鳥海山《日本百名山》
- GPS
- 12:48
- 距離
- 20.2km
- 登り
- 2,200m
- 下り
- 1,505m
コースタイム
- 山行
- 7:20
- 休憩
- 0:48
- 合計
- 8:08
- 山行
- 3:05
- 休憩
- 1:35
- 合計
- 4:40
天候 | 1日目(7/27):晴れ 2日目(7/28):晴れのち曇り一時雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2007年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
下山:大平山荘から庄内交通バスで酒田駅 |
写真
感想
1日目(7/27)
7月16日の中越沖地震の影響で信越本線が不通になり寝台特急“日本海”は長期運休になってしまった。レール&レンタカー切符を準備していたのに急遽、東京経由に変更し、同行者さんが乗る予定の東京からの夜行バス“夕陽号”にシェアし酒田に辿り着いた。バスターミナルで待機していたタクシーに乗り鳥海山南西にある長坂道登山口の山ノ神(標高325m)に入った。長い登山道なので余り使われていないのか運転士も知らなかった。それでもしっかりした案内板があり、小奇麗なトイレも設置されているのは、高瀬渓谷散策への入り口であるせいかもしれない。8時に歩き出してすぐ檜ノ沢(ひのそ)を飛び石で渡渉し、なだらかな道を進んだ。樹林帯でこれといった花もなく単調な歩行が暫く続く。やがて高瀬峡への道と一ノ瀬からの道が交差し、さらに400mほど行くとバンバ沢の渡渉だ。その傍らには堅餅岩という角ばった岩があった。
標高700m辺りから傾斜が増し急登となって“ガラ場”に達したが「ガラ場」というほど荒れた地形ではない。此処で一ノ坂からの登山道が合流している。標高1,085mの天狗岩辺りから徐々に展望が開け、花の種類も増えてきた。長坂道の東側は檜ノ沢の谷へスパッと切れ落ちている。いよいよ山頂域の雲の中に入ってしまったが雲が飛び始めており、目前の笙ヶ岳の山頂が時折見え出した。指導標がなく確定は難しいが、西竜巻、東竜巻を過ぎると残り標高差は300m程となった。しかし先はまだまだ長い。
遂に森林限界を抜け、斜面の下にニッコウキスゲとコバイケソウの群落が顔を見せた。遠くて写真を撮ることはできないが、標高が上がるに攣れて登山道脇に近づいてきた。一面に広がるニッコウキスゲの黄色、負けじと鎌首をもたげるコバイケソウの白、可憐な釣鐘を下げたハクサンシャジンの紫、それぞれがわが世の春と云わんばかりに咲き誇っている。同行者さんは5月の連休以来の山行だが、どうも調子が出ていない。コースタイムを上回るスローペースになって喘いでいる。花を愛で写真を撮って遅れてもすぐに追いついてしまう。しかし今日は山頂小屋泊なので急ぐ必要はない。
ぶらぶら歩いていると何時しか笙ガ岳(1,653m)に達した。同行者さんは相当きつかったようで耐え切れずザックを下ろした。ここまで5.8辧4時間かかり標高差1,300mを登った。昼食の大休止を取ると幾分体力を回復したようだ。この頃になると鳥海山頂を包んでいた雲が密度を薄め時折、稜線が姿を現すようになった。笙ヶ岳には2等三角点「笙ヶ岳」が設置され展望は360°あるが山頂標識はない。北に二峰、三峰を伴いだんだん高くなっていく。地抜川源流の檜ノ沢の谷は東側に落ち込み向かい側に近づいた鍋森(1,652m)との間に収束した。
お花畑の山頂域を進み三峰を越えると吹浦口の河原宿に下る道が分岐する。さらに小さなピークを越えると御浜神社へ登って行く道が緩やかに左に分岐する。初めての登山者との出会いはこの分岐点だった。御浜神社から下ってくる4人組はこれから長坂道を下るという。我々は鳥海湖へと下り、湖の南端をかすめ万助道との合流点に到る。鳥海湖は扇子森、御浜神社のピークから発する沢の水を集めるが流れ出す川はない。
扇子森の南東山麓を巻いて行くと小さな沢を横断する。堅餅岩以来の水場でこれ以後水はない。やがて御田ヶ原分岐で扇子森から下ってくる道と合流した。ここからは象潟口、吹浦口からのメインルートで、石畳が敷かれた広い道となる。日帰り登山者の下山時間でかなりの人と出会った。この辺りは特にニッコウキスゲの群落が素晴らしい。鳥海山固有種のチョウカイアザミは黒い塊を付けているので花は終わったのかと思ったが、実はこれは蕾でこれから咲くそうだ。
小ピークを巻いて七五三掛(しめかけ・標高1,780m)に到る。千蛇谷越しに鳥海山が間近に見える。北の稲倉岳の東下は鳥越川の断崖が緩やかなカーブを描いている。ここから外輪山のコースと千蛇谷の雪渓コースに分かれるが、分岐点は少し先に変ったようで外輪山の斜面を登って谷へと下っていく。雪渓歩きは明日にして今日は分岐を右に取り外輪山を歩く。この山域は鳥海山の本峰しか眼中に無いようで、文殊岳(2,005m)、伏拝岳(約2,130m)、行者岳(2,159m)のいずれも山頂標識はない。河原宿(吹浦口とは別)からの湯ノ台道が合流する地点が伏拝岳だと思っていたら分岐道があり文殊岳付近で合流する道もあり混乱させられてしまった。
千蛇谷を挟んで鳥海山の主峰新山が増々近づき山頂直下の大物忌神社・御室小屋が手に取るように見えてきた。行者岳を過ぎると小屋への分岐道が左に分かれるがそのまま外輪山を進み七高山(2,229m)を目指した。虫穴で百宅口・大清水からの登山道が合流していたようだが見逃した。左手に御室小屋からの道が合流するとあと一息で七高山山頂だ。ザックをデポし山頂に立った。雪渓越しに新山は目の前だ。新山からの下山する人達が続いている。10数名がトレースを外れている。雪渓の先端は急傾斜で夏道へと繋がっているが、皆へっぴり腰でビビッている。危ない! あっ一人滑った! 幸い5mほどの滑落で済んだがもっと左だったら下まで落ちているところだ。お〜怖い。
外輪山の壁を下り、雪渓を横断して御室小屋(標高約2,150m)に入った。まず大物忌神社に参拝し待ち焦がれた缶ビールに大枚600円を投じチョウカイフスマの咲く裏庭で乾杯した。夕食つきで予約したが最悪の夕食だった。使い捨て食器にご飯と味噌汁、全く手の加わっていない惣菜・漬物4品、これだけでお替りはおろかお茶も出ない。道理で20分ごとのローテーションで夕食が進むはずだった。
日の入りは19:05、小屋の前に出て日本海の水平線に沈みゆく夕陽を待っていると風が冷たい。真っ赤な陽が水平線に接し、まるで入水するかのようにやがて姿を消していった。そして後ろを振り向くと14日の月が外輪山の傍に上がり始めた。鳥海山は上ノ山か!
2日目(7/28)
朝3時半に起床しご来光を見に行くべく新山山頂を目指した。新山へは昨日滑落した人を見た雪渓と岩稜直登の2ルートある。行きは岩稜ルートを取り山頂に着いた丁度その時、東の空が焼け間もなくご来光を迎えた。人が沢山来ているかと思ったが我々の他は誰もいなかった。日の出は4:28、スカイラインに少し雲は多いが逆に幻想的な雰囲気を作っている。普通の山ならこの後西の山が朝日を受けモルゲンロートに染まり素晴らしい眺めとなるが、鳥海山の西は直ぐ海で山は無く、“影鳥海”と言われる日本海に映る鳥海山の影を見ることができる。今回はご来光と影鳥海を見たくて山頂に泊まったのだ。山頂の岩場の西端に移動して待つこと15分、遂に影が出た! 日本海に移る影、将に“影鳥海”、海に若干雲があるのが残念だが見た!
その頃になって漸く数人登ってきた。「君たち一寸遅いよ!」、下山は雪渓ルートを取り小屋に戻り自炊朝食、ゆっくりコーヒーを飲んで5:50出発、千蛇谷を下った。先ずは小さな雪渓を横断し千蛇谷雪渓本体は2回横断して七五三掛への登りとなるが、軽アイゼンを付けそのまま雪渓を下降した。600m、10分ほどの歩行は気持ちが良い。この頃から雲が出始め、新山の山頂に笠雲が掛り今日の天気を暗示するかのようだ。七五三掛の手前でミヤマダイモンジソウを見つけ写真を撮影、先に行った同行者さんに追いつくと団体とのすれ違いで退避していた。団体さんは御浜小屋で泊まりこれから鳥海に登り今日中に下山するそうだ。
七五三掛からは昨日歩いた道。御田ヶ原分岐からは鳥海湖への道と分れ扇子森(1,759m)へ登る。山頂は風が強い。ガッシリ構えて最後の鳥海山の姿を写真に収め鳥ノ海御浜神社へと下った。御浜小屋にはこれから登る人たちが集っている。確実に天気は悪化しており、ガスが飛び遂に雨が降ってきた。ここで象潟口鉾立へ下る道と吹浦口大平への道が分岐する。どちらもほぼ同じ距離で途中これといったものはない。古来の旧道は吹浦口だというので大平に下りることにした。雨具を着けてなだらかな高原の道を下り河原宿の分岐に達した。昨日長坂道を登って来た時、笙ヶ岳三峰の下りでここへの分岐があったがその道と合流する。河原宿といっても“宿”の痕跡はまったくなかった。
雨が止み標高1,390mの見晴台で一息入れる。近くに三角点があるはずで探し回るが発見できなかった。眼下には大平山荘(国民宿舎)と大平小屋の赤い屋根が見えてきた。そのずっと先には観音森(685m)の小さなふくらみ。更に先は日本海。見晴台からは急傾斜となり、下り切ると鳥海ブルーラインの車道に飛び出した。ここに“大平登山口”というバス停があるが、バスまで1時間何もないところで待つのも無聊なので、車道を歩き大平山荘(標高1,000m)まで行き、山荘で寛ぎ次の月山登山の準備を整え9:55のバスに乗り酒田駅に戻った。そして駅レンタカーを借りて月山8合目に向かった。
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