奥穂高岳 南稜
- GPS
- 56:00
- 距離
- 12.6km
- 登り
- 1,714m
- 下り
- 1,697m
コースタイム
- 山行
- 1:30
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 1:30
- 山行
- 7:35
- 休憩
- 0:25
- 合計
- 8:00
- 山行
- 1:30
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 1:30
天候 | 概ね晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
バリエーションルート 記録がチャラいですが、ある程度クライミング技術がいります 雪渓あり、滑落・落石注意 岳沢付近、虫刺され注意 |
その他周辺情報 | 朴ノ木 宿儺の湯 |
写真
装備
個人装備 |
Tシャツ
ソフトシェル
ズボン
グローブ
防寒着
雨具
靴
昼ご飯
行動食
飲料
計画書
ヘッドランプ
予備電池
ファーストエイドキット
日焼け止め
携帯
時計
タオル
ナイフ
カメラ
ロープ
クライミングシューズ
ハーネス
ヘルメット
チョーク
確保機
ロックカラビナ
カラビナ
スリング
ロープスリング
お酒
おつまみ
三脚
テント
マット
シュラフ
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
食器
ライター
|
---|
感想
8月7日休みを取って、土日合わせて三連休とした。
前からHが行きたがっていた、奥穂高岳南陵へ。
でも、金曜日午前中は検診で病院へ。
いたって健康だけど、血液検査のために容器三本も血を取られた。
登山前なのに。ただでさえ採血は苦手。
「やめてくれー!」
と心の叫び。
検査が終わったらすぐに上高地へ出発の予定だけど、やっぱり病院って待たされる。
私は待っている間、もう心ここに在らずな感じ。
やっと終わって11時半頃Hと出発!
平日の上高地なんて、生まれて初めて。
今年二回目のバリエーションルートにも、ワクワクが止まらなかった。
先々週行った明神岳より、もっと手応えがありそうだ。
高速に乗って、お腹が空いたので川島PAで昼食。
私は醤油カツ丼、Hは鶏ちゃん丼を注文。
醤油カツ丼も岐阜名物なのかな。初めて食べた。
ソースでもなく味噌でもなく、醤油ダレの大根おろしがカツに乗ってる。あとキャベツと温泉卵。なかなかイケる。
トンカツよ、早く私の減った血液になってと、願いながら食べる。
おいしく食事すれば、しっかり栄養になって健康でいられるらしい。
私は割と信じてる。
高山を過ぎて、平湯に近づいてきたら、強い雨が降って来た。雷も鳴っていた。
この日テント泊予定の岳沢も、夕方ときどきゲリラ豪雨みたいなのが襲うらしい。
雨の中のテント設営になるかもと、覚悟はしてたけど、先が思いやられた。
あかんだな駐車場に着くと、地面は全く濡れてなかった。
15:20のバスに乗れそうなので、待っていたら、しばらくすると、屋根の上に白い粒が転がり始めた。
雹が降ってきた!
豆粒くらいの大きさで、当たったら結構痛そう。
そしていわゆる、バケツをひっくり返したような雨がすぐ降ってきた。
あーあ、と顔を見合わせるHと私。
そしてバスも来ない。この日はよく待たされる日だった。
雨は止んで、20分遅れてバスが来た。
上高地に着くと、ラッキーな事に地面は濡れていなかった。
平日だからガラガラかと思ってたけど、想像してたよりは人がいた。
Hのザック約20圈∋笋15埃紂ガチャ、ロープ、テントはいつもHが担ぐ。
いつもすいません。
歩き始めて、岳沢小屋まで結構な汗をかいた。
17:45 テント泊予定の岳沢に明るい内に着くことが出来た。
早速小屋でビールを買って乾杯!
テント場に移動すると、思ってたより人がいた。
テントを張って、ワンパターンだけど持って来た、生ハムとチーズとワインを飲んで就寝。
一度起きて、月が出る前にHが撮った星空の写真がなかなか綺麗だ。
天の川もくっきり写っている。
Hは重たい三脚をいつも持って行くけど、今度こそ役に立った。
奇跡!!!
この日、ここまで雨に一度も降られていない。
確かに雨は降っていたが、車の中か、屋根の下だった。
ついてる。
山に行ったら、通算7割くらい雨に降られるのに。
8/8土曜日
6時出発予定だったけど、寝坊。
二度目のアラームで起きられなかった。
テントを張ったままにして、いらない荷物はテント場に置いていく。
ハーネスを付けて出発しようとしたところ、またトイレに行きたくなった。
面倒だなあと思いながら、またハーネスを脱いでトイレに向かう。
今まで最強のテント場は笠ヶ岳だと思った。テント場と小屋の標高差は数十mくらいありそうだ。
ジャンケンで負けて、テント場からビールを買いに行った人は気の毒だった。
突然もよおして小屋のトイレに向かう事になったら、間違いなく苦行となるだろう。
岳沢テント場も、小屋まで枯れ沢を挟んで結構遠い。
結局予定より一時間遅れ、7時丁度の出発となった。
前日、Hが小屋の掲示板みたいなので、南稜の遭難者の記事を読んだ。
技量不足、というのがあったらしい。
お互いボルダリングばっかりだけど、クライミング歴7年以上なので、そうはなりたくないね。と話していた。
進めなくなったらこっそり降りよう、なんて。
ここから奥穂高岳まで、約1000m標高を上げていく。
歩き始めてすぐ雪渓に取り付く。
アイゼンなしで歩いたけど、固く締まっていて少し緊張した。
進行方向左の降りやすいところにHがランディングしたけど、雪と岩に挟まれて進みにくくなり、もう一度雪渓の上に戻った。
雪渓の終点まで行くと、雪と岩の隙間が大きすぎて、ここから取付くのは危険。
かなり深い隙間ができている。落ちたら大変だ。
30〜40メートルくらい戻って右岸の雪渓からランディングしたけど、雪はカチカチで下る方が怖くて、ちょっと緊張しながらいった。
岩壁と雪の間を進んだけど、ズボンと手に泥がついた。
岩壁に辿り着き、登り始めたけど、岩登りはやっぱり楽しい。
ここから忠実にルンゼを辿って行く。
踏み跡は結構あった。
テント場はほとんどずっと見えていて、どんどん小さくなっていく。
結構な傾斜をひたすら登っていくと、ルンゼが三つに分かれる。
その一番左を行った。
岩を登ったりしてしばらく進むと、核心部が見えてきた。
上下二つのスラブとその間にあるバンド。
スラブ状の岩壁を少し登ると、ここが核心部らしい。
こっち登りやすそうじゃない?
って左の方に私が行こうとしたら、せっかくクライミングシューズとロープとか持って来たから、ここから行こうとHが言った。
クラックが走っている壁だった。
「もう他で使うところ、多分ないから。」
それもそうだ。
クライミングシューズに履き替え、今回初登場のアプローチシューズをザックにしまった。
今までは、重たい登山靴を荷揚げしたり、担いでたりしてたけど、軽いしかさばらないのでかなり楽。
核心部らしいその壁は、ハーケンが数か所あって、垂壁に近いスラブでクラックが走ってる。
最初私がトップで行くか聞かれたけど、結局Hが行った。
中間部でHが手こずっていた。
なんとか乗り越え、私も登り始めた。
中間部にはハーケンに一つカラビナが残されていた。
そこら辺りが、
なんじゃこらー!だった。
クラック以外、持てるホールドもなく、スタンスも乏しい。
「これ、どうしたらいいの。」
思わず口に出すと、Hが左の壁に出るといいと言った。
確かにガバがあるので、なかなか届かなかったが、なんとかつかむとスタンスもないので無理やりスメアで足を上げ、切り抜ける事ができた。
テンション無しで登れたけど、トップで行かなくて良かったと、心から思った。
登り切るとハイマツの藪漕ぎが始まった。
私は藪漕ぎが超苦手だ。
かなり濃い藪で、足も密集した枝で着地できず、進もうとするとビヨヨヨーンと枝に体が戻される。
わーわー叫びながら格闘してると、Hが冷静に、
「スリングとかが枝にひっかかってるよ。何度言っても聞いてないんだから。」
す、すいません。
手がマツヤニだらけになり、後で水で洗っても落ちなかった。
藪漕ぎはわずか数十メートルだったけど、私はここが一番辛かった。
藪を抜けると目指していた、3つのそびえ立つトリコニーが目の前に。
テンションが一気に上がった。
喫を登り始め、しばらくすると見事なチムニーが現れる。
ここら辺は、めちゃ楽しかった。
その後、ちょっと緊張するところもあったけど、無事喫を超え、曲へ。
先々週行った明神岳に、数人のパーティが見えた。
あの時の明神は、私たちの貸切だった。
この日の南稜も私たちしかいない。
景だけ登らず、先へ進んだ。
その後も岩稜が続く。
ナイフリッジみたいなところを、馬乗りになって進むところもあった。
そんな無様な私を尻目に、Hは終始余裕だった。
岩稜を歩いているときは、本当に生き生きとしてる。
しばらく行くと、スリングなどがたくさん残されている懸垂下降ポイントに着いた。
高さは数メートルくらい。
なんとかクライムダウンできるかも知れないと思って私が降り始めたけど、ここをつかめばなんとか降りられるかな、と思っていたホールドが、足を乗せると動くではないか。結構不安定。
諦めて、懸垂下降することにした。
降りてから右の方を見ると、もう一つ支点が残っていた。
ここからなら、クライムダウン出来たかもしれない。
そこから先は、特に危険と感じるところもなく、ガレ場や草付を登り、時々岩場、踏み跡もあった。
前穂と奥穂の間の吊り尾根がどんどん近づいてきて、登山者もすぐ近くに見えてきた。
南稜の頭に到着、一般登山道と合流した。
登山者がたくさんいた。
奥穂山頂に12時過ぎに到着。
たくさんの人でにぎわっていた。
着いた瞬間の人の顔は、皆どこか誇らしげだ。
歓喜の声を上げる人、電話をかける人、写真を撮る人。
3190m、ここら辺で一番高い所。
そいや、ここでプロポーズした友達夫婦もいたな。まるでドラマのようだ。
素敵過ぎる。
奥穂はこれで3度目だ。すべて違う方向から登ってる。
Hは山頂ウイスキー。どんなけ酒好きなんだ。
私もキャップ一杯飲む。
着いた直後は見えていたジャンダルムが、みるみるガスっていく。
槍ヶ岳も先端が少し見えるくらい。
11時くらいまでは雲がなかったけど、急に雲が厚くなった。
1時間早く出発していれば、もっといい景色だったかもしれない。
二人の寝坊は治らないので仕方ない。
さて、後は下山。
吊り尾根は二人とも初だった。
左下に涸沢、前穂も目の前にどーんと見えてかっこいい。
紀美子平に着くと少し休憩。
紀美子平の名前の所以が、岳沢小屋のテラスのところに書いてあった。
重太郎新道を作った人の娘が紀美子さんなんだって。
若くして病死してしまったらしい。
遭難の多かった道を整備したのが重太郎さんで、重太郎さんや妻や紀美子さんの事を知れたのは良かった。
まだ幼い紀美子さんと、3人でキャンプしながら道を作ったんだって。
登山道はここだけじゃないけど、開拓した人は尊敬すべきだ。
岳沢キャンプ場に15:00丁度に到着。
7時丁度に出たのだけど、コースタイムは全くHの計画どおりだったらしい。
南稜は、めちゃ楽しかった!
確実に思い出に残る一つ!
テント場に戻ると、雪渓を上がって行く人が何人かいた。
ランディングポイントを確かめに行ったようだ。
私達とえらい違い。
着いたら速攻乾杯していた。
小屋でまたビールを買い、乾杯。
小屋のテラスには、アックスやアイゼンやロープを持った人たちがいた。
明日南稜を登るのかな。
日が沈み、星が出始めた。
小屋のトイレに行ったときに、今まで見た中のベスト5に入るくらいの長いほうき星を見た。
二人でどちらかが見てなかったことはよくあるが、これは二人で見る事ができた。
そして同じ日、奥穂高岳に別ルートで登ったクライミング仲間がいた。
同じ時間、穂高山荘で星を眺めていたかもしれない。
翌朝、起きて南稜をみると、人がたくさんいた。
一週間前に視力を検査したら私は右1.2左1.0だった。Hはもっといい。
時刻は6時を過ぎたところ。三つに分かれるルンゼの中央を行っていた。
中央を行くと結構な藪漕ぎかも知れない。
ずっと眺めていると、核心部に取り付き始めた。
私達が登ったところの左側。私が行こうとしてたところ。
時刻は7時前。昨日の私たちはまだ出発してない時間だった。
なかなか前に進んでいない。
人数が多くて、大変そうだ。
眺めているのはなんだか面白いし、気楽なもんだ。
ちょっと、不謹慎だけども。
最終日、上高地に下るだけ。
河童橋でまた上高地コロッケを買った。
下山後、温泉で汗を流した。
またいい冒険できちゃったな。
Hは2キロ体重が減り、私は2キロ増えていた。
南稜を登るに当たって、いくつかの山好きの方のブログを参考にさせていただいた。
奥穂・南稜で検索すると出てくる。
私のこのチャラい記録とは全然違い、丁寧に書いてあり、とても参考になった。
感謝致します。
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