ソロ剱岳 早月尾根 チンネ左稜線 八ツ峰上半(Eフェース)
- GPS
- 42:23
- 距離
- 20.7km
- 登り
- 3,709m
- 下り
- 3,699m
コースタイム
- 山行
- 12:52
- 休憩
- 1:20
- 合計
- 14:12
- 山行
- 6:28
- 休憩
- 5:12
- 合計
- 11:40
- 山行
- 5:12
- 休憩
- 3:40
- 合計
- 8:52
- 山行
- 4:52
- 休憩
- 0:20
- 合計
- 5:12
過去天気図(気象庁) | 2024年08月の天気図 |
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アクセス |
写真
感想
タケムービーさんの動画を参考にソロで早月尾根から剱岳を登り、池谷乗越にペースキャンプを張りチンネ左稜線と八ツ峰上半を登る
予定は
19日 池ノ谷乗越まで行きテント設営
20日 チンネ左稜線
21日 八ツ峰上半(Cフェース剣稜会ルートから)
22日 下山
早月尾根に水場は無く、北方稜線の雪渓も今年の猛暑であるのか不安だったため水を12ℓ。また天気が微妙だしベースキャンプ型で登攀するためツェルトでは無く大きめのテント。ソロクライミングで初めていく場所なので登攀用具も多め。
そんなことをしていたらザックが39kgになった。
85ℓザックにあと少し入りきらなかったので登攀用30ℓザックにも荷物を詰めてザックオンザック。
9月18日
高速を走らせて馬場島登山口に24時頃に到着。
出来るだけ早く起きられるように頑張ろうと思いながら仮眠。
9月19日
3時頃起床し準備。3時40分頃に出発。
早月尾根は急登というかとにかく長い。
39kgを背負っているので歩くのはとても遅く他の登山者にガンガン抜かれる。
雪山と違って足場は土なのだから足を前に出せば進むんだ、自分は牛だと思ってとにかく一歩一歩足を前に出せと自分に言い聞かせながら前に進む。
途中からウエストベルトが擦れて左腰の皮がむけて痛くなった。
12時頃に早月小屋に着きバッチを購入。ベンチで横にならせてもらい休憩する。
再度出発し、早月尾根の岩稜帯へ入っていく。
アルプスの岩稜帯は初めてだがそんなに危険な感じはしない。ザックに振られないように気をつければ落ちる気はしない。
もうすぐ山頂というところでパラパラ雨が降り出す。
山頂に着いて北方稜線に向かうかというところで本降りになってきたので、山頂すぐそばにあったテント2張りくらいできそうな平地でビバーク。
疲労困憊していたのでご飯も食べずに寝る。
9月20日
7時頃に雨も止んできてちょうど起きる。
準備して8時過ぎに出発。
北方稜線に取り付くがこれが思いのほか過酷。早月尾根の岩稜帯よりヒヤッとするところが多く、重いザックに持っていかれそうになりながらアップダウンのある岩稜帯を登ったり降りたりトラバースする。
池谷乗越にやっとつきテントを広げて少し横になる。
すでに結構疲れたがチンネはメイン目標なので登攀具を装備して池谷ガリーを降りて行く。
ガレガレのガリーを何度も滑りながら降りていく。
三の窓に着きやっとチンネが見える。
三の窓雪渓を越えないといけないためチェーンスパイクとピッケル着装。
雪渓はカチカチで一回思いっきり滑り滑落停止姿勢で止まる。ピッケルを持ってきていてよかった。
逆4の字を探すとチンネ左稜線の取り付きは思ったよりすぐ見つかった。
12時頃チンネ左稜線登攀開始。
ロープソロシステムを構築して登る。
快適なⅣ級ピッチから始まり登っていく。雨は乾いたようでフリクションはいい感じ。花崗岩なのもあり下から見てガバだなと思ったとこはその通りガバで浮石も草つきも少ない。人気なのもよくわかる。
ずっとガスっていたので高度感や景色はあまりよくなかった。
5ピッチ目の草付きリッジはⅠ級だしトラバースなのでフリーソロで突破。
その後のⅢ級フェイスはソロシステム構築しようとするがビレイステーションは見当たらないし、Ⅲ級だからかランニングの残置ハーケンも下からはほぼ無さそうに見える。
フェイスというがだいぶ傾斜は寝ているしホールドも豊富にありそう、そしてなにより日の入りまで時間があまりない(ロープソロなので登る、ラペリング、登り返しで1ピッチに1時間弱かかっている)。
そこでフリーソロを敢行。
これが案外快適で浮石が少ないのもありそれほど怖く感じずガンガン進める。
Ⅲ級はフリーソロで行けると判断。
核心のⅤ級の鼻まで来たので流石にロープを再び出す。
カンテからハング超えが核心らしい。
カンテもハングも手はよく効くカチがあるが足が良さそうなのが無くて悩む。
結局フリクションの良さを信じてスローパー気味の岩にスメアリングして行けばサクッと行けた。
その後の凹角、リッジ立林トラバースもガスって無ければ高度感で怖かったかもしれないがガスっているので周りがあまり見えない中をフリーソロで進んでいく。
18時頃チンネの頭到着。
ギリギリ日の入り前にトップアウトできた。
目標にしていたオールフリーノーテン(というか半分以上フリーソロだが)で登れてとても嬉しい。
さすがチンネは日本離れしたスッキリしたロングルートで人気なのもわかる。
ラペリングで降りていくが懸垂点用の残置スリングが少し遠いと思ったのでピナクルにロープをかけてラペリング。
ラペリング準備中にATCを落としてしまい、バックアップのマッシャーとカラビナにロープ巻きつけでラペリングするとこにする。(ATCはそのまま見つからなかった)
下まで降りられたが今度はロープが抜けない。
フリクションの良すぎる花崗岩を懸垂点にするのはよくないようだ。
仕方なくマッシャーをバックアップにしたまま登り返して懸垂点を残置スリングに付け替えてラペリング。
この作業が精神的にも体力的にもかなり疲れた。
そして今度こそロープは抜けたが、抜けているロープが当たったのか落石がポロポロあり、拳三つ分くらいの石がヘルメットに直撃した。ヘルメットで無ければおそらく大怪我していただろう。
おまけにこのタイミングで陽が落ちてしまい暗くなる。
本当はあと2回ラペリングして池谷ガリーに降りるのだろうが(懸垂用残置スリングも豊富にあった)、クライムダウンでも降りられそうだし、もうラペリングかは疲れたしかえってトラブルの元になりそうだとクライムダウンすることにする。
ガレガレなのでヒヤッとしながらも池谷ガリーに降り立ち、30分ほどガリーを登り返したら池谷乗越に到着。
この日も疲れ切ったのでグミなど食べるだけですぐ寝る。
9月21日
8時頃起床
正直寝る前は疲れ果てていたので八ツ峰はやめて今日明日でゆっくり帰ろうかと考えていたが寝たら気力回復。天気もいいので予定通り八ツ峰に行くことにする。
9時頃登攀装備して出発
長次郎谷を八ツ峰沿いに下っていく。
雪渓はかなり小さくなっていた。
10時頃Ⅵ峰Cフェース到着
と思っていたが、帰ってきてから考えるとおそらくあれはEフェースだ。
この後もCフェースだと思いながらEフェースを登攀することとなる。
リングボルトが二つあるのでこれが剣稜会ルートかと思いながらトポと照らし合わせながら岩壁を見ても残置ハーケンは見当たらない。
Ⅲ級程度だとやはり残置少なめなのか、それならばと今回もフリーソロで行くことにする。
フリーソロなのでトポ通りというか自分の目で岩の弱点らしきところを見定めて右へ左へと蛇行しながら登る。
スラブから始まり、フェイス、凹角、フェイスと登っていく。
たまたまだろうが結局最後までCフェースと同じぐらいのⅢ級程度の難しさだった。
残置はやはりほぼ無く、トップアウトするまでに2本ぐらいしかなかった。
チンネと比べると浮石、草付き、ザレ場が多い。
日本的なアルパインルートだなと思う。(そりゃルートでは無いとこだからごちゃごちゃしてる)
11時頃Eフェースの頭につき休憩。
ここから八ツ峰上半の縦走が始まるが、自分はCフェースの頭からスタートしていると勘違いしているので、最終的にⅠ峰分ずれて認識しながら歩いていた。
Ⅶ峰、登ってラペリング。
Ⅷ峰、リッジ沿いに登ってラペリング✖️2。
八ツ峰の頭、浮石の詰まったガリーを登ってラペリング…だがクライムダウン出来そうなのでクライムダウン。
(まだⅧ峰だと思っていたので)よし次がラストの頭だと思いながらクライムダウンし、コルに立つとテントが見える。
俺の他にもクライマーが居たんだ…と思ってよく見ると自分のテントであった。
つまり池谷乗越まで戻って来ていてこれで八ツ峰終了。
13時頃であった。
思いのほか早く終わったのでとりあえず長次郎谷の雪渓で水を補給しにいく。
ジュルンドから垂れてる水が取れればベストだったが、水が垂れている場所が地面スレスレの所しかなかったので水筒を差し込めない。
やむを得ず雪渓をナイフで削って氷のまま水筒に入れて持ち帰る。
やりたいことはやり遂げたし後は帰るだけだが、最初より水が減った分ザックは軽くなったとはいえ疲労困憊の体で明日1日で仕事に間に合うよう下山できるのは不安。
かつ、明日早朝に移動開始だと北方稜線と早月尾根の岩稜帯を暗闇の中で進むことになるなと気づく。
そこで今日のうちに岩稜帯を越えるくらいは下山しておいてどこかでビバークしてまた明日余裕を持って下山しようと決める。
16時頃下山開始。
下山開始といえどまずは池谷乗越から北方稜線への登りである。
2日ぶりにフル装備ザックを背負ってヒーヒー言いながら登っていく。
途中で雷鳥に会えた。
18時頃剣岳山頂を通過。
獅子の頭も超えて早月尾根の危なそうな岩稜帯も超えた。
19時頃になり陽が落ちて暗くなってくるが、今日のうちにできるだけ進んでおこうとヘッデンつけてさらに降りていく。
22時頃早月小屋到着。
水も心許なくなったので早月小屋で買うことにする(ほんとは無補給でやりたかった…悔しい)
4時に小屋が開くらしいのでそれまで前の広場で仮眠させてもらう。
5時頃起床。
少し寝過ぎたが予定通り水を2ℓ買う。
6時頃下山再開。
疲れすぎて下り道すらしんどくなり、段差はほぼ後ろ向きで降りるようになる。
11時半馬場島登山口到着。
やっと終わった。明日の仕事にも余裕で間に合いそうでホッと胸を撫で下ろした。
今回の山行はほぼ食事をとっておらずおそらく1日300キロカロリーぐらい。
だが体がなんとか動いたのはおそらく妻にもらったモンベルのBCAAのおかげだと思う。
自分がアルファ米を食べられない程食欲無くなるのは初めてだが、ハードな山行だとまたこうなりそうなので今度からBCAAを活用したい。あと魚肉ソーセージ。
とにかく調理する元気は無かった。
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