日本第二位の高峰・北岳を筆頭に、甲斐駒から光まで全山を一望します。
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南東方向には、富士山と南アルプス。日本第二位の高峰・北岳を筆頭に、甲斐駒から光まで全山を一望します。
本当は蝶ヶ岳をピストンする予定だったんですが、夜明けから刻一刻と表情を変えるアルプスの姿に見惚れ、もう十分満足してしまって大滝山でゆっくりすることにしました。
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本当は蝶ヶ岳をピストンする予定だったんですが、夜明けから刻一刻と表情を変えるアルプスの姿に見惚れ、もう十分満足してしまって大滝山でゆっくりすることにしました。
なだらかな大滝山山頂部には、雲上に小さな池塘が点在します。
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なだらかな大滝山山頂部には、雲上に小さな池塘が点在します。
蝶ヶ岳へは行かない代わりに、大滝山南峰へ。標高は2614.63m、三等三角点「大滝」が設置されています。
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蝶ヶ岳へは行かない代わりに、大滝山南峰へ。標高は2614.63m、三等三角点「大滝」が設置されています。
東には雲海に浮かぶ八ヶ岳、富士山、そして南アルプス。
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東には雲海に浮かぶ八ヶ岳、富士山、そして南アルプス。
徳本峠に続く尾根の向こうには、左から御嶽山、乗鞍岳、霞沢岳、六百山、そして焼岳。
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徳本峠に続く尾根の向こうには、左から御嶽山、乗鞍岳、霞沢岳、六百山、そして焼岳。
さらに右へと視線を移せば、蝶ヶ岳から徳沢に落ちる長塀尾根越しに穂高、大キレット、そして槍。槍穂高の迫力はやはり蝶や常念には敵いませんが、こんな大展望の山頂に立っているのは自分達だけたった3人、なんとも贅沢な眺めです。
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さらに右へと視線を移せば、蝶ヶ岳から徳沢に落ちる長塀尾根越しに穂高、大キレット、そして槍。槍穂高の迫力はやはり蝶や常念には敵いませんが、こんな大展望の山頂に立っているのは自分達だけたった3人、なんとも贅沢な眺めです。
蝶ヶ岳への気持ちよさそうな稜線に別れを告げて、鍋冠山へと下って行きます。結局この2日間でお会いしたのは、大滝山で単独行の方お二人と下山途中に登ってこられるご夫婦のわずか4人。すぐ向こうに見える蝶は今日も多くの登山者で賑わっているはずですが、そんな喧騒とは全く無縁の大滝山でした。
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蝶ヶ岳への気持ちよさそうな稜線に別れを告げて、鍋冠山へと下って行きます。結局この2日間でお会いしたのは、大滝山で単独行の方お二人と下山途中に登ってこられるご夫婦のわずか4人。すぐ向こうに見える蝶は今日も多くの登山者で賑わっているはずですが、そんな喧騒とは全く無縁の大滝山でした。
かつての夢破れて今は寂しく残された三郷スカイライン展望台。観光客の姿はありませんが、展望台の名に恥じない松本平の大展望が広がります。
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かつての夢破れて今は寂しく残された三郷スカイライン展望台。観光客の姿はありませんが、展望台の名に恥じない松本平の大展望が広がります。
飛州街道に播隆上人、そして三郷スカイライン…目的こそ違えどいずれもがその丸い頂きを目指した鍋冠山。かつて三郷で暮らしていた頃と何も変わらず、今日も優しく安曇野を見守ります。
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飛州街道に播隆上人、そして三郷スカイライン…目的こそ違えどいずれもがその丸い頂きを目指した鍋冠山。かつて三郷で暮らしていた頃と何も変わらず、今日も優しく安曇野を見守ります。
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