針ノ木雪渓〜蓮華岳〜船窪岳〜烏帽子岳〜野口五郎岳〜三俣蓮華岳〜鷲羽岳〜水晶岳〜赤牛岳〜黒部ダムの周遊コース
- GPS
- 208:00
- 距離
- 63.1km
- 登り
- 5,402m
- 下り
- 5,316m
コースタイム
七倉岳16:15-船窪小屋16:35-船窪テン場17:00
8月11日:船窪テン場5:40-船窪岳8:15-不動岳11:30-南沢岳14:00-
烏帽子岳15:30-烏帽子小屋テン場17:00
8月12日:烏帽子テン場5:40-野口五郎小屋9:00
8月13日:野口五郎小屋5:40-水晶小屋9:10-黒部源流-三俣蓮華テン場12:00
三俣蓮華岳13:20-黒部五郎岳分岐14:10-巻き道-三俣テン場15:00
8月14日:三俣テン場5:10-鷲羽岳6:20-水晶岳8:30-赤牛岳11:10-
東沢出合テン場16:30
8月15日:東沢出合テン場6:50-平ノ渡9:10、(10:15発乗船)10:55-
ロッジくろよん14:50-黒部ダム15:30
関電トロリーバス(運賃1500+手回り品210)16:05発乗車
扇沢よりマイカーにて帰宅
天候 | 1日目:晴→ガス→雷雨 2日目:曇→小雨→曇時々晴 3日目:曇…と思って稜線に出れば強風、突風、台風。停滞。 4日目:強風、ガス→曇 5日目:暴風雨の一日 6日目:曇→ときどき晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
扇沢の登山道入り口に遭対協のおじさんがテント構えて待ってくれていました。テーブルに登山届とポストがありました。 危険箇所…無数。 下山後の温泉も多数。わたしは白馬まで足をのばしました。 倉下の湯500円、源泉かけ流し。http://www.kurashitanoyu.com 夕食は常連になりつつある糸魚川のSUNT MOCKにて。 |
写真
感想
随分いろいろ歩いた北アルプスの中でも、このぽっかりと穴が開いたような未踏の山塊が残っていた。ということで今回は6連休を利用してこの縦走に挑むこととなった。
話には聞いていた蓮華〜不動までの険しい道のり。・・・本当に険しかった!!乗越の連続、そのたびの急降下に急登。それも標高差500mあったり。ざれた足場の悪い道、下りでは何度も滑り、登りでは一、二歩ごとに息を整えるため水を口にしてしまう。途中の水場はまったくなく、残量も気になる。一度足を止めると再び一歩出すまでが時間がかかる。ということで針ノ木雪渓ですでにへたっていた私は初日から大幅にコースタイムオーバーなバテバテ歩きをしていた。
しかも稲光に雷雨! 稜線で逃げ場なく、逃げる気力もない。近くに雷が落ちないことを願いながらひたすら前へと進むしかなかった。
ようやく着いた船窪小屋。おじいさんがあったかいお茶をもてなしてくださり、娘さんが笑顔で迎えてくださる、とても家族的な心休まるランプの小屋。
テン場まではまた15分ほど下る。狭い。そして恐怖の水場。
崖っぷち、というか雪渓っぷち。滑り下りるようにロープをつたって行く。「危険につき夜には行かないように」の表示。あそこでの滑落者はいないのだろうか…?
船窪は虫が多い。これがまた超うっとおしい。まさにウザい。この危険な、足を踏み外せない難所なのに虫はバチバチ襲ってくる。しかも顔、とくに目をめがけて突撃してくる。歩くといっしょに虫の大群も移動している感。「なんじゃこいつら〜」とつい言葉も悪くなってしまう。息を整えるのに足を止めるときはタオルで顔を覆って防護する。それでも帽子に体当たりしてくるのがわかる。この山からおりたら絶対虫よけネットを買おうと決意を固くしました。
南沢岳はコマクサの宝庫。斜面にこれでもかというくらいびっしりこまかいコマクサ。そして烏帽子田園というくらいとても美しい山岳風景が見られ、楽園のよう。
烏帽子岳。見てもよし、登ってもよし、とってもかっこいい岩山。山頂はとってもスリリング。足がすくむ。でも谷をはさんだ赤牛の稜線が良く見える。深い…!
翌日、烏帽子テン場を小雨の中、出発。そして三ツ岳を超えたところから突然強風に襲われる。「なんじゃこりゃーーー!!」という暴風。ザックカバーも吹き飛ばされる。一歩進むのに一苦労。ポールで支えないと立ってもいられない。「台風みたいやん!!」と心の中で叫んでいたら本当に台風だった。
何とか必死で野口五郎小屋にたどり着く。小屋に入るとテン場から先に出発した人たちがみんな勢ぞろいで、にやにやしながらこっちを一斉に見ている。どうもみんな断念した仲間らしい。30分ほど土間で粘るもラジオの台風情報を聞いてあきらめて停滞とする。
長い長い一日。停滞組のみんなとわいわいやったり、かたっぱしから本読んだり、お酒飲んだりして暇つぶし。外はすさまじい大荒れ。でもその小屋でそれまで濡れっぱなしだった衣類やザックを乾かすことができて大変ありがたかった!!
翌日もひきつづき強風の残る中、出発。眼下に広がる大きな東沢谷を眺めながらの歩き。だって山はガスって見えなかったから…。だけどその雄大な谷のスケールに感動。これこそまさに奥深い北アルプスだ〜!!
その後どんどんガスがおりてきて周囲を覆う。視界ゼロ。…。せっかく楽しみにしていた裏銀座コース、眺望はおあずけ。
ワリモとの分岐に来てもまだガスがきつかったので黒部源流のお花畑コースで三俣まで行くことに変更。展望コースは翌朝の楽しみに〜♪とこのときは思っていた…。三俣でテントを張り、軽身で三俣蓮華岳へ。ようやく見えた槍〜穂高の稜線!!やっぱかっこいいー! これ見えなくっちゃね〜。その後、黒部五郎カールを真正面に見ながら下りるパノラマコース。最高! やっぱ稜線歩きは楽し〜い! 分岐からは折り返し、雪渓とお花畑を楽しみながらテン場にまで戻る。
そしてここでこの春に屋久島で出会った山トモに再会!! まさか本当に予定を合わせて来てくれると思いませんでした。台風で停滞もしてたので絶対すれちがってるとあきらめてたのに! spidermanさんありがとうねぇ!! そしてもうひとり山トモも紹介してもらいました。楽しい夜でしたね!
最後くらいは絶対晴れると信じて疑わなかったのに、その期待もズタズタに裏切られ、夜中からずっと降り続く雨、そして強風。朝起きて準備してるとなんとテントの底が一面水。浸水はしてないけどぷよぷよ状態。うひょー。
この大荒れの天気。予備日がもう一日あれば絶対停滞する。でも日がないので進まなければ家に帰りつけない。泣く泣く出発。鷲羽のぼっても水晶のぼっても全く視界がない。おまけにずっと暴風と容赦なく打ち付ける雨。アラレかと思うほど顔に当たって痛い。でも進まなければ帰れない。ザックカバーは細引きでしばってあるからもう飛ばされることはない。ひたすら忍耐しながら進む。たまに反対側の尾根にまわるとウソのように静か。霧の中で幻想的なお花畑。なんて正反対なんだろう〜!写真撮りたくてもカメラが濡れるので無理!このガスの向こうには少し前に歩いた山並みがあるんだなぁと想像を膨らませながら進む。
わたしの苦手な石っ飛びをがんばって超えていく。もういい加減この暴風なんとかならんかと飽き飽きした頃にようやく樹林帯に突入〜。突然風がやむ。ホッと安心し、思わず「樹林、ありがとう〜」と言葉を発する。
雨は引き続き降りつづく。そしてこれまた大の苦手とする“泥&こけの生えた石&木の根っこ”が何時間も続く…。滑りそうでこわいので一歩一歩おそるおそる足を出し体重移動する。故にめちゃめちゃゆっくり…。でも怖いので仕方ない。ポールを最大限に活用。靴もレインパンツも泥だらけになりながら下りる。しかしなかなか高度が下がらない。この読売新道は本当に長い。それだけ赤牛岳が大きいということ。「すごいなぁ、赤牛は。大きいなぁ」と感慨深く浸りながら進む。
途中、熊の出そうな森。原生林。自然のそのまんまが残されている。森の中を歩かせてもらっているという気持ち。だんだん大きくなる東沢の音や、ちらちら見えだす黒部川を励みに何とか奥黒部ヒュッテに到着。コンコンと水が湧き出ている。そこで泥を洗い流し、すっきり。そしてこの山小屋にはなんとお風呂がある!
優しいおじさん。快く入らせてくれた。5日ぶりのお風呂〜。シャンプーもボディソープも備え付けられてる。幸せな気持ちで湯船につかり、疲れをいやしました。
そして最近改築されたきれいなトイレ。水洗で感動☆
翌朝(最終日)ゆっくりめに起きる。平ノ渡し船の本数が少ないから〜。
いつもよりのんびり朝の支度。トイレで歯を磨いてたら県警の人が。もうすぐテン場にヘリが来るという。聞いたら上ノ廊下の遭難者の捜索だとか。・・。(>_<)
時間にゆとりがあるのでのんびり歩きだす。船のりばまでの道のりはハシゴだらけ、橋だらけ。まさにアスレチック。のぼったりおりたり黒部川を眺めながら進む。時折、県警の捜索ヘリがホバリングしながらゆっくり通って行く。まだ見つからないらしい…。
楽しく船旅を過ごした後(なぜなら船が超スロー。15分ほどなんだろうけど1時間くらい楽しんだ気分)黒部湖沿いにダム目指してがんばって歩く。ハシゴは時たまあるくらい。快適なブナ林はまるで上高地か軽井沢を散策しているよう。(軽井沢は行ったことないけど)また、近くの里山を彷彿させるようなそんなふかふかの歩きやすい道を行ったりする。かと思えば岩壁を爆破して作られたような苦労のあとが見られるところもある。ときどきダム湖を周遊する観光船を横目に見ながら歩いてゆく。ダムがちらっと見えた瞬間が嬉しかった〜。それからまた回りゆくので時間はかかる。ロッジくろよんからは舗装された道。ぼちぼち観光客も。
そしてダムに到着。パンプスの人、家族連れ、車いすの人もいる。みんな軽装でわいわい楽しそうで「あぁここは観光地なんだぁ」と。山を下りてきた実感。
そして売店で限定山イチゴソフトを食べ、トロリーバス乗り場への涼しいトンネルを通って行く。
それまで前半の厳しい山旅と対照的な後半の緩やかさ。
お天気には恵まれなかったものの、奥深い北アルプスをじっくり味わえた、とても満足のある山旅でした。
コメント
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無事、長距離走破おめでとうございます。
赤牛の下り、黒部湖の延々と続く道お疲れ様でした。
さすが健脚ですね!
テンのすみかがあるか楽しみに行ったのですが、ちょうど雪渓終わりに下りパーティがいて、しゃべってたらその一瞬忘れてしまって、探す間もなく土を登ってました 下りはアイゼンないと怖そうでしたね。雪渓の上りのときだけでも青空見えて気持ち良かったです〜 よく歩きました〜
8/14に船窪から烏帽子を歩いてきました〜
ずーっと暴風雨で細尾根で、激しい登りで とーーってもキツかったです!仲間が助けてくれたので何とか歩けたかんじでした。minkistさんは一人で歩きぬいたんだもんなー すごぉい
船窪の水場はヤバイですよね
何人か滑落してそう、、、
水はかなりおいしいけど
いい山旅満喫されたようですね、しかしローングルートうらやましい限りです、しかも五泊ですか未知の世界です、もうアドベンチャーですねこれは。
お疲れ様でした、次はどんな凄い山旅になるんでしょうか?楽しみに待ってます。
パワフルですね。
おみそれしました。
行程後ソフトクリ〜ムおいしそうですね。
私は昨年、海の日連休の読売新道の風雨 に負けて撤退しました
おそらく船窪小屋でお茶を差出してくれた小柄なおじいちゃんは小屋のご主人ですよ。大柄なふけたオヤジはネパール人のシェルパ(サーダー)。
次回いらしたときはお会いできればいいのですが・・・
コメントありがとうございました。昨年というと8月になってもなかなか梅雨明けがしないというおかしな年でしたよね。私はその頃たしか大山行きましたがえらい大雨に遭い、洪水でした。山はお天気次第ですね〜。
osanpoさんはいつも船窪にいらっしゃるのですか?う〜ん…しばらくは遠のきそうです。今はまだ未踏のルートを片っ端から歩いていますので…。ひととおり満足したらまた同じ山に行くかなぁ。
ちなみに下山後のソフトクリームはわたしのお決まりコースです
シーズン中、仕事の休みの日はここに行ってる確率が多いですね。
月4回ぐらい・・・
合い間を縫って行きたい山へ。(あんまりいけてない)
この周辺、minkistさんのように未踏ルートを塗りつぶすために歩いている人が多いですね。『翌年は栂海新道でアルプス踏破します』とか
や〜、読み応えがありました。記録と地図とコースタイムの3点セットで読み進めました。
迫力あるなあ〜 (^^;
雨のなか、ガスがかかっても鷲羽、水晶へ行ったのは凄い。
以前、折立〜太郎〜薬師〜雲ノ平〜鷲羽〜水晶〜真砂〜湯俣♨を歩きました。
最後の下りは、どこも同じですね〜。いやというほどの下りで、足がガクガクしました。
そして♨での時間は、山旅を愉しいものにしてくれますね。
お盆のお天気は、よくなかったと思っていましたが、
山はこんなだったのですね。
お疲れさまでした。
次はどこへチャレンジするのでしょう。
※いやがらず、minkistさんのように、時間をかけて記録をまとめなければいけませんね。
臨場感があり素晴らしい感想記です。勉強になりました。
おぉっ!すごいお誉めのお言葉、ありがとうございます。
yamaaokiさんの歩キ眼デスのように教科書のような説明できませんが、なんとなく雰囲気は伝わったでしょうか
もっともっとたくさん書きたいことあったのですがあまりに支離滅裂になりそうだったのでこれでも控えたほうなんですよ。帰って来たばかりに記録すると記憶がまだ新しいからいろいろ書けて自分でも読み返して笑えますね。数年前の記録書こうとしてもなかなか思い出せなくて四苦八苦です…
この計画ルートはとりあえず行くしかない、登るしかないコースだったのでした〜。でも赤牛を歩けて良かったです。雄大でした。
また次は9月です
お疲れ様でしたー。
風邪はそろそろ治ったかな??
テンバでの一時は楽しかったですね。
シモっちが一緒に登りたい!って言ってましたよ。
またテンバ集合やりましょう!!
県警の人会いましたかー。
たしかおっさんが流されたんだよね??
いつになったら見に来てくれるかと待ってましたよ〜。
あちこち飛び回って忙しいんでしょうね!
きのう、前の日記でもらってたコメント読み返してたんだけど、あのときにはよく分からなかったけど、
「2日目は船窪のテンバで死にそうになりながら水を汲み。
3日目はコマクサを踏んで富山県の山岳警備隊?に怒られ・・・」
このあたりがめちゃめちゃよく分かって笑えた。
ちゃんと船窪水場の危険について触れてくれてたんやね。知らんかったわ。そしてわたしもついコマクサ踏んでしまってた。だって歩道にまで無造作に花咲いてるんやもんね。
結局流された沢登りのおじさん見つかったのかなぁ?
来るのが遅くなってゴメンよー。
今はテント
http://www.rei.com/product/797213
とまとめて買うものを見繕うのにてんやわんやで(笑)
おじさん生きてはおらんやろう・・・
minkist様、初めましてこんにちわ
拝見させていただきました、ご無事でなによりです
ほんとすごいわぁー と 尊敬のまなざしです
これからも、お気をつけて山行なさってくださいね
いつだったか、aonoaoさんの안녕〜という叫び声に惹かれて
クリックしたことありました。もしかしたら韓国人の方なのかと思って。
わたし、実は韓国語に長く接していたので韓国人の方がおられると近づかずにはいられないんです…
でもaonoaoさんは日本人ですよね?韓国ファンですか?
最近は韓国人登山客もよくいますよね!
あーすみません、まぎらわしいですよね、、、
自分は、山で 良く 安寧 を唱えます、響きがすきなもので
minkistさんは、ペラペラ話されるのですね、きっと
(またまた尊敬のまなざしっ) 当方は勉強し始めたばかりなのです
済州島のハルラ山にいつか登るために と思っています
これからも宜しくお願い致します
そうでしたか〜
ハルラ山ね〜!実現するといいですね!
済州島には友人もいますが温暖で本当に
きれいないいところみたいですよ〜
わたしもいつか行ってみたいです
初日の午後って、恐ろしいほど雨と雷でしたよね。
11も途中かなり強めの雨でしたし。
最後、黒部湖に抜けるルート選定がシブいですね。
たいていの人が、新穂高に行くんじゃないでしょうか
コメントありがとうございました
記録拝見しましたがK_guminさんもその少し前から烏帽子〜新穂高縦走されてたのですね〜!展望があってよかったですね〜
はい、ににという最悪なお天気だったものですから〜 でも三俣からは槍や五郎が望めたので良かったです〜
この山行の目的は船窪・烏帽子・赤牛だったので、とりあえず歩け歩けで頑張りました。
車だったのでスタートとゴールを同じにもしたかったので〜
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