黒部湖絶景/針ノ木岳〜蓮華岳
- GPS
- 36:25
- 距離
- 17.1km
- 登り
- 1,814m
- 下り
- 1,818m
コースタイム
- 山行
- 3:46
- 休憩
- 0:04
- 合計
- 3:50
天候 | 10日:曇り時々晴れ 11日:晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・小雪・猛暑のせいか、雪渓はノド付近でかすかに残雪が見えた程度でした。夏道は滑りやすい砂利状、歩きにくい砂礫状の足場が続き、転倒と滑落に要注意。 ・ノドの鎖場は、慣れない人は特に下りで難儀するかもしれません。岩が脆いので落石を起こさないように注意。 ・最後の水場?(との表示はなかったが)でそのまま蓮華岳寄りの沢の右岸を辿りそうになったが、ここは渡って一つ先の沢筋を詰めるのが正解。 ・小屋から針ノ木岳へは岩場めいた所もある急登が目立ち、蓮華岳へは取りつき直後を除くと比較的緩やかな道という印象。どちらの山頂も小屋からは見えません。蓮華岳は手前の偽ピークから先へ長い高原状の尾根が続きます。 |
写真
感想
8月末の表銀座〜槍ヶ岳山行を連発台風のせいで中止し、代わりに企画した今回の針ノ木岳&蓮華岳も、出発前の予報では肝心の2日目が曇りのち雨。しかーし、幸いにも予報は良い方に外れて、針ノ木岳山頂からは北アルプスと立山連峰の雄姿をたっぷり楽しめた。
【10日】 針ノ木トンネルの黒四ダム行きトロリーバスに乗る観光客の列を横目に、まずは扇沢バスターミナル南側(向かって左)の登山口から林の中へ入る。トンネル保守用の作業道路?を数回横断して、小広い関係者駐車場のような所から針ノ木雪渓への谷合いの道に入った。登山口の標高が1425mという割には日向は暑いくらいだが、当面は樹林帯なので助かる。
水の流れる小沢やガラ石で埋まった枯れ沢を4、5回渡り、1時間余で大沢小屋。小屋はしっかり戸締りされ、人の気配はなかった。なおも林の中を進む。すれ違う下山者が思ったより多い。その一人に山の眺望を聞いてみると、「最高でした。剱岳も槍ヶ岳も、360度全部見えました。今までこんなに晴れたことはないくらい」とご満悦の様子。それを聞いた当方は「1日早く来られたらなあ」とぼやきつつ、好天を祈るしかない。
針ノ木雪渓の沢(といっても今は雪はカケラもないが)を高く巻いていた道が少し下り、沢床に下りた。片方に手すりのある小さな木橋を渡り、砂利や石混じりの右岸の踏み跡をたどる。ここの名物の鯉のぼりの道しるべが登場した。ほぼ真っ直ぐ渓谷が伸びており、硬い雪が残っていればさぞかし涼しくて歩きやすいことだろうなと想像する。
やがて土砂に覆われた雪渓の残骸が見え、両岸の岩がせり出している所で左岸に渡ることになった。ここが「ノド」らしい。かなりの水量がある沢を、丸太を井桁に組んだものを頼りに渡渉する。雨が降ったら難儀しそうだ。渡るとすぐに鎖場で、何組かの下山者が慎重に降りてきた。雪がたっぷりあれば岩場を盍くことなく雪渓を直登できるのだろうが・・・。
標高約2100m、ガスが下りて視界が狭まってきた。再び右岸に戻り、丸いカール地形を残すマヤクボ沢を右に分けて南寄りの沢筋を詰める。さらに沢が二手に分かれる所に1mほどの小滝があり、そのまま左手の沢を詰めそうになったが、右手に目印のピンクテープがあった。ここを過ぎると水音が遠のいたので、勝手に「最後の水場」と解釈した。
後はガレた急斜面をジグザグの登山道で詰めるだけだが、深いガスで視界は100mを切り、あまり楽しくない。腕時計の高度計が針ノ木峠の標高に近づいていくことだけを励みに歩き、ふと見上げたら、そこに針ノ木小屋があった。所要約4時間、まずまずのタイムで、雨にも降られず到着したことは良しとしよう。
頑丈なシェルターのような小屋の中は、思いのほか窓も大きく、蚕棚ではない広々した客室の造りだった。畳の食堂兼談話室はカウンターキッチン式に調理場が近くて便利だ。日暮前、ガスが少し晴れてスバリ岳に連なる峰が覗いた。明日、天気が持ってくれることを期待して寝る。
【11日】 傍らに寝ていた親子3人がガサガサやる気配で目が覚めた。お兄さんらしいのが妹に「日の出見るなら小屋から少し上に行かないと・・・」などと話している。ん? 日の出が見える? 飛び起きて窓の外を見ると、槍穂高連峰が朝の青い光の中に連なりそびえていた。
すっきり快晴とはいかないが上空の雲は十分高く、遠くに雲海は広がっているものの谷合にガスは湧いていない。「おい、山が見えるぞ」とalps165ことDr.エモンを起こして窓から山々をカメラに収め、急ぎ朝食へ。天気がどうなるか分からないので、後は下山するだけという青年と一緒にゆっくりしているDr.をせかして宿を出た。
同宿者は蓮華岳へ向かう人が多かったようだが、我々は黒部湖が見えることを期待して針ノ木岳を目指す。手を使う急登に挑みつつ、刻々と見え方を変える峰々の美しさに目を奪われた。息継ぎ休憩を兼ねた撮影タイムを挟みながら眼前の岩峰を目指していくと、その向こうに本来の頂上が見えた。道は最初の岩峰の北側をトラバースして、まっすぐ頂上に向かっている。
すると、スバリ岳との鞍部に特徴ある岩峰の塊が覗いた。剱岳に違いない。ほどなく着いた針ノ木岳頂上は期待通りの大絶景だった。濃い青色の黒部湖もバッチリ見え、その向こうには圧倒的迫力で立山と剱岳の峰々が連なる。南に目を移せば薬師岳から水晶岳、野口五郎岳を経て槍穂高連峰、燕岳までの北アルプス核心部全景、北へ目を転じれば鹿島槍の双耳峰から白馬までの後立山連峰全景。東にはこの後向かう蓮華岳の端正な姿が見える。目を凝らすと南アと八ヶ岳の間に富士山まで輪郭を見せた。
たっぷり撮影して景色を堪能し、満足して元の道へ戻った。当初、スバリ岳まで足を延ばすことも考えたが、天気が持つうちに蓮華岳にも登頂したいのでパスした。今のところ、多少ガスは増えたもののアルプスの山々はよく見えている。足元に注意して急坂を下り、ひとまず針ノ木峠の小屋まで下りてコーヒーを注文、一休みした。
蓮華岳へは、小ぶりなダケカンバの間をしばらく急登し、ハイマツ帯に出てほどなくごつい岩峰の右奥に頂上みたいなピークが近づいてきた。なんだ、近いなと思ったのは間違いで、これは手前にある2754mの偽ピークだった。いつの間にか、両側からガスが湧き上がって峰々が雲に隠れ出しており、後ろを見てもすぐ近くの針ノ木岳すら見えない。
ただ、その先の道の方は高原状に緩やかに続く尾根で、特段の苦労もなく本当の頂上に到着できた。しかも、登頂に合わせるかのようにガスが下がって雲の中から堂々とした針ノ木岳が姿を現し、立山劔や槍穂高、白馬といった3000m前後の高峰も雲海の上に顔を出してくれた。
頂上は長い尾根状で、「若一王子神社奥宮」と書かれた石柱のある祠から山名柱兼道標まで50mほどある。蓮華岳はDr.が以前、木崎湖のほとりから見上げてその堂々とした姿に感銘を受けたという山だが、逆に山頂から下界を見下ろすというDr.の宿願は雲に邪魔されてかなわなかった。
下山するちょっと前に、大きなリュックを背負った縦走の青年が七倉岳方面から登って来た。下山する前に、間に合えば装備を小屋にデポして針ノ木岳にも寄りたいという。まだ10時で、青年の健脚ぶりから見れば空荷なら針ノ木ピストンなど造作もないだろう。先ほど感動した黒部湖や立山の景色を話し、運が良ければ雲がどいて絶景が見られるかもしれないからトライしてみては、と勧めてあげた。
小走りに先を行く青年の後ろ姿を見送って、我々もなだらかな尾根をゆっくり下って3度目の針ノ木小屋へ。昼飯に中華丼を頼み、下山前の大休止とした。このコースは小屋を中心に往復するので、弁当を持ち歩かなくていいのが助かる。
11時半過ぎに小屋を辞し、まずは昨日見えなかった針ノ木渓谷の全容を眺めながら詰めの急斜面を下る。左からカール状のマヤクボ沢を合わせ、ノドの岩場を慎重に降りる。帰る人はほとんど朝のうちに下ってしまったのか、他に前後する下山者の姿は見えず、すれ違う登山者も数えるほど。
そんな時、最後に手すりのある橋の上流側で小学生の男の子と中学生くらいの女の子を連れた親子4人組と行き会った。この下も険しかったはずだが、これからノドを登って針ノ木小屋に辿り着くのはさらに大変だろう。時刻も既に昨日の我々より遅い。大丈夫かなあと思って後ろを気にしていたら、やがて引き返してくる姿が見えた。もしかすると、時間を決めて行ける所まで行って戻るという所定の行動だったのかもしれないが、ともあれ他人事ながらホッとした。
さて、こちらは大沢小屋の前で小休止して最後の区間に入ったが、沢と離れて高巻く道がなかなか下り坂にならず、枯れ沢を渡っては樹林帯に戻る繰り返し。針ノ木小屋の人が「昼までは降らない」と言っていたが、雨どころか日が差して暑いくらいだ。
ようやく作業用駐車場に至り、左にトンネルが口を開ける保守用道路に合流。その車道をショートカットしつつさらに100m以上下り、14時42分に登山口に帰着した。30分に1本の信濃大町行バスが次は15時に出る。これなら途中、大町温泉郷の薬師の湯に立ち寄っても余裕を持って帰れそうだ。
登山口と反対の北寄りにあるバス乗り場に行くと、既にバスはほぼ空で待機中だった。すいててよかったと思ったら、トロリーバスが着くと大勢の客で満員となった。天気は相変わらず日が照って少々暑いが、見上げる高峰は雲の中に隠れて見えなくなっている。
蓮華岳山頂でお会いした縦走の青年(実際には中年)です。
帰ってきて仕事続きでレコ遅れましたが今日アップしました。
無事針ノ木岳山頂に登頂し北アルプスの峰々を見渡すことができました。
また親子4人連れは無事扇沢まで辿りついたのを確認しました。
monkichikunさん、今晩は 。蓮華でお会いしたオッサン2人のうちの小さい方です。コメントを頂いたとは知らずに、あなたのレコを読んであまりの長駆にぶったまげたところでした。いやはやお疲れ様でした 。また、親子4人連れが無事とのことで安心しました。
当方のなまくら山行のレコ写真の後ろから6枚目、「改めて蓮華岳・・・針ノ木岳」の写真左下に大荷物を背負って駆け降りるmonkichikunさんの後ろ姿が写っています。豆粒以下で判別は困難ですけれど・・・。またどこかの山でお会いしましょう
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