立山BC(内蔵助谷から残雪期限定の黒部別山へ)


- GPS
- 32:46
- 距離
- 22.4km
- 登り
- 2,435m
- 下り
- 2,446m
コースタイム
- 山行
- 5:14
- 休憩
- 0:36
- 合計
- 5:50
- 山行
- 8:34
- 休憩
- 1:39
- 合計
- 10:13
天候 | 1日目:晴れのち雨 2日目:雨のち晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
始発のケーブルカーは6:00立山駅発。 今の時期の室堂発美女平行きの最終バスは17:05発。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【室堂〜富士ノ折立・真砂岳のコル】 ・沢筋の急登を登る必要があるため、基本的にアイゼンとウィペットのダブルアックスでシートラーゲン。 【内蔵助カール〜内蔵助平(スキー滑走)】 ・稜線直下の内蔵助カールは広大な中斜面が続き、まさにスキー向けなバーンとなっている。 ・内蔵助カールから下の斜面は40度くらいの急斜面だが、雪質次第で難易度は変わる。 ・日帰りなら内蔵助カールのみを滑って真砂岳に登り返すというのもアリ。 【内蔵助平〜ハシゴ谷乗越】 ・緩やかな登りだがダケカンバを避けながらルートをとる必要があり、今年のように雪が少ない年は苦労することになる。 ・ハシゴ谷乗越にテント数張分のスペースがあるので利用した。西風は完全にしシャットアウトすることができる。 【ハシゴ谷乗越〜黒部別山(往復)】 ・黒部別山は残雪期のみ登頂可能。 ・狭い尾根歩き中心なので基本ツボ足歩行となる。 ・今年は雪が少ないため特に藪漕ぎ、踏み抜き多発。 ・基本的に尾根伝いに歩くことになるのでルートファインディングはそれほど難しくない。 ・GW以降は藪が多くなるので登頂困難だと思われる。 ・黒部別山は周囲360度をエース級の山々に囲まれた最高の展望台。 【ハシゴ谷乗越〜剱沢(滑走)】 ・雪の付き方、藪の状況、地形などを総合的に判断しながらルートファインディングを行う必要がある。 ・剱沢の下部は沢が出ている可能性があるのでできるだけ上流部を目指した方がよい。 【剱沢〜剣御前小屋(登り返し)】 ・標高差1000mをとにかくひたすらスキーでハイクアップ。 ・途中沢水が採れる場所も数か所確認できた。 【剣御前小屋〜室堂(雷鳥沢滑走)】 ・雷鳥沢はいわずと知れた滑走向けバーンで、この日も適度なザラメで滑りやすかった。 ・雷鳥沢キャンプ場〜室堂までは夏道を登り返したが、ほぼスキーを利用可能だった。 |
その他周辺情報 | ◆ドコモ電波状況 ・今回テン場となったハシゴ谷乗越では微弱ながら電波が入った。 ・室堂周辺は問題なし。 |
予約できる山小屋 |
剱澤小屋
|
写真
サバ、チーズ、魚肉ソーセージの燻製と角煮。
最高にうまかったっす。(san)
普通に売っている〆サバを燻製、これいける、成功。(Ni)
この辺は緊張のルートファインディングの連続でした。(san)
装備
個人装備 |
テン泊対応装備
アイゼン
ピッケル
ヘルメット
補助ロープ
|
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感想
立山周辺スキーで滑る素晴らしい斜面は沢山あるが、その中でも内蔵助カールから内蔵助平へと下りるルートは最高のものだと思っている。真砂乗越からカールにドロップし、最初の急斜面の後は長い中斜面、そして名物の500m×500mの40度バーン、その下も延々と滑り降りて内蔵助平まで標高差1100mのスケール、景観とその移り変わり、斜面のバリエーション、どれも超一級なのである。
ひとつ問題は内蔵助平に下りてからどうやって帰るのか。東京方面からの人達は谷を下り続けて黒部ダムへと向かうことが多いが、内蔵助平から下、黒部川までは結構テクニカルな難所である。北陸人なら室堂へと戻りたいが、内蔵助カールへと登り返すのは急斜面続きでとてもしんどい。ハシゴ谷乗越経由で剱沢に出て登り返すのが技術的には易しくて良いが、標高差1000mを登り返す体力勝負となる。
今回は黒部別山と組み合わせる計画にした。ハシゴ谷乗越から東へ峰続きの黒部別山だが、登山道はなく雪が無ければ藪漕ぎ三昧か、東壁のクライミングになる。富山県山岳連盟が編集して2014年に発行された、「富山の百山」の中で山頂に行けることになっていない唯一の山なのだ。比較的容易に登れるのは残雪期しかない。
この時期のこのルートならテント利用で、1泊でこなすには体力、スキー滑降技術、雪山登行技術が揃ってないといけない。僕の身近な仲間の中では、他の人達には申し訳ないが、Sanchan33しか誘う相手として考えられなかった。と偉そうなことを言いながら、今回僕の方が若干体調不良で2日目の登り返しでスローペースとなり、なんとか高原バスの最終便に間に合うように室堂にたどり着く有様だった。剱沢登り返し3度目にして一番大変だった。荷物のせいでハードなのも確かだが、どう考えてもそれだけではなかった。
ともあれ山行全体は狙い通り素晴らしいものだった。内蔵助谷の滑降はダイナミックで楽しいことこの上ない。標高2000mを割ると若干重雪ではあったが。ハシゴ谷乗越でのテン泊も静かで良い雰囲気を過ごせる。秘境中の秘境黒部別山は藪交じりのツボ足歩きだったが何といっても剱、立山の眺めが最高で、360度高峰だらけの超一級の展望台だ。ハシゴ谷乗越からの下りの稜線は雪が切れかかり、板を担いでのトラバースなど結構スリリングだった。天気は晴れ、曇り、夜は雨と変化に富んだが、2日とも一番良い時に晴れて、晴れっぱなしよりも一段とドラマチックだった。
立山を知り尽くすNishidenさんから「内蔵助カールを滑らないか」と誘っていただいたのをきっかけに、これはチャンスと思い同行させていただくことになった。
立山自体はこれまで何度も滑ってきたが、内蔵助カールは気になりつつもこれまで滑ったことがなかった。
今回のルートは単独でおいそれとチャレンジできるようなルートではなく、相当土地勘を持っていないと怖くて行くことはできない。
実際に藪漕ぎや踏み抜き、ルートファインディング、状況判断の連続だったし、2日間を通してまさしくアドベンチャー、総合格闘技と言えるようなハードなスキーツアーとなった。
内蔵助カールの滑走は予想通り、いや、予想以上の楽しさだった。
久しぶりの雪山テン泊も何もすることがない、何もしなくて良い贅沢な時間を過ごすことができた。
それより今回の山旅で何よりも特筆すべきは「黒部別山」だ。
間違いやすいがいわゆる立山の「別山」とは別の山で、Nishidenさんから教えてもらって初めて知ることとなった。
残雪期にしか登ることができない、まるで笈ヶ岳を彷彿するような山だが、この山の周りは剱立山をはじめ、後立山連峰や針ノ木岳、毛勝山等エース級の山々に囲まれていて、展望台として超一級の山なのだ。
無理やりこの山に登ったことが後から災いして時間に追われながらの剱沢遡上となったわけだが、結果的には最終バスにギリギリセーフ。
予定していた行程を100点満点でこなして最高に充実した2日間となった。
最後に、素晴らしいルートを案内していただいたNishidenさんに改めて感謝したい。
コメント
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いや〜、黒部別山へ行って剱沢を登って来たんですか。その前に真砂乗越をダブルアックスで。計画を見た時にお二人ならではと感心しましたが本当に実行されて賞賛モノですよお。
剱御前小舎に3時間くらい前までいて、お二人に会えるかと思って小一時間ほど剱を眺めてました。(これからレコ書きます)
後立山&稜線から眺める内蔵助カールはとても美味しそうに見えるのですが、日帰り可能だったら挑戦しようかな。いやいやこれもお二人ならではかな。それに早起きできないし(^-^;
レッズさん、
あれ?剱御前小屋まで来られてたんですか?
そうとは知らず、Nishidenさんと「誰もいませんね〜、日曜日だし、みんな15時くらいには帰っちゃうのかな〜」なんて話しながら剱沢を詰めてました。
15時まで待っててくれたら会えましたよ
内蔵助カールだけなら日帰りでも行けますよ。
もっと言うと、真砂沢、別山沢だったら剣沢まで滑って登り返しても日帰りできると思っています。
今年も雪が少ないながらも立山で〆ってことになりそうなので、そのうち狙ってみたいと考えています。
ニシデンさんが富山大の小屋で語っていたこのルート、完走おめでとうございます。まさに夢のようなルートですが、とりわけ体力とスタミナが要求されますね。ニシデンさんが、ヘロったなんて、すごいものがあります。
ルートが良かったことに加えて、お天気がドラマチックでしたね。まさに新しいスキー板を急いで買った価値があるというものです。しかし、あの”蛍烏賊の化身”であるイカ墨色のスキー板の呪いはありませんかね?これがとても心配でなりませぬ。
クマ
クマさん、こんばんは。
いやいや、おっしゃる通り、夢のようなルートでしたよ。
Nishidenさんが熱く語るのもよくわかります。
ここのところ充実した山行が多いんですが、その中でも今回のツアーはテン泊ツアーということもあって本来の山の良さを思い出させてくれました。
ハードすぎてもう1回行こうっていう気分にはしばらくならないと思いますが
でも夏道を歩きたいってのはありますね
そうか、確かに黒い板だけど蛍烏賊の化身であるとは思いつきませんでした。
新しい板に嫉妬して呪いがかかっているのでしょうか?それともペアの板が別れ別れになって悲しんでいるのでしょうか?
供養をしないといけないかも知れませんね。
すごい。このルート、ヤマスキルすべてを駆使するエキスパートバリですね。テンパク装備で長時間行動って大変だと思います。まさにお二人ならではのツアー、ご苦労様でした。
Chikauさん、
おっしゃる通り、今回のスキーツアーは総合格闘技でした。
スキー技術だけでもダメ、登山スキルだけでもダメ、体力だけでもダメ。
それだけに充実感はハンパないです。
テン泊は準備や片付けのことを考えると気軽にってわけにはいきませんが、山との一体感は格別です。
またGWもテン泊できたらいいなーと思っています。
なんとも素晴らしい山ツキーツアーだこと。
斜面の良さもさることながら、その斜面を繋いで滑って行くお二人の姿が
堪んなく最高です。
これぞ山スキーの世界と思わせる写真の連続です。
やはりこれが山スキーの醍醐味だなんだと感じますね。
写真を見て堪能させていただきました。
tekapoさん、こんばんは。・・・って、なに!?白山ですと?
いや〜言ってくれれば…と言ってみつつ、今週は何事にも優先して立山へ行って正解でした。
去年の浄土山1泊山行に負けず劣らずのロングツアーとなりました。
テン泊だった分だけ今回の方がアドベンチャー色が強いですけどね。
来年あたり行ってみますか!
さて、tekapoさんのレコにお邪魔しようっと。
流石ミリオンピークスの2トップならではの山行ですね。
ハードな山行なのにお約束の写真もあって余裕が感じられなくもないですが(笑
黒部別山は富山の100山で最難関でしたっけ?こうしてみるとアプローチも笈ヶ岳以上に大変そうです。お二人が山頂にいる頃は丁度毛勝谷から直登ルンゼを登ってる頃でした。
この時期の立山は行ったことないですがやはり雄大ですね。
毛勝山から剱ながめてると、早月尾根以外からも登らなければなぁと思いました。
souさん、毛勝三山周回お疲れ様でした。
今回のルート、何度も言うようですがほんとハードでした。
ただ、ハードだったと感じた一番の理由は2日目の時間にあったと思います。
タイムリミットがなければもう少しのんびり歩くこともできたと思うし、気持ちに余裕が生まれたと思います。
黒部別山の日帰りは厳しいですね。
どうしてもアルペンルートを絡めないと行けないというところが辛いところです。
でも、せっかく行くならテントで一泊、やっぱりこのパターンがお勧めです。
ヤマレコの「山のデータ」では黒部別山の記録は僕らのを含めてたったの4件です。3件は残雪期で、唯一9月に登った人はハシゴ谷乗越からの往復4時間半かけています。僕らは3時間だったので雪がないと凄い藪でしょう。
剣岳の早月尾根以外と言っても、一般道別山尾根ではつまらなく、長次郎谷からが絶対良いですよ。
長次郎谷は登ってみたいルートですが休みのとれるお盆はここ2年くらい雨でいい思い出ないんですよね。ゴールデンウィークだとさすがに時期が早いですよね。
souさん、
長次郎登るなら5月中旬の富山県登山届出条例期間が過ぎてから、ということになると思いますが、今年はとにかく雪が少ないのでどうかな・・・と思っています。
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