北アルプスの水をめぐる旅【前編】(沢登り・黒部川赤木沢&一級水系源流完全制覇の旅30/109常願寺川水系源流・北ノ俣岳)
- GPS
- 16:36
- 距離
- 22.7km
- 登り
- 1,972m
- 下り
- 994m
コースタイム
- 山行
- 5:02
- 休憩
- 1:48
- 合計
- 6:50
- 山行
- 8:07
- 休憩
- 4:01
- 合計
- 12:08
天候 | 8/17:雨後霧一時曇 8/18:晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
写真
感想
一級水系源流完全制覇の旅 第27夜は北アルプスの水をめぐる旅前編として、黒部源流の赤木沢遡行と脱渓後に中俣乗越から太郎平小屋へ向かう道中の常願寺川水系源流・北ノ俣岳へ行ってきました。
自分の全体行程としては4日間で、そのうち最初の2日間を山仲間4人と歩いた記録です。いずれも沢登りの先輩で、自分は沢登り2回目ながら今回同行させていただきました。
黒部川源流域に位置する赤木沢は、とあるガイド本によれば難易度は2級/Ⅲ-ですが、2022年8月号の山と溪谷ではベテランが初めて沢登りをする人を案内した場所として特集も組まれているように、沢登りの経験者の案内・同行があれば足を踏み入れやすい沢とも言われています。
出発時は台風7号があわや関東直撃かと思われたタイミングでしたが、多少雨風が強まった程度で大きな影響を受けることなく、毎日あるぺん号出発地点の毎日新聞社ビルには多数のハイカーの姿。同行する方々ともバス車内で合流し、一路折立登山口へ。
途中、有磯海SAで雨のぱらつきが気になりましたが、折立でも小雨状態は変わらず。
初日は折立から太郎平小屋を経てたどり着く薬師沢小屋までのアプローチのみということで、雨具を装着しのんびりと歩みを進めます。
折立登山口からすぐは急坂の太郎坂。樹林帯の中を抜けていくと青淵三角点のベンチに到着します。この時は生憎の天気で眺望は無し。その先は少しなだらかになった登りの木道を高山植物の花々に囲まれながら進んでいきます。2,011m地点のベンチでの休憩の後から、雲頂が近づいてきたのか空の雲が薄くなり青空が見え始めました。とはいえ、終始霧で見晴らしは無し。太郎平小屋もかなり近付いてやっと建物を確認できました。
太郎平小屋では楽しみにしていた太郎ラーメンを大サイズで。行者ニンニクの醤油漬けが入っていることで有名ですが、他にも富山らしさあふれるかまぼこ、ホロッと口の中で崩れる手づくり豚バラチャーシューなど、山の中でいただけるラーメンとは思えない美味しさ。ごちそうさまでした。
太郎平小屋は富山県警が常駐しており、その窓口が売店に併設されていました。
太郎平小屋からは薬師沢小屋に向けて約400mの下り。木の根が多い九十九折や木道、沢の高巻きなどを通るのほか、薬師沢の枝沢が途中合流するところなど大きく3箇所鉄製の簡易橋で渡渉します。同行の方の話では、木から鉄の橋に変わって以降、大雨で流された後の修復が容易になったそうです。
薬師沢小屋には14時過ぎに到着。湧水で冷やした飲み物が入口で迎えてくれる小屋の入口は写真で見てずっと来てみたかった場所でした。荷解きしたら、翌日の遡行に向けて壮行会。2Lの缶ビールを購入してメンバーで乾杯です。小屋の2階デッキから黒部川の流れを眺めながら飲むビールは最高でした。
薬師沢小屋は『黒部源流山小屋暮らし』の著者・やまとけいこさんのいらっしゃる山小屋で、何度か本で読んでいた通りの良い雰囲気と美味しい食事で楽しい夜を過ごすことができました。夕食のメニューには豚の角煮やとろろそば、昆布締めも。朝については出発が早いため、朝食の代わりにお弁当をお願いしました。こちらは中華ちまき3個のセット。沢の遡行途中の休憩で食べるのにもってこいのお弁当でした。
翌朝4時半、日の出30分前でまだ薄暗がりの中、赤木沢遡行スタートです。まずは薬師沢小屋目の前のデッキの梯子から黒部川奥ノ廊下へ入渓し本川を約2時間遡行したところにある赤木沢出合を目指します。河原歩きが基本とはいえ、途中何度か本川の渡渉もあり、沢に慣れている先輩に付いて慎重に進んでいきます。だんだん明るくなっていく中で、黒部川奥ノ廊下の美しい渓相に癒されます。赤木沢手前のゴルジュを高巻きしていると、後続の4人パーティーが腰あたりまで川に浸かりながら遡行してきました。
左岸側から大きな支流が流れ込み、本川上流に1.5mの小さめの滝が見える場所が赤木沢出合。お楽しみはまさにここからです。
まず現れるのが2段10mの階段状の滝と10mのナメ滝、そしていたるところに見えるエメラルドグリーンの釜。苔や藻が澄んだ流れの中に見えるのですが、全然ヌメラないのが不思議な沢でした。ウマ沢出合を過ぎて4段連続(6m-10m-12m-10m)の滝では、他のメンバーが滝の左岸側の釜を荷物をロープワークで渡しつつ滝を直登する中、自分はその後の縦走の荷物もあるため高巻きで濡れるのを回避して先に登り、上からメンバーが登ってくるのを撮影していました。その先では3段8mの滝と2段13mトイ状の滝の美しさに見惚れ、河原歩きの先にはまたナメ。どこを写真に撮っても絵になり、青空とエメラルドグリーンの水面をのんびり眺めながら休息する時間が非常に心地よかったです。
ナメの先、4段20m階段状の滝や20mの滝を越えると、いよいよ正面に断崖が見えてきて赤木沢の1番の見どころ2段35~40mの直瀑、赤木沢大滝が現れます。ほぼ垂壁に感じるような左岸側のブッシュ状の高巻き道をたどって大滝を越えるのですが、ここを巻いて登る前に大滝を眺めてのんびりする時間が至福です。
大滝をクリアした先もしばらくは水の量が減りません。5mの滝を越えた先で赤木岳へ直登する支流を右に分け、我々は赤木沢源流の中俣乗越を目指します。いつのまにか水がなくなりゴーロやガレだらけになったかと思うと、ハイマツに囲まれた道となり、稜線間近では花畑と池塘の高原風景へと切り替わっていく詰め上がりでした。
中俣乗越には休憩込みでほぼ予定通り到着。太郎平小屋へは稜線伝いに向かいます。ここで行きたかったのが常願寺川水系源流の北ノ俣岳。
常願寺川は、富山県南東部に位置し、その源を富山県富山市北ノ俣岳(標高2,661m)に発し、立山連峰の山間部にて称名川、和田川等の支川を合わせながら流下し、富山平野を形成する扇状地に出て北流し、富山市東部を経て日本海に注ぐ、幹川流路延長 56km、流域面積368km2の一級河川です。常願寺川といえば、富山市内を流れる急流で有名な河川ですが、富山地鉄で有峰口や立山を目指すと途中何度か渡ったり地鉄沿いに流れている河川でもあります。
正午前後から雲が湧き始めて山頂や稜線に霧がかかるようになってきました。ただ流れも速く、チラチラと遠景が見えたりする中、赤木岳を経て太郎平小屋へと向かうのですが、北ノ俣岳では到着時は霧で真っ白。しかし、わずか1分2分の間にサッと霧が流れて黒部源流域が一望できたときは思わず声が出ました。
このとき時刻は13時。太郎平小屋の軽食提供時間に間に合わせるため、自分ともう1人が早駆けすることに。北ノ俣岳だけから草原の中の木道の景色を楽しみながら急いで13:48太郎平小屋着。楽しみにしていたネパールカレーは売り切れていたものの、うどんやおでんは残っていたため、後続のメンバーにおでんを購入して待っていました。
全員が太郎平小屋に辿り着いたところで、生ビールを購入し赤木沢遡行成功の乾杯。昨日の薬師沢小屋のビール以上に最高の一杯になりました。
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