尾白川本谷〜甲斐駒/黒戸尾根
- GPS
- 32:00
- 距離
- 19.4km
- 登り
- 2,160m
- 下り
- 2,503m
コースタイム
7月14日3:30起床6:00岩小屋-6:38大滝7:40-8:10Co2,200m二俣-9:15稜線-9:20六合石室10:03-11:40甲斐駒ケ岳12:00-12:50七丈小屋-13:20-13:50五合目小屋跡-16:55尾白川渓谷P
天候 | 7月13日曇り時々晴れ一時雨 7月14日曇り時々晴れ午後一時雷雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
入渓点までの林道は崩壊箇所多数。 林道終点から入渓点までの下降は急だが、フィックスあり。 ロープは50m×2本。使用したのは核心CSの手前の滝と 後半の大滝のみ。 温泉は、いつもの尾白の湯、18時ごろだったが激混み、子連れ客多し。昼間は外まで行列だったらしい。 食事は韮崎IC近くのとんかつ「十兵衛」。 ロースカツ定食1,000円。キャベツ、ポテサラ、小鉢、漬物がつく。 ご飯は1回だけ無料でおかわりできる。CP悪くない。 |
予約できる山小屋 |
七丈小屋
|
ファイル |
非公開
6552.xls
計画書
(更新時刻:2013/07/09 13:55) |
写真
感想
とうとうやってしまった。睡眠ゼロ。車2台だったので、追いつくことはできたが、着くなり前泊テントから皆が起きだしてきた。今日は慎重にいかねば。
尾白川本谷が私の中のリストに上がってきたのは、なんでだったか。多分他の人の記録にあったエメラルドグリーンの釜を見たせいだと思う。加えて、ウイスキー「白州」のCMが尾白川の美しい流れを映し出すのを見たら、行かずにはおれないだろう。
当日はあいにくの曇り。大ぶりにはならなそうだが、ポツポツきそうだ。水に飛び込む気分にはならない。今日はおとなしくしてるに限る、ととろとろ歩いていたら、いつの間にか顔を虫に刺されてしまった。刺されるとすぐに腫れるタイプでいままでも沢で何度か腫れ上がらせている。今度から虫よけぐらいは用意しようかな。
沢は巨岩とつるつるに磨かれた滝で構成されている。したがってほとんどの滝を巻きながら遡行。
ハーケン連打の滝の手前にスノーブリッジあり。キックしたら、手前部分が容易に崩れた。巻きも困難な為、息をとめて通過。北アの残雪は豊富なようだが、南はそれほど多くないように感じた。遡行は継続。岩小屋で初日の行動を終える。
豊富な流木で火をおこす。火の周りは暖かいが、風が通るため、寒い場所だ。ダウンを持参したのは正解だったが、シュラフも欲しくなった。夕方、さすがにウトウトしてしまったせいか、夜は寝付けず、寒さでこごえていた。加えて下は平坦でよかったが、屋根が完全にないところだったので、にわか雨で何度か内側に避難した。
2日目は、初日よりは眠った為、調子よく歩けた。稜線に向かってぐいぐい高度を上げていく。大滝横のボロボロルンゼはいやらしいが、他はルーファイ間違えなければ特に問題となるところはない。つめ上がると、六合石室手前の稜線に飛び出す。ここは2月の連休の時に通過した場所だ。というか甲斐駒自体、去年の秋から数えると4度目だ。石室で冬の忘れ物を探したが、見つからなかった。
当たり前だが、冬に比べると格段に歩きやすい。頂上は連休もあってか大賑わいだった。
足の揃ったパーティーなので、もっと他の沢にも行きたいなあ思った。
Kamogさんから推薦された尾白川本谷へ。計画的下降も考えたが、
今回はツメ上がる計画とした。
行く前から気がかりは雪渓。様々な方法で情報収集を試みたが、
有効な情報は得られず、雪渓処理不能でも撤退できるよう、50m
ロープを2本用意するなどしてスタートした。
今年は梅雨時から最近まで雨も少なく水量は少ないことが容易に
想定されるが、本流ではあるので、その辺は慎重に。
まず、林道途中の錦滝で釣り師と出会い、行き先を告げると、
先方は倉掛沢らしく、本谷との出合いまでは高巻きで進むことで
合意した。
入渓後、出合いまでは釣り師と同ペースで進む。ワイヤー滝で
笑顔で別れた。
その後も直登困難の滝、高巻きが続きやや辛いが、どの巻きも
踏み跡は明瞭、往時の名残だろう。
水量はやはり平水よりは少なく、本谷という名でイメージする
より、下流部の渓谷沿いの雰囲気と比べるとかなり穏やかだ。
ワイヤー滝から4本ほど高巻きを繰り返したころから、ナメや小滝の
直登を楽しむことができるようになる。
今回は悩んだが、アクアステルスをチョイス。久々だったからか水苔か
最初は滑ったが、徐々に馴染んでフリクションが心地よい。
空はあくまで広く、ここ1ヶ月通った奥秩父の鬱蒼とした森との
あまりの違いで、曇りなのにやたらと眩しい。
淡々と進み黄蓮谷との出合いを越え、入渓から2時間少々で最初の
休憩。久々のKuriさんとかぶーの足取りがやや重そうだ。
左手奥に、冬に山野井氏が登攀したことで有名な坊主岩が見えてくる。
この沢のシンボリックな存在だ。
標高1,800m付近のビバーク適地を越えたところから巨岩帯が始まる。
CSと巨岩をルーファイで見極めつつ、ハイステップや高巻きで
越えていく。重荷だとキツイところだ。
巨岩帯に飽きてきたところ、核心のCSが見えてくるが、手前に
行く手を塞ぐ雪渓。
右岸の平らなところで対応を検討する。
まず、両岸は急な岩場で高巻きは不可能。雪渓は手前がかなり薄く、
Kuriさんが蹴ったら全体の1/3ほどがあっさり崩壊。谷間にドーンと
音が響き、一同顔を合わせる。
次に雪渓距離が短い左岸をワンポイント登って越える方法も考えるが
こちらも無理。
で、私がロープを付けて右岸側の斜面を倒木を使って偵察に出るも
雪渓が終わるところがキレていて、クライムダウンできない。
で、撤退の意見もあったが、雪渓の下を偵察し、厚さの程度から
下をくぐることに決定。私とkuriさんで核心滝〜CSを越えて上部の
雪渓の程度を偵察。
核心の滝は左手に残置スリングが連打。先日の滝川の悪場を思い出す。
私リードで突破し、CS内部をくぐって、岩小屋を越えて、さらに
しばらく偵察し、雪渓状況と地形等から遡行継続を確認。
核心滝まで戻って無線で後続に連絡。全員突破し、少し早いが、
岩小屋で行動を終了した。
時折雨が降ったが、岩小屋とタ―プで濡れはよけられ、久々の快適な
ビバーク。シーズン前半で流木も豊富で盛大に焚き火。各自のんびりと
午後の時間を過ごす。
夕食はゆーまのキムチ鍋。前夜に驚きの事実が発覚したが、無事に
美味しくいただくことができた。
岩小屋内部は濡れずに寝るには5人でマックスだろう。6人以上だと
かなり窮屈だと思う。
夜はシュラカバのみで、上は化繊のジャケット、下はファイントラックの
タイツと雨具の下で臨んだが、ちょうど風が抜けるところだったことも
あり、焚き火はついていたが、やはり寒く、何度か目が覚めた、
というか、1時過ぎからはなかなか寝られなくなったので、火の番に
勤しんだ。
2日目、朝は晴れ間がのぞく。のんびり準備して出発。今日は1,000m
あげる。巨岩帯が続く。大滝手前の巨岩では右手から空身で上がって、
お助け紐で後続を引き上げる。
大滝は下段はフリーで登り、上段は右手のボロボロのルンゼをリード。
残置が3か所あるが、そもそもボロボロなので、慎重さが必要。
後続の2人組が追い付いてきたが、彼らが滝手前の右手ルンゼから
次の滝を含めて巻いたようだ。ここの巻きは結構使えると思う。
荷物の引き上げで引っかかってしまったりで大滝の突破に1時間
要してしまった。
大滝の上で沢は大きく右手に曲がり、その後は不安定なガレ場を
延々と登り、最後は左手の尾根を乗っ越して、もう1本左手の沢から
樹林帯の踏み跡をたどって、六合石室から200mほど東側にツメ上がった。
ドンピシャと言ってよいだろう。
ここでちょうど後続の2人組と出会う。話によると5組ほどが本谷に
入渓しているとのこと、我々が1番手だったようだ。
石室で装備を解除して、久々のアルプスの稜線を満喫しながら
甲斐駒のピークへ。途中、雨が降り出し、強めの風が吹く。そして、
ツメで登りの体力を絞り出してしまったようで、この登りがキツかった。
ピークに到着すると人だらけ。ここまで静かだったので、驚いた。
下山は1月以来の黒戸尾根。
ネットで「急登」とか書いてる記録があるけど、感覚的には急と
いうよりダラダラと長い尾根。特に五合目小屋〜刃渡りは本当に
暇になる。
七丈小屋でジュース買いたかったが、人がたくさん入っているようで
通過者には売れないようだ。残念。
そこからは黒戸尾根恒例の山関連用語限定尻取りで暇つぶししながら
地獄の下山。が、地獄は尾根ではなく、雷雨だった。登山口まであと
2時間ほどのところでバケツをひっくり返したような大雨と雷。
全員ずぶ濡れ。こんなに濡れるなら、沢でもっと水遊びするんだったと
後悔してもあとのまつり。途中、登山道に足をとられながら、それでも
登山口近くで雨も上がり、ぬれ鼠で無事下山した。
沢を600m、登山道400m登って、2,200mを下山する。シンドイ1日だった。
尾白川本谷は前半は容易な高巻きとナメ歩き中心の癒し渓。
巨岩帯からは登攀的な困難さはないものの、逃げ場もなく、的確な
ルーファイが必要となり、体力的にもキツクなる。
もう少し水線突破に挑めばよかったかなと思ったりもするが、おかげで
スピーディに行動できて2日で下山できたのは良かったところ。
反省点は、遡行終了後の登りでのガス欠。どうも沢から離れると
疲れが表に出る流れ。遡行中からもう少し体力バランスに
配慮した歩きにしないといけない。
それと、Kuriさんが前半で虫に刺されて顔が腫れてしまったり、
ゆーまが軽く足をひねったりといった、ちょっとしたアクシデントが
発生した。セルフレスキューに必要なことは、派手なロープワーク
より地味なファーストエイドの確実な知識と技術、あらためてそれを
認識できた。
次は黄蓮谷から甲斐駒のピークを目指したい。
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