爺ヶ岳東尾根からの鹿島槍ヶ岳南峰
- GPS
- 11:44
- 距離
- 20.5km
- 登り
- 2,578m
- 下り
- 2,580m
コースタイム
- 山行
- 10:57
- 休憩
- 0:41
- 合計
- 11:38
天候 | 後立山連峰は晴れ☀️ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・爺ヶ岳東尾根 冬季バリエーションルートです。 人気ルートなのでトレースがしっかりとついている。なければそこまで容易な尾根ではないと思う。急登、ナイフリッジ、厳しい気象条件がいかにも北アルプスという感じ。この日は取り付きの急斜面は雪がまばらで、気温が高いため緩んでいて歩きにくい。下りに通ったときはグズグズになっていて更に歩きにくく注意が必要。1978のピークにテント村がある。 ・爺ヶ岳から鹿島槍南峰まで 中峰からトレースなし。夏道と同じ場所を歩くが踏み抜きが多い。夏なら樹林帯になっている区間が吹き溜まりで股までのラッセルになる。冷乗越で、赤岩尾根からのトレースが見つかって助けられた。トレースがなければ山荘までの登り返しは雪が深いのでラッセルが大変だったと思う。大きい雪庇があるので、露出している岩に沿って尾根の西側を歩く。雪で体力を奪われるが雪庇以外にあまり危険な箇所はない。鍵は気象で、後立山の厳しい西風の機嫌次第だ。この日は冬にしては風が弱く、10m弱しか吹かなかった。体力でごり押した。 冷池山荘の冬季小屋のドアは出ていました。中は確認していません。 |
その他周辺情報 | 大町方面に5kmの薬師の湯で日帰り入浴。スキーヤーがいたのか、異常に混んでいた。 |
写真
感想
2月下旬からは冬型の気圧配置が緩んできて、北アルプスでも登りやすい日が多くなる。冬の終わりが始まる時期だ。今年はそれが早い。ちょうど週末の天気予報がよかったから穂高の方に行こうかと思っていた。ところが、微妙に気圧配置がズレてきたので岐阜側は辞めた方がいいとヤマテンに言われた。それなら、と天気の良さそうな後立山に転進。午後でも天気が良さそうなので、こんな日は鹿島槍まで行こう。
鹿島槍ヶ岳は去年も積雪期に登っていたが、あれは3月だった。2月に登るのは、ちょっと厳冬期っぽくて良い響きがある。そんなことを気にするのはみみっちい話だが自分の中ではちょっと意味がある気がする。好天を狙っているので、実際はほとんど内容に差はないのだが。前回は赤岩尾根を登ったが、今回は登りで使ったことのない爺ヶ岳東尾根からのルートにした。この尾根は毎週のように記録が上がっていてすごい人気だ。決して簡単なルートではないと思うけど、雪山はトレースがあることが難しさをずっと下げてくれる。アプローチがほとんどなくて程々の長さなのが人気の理由だろうか。
さてさて、いろいろあって一睡もできず2:30に到着したら既に駐車スペースは埋まっている。どうしよう。人気だもんね。テント泊の人もかなり入っているのだろう。どこに停めるか迷って、ちょっと北に進めると公民館横の路肩が広くなっていたので駐車できてほっと一息。30分ほど目を瞑ってから準備を開始する。がんばろう。
取り付きの急登は一部で土が出ている。気温が高いから雪は緩い。アイゼンを使いたくなかったのでツボ足にピッケルで登り始める。最近はラッセルの時以外はストックを出さなくなったが、この方が具合が良い。500mほど登って雪が多くなってきたところでアイゼンを装着。暗い中を無心で登る。先週のフルマラソンで少し心肺が弱っていて、深い呼吸になると肺が苦しい。まだ標高が低いけど上の方だとどうなるだろう。
2000mを超えて視界が広がってくると、暗い中でも白い山並みが良く見える。先行者の光が動いている。5:30を過ぎて空が白んでくると、後ろを振り返れば真っ赤な地平線と雲海が広がっているのに気づく。これはすごい朝になる。矢沢の頭でちょうどいい時間になったので、日の出を待つことにした。浅間山の横から朝日が顔を出すと、雲海も白い尾根も赤く染まって眩しい。日帰りでこんな景色が見られるのは素晴らしい。一気に標高を上げられる、東側の尾根ならではだ。いい尾根だ。人気なのも頷ける。
爺ヶ岳中峰まで来ると、剱・立山もよく見える。槍と穂高は既に雲に包まれていて見えない。転進したのが正解だったようだ。北に向かって進むと、すぐにトレースは無くなる。それほど急なトラバースではないし雪も緩い。というか踏み抜く。冷乗越に向けて降っていくと吹き溜まりに入り、股まで埋まるラッセルに時間と体力を奪われる。これは先が思いやられる、と思っていたら冷乗越で赤岩尾根からやってきたトレースがある。2人分くらいだろうか。これには助けられた。結局スライドしなかったので、恐らく前日の物だったのだろう。ありがとうございました。
埋まった小屋の横が無風だったので休憩して布引山への登りに取り掛かる。雪庇に注意して大きく西側を歩く。だらだらとした登りで呼吸が苦しい。酸素が回ってこないのは、先週のダメージが残っているからだろうか。水が足りなくなりそうなので綺麗な雪を口に入れて喉を潤す。冷たい。でも暑いからちょうどいい。雪に足が取られるのでストックと上半身も使って進む。布引山からは雪が少し硬くなって歩きやすい。最後の斜面を直登して越えるとそこが鹿島槍ヶ岳南峰の広い頂上だ。
ちょうどガスが山頂にかかっていて周囲が見えない。悪天候だとどっちに下山するのかわからなくなりそうな地形だ。剱と五竜を見たくて少し粘ったけど、しばらく晴れなさそうなので自撮りだけして来た道を戻ることにした。帰りは雪庇がよく見えて迫力がある。おっかねー。
登りではあんなに苦しかったのに、下りはすいすい進める。でも小屋を過ぎるとまた登り返しだ。中峰まではずっと登りが続くので苦しい。水が全然足りない。血液をサラサラにするために雪をばくばく食べる。う、うまい。しかもいくら食べてもなくならない。これがクリエイトウォーターだ!
ちょっと歩くたびに雪をつまんでいたら、すぐに爺ヶ岳中峰に着いた。もう登らなくていいという解放感がすごい。この日も入山者が多かったようで、東尾根のトレースは深くなっている。呼吸は疲れたが脚はまだ元気で、下りは快調に進める。暑くてミッドレイヤーが要らないくらいだ。最後の取り付きへの急斜面はとても悪いので注意して降りた。
長い1日だった。雪のあるうちにあとはどこに行こう。
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