【坊主山】南アルプスの激藪!坊主中尾根を気合いで突破!
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- GPS
- 08:51
- 距離
- 13.6km
- 登り
- 1,850m
- 下り
- 1,843m
コースタイム
- 山行
- 8:07
- 休憩
- 0:44
- 合計
- 8:51
僕はバス使用の約9時間で日帰りしましたが、普通の方のスピードでは不可能だと思います。
幕営装備は必ず持って行ってください。
天候 | 曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
★この山を目指そうとする方は藪山の経験が豊富だと思いますので、経験が豊富という前提で書きます。 ・北沢峠〜甲斐駒ケ岳 一般登山道です。 仙水峠経由、双児山経由どちらも時間的には大差ありません。 ・甲斐駒ケ岳〜六合石室 破線路ですが、良く整備されており一般登山道と遜色無いと思います。 ・2800mコル〜坊主山 どのようなルート取りをしても稜線からしばらくはハイマツ漕ぎは避けられません。 昨年は2650m辺りから突入して散々な目にあいました。 今回の2800mコル付近から突入すると沢地形が最短距離で、この場所以外に下降地点は考えられません。山行後の感想として、稜線からの下降ルートとしては他に選択肢は無く、2800mコルの1択です。 沢地形に入り、右側に露岩帯が見えるまで沢を下ります。サイドはハイマツの激藪で地獄です。沢地形とハイマツ帯では10倍以上スピードが違います。しつこい位に沢の下降です。 2450m峰が見えてからは稜線に向かいトラバースしてハイマツ漕ぎになりました。このハイマツ帯は長くは続きません。稜線に上がらずハイマツと樹林帯の境を狙うという手もアリだと思いますが、どちらが得策なのかは不明です。 2450m峰からはハイマツ混じりの露岩帯になり、岩を越えて行きましたが技術的には難しいありません。 ただ、ナイフリッジっぽい岩もあるので滑落には注意。 露岩帯を下ると樹林帯に入ります。 一気に痩せ尾根の急斜面になり下降方向を間違え無いよう注意。 稜線から坊主山へは左に下降します。地形図が示す通り斜度は凄いです。 木に掴まりながらの下降ですが滑ると木にぶつかるまで止まらないので、身のこなしに自信がない方は懸垂かゴボウで降ったほうが安全です。 |
その他周辺情報 | 仙流荘にて入浴。(600円) |
予約できる山小屋 |
北沢峠 こもれび山荘
|
写真
感想
ついにリベンジの時がきた。
昨年の海の日に行った『坊主山』 日向八丁尾根から登り、上部から全容を見ずにハイマツのと樹林帯の境を狙って突入した結果ハイマツの海に溺れ、心身ともに疲れ果て、天候にも見放されて登山を始めてから初めて心を折られた山行になった。
あれから一年が経ったが、あの悔しさと苦しみは忘れる事が出来ず、リベンジの機会を窺っていた。
そして今週は金曜日から日曜日までの期間で、稜線から登れるチャンスがあれば坊主山へ行く計画を立てました。
坊主山について少し説明します。
坊主山という名の山は国内に多くありますが、2000mを超えている坊主山は志賀山域・北アルプス仙人池山域・そして南アルプス甲斐駒ケ岳山域の3つという事ですが、北アルプスと南アルプスの坊主山は揃ってトンデモない場所にあります。
南アルプス坊主山は甲斐駒ケ岳〜鋸岳の稜線から東に派生している尾根で、稜線から狙う場合、南アルプス屈指のハイマツの激藪と言われているようです。下部の黄蓮谷からはクライミング技術を駆使して登る事は可能です。このピークに行くのは恐らく年間1名入るか、入らないかのルートです。
僕がこのルートを知ったのは山岳関係では有名なサイト「激藪の隙間より」のtoradangoさんから厳しい藪尾根が有ると聞いたからで、もし聞かなければ一生登る事は無かったと思います。
仕事を終えて帰宅し、食事を済ませて戸台へ。
0時に到着して車中泊。
5時前に起きて外に出ると既に多くの登山者がバスの順番待ちをしている。
始発のバスは6時だが、伊那バスは人が多くなると順次出発するようで5時くらいから北沢峠に向けて発車して行く。
僕も急いで支度したが5台目のバスで5時40分位の発車になり、北沢峠には6時半過ぎに到着。
さっさと稜線に行きたいので、仙水峠経由で甲斐駒ケ岳を目指す。
始発から4台目までのバスで先行している登山者を、抜いていったが1名の登山者がかなり速く抜いても離れないので、今日は幕営装備一式背負ってるからスピードが遅いんだ…と思ったが、このお兄さんが速いだけだった。
仙水峠から駒津峰までの急登区間はやはり重荷ではキツい。今日のザックはベストタイプでウエストハーネスで荷重を支えられないので、肩にずっしりとウェイトがのしかかり肩がこる。 おっぱいが大きい女性はこういう感じなのだろうか?などと難しい事を考えていると、いつの間にか甲斐駒ケ岳に到着。
天候はガスって景色はよく見えない…。
山頂に長居する必要は無いので早々に鋸岳方向への稜線に向かう。
昨年の失敗から、今回は比較的高い高度の2800mコルからの下降と決めていた。
自分のオリジナルルートでの挑戦は素晴らしいが、また昨年と同じ失敗をする可能性が高く、今回は絶対に登頂したいので偉大な先人の足跡を辿らせて頂く事にした。
2800mコルから坊主山方向を見下ろすとガスって全貌を眺める事は出来ないが、目的の沢地形は確認出来た。
これ以上ガスが深くルートが確認出来ないようなら六合石室に籠り、2日間の予備日をフルに使い視界の回復を待つつもりでいたが、これなら突入出来そうだ。
必要の無い物は岩陰にデポし、アタックする際の荷物はなるべく軽量にし、数時間はハードな藪漕ぎと覚悟を決めてハイマツの激藪に突入!
稜線から数メートルは浅いハイマツ帯だが、その後は背丈を超えるハイマツになり、昨年の苦い記憶が蘇る。
ハイマツは下に向いて伸びているので、下降する際は登りに比べれば進みやすいが、枝から落ちれば根元から登り直さなければいけないので、平均台を歩くようになるべくバランス良く下降して行く。
100mほど下降すると、僅かに沢地形と思える地形が確認出来た。
この沢地形だけはハイマツだけでは無くナナカマドも生えており、随分進みが早くなり、更に下降し完全な沢地形に入ると、ハイマツ帯に比べると高速道路のようにスピードが上がる。間違い無く10倍以上の進行速度。
しかし次第に沢地形は、完全な沢へと姿を変えていくようで、土混じりから、ツルツルの花崗岩のナメ沢になり巨大滑り台となったので楽園のような沢から離れ、トラバースしながら再び藪の稜線へ復帰。
前方には露岩帯が見える2450mピーク。
相変わらずガスがかかり、坊主山は見えない。
露岩帯は大岩が多く、乗り越えながら進むがサイドのハイマツ帯を歩くよりは全然マシで岩から落ちないように注意しながら下降し、高度も下がり稜線は2500m以下はハイマツ帯から樹林帯へと姿を変える。
樹林帯に入るとブッシュはあるがハイマツ帯に比べれば天国で獣道を探しながら稜線を進む。
しばらくは広めの尾根を方向に注意しながら進みますが、尾根は急斜面になり一気に標高を下げる。 今までの緩やかな尾根とのギャップが激しく、本当にこの急坂を下りるのか?と疑い地図と木の間から見える風景を見ていると、下方に坊主山が見えた! ここを下る事で間違いはない。
急坂を下ると再び露岩帯になる。
ここはナイフエッジ気味の岩があるので落ちないように注意しながら通過した。
再び樹林帯に入るが結構ブッシュが酷く面倒だが、このまま進み過ぎてしまうと坊主山には行けないので、地点を決めて北の急斜面を下る事になる。
地形図が表す通り、壁のような勾配で下るのを躊躇するが、黒木が生えているので気に掴まりながら下る。 タイミング悪く足を滑らせてしまうと、止まらずにかなりの距離を滑ってしまいそうなのでトラバースする際には緊張した。
下っていると木の隙間から花崗岩の砂礫の色をしたコルが見えた。
このコルに来られれば、もう坊主山は目と鼻の先。コルに到着すると緊張が解け、黄蓮谷から登って来るルートを見るが急勾配のルンゼが見え、いつか下からルートを繋げたら良いと思ったが難易度的にもかなり先の話しになりそうだ。
コルから北に少し進むと大岩があり、ここが「坊主山」。
遂に、一年越しに登頂する事が出来た!!! あまりの嬉しさに叫ぶが、帰りもあるので喜んでばかりはいられない。
憧れていた山頂でご飯を食べながら休憩し、あたりの風景を眺めるが、ガスは完全には晴れておらず、黒戸や烏帽子中尾根、日向八丁尾根は見えない。
20分程休憩し、稜線目指して登り始める。
ルートファインディングに関しては、登りなので特に困らないし、ポイントでマーキングをしたのでルートを探す事は皆無、更には下りよりも歩き易い獣道(稜線北側)を使ったので思っていた以上にスムーズに登り沢地形まで登る事が出来た。
ここまで来れば、沢を詰め最後はハイマツの海を掻き分けて稜線に出るだけで少し落ち着き沢で水を汲み休憩をしているとホシガラズが近くで泣いていたので、初めてまともに写真に収める事が出来た。
稜線手前の比高100mほどのハイマツ帯は登りという事もあり、大変な藪漕ぎになったが、何とか稜線に復帰。
時計を見ると13時08分。 まさかこんな時間に稜線に復帰できるとは思っていなかったので、帰りのバスの時間を調べておらず、伊那バス(南アルプス林道バス)に電話して最終のバスを聞くと16時という事で、走って帰ればバスに乗って帰る事も可能な時間だと直ぐに分かった。
でも、今回は幕営装備一式+美味しいカレー&コーヒーも背負ってきており、六合石室で優雅な時間を過ごそうと思っていたのでデポして置いた荷物をザックに詰めながら凄く迷う。
結果、北沢峠に降りて帰る事にした。
甲斐駒に登り返し、少し休憩して北沢峠に向けて下る。 重荷でも1時間半あれば下山できるだろう。
部分的に走り、読み通り1時間30分弱で北沢峠に降りると、タイミング良く臨時便が出発するところで、久しぶりのこもれび山荘に挨拶したかったが直ぐにバスに乗り込み仙流荘へ。
ここで温泉に入り、山行は終了!
さて、予定外に空いた明日はどこにいこうか?
--------------------------------------------感想--------------------------------------
エベレストに登った訳でも、厳冬期の黒部横断をやった訳でも無く、誰にも理解されない無名のピークに登っただけ。
でも、この山に登る事が出来て自分では大きな達成感と喜びでいっぱいで、藪山という変わった登山をやっていて本当に良かったと思っています。
今年の大きな目標だった「坊主山」を登る事が出来たので、今年の冒険的な登山はほぼ終了で、秋からはロードレースを頑張ります!!!
でも、藪山も残り1.2回は行きたいですね。(笑)
今回の登頂は「激藪の隙間より」を参考させて頂きとても参考になりました。 ありがとうございます!
コメント
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昨年来、折に触れて念仏のように唱えていた「坊主山」!
ついに登頂成功ですか
藪を好む方々ならその偉業が判るのでしょうが、門外漢のワタシには全く理解できん
今日もyamayoさんとkaikaireiさんの話題でもちきりでした。ますますヘンタイ度が増していきますな。
てか、27枚目の写真以降は普通の人が歩く所じゃねぇし(笑)
inaminさん、こんばんは
はい!昨年の失敗からずっと、ずっと頭から離れなかった坊主山に登る事が出来て嬉しいです
同じ思考のinaminさん、yamayoさんなら写真を見て「なるほどね
行きたいルートに限りはありませんが、今年はもう少しで打ち止めです。
またランニングシーズンはどこかのレースでご一緒しましょう
こんにちわ
行って来ましたね!
しかし、写真8や18、27 あたりを見ると 結構悩ましい、、、
私なら北沢峠でパスしています。
午後は晴れる予報だったのでしょうか?(それでもガスの中へ突入は勇気が、、)
沢スジを徹底的に歩く、覚えておきます。
ところで、
>このピークに行くのは恐らく年間1名
これは2名にしておいてください。でないと私は来年、ということに、、、
DIYさん、こんばんは!チェックしていただけたんですね
昨年は失敗していたので、今年の目玉として3日間をこの山に費やす予定でしたが、初日で坊主山に辿り着く事が出来たので良かったです。
僕はとても臆病な性格で、絶対の自信がある事しか出来ないですし、天候・視界の条件が悪いと判断していれば稜線から下降出来なかったと思います。
写真と現地ではやはり印象に差が出てしまいますね...。ヤマテン予報では晴れ時々ガスって感じで雨が降るような感じでは無かったですね。
ルートについて僕からDIYさんに助言できる事はありませんし、記録も自分の記録用と思ってください
DIYさんは僕なんぞよりRFや危険箇所の通過も遥かに上手な方ですし、現地でもDIYさんは「黄連谷から来るのかな?」と思っていました。
DIYさんが下から来た場合の事を考えて、少しだけ足跡を残しておきました。
難しい藪山の記録を探すとDIYさんの記録に辿り着く...。僕のような山行を行う者にはDIYさんの山行には夢があります
この先も参考にさせて頂きたいと思いますのでよろしくお願いします!
>このピークに行くのは恐らく年間1名
二人も坊主中尾根の藪を歩くなんて今年は当たり年のようですね(笑) 記録楽しみにしています!
kaiさん、こんばんは!
タイトルを拝見し、「何処なんだ?」と、思いつつレコを拝見しました。
北沢峠から甲斐駒と、久し振りにオーソドックスな山業と思いきや・・・
一転して変人様向けルートに突入
心配せずとも、誰もバスに間に合うとは思いませんし、そもそも
登ろうとは思わないでしょう
あれ!?一名いらっしゃるようですね
流石、変態さんが集うHPですね。
蛇足ですが、29日の始発バスは5:15発です。
この時間の始発、シーズン中に5日間しかありません。
毎日この時間だと助かるのですが・・・
tailwindさん、こんばんは
今回はオーソドックスな登山者に混じりバスで北沢峠までやってきました
tailwindさんは長野県民ですし、百名山を歩いておられる方ですので甲斐駒・仙丈ヶ岳には登っておられると思いますが、やはり「坊主山」なんて意識した事なんてありませんよね(笑)
バスですが、以前は夜叉神峠や奈良田からの山梨交通のバスでしたが、あまり良いイメージが無く、初めて戸台から乗った伊那バスはとてもサービスが良く、バスを利用するなら可能な限り伊那からにしています。
確かに毎日5:15分なら良いですね...。
遅いコメでごめんなさい。
なかなか皆さんのレコにたどり着かなくて、、、PCの問題です
ついに坊主を仕留めましたね
でもまあ、その手の山遊びに興味のない人には無縁でしょうね。
実際、自分もkaikaireiさんやkoujouchouからの情報がなければ知らなかった
はずの山ですからね。
わたしゃ視界クッキリでも怖いですね。
kaikaireiさんの様な、ルーファイセンスも突破力もないですし。
読み応えたっぷりのレコ
ご馳走様でした。
そして目標達成!おめでとうございます
ほんとドンドン早くなってちゃうんだから
いや、速くです。。。
週末に、またお話きかせてくださいね〜〜
yamayoさん、こんばんは
いよいよ坊主山に行く事が出来ました
昨年のルートに比べればかなり楽を出来たので、先駆者のRFのおかげです
明日から聖平に行ってきます。
帰ってきたら子供の国ですので、またよろしくお願いします!
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