白山〜權ノ神岳往復 粟ヶ岳には届かず
- GPS
- --:--
- 距離
- 19.5km
- 登り
- 2,093m
- 下り
- 2,077m
コースタイム
- 山行
- 11:40
- 休憩
- 1:20
- 合計
- 13:00
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
粟ヶ岳一帯は、地図に載っていない道があるかと思えば「ぶなのみち」という比較的新しい道もあり、新ヶ沢コースのように復活した道もある。一帯の道は、すべて粟ヶ岳に通ずるといっても過言ではない。そんな山塊を白山から粟ヶ岳まで通して歩く、ということをいつかはやってみたい、とずっと思っていた。ネットでググレば、下山口に自転車やバイクを事前に置いておく等の手段を講じてから実施しているようである。この方法は私には無理だと思っていたら、登山道を往復してしまう人が現れたのだ。これは単純明快。自己完結。良い方法である。私もこれに倣う。
明日の天気予報は晴れ。用事もなくいざ決行となる。もっとも私の場合は、お題目は慈光寺から粟ヶ岳往復だが、これは見せかけで、最低でも宝蔵山、本命は權ノ神岳往復である。神さんに“夕方早く帰ること”との“厳命”を受けていることもあり、時間的にもそうなってしまうのだ。まあ、トライすることに意義ありの山行である。
4時半、黄金の里会館駐車場出発。誰もいない杉並木の参道に足音だけが響く。路傍を彩るシャガの花が盛りである。尾根線を登る。沢を詰め、行き詰まったら尾根へ登る。山道によくあるパターンだが尾根に出るまでは急登だ。いきなり汗を絞られる。天気は晴れがいいのは決まっているが、気温上昇は勘弁してもらいたい。イワカガミ・イワウチワ・イカリソウ・ショージョーバカマなどが咲く。
避難小屋まで2時間20分かかった。そこまで1時間30分と思っていた私は、これは權ノ神までも無理、と打ちのめされた。しかし、よくよく地図を見ると、2時間35分と記載されていた。まだ望みは残っていた。やれやれ、先が思いやられる。
小屋の脇から雪の詰まったヒドを下る。雪田は小さなもので軟雪なので宝蔵山まで2か所くらいあったが、特に問題はない。田んぼに張られた水が太陽の光を浴びて、白く輝いているのは、初夏の越後平野の風物詩である。若葉に覆われた尾根上の歩きは、やっぱり気分はいい。
白山から宝蔵山までは案内図通り1時間。ペースはまずまずだ。權ノ神までは行けると思う。宝蔵山で休んでいると、年配の男性がやってきて白山方向へ進んでいった。ここから橋立へ下って行く。広々として、手入れの行き届いた良い道である。しかし、急こう配だ。雪の斜面を一度降りたことがあるのでわかってはいるが、これを登り返すのかと思うと暗澹たる気分である。橋立は小乙や上高柳、水源地へと続く道が交差する。いわば要衝の地だ。なぜ橋立なのか、その由来はわからない。
橋立から少し登って下る。下りは楽だが戻るときは、その分は登り返すことになる。登ったり下ったり、それが登山というものだ。しかし、よくよく考えてみれば、登山というスポーツは理不尽なものだ。重荷を背負って体を痛めつけて、もしかして登山家はマゾ? いや、それはない。
木々の萌え黄。尾根を渡る風。澄んだ空。路傍を彩る花々。日程は、ルートは、時間配分は・・・・。計画段階から頭も使う。計画をまっとうしようとする気概も必要だ。いいねえ登山は。しかしだ、いいことばかりではない。木々は枯れ、雨風が吹き付け、真っ暗な空、路傍の花々は枯れ、練りに練って作り上げた計画も変更を余儀なくされるのは日常茶飯の事。何よりもお天気商売。マゾのスポーツだという人さえいる。いかん、いかん、こんなマイナス思考ではいかんなあ。
これから往路の最後の登り、気合を入れなおす。冬であれば、カール状地形が表れるところだ。カールのふちに沿ってアルペン気分で登れるところである。途中から雪道となるが普通に登れる。イワカガミ、イワウチワ、ショージョーバカマなどが咲く。山頂まであと一息なのだが意外と手ごわく牛の歩みだ。右手前方に粟ヶ岳が雪をまばらに残した春の姿を見せる。今どきの残雪は山の風景を締めてくれる。いい眺めである。越後の山が一年で一番輝くときである。しかも、寒くもなく暑くもなく。登山の時期としては一番いい時かもしれないなあ。山腹を断ち割るように着いた道を進むと權ノ神岳山頂である。
大展望!! 360度の展望だ。しかし、飯豊連峰はまだまだ冬だ。あいにく山頂付近は雲がかかるが、山腹は白く輝く。磐梯山はうっすらと端正な姿を見せる。田んぼに水の入った越後平野が、まるで箱庭のようである。川内山塊の削ぎ落とされた山肌が自然の驚異を感じさせる。それがまた岳人の魂を揺り動かすのである。たかだか標高1200m足らずの山塊だが、根強い人気を保っている要因の一つである。
權ノ神岳から粟ヶ岳へは、急降下し痩せた七頭の稜線を通って北峰から粟ヶ岳へ達することになる。見た目往復3時間と見る。やはり粟ヶ岳往復は無理か。まあ、それでも最低目標の宝蔵山はクリヤ。登山口まで無事に戻れれば、本命の權ノ神岳往復の目標は達成できる。それだけでも立派なものである。有森さんではないけれど、自分で自分を誉めてあげたいよ、ということでここから戻る。
復路は、コシアブラ等を採り採り戻る。日差しは強く身に堪える。予想通り橋立からの登り返しは厳しかった。休み休み上って宝蔵山で大休止。ここから白山までは多少のアップダウンはあるが、基調はなだらかな登りである。ここまで来れば時間的に見ても夕方の早いうちに帰れるのは間違いないだろう。ほっとしたら腰から根が生えた。
ぶらぶらと尾根を進む。やっぱり稜線の歩きはいいなあ。銀次郎から銀太郎山間の稜線の雰囲気に似たものがある。山々を眺め。水に満たされた田んぼ。青空。烏帽子岳と白山に囲まれた天狗の庭は、いかにも天狗が舞い飛ぶような空間だ。爽快な気分。ちょっとした雪田を登ると避難小屋だ。あとは慈光寺へ下るだけ。
小屋で一息入れていると思いがけなく若い男性がやってきた。沢を登ってきたが、あちこち雪が割れていて、途中で切り上げてきたのだとか。「日曜まで暇で・・・」と言っていたが何をしているんだろうなあ。私の聞き違いかもしれないが、日曜だけの仕事って何だろう。まあ、他人様のことをあれこれ詮索してはだめだよな。さて、いよいよ最後のアルバイトだ。その前に白山山頂の三角点を見に行く。急に膝周りの筋肉が痛んだ。
休んだのが良くなかったのかなあ。筋肉が固まってしまった感じだ。一歩一歩の下りとなった。一気に降りる楽勝ムードは、暗転、亀の歩き。膝の筋肉をもんだり、さすったり、騙しだましの下りとなった。ロープの下がるところでは、後ろ向きに下りるが、足は痛まなかった。不思議である。これで少し助かる。平場に出るとそれまでの歩きがウソのようにスタスタ歩けた。
自宅5時着の予定は一時間おくれたが、日の暮れる前に着くことができた。夕方の早いうちに着いて面目は保つことができた。次があるとすれば、やっぱり粟ヶ岳往復だろうなあ。それには実務はどうあれ、計画は、懐電歩行、またはビバークも止む無しとならざるを得ない。
将を射んと欲すれば馬を射よ。隗より始めよか〜。難題である。
コメント
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妙高さん、こんにちは。
13時間の山行ですか。タフですね〜、すごいなあ。
花や雄大な展望が最高ですね。
稜線歩きもとても気持ち良さそうで、一緒に歩いている気分にさせてもらいました。
短いコースですが私も歩きながら同じようなことを考えるので、笑っちゃいました。
下山で足が痛くなって、後ろ向きに下りたこと私もありますよ。不思議ですね。
粟ヶ岳というのはとても有名な山なんですね。
お疲れさまでした。
harunonekoさん こんにちは〜
暑いです〜(-_-;) ジメジメして梅雨みたいな感じ。参ってます。
粟ヶ岳は、たしか200名山ですね。山頂は三つのピークになっているので、地元では”みつむりやま”とも呼ばれているようです。姫小百合とかきれいな花も結構ありますね。
ただちょっと難点が(-_-;) これからの季節、ヒルが出るんです。食いつかれるとジクジクと膿んで大変なんです。これさえなければ一年中楽しめるんですがね。帯に短し襷に長しですかね〜。いい山なんですが。
早朝から夕方まで黙々と。
休憩の取り方は難しいですね。
休まないと続かないし
休みすぎると体が固くなるし・・
初夏の白い花はいかにも夏の始まりの様相
清々しくて美しいですね!
こんにちは hobbitさん
ワンちゃん、鶏ちゃんたちとのコラボ楽しく拝見しています。子供のころ猫とか小鳥を飼っていたことあるんですが、心の機微が良くわからないので、感心ばかりしています。
休憩って、休まなきゃ休まなきゃ、と思っても先を急いでしまいますね。それに景色のいいところで休みたいなんて思ってしまうので、時間配分が狂ってしまいます。負荷の軽重もありますので、杓子定規に区切れないですしね。ほんと難しいです。結局、余裕のある行程で対処する、ということになるんでしょうか。ではごめんください。
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