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記録ID: 102602
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍

涸沢〜奥穂高〜前穂高岳縦走

1978年09月02日(土) ~ 1978年09月03日(日)
 - 拍手
GPS
32:00
距離
24.7km
登り
1,951m
下り
1,950m

コースタイム

9/2
上高地(7:00)〜明神(7:40〜7:50)〜徳沢園(8:25〜8:40)〜横尾(9:20〜9:50)〜横尾谷岩小舎(
(10:00)〜涸沢中間(10:50〜11:00)〜涸沢ヒュッテ(12:10〜12:35)〜パノラマコース見晴台
(13:05)〜ザイテングラード取付(13:45)〜尾根中間(14:15〜14:25)〜白出のコル・穂高岳山荘(14:50〜  )

9/3
穂高岳山荘(5:45)〜奥穂高岳(6:15〜6:40)〜前穂高直下分岐(7:25〜8:00)〜前穂高岳(9:55〜
10:00)〜分岐(9:55〜10:00)〜カモシカの立場(10:40〜11:00)〜岳沢ヒュッテ(11:25〜11:40)〜
岳沢下流(12:30〜12:50)〜河童橋(13:20〜13:45)〜上高地バスターミナル(14:00)


天候 晴れ〜濃霧
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
コース状況/
危険箇所等
南北に長い前穂高岳の下りは、落石の跡か踏み跡か判別が出来ないので濃い霧の中ではコース採りに注意が必要。
盛夏の賑わいも去って北アルプスの核心部も静けさを取り戻した。
9/2 徳沢園から前穂高と北尾根を仰ぐ

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9/2 徳沢園から前穂高と北尾根を仰ぐ

横尾から見た前穂高
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横尾から見た前穂高
奥穂〜涸沢槍(涸沢カールより)

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奥穂〜涸沢槍(涸沢カールより)

北穂高岳(涸沢カールより)

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北穂高岳(涸沢カールより)

ザイテングラードの中間地点より展望
大天井岳 横通岳 常念岳
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ザイテングラードの中間地点より展望
大天井岳 横通岳 常念岳
9/3 ガスの奥穂高岳山頂
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9/3 ガスの奥穂高岳山頂

感想

【 古い記録を整理する。】


9/2
上高地はもう秋の気配である。
スカッと晴れた空の下には大正池や焼岳が広がり、河童橋と対峙して奥穂〜明神の山肌に
くい込む谷の表情までよく眺められる。
気分が高揚して、自然と脚が速まる。
梓川の左岸を行き、明神岳の主稜線を見て徳沢に、前穂北尾根や屏風の頭が目の前に広がってくると横尾に到着。いよいよ始まる登りに備えてベンチで昼食を摂ろう。
一息入れたら出発だ。横尾大橋を右岸へ出た後、迂回コースを右に見て樹林に覆われた横尾谷の左岸に入る。
広い谷だが樹林に囲まれた岩の道はあるきづらい。突然樹林が途切れた河原に出るとそそり立つ屏風岩を見上げるように岩小舎が有る。
穂高の岩壁でルート開拓の熱い戦いが繰り返された頃から、クライマーの間では有名な岩小舎だ。
河原から右側の山腹にからみ徐々に高度を上げる。
谷が西に曲がりしばらくすると、左下に丸木橋が見え分岐となる。左の涸沢新道を行く。しばらくは右岸に
へばりつくようにして高度を上げていく。徐々に屏風岩に近づき岩壁のヘリを
まつわりつくように進むと、ガラガラと落ち着かない岩を踏むようになる。
きつい登りが続く。
足元には本谷がくい込み、北穂の東稜らしい尾根が目の前を遮るようになると、左手奥に
カールらしい広がりが見える。乾いた白さが印象的だ。
明るくなった谷筋はもう涸沢と名を変え、谷底も段々広がってくると、白いカールの底に
赤い屋根の涸沢小屋が目に入ってくるがなかなか届かない。
深い緑の山腹にからんだ道が、やがて谷底の岩ゴロと区別がつかなくなると涸沢の入口だ。
累々とした岩畳を踏んで左寄りに回り込んで行くと、やっと涸沢ヒュッテに到着だ。
背中はビッショリと濡れ呼吸もかなり乱れているが、見上げる穂高の稜線は
もうそこに有る。ゆっくり休もう。
カールの底から周囲を見渡すと全てが荒々しい岩壁ばかりなのに、開放感さえ感じるのは、鍋の底のように空が開けたこの明るさのせいだろう。
広いカールの中ヒュッテから少し行くとコースは分かれる。
きれいに敷きつめられた感じのする岩畳を踏んで、左のパノラマコースへ入る。
カールの円に沿うように右周りで高みへと身を運ぶ。
小さく残る雪渓の上部で涸沢小屋からのコースを併せ、ザイテングラード(小尾根の意味)を目指す。
苦しい登りだが段々広がる展望にワクワクした気分になる。
一層きつくなった登りがつきると稜線に出て、
岩のブロックに囲まれた立派な穂高岳山荘のテラスに立つ。
奥穂高岳と涸沢岳のコル(白出のコル)によくも建てたものだと感心する。
部屋に入り窓に目をやると抜戸岳〜笠ヶ岳の稜線が連なり、窓の外へ乗り出すと岩の前衛
ジャンダルムが間近に聳えている。
ザックを整理して夕食までの時間を、テラスで目の前に広がる展望を眺めて過ごす。

9/3
4時半に起きて外を見ると昨日とは大違い。濃い霧が山腹に沿って吹き上げられ視界はゼロ。
しかし今日も長いコースだ。更に穂高の3000m級の稜線だ、気を引き締めて行こう。
肌寒い朝だ。身体をほぐして目の前にそそり立つ岩峰に取り付く。
岩を攀じ登り、ハシゴを登ると裸の稜線で強い風に身体があおられる。
強風にさらされ岩の殿堂を行くと、湿った霧に包まれた奥穂高岳(3190m)の頂上に出る。アノラックを着込み、祠の前で記念写真を撮ったのみで頂上を後にする。
西穂高への尾根を右にして前穂高へ向かう。
吊尾根と言われる岩尾根にへばりつき険しい尾根を進む。
小さな登降を何度も繰り返し、小さな枝尾根を乗り越すと前穂高の直下の小さな
台地に出る。地図を広げて時間を計算すると後1時間は余裕があるので、霧の晴れ間を待つ。 一瞬霧が晴れた!
梓川の流れや大正池が足元に小さく見え、右手の西穂高の稜線続きに焼岳も乗鞍岳も、そして左手には尖った明神のピークが第2峰〜第5峰と数えられる。
シャッターを切ってから前穂高へ登る。振り返って岩に取り付き直登である。
一息登ってから少し左側に寄って、再び落ち着きの無いガレを登る。
落石に注意してそそり立つ岩を登るとケルンが乱立し岩がゴロゴロしている。
間違いなく前穂高岳(3090m)の頂上である。南北に長い頂上をうろつくが一向に霧が晴れず、逆に湿り気が増してくる。
濃霧に中を下ることにするが少し南に寄り過ぎたようだ。
(頂上の中間付近で下るべきだったか?)ガラガラの堆石の中、
真っ直ぐに下ったつもりが北東の方向に向かっていた。落石の跡か踏み跡か判別が出来ない。
時間的にはとっくに台地に着いてもいい頃なのに! 迷ったのだ!
周囲を見渡すと何と先ほど見ていた明神の尖峰が正面に!しかもそれも一瞬の間に消えた。
一瞬の晴れ間が幸いた。おかげで現在位置がはっきりした。
私は明神の主稜へ踏み込んでいたのだった。右へ右へとトラバースすればコースに戻れる。
這い松をつかみ、岩にへばりつき、何本の谷を横切っただろうか?やっと目の前に白いペンキを見つける。約1時間のアルバイトをしてしまった。
コースには戻ったが歩いた記憶がない。
台地よりも下に着いたのだ。今度こそ間違えないように登るとクサリが現れ、登りきるとやっと台地へ。デポしたザックを担ぐと同時に雨が降ってきた。
カッパを着込み下りに向かう。
小尾根を奥明神沢側にからんでの下りは、岩が雨に濡れて滑りやすい。
滑落に注意して行く。岩場をへつったり、クサリに頼ったりの下りがしばらく続く。
岩稜から樹林帯に入るとやがて、岳沢の右岸・樹林帯に建つ
岳沢ヒュッテが足元にが見える。「カモシカの立場」を過ぎても樹枝にすがったり、クサリに頼ったりの尾根(?)にからんだ下りが続く。
ダケカンバと岩が混じったジグザグをどんどん下り草付の斜面を抜けて、
目に下に岳沢を見るとやがて岳沢ヒュッテに出る。
ゆっくりしたいがヒュッテには雨宿りの人が溢れ、軒先で雨を避ける。
再び強い雨になってきた。上半身は汗で濡れているのでカッパはズボンだけにして、ザックカバーをしっかり付けて雨の中へ飛び出す。
岳沢の左岸に出ると道はぐっと歩きやすくなる。ダケカンバの単調な下りもササが現れると残りもわずかだ。うっそうとした樹林中の丸木橋を渡り、
岩を飛びゆっくりと高度を下げていく。
やがてササの中の一本道になると、もうハイカーの声が聞こえ、梓川右岸のザレ道に飛び出す。

少しきつい計画だったが、予定通り歩けた満足感に浸って河童橋を渡る。

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