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Yamareco

記録ID: 960733
全員に公開
ハイキング
白馬・鹿島槍・五竜

黒部湖絶景/針ノ木岳〜蓮華岳

2016年09月10日(土) ~ 2016年09月11日(日)
情報量の目安: S
都道府県 富山県 長野県
 - 拍手
体力度
3
日帰りが可能
GPS
36:25
距離
17.1km
登り
1,814m
下り
1,818m
歩くペース
ゆっくり
3.13.2
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
3:46
休憩
0:04
合計
3:50
距離 2.4km 登り 281m 下り 21m
12:08
64
扇沢ターミナル登山口
13:12
13:14
36
13:50
30
右岸へ渡渉(手すりの橋)
14:20
14:22
96
ノド取りつき
2日目
山行
6:31
休憩
1:55
合計
8:26
距離 14.7km 登り 1,517m 下り 1,796m
6:16
61
針ノ木小屋
7:17
7:35
43
8:18
8:38
45
9:23
22
蓮華岳偽ピーク
9:45
10:13
36
10:49
11:35
33
12:08
12:10
35
“最後の水場”
12:45
23
ノド取りつき
13:08
31
右岸より渡渉(手すりの橋)
13:39
13:40
62
14:42
扇沢ターミナル登山口
天候 10日:曇り時々晴れ 11日:晴れ
過去天気図(気象庁) 2016年09月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
扇沢バス停(往路:信濃大町駅発、復路:長野駅行)
コース状況/
危険箇所等
・小雪・猛暑のせいか、雪渓はノド付近でかすかに残雪が見えた程度でした。夏道は滑りやすい砂利状、歩きにくい砂礫状の足場が続き、転倒と滑落に要注意。
・ノドの鎖場は、慣れない人は特に下りで難儀するかもしれません。岩が脆いので落石を起こさないように注意。
・最後の水場?(との表示はなかったが)でそのまま蓮華岳寄りの沢の右岸を辿りそうになったが、ここは渡って一つ先の沢筋を詰めるのが正解。
・小屋から針ノ木岳へは岩場めいた所もある急登が目立ち、蓮華岳へは取りつき直後を除くと比較的緩やかな道という印象。どちらの山頂も小屋からは見えません。蓮華岳は手前の偽ピークから先へ長い高原状の尾根が続きます。
【10日】扇沢バスターミナル左端が登山口
2016年09月10日 12:08撮影 by  DSC-HX90V, SONY
1
9/10 12:08
【10日】扇沢バスターミナル左端が登山口
作業道路と別れ、右の森の中へ
2016年09月10日 12:31撮影 by  DSC-HX90V, SONY
9/10 12:31
作業道路と別れ、右の森の中へ
大沢小屋は営業終了
2016年09月10日 13:12撮影 by  DSC-HX90V, SONY
2
9/10 13:12
大沢小屋は営業終了
ひ弱そうな手すりの橋?で右岸へ(写真は下山者)
2016年09月10日 13:48撮影 by  DSC-HX90V, SONY
9/10 13:48
ひ弱そうな手すりの橋?で右岸へ(写真は下山者)
振り返れば爺ヶ岳
2016年09月10日 13:52撮影 by  DSC-HX90V, SONY
1
9/10 13:52
振り返れば爺ヶ岳
真っ直ぐな渓谷だが先で左に曲がる
2016年09月10日 13:53撮影 by  DSC-HX90V, SONY
1
9/10 13:53
真っ直ぐな渓谷だが先で左に曲がる
道しるべの鯉のぼり
2016年09月10日 13:57撮影 by  DSC-HX90V, SONY
1
9/10 13:57
道しるべの鯉のぼり
向こう側、ノドの左岸の岩場が見えた
2016年09月10日 14:16撮影 by  DSC-HX90V, SONY
1
9/10 14:16
向こう側、ノドの左岸の岩場が見えた
鎖場を登攀中
2016年09月10日 14:26撮影 by  DSC-HX90V, SONY
1
9/10 14:26
鎖場を登攀中
足下にやっと雪渓の名残を発見
2016年09月10日 14:33撮影 by  DSC-HX90V, SONY
1
9/10 14:33
足下にやっと雪渓の名残を発見
ウメバチソウ?
2016年09月10日 14:39撮影 by  DSC-HX90V, SONY
9/10 14:39
ウメバチソウ?
すっかり濃いガスの中
2016年09月10日 15:48撮影 by  DSC-HX90V, SONY
9/10 15:48
すっかり濃いガスの中
やっとヤマハハコ咲く針ノ木小屋着
2016年09月10日 15:58撮影 by  DSC-HX90V, SONY
9/10 15:58
やっとヤマハハコ咲く針ノ木小屋着
回り込んだ南手の小屋入口
2016年09月10日 16:00撮影 by  DSC-HX90V, SONY
2
9/10 16:00
回り込んだ南手の小屋入口
【11日】目が覚めたら槍穂高連峰が見えていた
2016年09月11日 05:26撮影 by  DSC-HX90V, SONY
4
9/11 5:26
【11日】目が覚めたら槍穂高連峰が見えていた
小屋と蓮華岳方面を望む
2016年09月11日 05:32撮影 by  DSC-HX90V, SONY
1
9/11 5:32
小屋と蓮華岳方面を望む
北の鹿島槍、白馬方面
2016年09月11日 05:32撮影 by  DSC-HX90V, SONY
1
9/11 5:32
北の鹿島槍、白馬方面
少しアップで同じく北の鹿島槍、白馬方面
2016年09月11日 05:33撮影 by  DSC-HX90V, SONY
1
9/11 5:33
少しアップで同じく北の鹿島槍、白馬方面
遠く南アルプス
2016年09月11日 05:35撮影 by  DSC-HX90V, SONY
1
9/11 5:35
遠く南アルプス
盟主・槍ヶ岳アップ
2016年09月11日 05:36撮影 by  DSC-HX90V, SONY
3
9/11 5:36
盟主・槍ヶ岳アップ
槍の右には丸いピークの野口五郎岳
2016年09月11日 05:37撮影 by  DSC-HX90V, SONY
1
9/11 5:37
槍の右には丸いピークの野口五郎岳
白馬三山と左に旭岳?。以上、小屋の前で撮影
2016年09月11日 06:00撮影 by  DSC-HX90V, SONY
2
9/11 6:00
白馬三山と左に旭岳?。以上、小屋の前で撮影
針ノ木岳へ出発。昨日見えなかった針ノ木渓谷全景
2016年09月11日 06:19撮影 by  DSC-HX90V, SONY
2
9/11 6:19
針ノ木岳へ出発。昨日見えなかった針ノ木渓谷全景
小屋と「ニセ蓮華岳」のピーク
2016年09月11日 06:28撮影 by  DSC-HX90V, SONY
2
9/11 6:28
小屋と「ニセ蓮華岳」のピーク
イワギキョウ
2016年09月11日 06:32撮影 by  DSC-HX90V, SONY
9/11 6:32
イワギキョウ
アオノツガザクラ(ピンボケ)
2016年09月11日 06:32撮影 by  DSC-HX90V, SONY
9/11 6:32
アオノツガザクラ(ピンボケ)
右が針ノ木岳山頂
2016年09月11日 06:38撮影 by  DSC-HX90V, SONY
6
9/11 6:38
右が針ノ木岳山頂
と、スバリ岳との鞍部から剣岳が!
2016年09月11日 06:49撮影 by  DSC-HX90V, SONY
5
9/11 6:49
と、スバリ岳との鞍部から剣岳が!
再び北の鹿島槍、白馬方面
2016年09月11日 06:52撮影 by  DSC-HX90V, SONY
1
9/11 6:52
再び北の鹿島槍、白馬方面
左端の前穂から右の薬師岳まで、全部見える
2016年09月11日 07:03撮影 by  DSC-HX90V, SONY
2
9/11 7:03
左端の前穂から右の薬師岳まで、全部見える
やや右寄りに水晶岳。左端の鷲羽岳の右に笠ヶ岳が覗く
2016年09月11日 07:04撮影 by  DSC-HX90V, SONY
3
9/11 7:04
やや右寄りに水晶岳。左端の鷲羽岳の右に笠ヶ岳が覗く
薬師岳のカールたちをアップで
2016年09月11日 07:07撮影 by  DSC-HX90V, SONY
2
9/11 7:07
薬師岳のカールたちをアップで
薬師岳をバックに針ノ木岳山頂の道標
2016年09月11日 07:18撮影 by  DSC-HX90V, SONY
5
9/11 7:18
薬師岳をバックに針ノ木岳山頂の道標
そして眼前には立山、劔岳と真っ青な黒部ダム湖!
2016年09月11日 07:19撮影 by  DSC-HX90V, SONY
6
9/11 7:19
そして眼前には立山、劔岳と真っ青な黒部ダム湖!
少しアップで
2016年09月11日 07:22撮影 by  DSC-HX90V, SONY
2
9/11 7:22
少しアップで
南を見れば槍穂高と野口五郎の間に乗鞍岳
2016年09月11日 07:22撮影 by  DSC-HX90V, SONY
3
9/11 7:22
南を見れば槍穂高と野口五郎の間に乗鞍岳
再び立山。山頂をズームアップ
2016年09月11日 07:24撮影 by  DSC-HX90V, SONY
9/11 7:24
再び立山。山頂をズームアップ
ギザギザの劔もズームアップ
2016年09月11日 07:25撮影 by  DSC-HX90V, SONY
2
9/11 7:25
ギザギザの劔もズームアップ
真後ろを振り返れば蓮華岳
2016年09月11日 07:30撮影 by  DSC-HX90V, SONY
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9/11 7:30
真後ろを振り返れば蓮華岳
南をズームすると、南アルプスの左に富士山発見
2016年09月11日 07:32撮影 by  DSC-HX90V, SONY
9/11 7:32
南をズームすると、南アルプスの左に富士山発見
アップで。満足して撤収
2016年09月11日 07:31撮影 by  DSC-HX90V, SONY
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9/11 7:31
アップで。満足して撤収
次は蓮華岳を目指す。手前の偽ピークが見える
2016年09月11日 09:01撮影 by  DSC-HX90V, SONY
9/11 9:01
次は蓮華岳を目指す。手前の偽ピークが見える
偽ピークに乗るとはるかな高原歩きの先に頂上が
2016年09月11日 09:25撮影 by  DSC-HX90V, SONY
9/11 9:25
偽ピークに乗るとはるかな高原歩きの先に頂上が
振り向くと雲の中にそそり立つ針ノ木岳
2016年09月11日 09:42撮影 by  DSC-HX90V, SONY
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9/11 9:42
振り向くと雲の中にそそり立つ針ノ木岳
山頂に着いて西の針ノ木岳方向を見る
2016年09月11日 09:52撮影 by  DSC-HX90V, SONY
1
9/11 9:52
山頂に着いて西の針ノ木岳方向を見る
少し右には背後の立山連峰も見えた
2016年09月11日 09:52撮影 by  DSC-HX90V, SONY
9/11 9:52
少し右には背後の立山連峰も見えた
改めてなだらかな蓮華岳の稜線と針ノ木岳
2016年09月11日 10:11撮影 by  DSC-HX90V, SONY
3
9/11 10:11
改めてなだらかな蓮華岳の稜線と針ノ木岳
いよいよ下山。小屋から渓谷へ
2016年09月11日 11:47撮影 by  DSC-HX90V, SONY
9/11 11:47
いよいよ下山。小屋から渓谷へ
人物後方から下りて来た「最後の水場」。登る時、画面左へ沢を詰めそうになった
2016年09月11日 12:09撮影 by  DSC-HX90V, SONY
9/11 12:09
人物後方から下りて来た「最後の水場」。登る時、画面左へ沢を詰めそうになった
ノドの岩場を鎖につかまって慎重に下降
2016年09月11日 12:39撮影 by  DSC-HX90V, SONY
1
9/11 12:39
ノドの岩場を鎖につかまって慎重に下降
ノドの下の渡渉で使う丸太の橋?は少々心もとない
2016年09月11日 12:47撮影 by  DSC-HX90V, SONY
9/11 12:47
ノドの下の渡渉で使う丸太の橋?は少々心もとない
大沢小屋付近のリンドウとミヤマアキノキリンソウ
2016年09月11日 14:09撮影 by  DSC-HX90V, SONY
9/11 14:09
大沢小屋付近のリンドウとミヤマアキノキリンソウ
撮影機器:

感想

 8月末の表銀座〜槍ヶ岳山行を連発台風のせいで中止し、代わりに企画した今回の針ノ木岳&蓮華岳も、出発前の予報では肝心の2日目が曇りのち雨。しかーし、幸いにも予報は良い方に外れて、針ノ木岳山頂からは北アルプスと立山連峰の雄姿をたっぷり楽しめた。
【10日】 針ノ木トンネルの黒四ダム行きトロリーバスに乗る観光客の列を横目に、まずは扇沢バスターミナル南側(向かって左)の登山口から林の中へ入る。トンネル保守用の作業道路?を数回横断して、小広い関係者駐車場のような所から針ノ木雪渓への谷合いの道に入った。登山口の標高が1425mという割には日向は暑いくらいだが、当面は樹林帯なので助かる。
 水の流れる小沢やガラ石で埋まった枯れ沢を4、5回渡り、1時間余で大沢小屋。小屋はしっかり戸締りされ、人の気配はなかった。なおも林の中を進む。すれ違う下山者が思ったより多い。その一人に山の眺望を聞いてみると、「最高でした。剱岳も槍ヶ岳も、360度全部見えました。今までこんなに晴れたことはないくらい」とご満悦の様子。それを聞いた当方は「1日早く来られたらなあ」とぼやきつつ、好天を祈るしかない。
 針ノ木雪渓の沢(といっても今は雪はカケラもないが)を高く巻いていた道が少し下り、沢床に下りた。片方に手すりのある小さな木橋を渡り、砂利や石混じりの右岸の踏み跡をたどる。ここの名物の鯉のぼりの道しるべが登場した。ほぼ真っ直ぐ渓谷が伸びており、硬い雪が残っていればさぞかし涼しくて歩きやすいことだろうなと想像する。
 やがて土砂に覆われた雪渓の残骸が見え、両岸の岩がせり出している所で左岸に渡ることになった。ここが「ノド」らしい。かなりの水量がある沢を、丸太を井桁に組んだものを頼りに渡渉する。雨が降ったら難儀しそうだ。渡るとすぐに鎖場で、何組かの下山者が慎重に降りてきた。雪がたっぷりあれば岩場を盍くことなく雪渓を直登できるのだろうが・・・。
 標高約2100m、ガスが下りて視界が狭まってきた。再び右岸に戻り、丸いカール地形を残すマヤクボ沢を右に分けて南寄りの沢筋を詰める。さらに沢が二手に分かれる所に1mほどの小滝があり、そのまま左手の沢を詰めそうになったが、右手に目印のピンクテープがあった。ここを過ぎると水音が遠のいたので、勝手に「最後の水場」と解釈した。
 後はガレた急斜面をジグザグの登山道で詰めるだけだが、深いガスで視界は100mを切り、あまり楽しくない。腕時計の高度計が針ノ木峠の標高に近づいていくことだけを励みに歩き、ふと見上げたら、そこに針ノ木小屋があった。所要約4時間、まずまずのタイムで、雨にも降られず到着したことは良しとしよう。
 頑丈なシェルターのような小屋の中は、思いのほか窓も大きく、蚕棚ではない広々した客室の造りだった。畳の食堂兼談話室はカウンターキッチン式に調理場が近くて便利だ。日暮前、ガスが少し晴れてスバリ岳に連なる峰が覗いた。明日、天気が持ってくれることを期待して寝る。
 【11日】 傍らに寝ていた親子3人がガサガサやる気配で目が覚めた。お兄さんらしいのが妹に「日の出見るなら小屋から少し上に行かないと・・・」などと話している。ん? 日の出が見える? 飛び起きて窓の外を見ると、槍穂高連峰が朝の青い光の中に連なりそびえていた。
 すっきり快晴とはいかないが上空の雲は十分高く、遠くに雲海は広がっているものの谷合にガスは湧いていない。「おい、山が見えるぞ」とalps165ことDr.エモンを起こして窓から山々をカメラに収め、急ぎ朝食へ。天気がどうなるか分からないので、後は下山するだけという青年と一緒にゆっくりしているDr.をせかして宿を出た。
 同宿者は蓮華岳へ向かう人が多かったようだが、我々は黒部湖が見えることを期待して針ノ木岳を目指す。手を使う急登に挑みつつ、刻々と見え方を変える峰々の美しさに目を奪われた。息継ぎ休憩を兼ねた撮影タイムを挟みながら眼前の岩峰を目指していくと、その向こうに本来の頂上が見えた。道は最初の岩峰の北側をトラバースして、まっすぐ頂上に向かっている。
 すると、スバリ岳との鞍部に特徴ある岩峰の塊が覗いた。剱岳に違いない。ほどなく着いた針ノ木岳頂上は期待通りの大絶景だった。濃い青色の黒部湖もバッチリ見え、その向こうには圧倒的迫力で立山と剱岳の峰々が連なる。南に目を移せば薬師岳から水晶岳、野口五郎岳を経て槍穂高連峰、燕岳までの北アルプス核心部全景、北へ目を転じれば鹿島槍の双耳峰から白馬までの後立山連峰全景。東にはこの後向かう蓮華岳の端正な姿が見える。目を凝らすと南アと八ヶ岳の間に富士山まで輪郭を見せた。
 たっぷり撮影して景色を堪能し、満足して元の道へ戻った。当初、スバリ岳まで足を延ばすことも考えたが、天気が持つうちに蓮華岳にも登頂したいのでパスした。今のところ、多少ガスは増えたもののアルプスの山々はよく見えている。足元に注意して急坂を下り、ひとまず針ノ木峠の小屋まで下りてコーヒーを注文、一休みした。
 蓮華岳へは、小ぶりなダケカンバの間をしばらく急登し、ハイマツ帯に出てほどなくごつい岩峰の右奥に頂上みたいなピークが近づいてきた。なんだ、近いなと思ったのは間違いで、これは手前にある2754mの偽ピークだった。いつの間にか、両側からガスが湧き上がって峰々が雲に隠れ出しており、後ろを見てもすぐ近くの針ノ木岳すら見えない。
 ただ、その先の道の方は高原状に緩やかに続く尾根で、特段の苦労もなく本当の頂上に到着できた。しかも、登頂に合わせるかのようにガスが下がって雲の中から堂々とした針ノ木岳が姿を現し、立山劔や槍穂高、白馬といった3000m前後の高峰も雲海の上に顔を出してくれた。
 頂上は長い尾根状で、「若一王子神社奥宮」と書かれた石柱のある祠から山名柱兼道標まで50mほどある。蓮華岳はDr.が以前、木崎湖のほとりから見上げてその堂々とした姿に感銘を受けたという山だが、逆に山頂から下界を見下ろすというDr.の宿願は雲に邪魔されてかなわなかった。
 下山するちょっと前に、大きなリュックを背負った縦走の青年が七倉岳方面から登って来た。下山する前に、間に合えば装備を小屋にデポして針ノ木岳にも寄りたいという。まだ10時で、青年の健脚ぶりから見れば空荷なら針ノ木ピストンなど造作もないだろう。先ほど感動した黒部湖や立山の景色を話し、運が良ければ雲がどいて絶景が見られるかもしれないからトライしてみては、と勧めてあげた。
 小走りに先を行く青年の後ろ姿を見送って、我々もなだらかな尾根をゆっくり下って3度目の針ノ木小屋へ。昼飯に中華丼を頼み、下山前の大休止とした。このコースは小屋を中心に往復するので、弁当を持ち歩かなくていいのが助かる。
 11時半過ぎに小屋を辞し、まずは昨日見えなかった針ノ木渓谷の全容を眺めながら詰めの急斜面を下る。左からカール状のマヤクボ沢を合わせ、ノドの岩場を慎重に降りる。帰る人はほとんど朝のうちに下ってしまったのか、他に前後する下山者の姿は見えず、すれ違う登山者も数えるほど。
 そんな時、最後に手すりのある橋の上流側で小学生の男の子と中学生くらいの女の子を連れた親子4人組と行き会った。この下も険しかったはずだが、これからノドを登って針ノ木小屋に辿り着くのはさらに大変だろう。時刻も既に昨日の我々より遅い。大丈夫かなあと思って後ろを気にしていたら、やがて引き返してくる姿が見えた。もしかすると、時間を決めて行ける所まで行って戻るという所定の行動だったのかもしれないが、ともあれ他人事ながらホッとした。
 さて、こちらは大沢小屋の前で小休止して最後の区間に入ったが、沢と離れて高巻く道がなかなか下り坂にならず、枯れ沢を渡っては樹林帯に戻る繰り返し。針ノ木小屋の人が「昼までは降らない」と言っていたが、雨どころか日が差して暑いくらいだ。
 ようやく作業用駐車場に至り、左にトンネルが口を開ける保守用道路に合流。その車道をショートカットしつつさらに100m以上下り、14時42分に登山口に帰着した。30分に1本の信濃大町行バスが次は15時に出る。これなら途中、大町温泉郷の薬師の湯に立ち寄っても余裕を持って帰れそうだ。
 登山口と反対の北寄りにあるバス乗り場に行くと、既にバスはほぼ空で待機中だった。すいててよかったと思ったら、トロリーバスが着くと大勢の客で満員となった。天気は相変わらず日が照って少々暑いが、見上げる高峰は雲の中に隠れて見えなくなっている。

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コメント

こんばんは
蓮華岳山頂でお会いした縦走の青年(実際には中年)です。
帰ってきて仕事続きでレコ遅れましたが今日アップしました。
無事針ノ木岳山頂に登頂し北アルプスの峰々を見渡すことができました。
また親子4人連れは無事扇沢まで辿りついたのを確認しました。
2016/9/16 22:38
Re: こんばんは
 monkichikunさん、今晩は 。蓮華でお会いしたオッサン2人のうちの小さい方です。コメントを頂いたとは知らずに、あなたのレコを読んであまりの長駆にぶったまげたところでした。いやはやお疲れ様でした 。また、親子4人連れが無事とのことで安心しました。
 当方のなまくら山行のレコ写真の後ろから6枚目、「改めて蓮華岳・・・針ノ木岳」の写真左下に大荷物を背負って駆け降りるmonkichikunさんの後ろ姿が写っています。豆粒以下で判別は困難ですけれど・・・。またどこかの山でお会いしましょう
2016/9/17 0:31
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

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山滑走 白馬・鹿島槍・五竜 [日帰り]
針ノ木岳(残雪期・マヤクボ沢経由)
利用交通機関: 車・バイク
技術レベル
3/5
体力レベル
3/5
積雪期ピークハント/縦走 白馬・鹿島槍・五竜 [日帰り]
マヤクボ沢・針ノ木峠周回
利用交通機関: 車・バイク
技術レベル
5/5
体力レベル
3/5

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