太忠岳~宮之浦岳~楠川歩道⛰3泊4日の旅
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- GPS
- 30:59
- 距離
- 47.4km
- 登り
- 3,294m
- 下り
- 4,300m
コースタイム
- 山行
- 7:08
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 8:08
- 山行
- 7:25
- 休憩
- 2:53
- 合計
- 10:18
- 山行
- 9:23
- 休憩
- 2:26
- 合計
- 11:49
天候 | 4日目以外晴れ☀️ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
船 飛行機
|
コース状況/ 危険箇所等 |
花之江河歩道に1箇所倒木あり。よーくよーく見渡して、ルートの見極め必須。何とか通行できたが、倒木の枝が邪魔なうえ、足場はザレてるので要注意⚠️ |
写真
感想
このロング休暇を利用して、いつか行きたいと思っていた念願の屋久島へ。
3泊4日の縦走。どんなドラマが待っているんだろうか。
1日目:強風/快晴
鹿児島から夜発のフェリー『はいびすかす』で屋久島へ。船内で一泊し、朝7時に屋久島着なのだが、早朝になって強風で海は大荒れ。ぐわんぐわん揺れる。とても寝ていられない。急いで酔い止めを飲む。それでも船酔いは襲って来て、到着してもしばらくは動けなかった…昨日船内で語り合い仲良くなった女性は私以上に死んでいた笑
下船後、女性とは『またどこかでお会いしましょう』と別れて、屋久杉ランド行きのバスに乗り込む。10:10屋久杉ランド到着。トイレと準備を済ませて、まずは太忠岳・天柱石に向けて出発。屋久島ランドっていうだけあって立派な屋久杉がいくつも出てくる。おおお、これが屋久杉かぁ。でかい。ランド内は木道や吊り橋、案内看板があり、良く整備されている。観光客も目立つ。太忠岳分岐でザックをデポし先を急ぐと途端に人が少なくなる。急登も出てくる。途中の沢筋で水分補給。水がむちゃくちゃうまい。時計と睨めっこしながら山頂を目指す。この縦走で今日が一番タイトだ。急げ急げ。
12時までに登頂できなければ引き返すルールにしていたが、既に過ぎている。山頂は目前。天気もいい。下りで取り返せば何とか行けそう。ペースアップして約30分遅れで登頂万歳。天柱石を見上げる。でかい!すごい!一周してみると、祠の奥の割れ目が近道のようだ。狭いが何とか通り抜け、お昼休憩をしていると、バスで一緒だった男性が上がって来た。この時間に登頂って、帰りのバス大丈夫?ヤバいよねって事で一緒に駆け降りる。頑張ってデポした分岐に14時到着。ふぅ。何とか間に合いそうでよかった。よかった。花之江河歩道の分岐で『またどこかで』ってお別れし、石塚小屋を目指す。
3時間くらいで着くかなと思っていたら、全くの誤算で、結局4時間半かかってしまった。事前情報では『荒廃してるが、よく見ればピンクテープがあるから問題ない。』とのこと。本当にその通りなのだが、木の根のオンパレードでむちゃくちゃ歩きにくい。足元に集中してると、枝に頭をぶつける。ザックが引っかかる。うっとうしい。このくり返し。どうしても頭上が疎かになる。視野が狭い。くっそー。上空では強風の音がうるさく鳴り響く。
あぁ、ストレス!!
前回、鈴鹿の縦走で不要な水分は負担になる事を学んだため、今回の屋久島では、水がいたるところから出ていると言うことで、ボトル1本分その都度補給する事にしていた。今日は天気も良く大量の汗ですぐに喉が渇く。水の減りも早い。もうすぐ底をつく。そんな時、苔から滴り落ちる水のなんと美味しいことか。なんとありがたいことか。自然の恵みに感謝。
大和杉を越えて、ようやくビャクシン沢渡渉点へ。増水時は靴を脱いで渡るような危ないポイントだけど、今日は穏やかでオアシスのようだった。沢の水は透き通ってて、木漏れ日が石の苔を照らして美しく、何時間でも眺めていたいと思った。でも、行かなくちゃ。まだまだ先は長い。
踏み跡とピンクテープを頼りに、違和感を感じれば後戻りしてあたりを注意深く見渡す。微かな踏み跡をたどりピンクテープがないか確認する。見つかれば正解。なければまた戻る。1箇所だけ倒木で完全に道が塞がれている場所があった。奥にテープは見えるものの、倒木の枝が邪魔して進めない。ザレてて足場も悪い。迂回路も見当たらない。さて、どうする?戻るか??
いや、進もう。進むしかない。ルーファイ力を試されている。細かな枝をかき分け踏みつけ必死によじ登る。本当に突破できるのか!?大丈夫なのか!?と思いながら何とか突破。よかった。。ホッとひと息。
何度か登り返しをくり返し、3/2くらい進んだ地点からようやく木の根のうじゃうじゃが落ち着き歩きやすくなる。歩きやすい道の安心感が半端ない。陽があるうちに小屋に着きたい。だいぶロスしてる。小走り気味で先を急ぎ、やっとの事で石塚小屋に到着。18:40
コンクリート造りで見た目が少し不気味。1人だったら怖いなと思いながら戸を開けると中に1人利用者がいた!よかった!挨拶するとよく喋る気さくなおじさんだった。定年後に神奈川から移住してきたんだとか。登山道の情報やおすすめのお土産など、有力な情報をたくさん教えてくれた。おかげで心細くならずに楽しく過ごすことができました。ありがとうございました!
2日目:無風/快晴
3:30起床。外は満天の星空。とってもキレイ。4:30出発。うっすら明るい。できれば高盤岳で日の出チャレンジに挑戦するも、花之江河らへんで陽が登り失敗。そもそも、4:30出発じゃ遅いよな。とはいえ、朝もやの花之江河は静寂で神秘的な雰囲気。これはこれで来てよかった。高盤岳には6時頃到着。誰もいない。コーヒーを淹れ朝日を見ながらゆっくり朝食を取る。昨日とは違い風音もなく、代わりに鳥のさえずりが聞こえる。陽の光が気持ちいい。目を閉じて贅沢な時間を噛み締める。
さて、そろそろ次の山頂へ向かうか。次は黒味岳だ。分岐にデポする人が多く、いくつものザックが置いてあった。私も仲間に混ぜてもらう。黒味は大きな花崗岩でできていて、岩肌にロープが下がっている場所が何箇所かあった。山頂では、日の出前からかれこれ3時間くらい滞在しているという2人組に会った。離れたくない気持ちわかるな。それくらい、素晴らしい景色だった。遠くには離島がくっきり見える。ご好意でステキな写真と動画を撮ってもらった。そのうちの1人は、働きながら旅をしていて、屋久島の次は長野を予定してるんだって。『北アルプスとかまたどこかの山で会えるといいな。会えたらうれしいな』なんて話しして、宮之浦岳に向かった。
徐々に標高を上げ、山頂に近づくにつれて、ピンクや白のヤクシマシャクナゲが新緑の緑と一緒に辺り一体を彩り始める。何度も何度も立ち止まっては、その美しい光景に見惚れた。下山後に聞いた話しによると、この開花状況は10年ぶりなんだとか。今日の天気もそうだけど、なんて運がいいんだろうか。
山頂でサクッとお昼を食べたら、次は永田岳だ。焼野三叉路でデポし、永田岳へ向かう。永田岳は巨岩がまばらにゴロゴロしてて、山頂もデコボコ。不思議なカッコ良さがある。稜線もシャクナゲが美しい。地味にアップダウンがあるのだが、岩とシャクナゲと緑に癒される。シャクナゲのトンネルをくぐり、急登を越えれば山頂だ。そこで出会った人と岩の上で写真の取り合いっ子をして、新高塚小屋で会えたらとお見送り。しばらく山頂を独り占め。宮之浦岳からの登山道を眺める。海側には硫黄島、竹島、遠くにうっすら開聞岳も見える。
あぁ、なんてステキな時間なんだろう。
そろそろ行かなきゃな。昨日は遅くなっちゃったから今日は早く小屋に着きたいな。名残惜しい気持ちを残して、永田岳を後にする。後ろ髪を引かれるように何度も振り返り目に焼き付ける。アイアンマンみたいな岩を通り過ぎれば、森林限界から樹林帯へ。樹林帯では木漏れ日が美しく降り注ぎ、ボーナストラックのような道にウキウキしながら下っていく。その途中で声をかけられて、試しに第二展望台に寄ってみると、東の海と種子島が良くみえた。もしかしたら明日、日の出リベンジできるかも!!マジか!!更にウキウキが増す。うぉぉ!!明日は絶対日の出見るぞ!!
そして15時、新高塚小屋到着。昨日の石塚小屋のおじさんと永田岳で会った人、そしておばあちゃん2人組が一緒にデッキの上でお茶していた。着くなり声をかけてくれて、コーヒーを淹れてくれた。うれしくて美味しくて暖かかった。そこからもう1人加わって、わいわいしながらご飯も食べた。おばあちゃん2人組は46年前から一緒に年1回屋久島に来てるんだって。すごいな。夕方以降も続々と人が集まってきて、空いていた小屋も廊下までびっしり満員になり、外にはテントが何張も張られた。大盛況だ。
3日目:快晴
3時起床。今夜も星がキレイ。写真に映らないのが残念。3:45出発。張り切り過ぎて第二展望台に4:20頃到着してしまった。早過ぎた。日の出まで1時間もある。東の方がぼんやりと赤い。種子島の明かりも見える。とりあえず、コーヒーを淹れてひと休み。開けてるところは風が吹いて寒い。岩陰も冷気と微風で寒い。インサレーションを着込み何とか耐える。うろうろして、風が当たらないベスポジ発見!寝そべりながら、朝日を待った。だんだん明るくなり、遂に太陽の光が!秘密の場所で自分だけの秘密の時間を過ごしているみたいで、子供の頃の記憶を思い出す。昨日声をかけられてなかったら、完全にスルーしてた。声をかけてくれた事に感謝。
6:30小屋に戻れば、テントが1張りのみで、小屋内には誰も居なかった。今日は白谷山荘までののんびりコースなので、ゆっくり朝食を取って8時に出発。朝の散歩は本当に気持ちがいい。時間もあるし縄文杉手前の少し高い場所に作られた東屋でひと休み。コーヒーを淹れて幸せに浸っていると、誰かが上がってきた。
ん!あれ!?
見覚えあるぞ!そうだフェリーで語り合った女性だ!いかにもこの場所で待ち合わせしていたかのように現れた。こんなとこでまた会えるなんて!!!鳥肌が立った。
彼女は北九州から来ている。本格的な縦走を始める前に屋久島へ試しに来たんだとか。いつか北九州に行く事があれば、一緒に祖母山を縦走しようと約束をして、縄文杉でお別れをした。
縄文杉からウィルソン株を経てトロッコ道に差し掛かるまで、大勢の人とすれ違う。8割くらいはガイドさんと来ていたんじゃないかな。縦走する人は個人が多かったけど、縄文杉までのトレッキングになると、ガイドさんを利用する人が多い印象を受けた。楠川分れまでは、トロッコ道に沿って歩く。沢の音。森の香り。自然の生命力。苔の美しさ。ステキな道だなぁ。ついつい鼻唄を口ずさむ。
ハロー
いま君に素晴らしい世界が見えますか。
熱いものが込み上げてきて、涙が溢れた。
これまでの出来事を思い返す。私は本当に色んな人に助けられて今ここにいる。あの時、声をかけてもらわなければ、教えてもらわなければ、出会う事のなかった人や景色。体験。偶然の重なりが奇跡になって届く。
トロッコ道も終わり楠川分れから白谷雲水峡方面へ。また感じのいい石段の登山道になる。太鼓岩でお決まりのポーズをして、白谷山荘へ15:30着。もともと有人だった山荘は、コンクリート造りで廃墟のような不気味さが漂っていた。ここに今夜ひとりか……
4日目:しとしと雨
4時頃目が覚める。外は雨だ。幸いトイレと水場が屋内にあって助かった。昨日仕入れた情報では午前中はくもりのはず。止んでから出発するかどうするか。もうひと眠りして6時頃起きても雨は止みそうにない。ゆっくり準備を始める。7時頃になると人が来て、天気予報を聞くと午前中はこんな感じみたいって事で8時出発。雨の白谷雲水峡は霧がかかり、とてもとてもキレイだった。むしろ雨で良かったかも。予定では三本足杉・弥生杉へ周り道して雲水峡のバス停まで行くルートにしていたが、渡渉が心配だったので最短ルートで行く事にした。続々と人が上がってくる。ガイドさんが傘をさしていた事に驚いた。問題なく渡渉点を通過しバス停に着くと、またも知ってる人に会った。太忠岳で一緒に下山した人だった。
バス停で係の人に楠川歩道の状況を聞いて、下山開始。昔のまんまの石段は、美しい苔に覆われて雨に濡れてキラキラ輝いていた。この場所が本来の苔むす森だと思った。ずっとこの場所にいたいと思った。ザックを置いて腰掛ける。誰もいない静寂な森の中で、コーヒーを飲む。どうかそのままで。荒らされませんように。人があまり入っていない旧道だけあって、下るにつれ草が伸び放題になっている。そんな状況も全て楽しみながらゆっくり下山した。通常なら1時間半で下山できるところを倍の3時間かけて12時楠川バス停到着。
この山行では、自然の美しさはもとより、
人との出会い、優しさ、暖かさ、
そして、感動体験がたくさん詰まっていた。
あぁ、もうすぐ終わってしまう。
まだ山にこもっていたい。
この場所にいたい。
初めてこんな事を思った山行となったのでした。
コメント
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うわぁ!メッセージありがとうございます✨
屋久島ではお世話になりました!お土産情報とっても助かりました。一湊の醤油と愛子、しっかり購入いたしました🙌永田の塩と八万樹園のお茶も😋来週、永田リベンジするんですね!是非シャクナゲのトンネルをくぐってきてくださいね🌿ほんと、またチャンスがあれば訪れたいです!屋久島は癒やしの島ですね☺️🌸
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