唐松岳「厳冬期唐松岳頂上山荘テント泊 恐怖のブリザード体験」
- GPS
- 32:00
- 距離
- 10.3km
- 登り
- 957m
- 下り
- 957m
コースタイム
天候 | 16日 晴れ 雲量2〜5(巻雲)、強風 17日 快晴 雲量0 |
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過去天気図(気象庁) | 2016年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
八方尾根スキー場(八方の町は迷路) リフト直ぐ下の民間の駐車場1泊2日で1500円 ゴンドラリフトアダムーアルペンクワッドーグラートクワッド通し往復券2900円で 八方尾根〜兎平〜黒菱〜八方池山荘まで行けて、帰りも乗って帰られる。 (ホントにありがたかった。乗鞍高原も見習ってくれ〜) |
コース状況/ 危険箇所等 |
この時期、スノーシューは不要、冬靴+12本爪アイゼン+ストック。 山頂山荘下の尾根と頂上直下は滑落すれば死ぬのでピッケルは使った方がよい。 現にここから滑落して亡くなっている方が大勢いらっしゃるので。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
ハードシェル
タイツ
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
防寒着
ゲイター
バラクラバ
毛帽子
着替え
冬靴
80Lザック
サブザック
12本爪アイゼン
ピッケル
スコップ
行動食
非常食
飲料
水筒(保温性)
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
食器
調理器具
ライター
地図(地形図)
コンパス
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
ファーストエイドキット
針金
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
携帯トイレ
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト
ナイフ
カメラ
ポール
テント
外張り
テントマット
厳冬期3000m用シェラフ
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感想
厳冬期北アルプス第3弾は、お初となる唐松岳に行ってきた。唐松岳は標高1850mの八方池山荘までスキーリフトで一気に登ることができ、八方池付近からでも真近右手に白馬三山、左手に鹿島槍と五竜岳を望むことが出来ることから雪山の登竜門的な位置付けがされているが、2006年3月14日に頂上付近で道に迷いビバーグした4名のうちガイド1名が死亡、2009年1月に八方池付近で男女2名のパーティが滑落遭難死、2009年3月6日に頂上付近で女性2名が滑落、内1名が死亡するとともに救助に向かった男性1名も死亡と大きな遭難事故が後を絶たない危険エリアでもある。
自分の今回の目的は厳冬期の稜線に建つ唐松岳頂上山荘(当然営業されていない)でテント泊すること。雪山でゆったりした時間を楽しみ、且つ、壮大な雪山の風景を心行くまで堪能したいからこその稜線でのテント泊。もちろん不安だらけ。天気予報も100%当てにできる訳ではないし、厳冬期北アルプスの風の強さは半端ないだろう。全て自己責任だ。
前々回の西穂山荘テント泊では、物理的に30mも離れていない所に営業小屋があるので、万一の時は山荘に逃げ込めるという心の寄りどころがあったが、無人で避難小屋として解放もしていない唐松岳頂上山荘ではそれを期待できない。最悪の場合、遭難だがそれでもやるのか?…自問自答を繰り返す。
で、前々回-10℃の環境では全てのものが凍りつく、そして本当に寒いという当たり前のことを体験したので、今回は前々回の経験を生かし様々な対策を講じた。そして天気予報は両日共晴れ、但し風強そう。
金沢を05:45に出発。途中、小矢部IC〜富山西IC間は立山連峰の稜線がくっきり見え、剱から昇るご来光を望みながらのドライブで期待が高まった。約2時間半で八方ゴンドラ近くの駐車場に着いた。現地の天候は晴れ、巻雲で雲量4くらい。日帰り登山に変更できるよう26LのパックテクノロジーK2ソロ兇盪ってきていたが、ここで最終的にテント泊決定。22kgのパリセードを担ぐ(コースタイムは登り22kg、下り19kg装備での時間であることに留意)。
リフト券売り場で確認したら、今日は平常運航しており、登山者も乗れるとのことで、丁度今から全線が運行したので通し券が買えるというので全線往復券を2900円で購入した。
リフト最終駅の八方池山荘前には大勢のスノーボーダーとBCスキーヤーばかりでスノーボーダーの方は揃いも揃ってスノーシューを履いていて、アイゼンのみで登ろうとしているのは自分一人だけだったが、毎日百人以上の人に踏み固められた雪面は沈みようがなく、わざわざスノーシューを履いている人が間抜けに見えてしまった(失礼)。新雪か未踏の雪面こそがスノーシューの出番だと思う。
人の顔に見える八方ケルンは09:59通過。八方池付近の雪面に1張りのテント発見。同業者を見るとうれしくなる。
丸山を越えてからが苦しかったかな。
12:49 頂上山荘にやっと着いた。テント泊の形跡を探すも見当たらず。さあ、どこに張ろうか。雪は表面の20cm程がパウダーでその下20〜30cmは固雪、その下は氷でスノーソーも刺さらない。結局、剱と唐松岳頂上の両方が見える建物と壁の間で比較的吹き溜まりになっていない場所に決定。とにかく建物から回り込んできた南風がきつくてテント張るのも苦労したが14:00テント設営完了。頂上プッシュに行ってる間に飛ばされて無くなってたら洒落にならないので四隅の竹ペグは30cm四方のブロックを切り出してその下に埋め、上からブロックを嵌め込み足で踏み固めた。そして外張りのスノースカートの上にも切り出した雪ブロックを並べて周囲を固めた。これでポールが折れない限り大丈夫だろう。
14:07頂上プッシュ出発。唐松岳頂上に雪煙が立ち昇っているのが肉眼で分かる。相当風がきつそうなので、バラクラバの上にビーニー、更にミッドレイヤーのバラクラバ仕様のフード、マムートノードバンドジャケットのフード、目には送風機能付ゴーグル。途中あまりに風が強く足元が見えなくなることもしばしば。10回くらい耐風姿勢をとり、最後はダガーポジションまで使って、14:30頂上プッシュ。
本日最後の登頂者。西方目の前には圧巻の剱岳が!
剱には1回登ったし、色々な山からもその姿を見てきたが、ここまで神々しい剱を見たのは生まれて初めて!
雪という白銀のドレスを纏った剱の足元からお顔まで全身のお姿を心行くまで拝ませてもらった。
その後、唐松岳頂上標識の上にカメラを乗せタイマー撮影で10回以上剱をバックに自撮りを試みるも強風でぐらつくわ、飛ばされるわで結局まともな写真は2枚しか撮れていなかった。
14:50頂上山荘のテントに無事帰還。テントも無事だった。張綱とペグの再確認をしてからテントに潜りこんだ。それから、リュックを紐解き、サーマレストネオエアーXサーモを膨らませ、イスカエア1000EXを広げ、ゴアテックスのシュラフカバーに押し込む。エア1000EXは圧縮してもモンベル♯1に♯5を入れた大きさの1.5倍の容積があり、別格の暖かさだった。寝る用意をして身体を拭いて飯食って明日の朝に備え湯を沸騰させてテルモスとナルゲンボトルに詰め込みホッカイロと共に靴の中に。ガスカートリッジや電子機器はシュラフ内に入れ、風でテントがばたつく中、大分早いが風の音をBGMに17:00就寝。
普段も歳のせいか4時か5時台には1回、目を覚ますので目覚ましを掛けずに眠ったが、厳冬期用シュラフの寝心地が余りに心地よかったのか、目が覚めたのはテントの中がすっかり明るくなった06:15。顔を何者かに踏まれているような感覚で目を開けたら何やら白いものが眼の前を覆っている。なんだこりゃと思って跳ね起きたら、入口の吹き流しに雪片が吹き込んで溜まり、それでテント本体出入口が圧迫されて入口側を枕に寝ていた自分の顔にのし掛かっていたのだった。これにはまたまたびっくりぽんや!
それでもテント内に結露はなく、ホッカイロは冷たくなっていたが、水は凍ってなくて、コンロも一発で勢いよく火が付き、お湯も直ぐに沸騰した。08:00頃、出入口から外を覗くと紺碧の空!唐松岳頂上の雪煙も消えており、数名が頂上に向かって歩いていくのが見える。良かった〜。これなら無事に下山できる。
09:20下山開始。頂上山荘の頂上に登ったら本日登頂一番乗りの方が休んでいたので、写真を撮ってもらおうと声を掛けたが、返事がない。バラクラバにゴーグル姿だったので男性か女性かも分からない。「すみませーん」と大きな声で3回くらい呼びかけたらようやく気付いてもらえたので「すみませんが、剱をバックに写真撮ってもらえませんか?」と尋ねたら「※▽▲÷×≒」と理解不能な言葉で答えてカメラを受け取ってくれる。この方ひょっとして話せない方かな?悪いことしたかな?と思ってたら、つたない日本語で「テントで泊まったのですか?寒かったでしょう?」と尋ねてくれたので、ようやく日本人ではない若い女性であることに気付いた。「寒くはなかったのですが、風が凄くて」と答えるとびっくりしていたようだった。そして「ツンゴーレン ハイシー タイワンレン?」と尋ねると台湾から来て、夕べは八方池山荘に泊り今朝朝一で山荘を出発して唐松岳に登って来たことをうれしそうに話してくれました。スゴイデスネ〜!完全に日本人負けてますよ。
唐松岳、もう最高でした!どうしてここを日本百名山に選ばなかったのか、深田久弥さんに聞いてみたい!
kuroyuri2702 さん はじめまして。
昨日唐松登山の途中随分はやく下りられた方だなあと思っていましたら
頂上小屋横で泊まられたのですね。
たまたま私が頂上から頂上山荘小屋に行きましたら足跡が1人分だけ片道あったので
どうしてかなあと思っていました。
これで納得です。
凄いですね。
あまりの凄さにカンパイです
これからも楽しませてください。
iiyuさん、はじめまして!コメントありがとうございます。
そして74歳の誕生日おめでとうございます!誕生日を最高の天気の唐松岳で迎えるなんて素敵ですね!うらやましいです。これからも元気な山行を続けられますようカンパーイ!
これからも宜しくお願いします。
iiyuさんが写真を撮って頂いた方もあの台湾女性2人組の1人ですね。自分は先に頂上山荘の上まで下りた方と話したんですよ。もう1人の方お体不自由だったんですか?
実は前の日から八方山荘に泊まられていたので食堂での会話はいつも手話でした。
体のハンデを見事に乗り越えて明るくふるまっておられました。
kuroyuri2702さん、こんにちは!
唐松岳!!展望もバッチリでメッチャうらやましい〜〜〜〜〜です。。
いつか私もリトライします。。
それにしてもテン泊とは凄いですね〜
ni-shiさん おはようございます。
二日目の早朝、起きたら風が物凄かったのでリフト動くか心配したのですが、
8時頃になって、登山者の姿が見えたのでホッとしました。
もう1日閉じ込められるかヒヤヒヤもんでした。もちろん食糧、水、燃料はまだ丸1日分はもってましたけど。
唐松岳素晴らしかったです。ni-shiさんも是非リベンジして下さい。
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