硫黄岳〜横岳【天候悪化で危ない山行となった】
- GPS
- 11:43
- 距離
- 19.1km
- 登り
- 1,540m
- 下り
- 1,530m
コースタイム
- 山行
- 8:27
- 休憩
- 3:12
- 合計
- 11:39
天候 | 晴れ→小雪→吹雪 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
林道は積雪で4輪駆動の冬タイヤでギリギリです。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
北沢から赤岳鉱泉は雪道で歩き易い状況。 赤岳鉱泉より赤岩の頭へはトレースありましたが、4月とはいえ完全な雪山です。 赤岩の頭より硫黄岳で数名のトレースにて軽い踏み抜きで歩けたが、風でトレースが消えるとルーファイ必要。 硫黄岳から横岳の稜線は風抜け場所では岩と雪のミックスでトレースは無し。ケルン、ポールや標柱がある。 横岳(奥の院)への登りは梯子が出ていて雪も安定していた。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖インナー
ハードシェル
靴下
グローブ
アウター手袋
防寒着
ゲイター
ネックウォーマー
バラクラバ
毛帽子
靴
予備靴ひも
ザック
アイゼン
ピッケル
スコップ
スノーソー
昼ご飯
調理用食材
調味料
飲料
コンロ
食器
調理器具
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
タイツ
ズボン
ストック
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感想
4月初めの山歩き
晴天の八ヶ岳を目指した。
久しぶりに赤岳山荘駐車場まで入って、山荘のおばさんも明るく対応してくれて気持ちいいスタートとなった。
北沢の林道も雪道で歩き易く、風もないのでアウターは脱いだまま1枚で快適。
人も少なめの赤岳鉱泉を通過して硫黄岳を目指す。
いくつかあるショートカットの急登ではチェーンアイゼンでは厳しいのでアイゼン交換して進む。
稜線手前では真っ青な空で気分たかまる。
赤岩の頭への登りで見上げると小さな雪庇があった。
トレースのある道を雪庇越えまで登り詰めると、西からの風とともに拓けた展望が現れた。
多くの荷物がデポしてあり、赤岩の頭へ行っている団体さんの歓声で賑やかな稜線だった。
風抜けの稜線ではシェルを着て硫黄岳へ向かった。
少なめのトレースでも踏み抜きは少なく気持ちいい稜線歩きだった。
硫黄岳へは3名の方が居て、シャッターを頼まれて山頂に数分滞在。
これがこの日最後に会った登山者となった。
横岳へ向かう稜線歩きは風との戦いになるとは思ったが4月の気温はそれほど低くはなく(横岳山頂で−9℃)、景色を楽しみながら歩けた。
横岳手前のトラバース、岩登りは慎重にクリアして横岳(奥の院)に到着。
13時過ぎていたので休憩にした。
時折強く吹く風が辛いので、休憩場所を手早く作り、東向きに腰を下ろし野辺山が一望出来る快適な山頂だった。
肉を焼いて食べたり、展望を楽しんでいたら天候は曇り空で小雪も降ってきた。
休憩終了して縦走路を地蔵の頭まで進み、地蔵尾根で下る予定で歩いた。
この出発時点で阿弥陀岳は全く見えない視界となっていた。
三叉峰辺りでは西からの吹雪が強くなり、視界も悪くなってきたが、東側トラバースが多い区間なので気にしないで進んでしまった。
石尊稜辺りで西側へトラバースしようとしたが、豹混じりの吹雪で眼をあけていることができない状況。
サングラスではどうにもならない、ゴーグルは持ってきていない。
雪稜のリッジを上がり東側のトラバースを試みたが、膝まで埋まりながら急斜面すぎる上に表層雪崩の危険性を感じてハイマツの見える場所まで進んだら腰まで埋まりヤバイ状況。
ここで引き返す事を決めたが下手に動くと更にヤバそうで、埋まった身体をゆっくり持ち上げて自分の踏んだ場所を慎重に戻る。
視界は悪く、自分のピッケルで付けた跡がクラックに見えるし、距離にして10メートル程だったが生きた心地ではなかった。
三叉峰で杣添尾根をエスケープも考えたが、海の口へ下山して八ヶ岳山荘まで入れた車の回収が困難と判断して稜線を戻ることにした。
吹雪で視界は悪くなる稜線を横岳まで戻り、16時52分。
ここからピストン下山してたらと思うと、1時間以上ムダにしてしまった。
日没で暗くなる前に樹林帯まで下りるのを目標に歩いた。
台座の頭から硫黄岳山荘の区間は黒いプラスチックポールが目印となって視界が悪くても順調に歩けた。
爆風の中を身体を風上へ斜めにしながら歩き、硫黄岳への登り返し視界5メートル以下の中をケルン、鉄柱を目印に進んだ。
18時に硫黄岳山頂を通過。
降下する岩場を慎重に下ると西側(右)からの猛吹雪で何も見えない状況。
この区間は岩の露出もなければ目印も何もなかった。
平行感覚すら無くなるホワイトアウトだ!
視界は足元まででトレースなど影もない中で頼りになるのはコンパスとGPSのみ。
もうすぐ暗くなる中を焦ったのか、踏み抜きにくいトレースっぽい場所を足早に数歩進んだ瞬間、地面が無くなるようにバランスを崩して転んだ。
小さな雪庇を踏み抜いてしまったようだ。
転倒して冷静さを取り戻し、自分のトレースを戻り耐風姿勢のまま、ヘッドライトを点けた。
GPSで位置確認するとわずかに東側へずれていて、表示される自分の軌跡を頼りに歩き進むが、微妙にずれて一定方向に歩くのすら困難な状況。
暗くなった稜線上で風を受けても寒さには問題ない装備だったのでスコップで穴を掘りビパーグも考えたが、すぐ先の雪庇から降下場所を探して下れれば帰れると思い、諦めずにゆっくり時間をかけてルーファイに集中した。
軌跡と測位してる位置確認できた場所まで来ると雪庇は新しく作られていてトレースらしき跡はないので、ピッケルで雪庇を崩して暗闇の斜面を覗き込んだ先に薄いトレース跡を確認。
慎重に降りて十数メートルでトレースに乗れた瞬間、『帰れる、助かった』と思った。
樹林帯の道を下りながら時折トレースは消えてるけど、稜線での雪風が嘘のような穏やかさ。
赤岳鉱泉の明り窓が見えてホッとした。
そのあと急ぐことなく暗闇の北沢も順調に歩いて駐車場に着いた。
天候悪化の読みが甘く、稜線での撤退判断が遅かった結果が厳しい状況に追い込まれた。
反省する内容の多い山行となってしまった。
ここでの感想は下山から数日経った今では大げさに思う内容でもあるが、現場で感じた危機感を記録に残こすことで今後に活かしたいと思います。
青空といつもの、肉肉Picの後に、そんな事が待ってるとは・・
岳人さんの、経験、体力、技術、そして精神力でご無事に下山されたんですね。
改めて、山の怖さ感じました。
ホント、お疲れさまでした
hmd3180さん ありがとうございます。
八ヶ岳の穏やかな稜線が天候急変で牙を剥きました。
慣れた場所のはずが難行となり、改めて山の脅威を知らされました。
読んでいてドキドキでした
所々の冷静さがすごいです!
本当に帰れて良かったです
maple19さん ありがとうございます。
山での行動を考え直さないといけないと思います。
天候悪化が嫌いではないので、そこに問題があるようです。
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