笊ヶ岳☆累積標高差3000mは伊達じゃない〜ランカン尾根経由周回
- GPS
- 15:10
- 距離
- 28.2km
- 登り
- 4,733m
- 下り
- 4,755m
コースタイム
天候 | 快晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2020年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
見た目3、4台程度。舗装。無料。出入り自由。トイレなし。 最寄り公衆トイレは、雨畑温泉ヴィラ雨畑の前にあり。 距離にして1キロくらは離れてるかも。 ただし、駐車スペースが無いので、利用は至難。 道路幅も狭く路上駐車は無理。 時間帯にもよるだろうけど、けっこう車通る。 他に、雨畑集落の先に、見神の滝という観光スポットがあり、 そこにトイレがあるけども、現在は台風で破損して利用不可らしい。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
登りで使ってるランカン尾根には整備された登山道はありません。 バリエーションルートです。藪をかき分け、枝を押しのけ、根っこを掴んで、幹に抱き着き、倒木をまたいで、進路を確認し、見上げるような大岩の前で途方に暮れて、巻き道を探しても見つからず、直登することに気づき、越えたと思ったら、また大岩にぶつかり、山頂かと思ったら小笊ヶ岳で、あと少しのところでルートミスして急斜面をくだってしまい、復帰しようにも猛烈な藪に阻まれて、仕方なく戻って尾根に出て、やっとの思いで笊ヶ岳山頂に立った時は、登山開始から約8時間が経過していました。体力よりも精神力を消耗します。携帯電波もあてになりませんので、もしもの時には、這ってでも下山する覚悟は必要かもしれません。 とはいえ、ところどころにピンクテープが取り付けてありました。 藪に難航するのは、序盤から1828m三角点までで、それ以降は歩くところが集約されてくるので、比較的しっかりした踏み跡を見ることができますが、途切れ途切れです。 基本的には尾根直登で、巻き道を進むことはありません。急斜面にぶちあたると、これがまた歩きやすそうな踏み跡が急斜面を避けるようにして続いていたりしましたが、全て間違いでした。3回ルートミス。どんな斜面でも進路にあるのであれば直登です。これ以外にありません。 見上げるような大岩が3箇所くらい出てきますが、全て直登です。巻き道はありません。大岩の北側は絶壁で、南側に取りつき点があります。近づけば分かると思います。一般登山道であれば、間違いなく鎖がかかってる場所。当然ながら、そのような類は一切ありません。ヘルメットはあってもいいかもしれません。GPSは完璧ではありません。地図はあっても、現在位置が分からなければ意味がありません。踏み跡は、見るのではなく、感じるのです。バリエーションルートで迷った時に頼りになるのは、運と勘だけです。極限まで運を高め、勘を研ぎ澄ましましょう。 笊ヶ岳から布引山、檜横手山、老平登山口は、一般ルートで山と高原地図にも記載があり、登山道は明瞭ですが、広河原に渡渉箇所があります。私は飛び石で越えましたが、水量によっては靴脱ぎも必要になるかもしれません。あとは、左岸につけられた立派な登山道をひた歩き、壊れかけた鉄橋を慎重に渡れば、やがて車道に出ます。 山頂では携帯電波は入りませんでした。それ以外の場所は、携帯を使っていないので、分かりません。たぶん、老平周辺以外は圏外と思います。 追記。2020.12.7 2020年10月には、ランカン尾根で2件の道迷い遭難が発生してます。 ランカン尾根は、そんなに登山者がいるとも思えないので、2件という数字は、かなりの高確率と思います。私はランカン尾根の通過に8時間かかりましたが、状況によって、この数字はいくらでも変化しますので、全く参考にしないで下さい。重ねて、GPSは絶対ではありません。壊れるし、バッテリー切れるし、たまに誤作動します。参考程度と思ったほうがよいです。GPSだけでは「その辺りを通る」ということは分かっても、難所の通過の仕方までは分かりません。巻くのか、直登するのか、そもそも進路を間違ってるのか。その都度、判断を求められ、試されます。 山梨県による山のグレーディングでは、老平から一般登山道での笊ヶ岳往復が「7D」となってます。日本三大急登である黒戸尾根からの甲斐駒ケ岳往復が「6D」ですので、それより体力が必要なようです。ランカン尾根が、さらにその上をいくのは、間違いありません。山梨県の基準に照らせば、一般道往復が「7D」なら、ランカン尾根は「9E」くらいってところでしょうか。 https://www.pref.yamanashi.jp/kankou-sgn/shintyaku/grading.html |
写真
装備
個人装備 |
水1.8リットル(500ml余る)
ツェルト
ヘッドライト
カッパ
滑止め付軍手
テムレス
防寒着
タオル
食料
行動食
非常食
医薬品
モバイルバッテリー
GPS
予備電池
USBケーブル2種
気合い
根性
他
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感想
いやあ。笊ヶ岳てのは、本当に累積標高差が3000mもあるのかね。笊ヶ岳の標高2629mより高いじゃあないか。せいぜい2000mちょっとじゃないのと思っていたけども、確かに3000mはありました。アップダウンが多いわ。日帰りではハードな山だけども、途中に山小屋、避難小屋等なく、基本的に日帰り登山の山。しかしながら。山頂往復は極力したくないので、バリエーションルートであるランカン尾根から笊ヶ岳に登り、一般ルートから下山することにしました。
当初、雨畑集落の先にある名所、見神の滝駐車場で車中泊する予定だったけども、台風の影響でトイレが封鎖されているらしい、、、ということで、はるか手前の道の駅で車中泊することにした。ちなみに、見神の滝はなかなか見ごたえのある滝です。雨畑温泉ヴィラ雨畑の前にある公衆トイレが、登山口である老平駐車場からもっとも近い公衆トイレとなるけども、このトイレ、誰が利用することを想定しているのか、駐車場が無い。付近は道幅も狭いので路上駐車もできない。目の前にあるヴィラ雨畑は「無断駐車禁止」の看板が出ている。この公衆トイレを利用するのは、至難だ。
目覚ましを3時20分という微妙な時間にセットして就寝。時間通りに目覚まし時計は鳴ったが、10分後にアラームをセットして、また寝た。気が付くと、5時だった。いつものことなので、慌てず騒がず落ち着いて。朝食を済ませると、老平駐車場まで車を走らせる。意外にも16キロ。なかなか先へ進まない山間部。駐車場で準備を整えて、やっと出発したのが、7時だった。近くのオジジサマが、この時間からかと言わんばかりに、心配そうに私を見ていたのが印象的だった。
オジイサマを横目に、この時期、もう営業していない硯の里キャンプ場へ向かう。舗装されてるけど、なかなかの坂だ。キャンプ場から先、笊ヶ岳山頂まで整備された登山道は無い。藪に消えていく薄い踏み跡をたどることになります。とにかく序盤が難航します。1828m三角点までは、藪に突っ込んだり、倒木を跨いだりくぐったり避けたり。ピンクテープがところどころにあるけども、30mくらい離れてるとか、そもそも無い区間もある。無い区間は、私が別なルートを歩いていたのかもしれない。もうこの時期、紅葉もピーク過ぎで、ヒトケゼロ。足元は落ち葉だらけで、分かり辛い踏み跡を余計に分かり辛くしている。基本的に尾根を直登します。たまに歩きやすそうな踏み跡が、あさっての方向に続いてたりします。私は、3度、引き込まれそうになりました。尾根直登です。
1828m三角点を超えると、ヒトが歩く場所が限られてくるからか、部分的にではあるけども、明瞭な踏み跡が出てきて、歩きやすくなります。それでも、派手な倒木多数で、思っていた以上に時間がかかりました。途中、どうやって乗り越えるのか、見上げるような大岩が3箇所出てきますけども、近づいてみると、直登できることが分かるかと思います。大岩は巻くのではなく直登です。だいたい南側に取りつき点があります。北側は絶壁。絶壁のキワの真上を歩く箇所もあるので、慎重に。
やっとの思いで山頂か、いや、もう少しあるような気がするなと思っていたら、小笊だった。小笊の周辺は、若干、藪チカル。枝を押しのけ押しのけ進みます。あともう少しなのに、ここでルートミス。なんだかくだってしまっている。おかしいと思って、尾根に出ようにも、激しい藪に阻まれて登ることは不可能。仕方ないので、戻って尾根に出た。明瞭とは言えないけども、踏み跡は出てきた。ふいに広場みたいなところにでたら、ほどなく山頂。やっとの思いで到達。午後3時だった。ここまで8時間近くかかってしまった。下山は間違いなく、日没だ。まあ、そうなるだろうと思って準備はしてきてあるので、問題はなし。すぐ出発するつもりだったのが、結局40分近くも山頂に居座ってしまった。生きて再び、この場所に来ることはないだろうと思うと、いとをかしなので。それに、ここから先は一般ルート。ランカン尾根のようなルートなら、そりゃあ、ぜつぼぉおおだけども、一般ルートならなんら問題ないでしょう、、、とこの時は思っていた。
で。やっとこ、下山開始。まだ日は出ている。布引山まで遠い遠い。そしてあの登り返しが、特に堪えた。日は傾き始めたが、いまだ布引山には着かない。茜色に染まりゆく木立の中を歩く足取りは軽い。ランカン尾根に比べたら、なんと一般ルートの歩きやすいことだろうか。これなら、日没を迎えても、なんら問題なく登山口まで戻れるだろう、、、とこの時は思っていた。布引山を越え、崩壊地を過ぎたあたりで、日没を迎えた。まだ標高は2000m以上。行けども行けども延々とくだり。どこまで続くのかこのくだり。平坦なトコロがない。平坦なのは檜横手山の周辺くらいか。これを登るのは、それはそれで苦痛そのものかな。眺めもないし。足元に落ち葉の堆積が多くなり、スリップに神経を使いながら、つづら折りの登山道をくだっていると、沢音が近づいてくる。
広河原てところがあるのは知っていた。広河原の看板が出た所で、ここまで明瞭だった登山道が、はたと途切れた。はて。どっち。少し進むと、木にテープ。踏み跡すら見つからない。ヘッドライトで照らす範囲は限られている。闇の中を歩き回って目印を探していると動物の骨が転がっていた。どうも、こちらではないようだ。テープのトコロまで戻る。河原に下りていく踏み跡を見つけた。河原の倒木にテープがついている。あのテープは、木が倒れる前に付けたのか、倒れてから付けたのか。いつ付けたかで意味合いが変わってくる。河原を探索。すぐにテープが途切れた。無造作に積まれたケルンがあった。ここが渡渉地点なのか。けっこうな川幅だ。飛び石で行けそうな感じもするが。でも距離がある。石も濡れててよく滑りそうだ。
GPSを見ると登録ルートから外れてるような感じ。現在位置の東側の崖上をGPSは案内している。ほんとか、あの崖の上に道があるのか。いや、谷間でGPSが不正確になるのはよくあることなので、あてにならない。でも、ここまでは間違いなく登山道が続いていた。地図を見ると、川を渡渉するようだけど、渡渉地点が見つからない。河原の中州を少し下ったけども、目印らしきものが一切なくなった。ケルンのところが妖しい。ケルンまで戻る。アソコから左岸に渡るのかもしれない。しかし、対岸の目印が見えない。渡渉しても何もない可能性もある。なにより、滑って川落ちになるかも。途中で分岐があったのかと、来た道を戻ってもそれらしいものはない。いや、分岐など無かった。あれこれ考え、このまま歩き回るより明るくなるのを待ってから、行動することにして、ビバークすることにした。聞こえるのは、ごぉごぉという沢音。新月の翌日で月明りもほぼ無く真っ暗。見上げると満天の星空。ツェルトと防寒着は持っていたので、少し寒くはあったけども、なんとか眠れた。動物の気配は終始感じなかった。食料をあさりに来るかと思って、ドキドキしたわい。
翌午前5時にアラームが鳴る。行動開始だ、、、まだ暗かった。6時に起きた。どんな時でも二度寝三度寝。それが私の流儀。ツェルトを撤収(丸めただけ)し、辺りを見渡す。付近に目印は無い。ケルンの辺りに行ってみた。ああ。対岸にテープがこれでもかとついていた。あれが、昨日は見えなかった。見えていればどうってことなかった。広河原で渡渉があることを知っていれば、ビバークすることもなかった。ま、いい経験でしたけど。広河原からは、1時間30分くらいかかって駐車場に戻った。見かけたニンゲンは、ゼロ。静かな登山でした。
夜間の歩行が想定される場合には必ず持っていくLED懐中電灯を持って行かなかったことが対岸の目印を見つけられなかった主たる原因。300ルーメンのペツルヘッドライトも、カタログスペックはマックス光量で60時間使えるらしいけども、実際には2時間程度で暗くなった。ランカン尾根についてはある程度は調べていたけども、一般ルートについては、「一般」という言葉に惑わされて下調べが不十分だったというか、ほぼノーマークだった。そして、なにより出発が遅い。このところ車をいじくりまわした結果、車中泊が快適過ぎて、いつまでも寝ていたい衝動に駆られて仕方ありません。
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