初夏の信州足跡繋ぎの旅Part. 2(高ボッチ〜鉢伏山〜JR村井駅へ)
- GPS
- 09:49
- 距離
- 25.8km
- 登り
- 1,186m
- 下り
- 1,555m
コースタイム
- 山行
- 8:07
- 休憩
- 1:43
- 合計
- 9:50
天候 | 終日晴れ(鉢伏山手前で一時ガス) |
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過去天気図(気象庁) | 2017年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー
・復路:JR村井駅までひたすら徒歩… |
コース状況/ 危険箇所等 |
・アスティかたおかから高ボッチ山、冬の雪道を登るハイカーは多いものの、ラクに車で行ける高ボッチへ夏道を登る物好きハイカーは希少(アスティかたおかのフロントマン談)。宿の裏手から踏跡が延びるも、途中多数の林道クロス/ショートカットの赤テープ等あり、尾根筋を大きく外さぬよう注意。高ボッチが近付くと、「展望台○○km」の道標が500mおきに出現。このルートは高ボッチ牧場を大回りし、アップダウンも多い効率の悪い道。高ボッチ山頂を真っ直ぐ目指す場合は、有刺鉄線の薄いゾーンを突いて牧場を横断した方がベターで、展望も良好。。 ・鉢伏山へ至る車道を進み、牛伏寺への下降点を過ぎると、随所にショートカット道あり、こちらの方が上下とも圧倒的に歩きやすいです。分かりにくい入口には赤テープなど目印あり。 ・牛伏寺への下降路は、車道から下り始めて程なく「尾根筋コース」と「日影沢沿い・フランス式階段工コース」に分かれます。歩行距離は尾根コースが0.5km程短いものの、コースのバリエーションや明治の砂防施設(写真/所感の項参照)など見所の多さからみて、沢コースが断然オススメです。 |
その他周辺情報 | JR村井駅から500m、徒歩10分弱のところに「信州健康ランド」あり、日帰り入浴可。(ホテル併設のリゾート型施設のため、日帰りでも税込み2,000円強とかなり割高。JAF割引あり、露天風呂、大広間&食堂など完備) |
写真
装備
備考 | ・水分消費量:ペットボトル500ml×2(ソルティライチ+宿で貰った昼食用お茶:半分弱消費)、ポリタン水200ml(昼食時湯沸かし用)、ガッツギア×1 |
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感想
信州足跡繋ぎツアー第2日、本日は朝5時前、前泊した塩尻郊外の宿から予約のタクシーでスタート。早朝割増もかかり、気になるメーターをチラ見しながら、運転手さんから北ア方面での一部アジア人ハイカーのマナーの悪さ、本日のコース周辺ではクマの心配は余りないことなどをつらつら聞き、アスティかたおかまで約11kmの道のりを約4,000円強、20分で走破。車の有り難みを実感しながら、朝靄に煙る標高1,000m強の登山口に降り立ちます。
アスティのフロントの方の電話越しでのお話によると、冬場は高ボッチへの舗装道が閉鎖のため、ここから山頂目指して登る雪山ハイカーも多いものの、林道が開通するとこのルートを登る物好きハイカーはほぼ皆無の由。そこそこのルーファイやクマ除け対策も要りそうで、本日のコース中、実はこの区間が隠れた核心部では、と予想してました。案の定、最初はしっかりしていた踏跡も、なだらかな尾根筋に乗る頃には獣道や林道が交錯して不明瞭に。路傍には木の実を掘り起こしたと思しき小動物の生々しい爪痕も残り、少々ビビってクマ鈴をストックに着けリンリン鳴らしながら、朝靄の樹林帯を黙々と登ります。
ようやく山頂方面に通ずる林道状の道に乗り、約500mおきに「至る展望台」の標識も出現。有難や、とホッとしたのも束の間、このルートは次第にGPSログの予定コースを左に外れ、有刺鉄線でがっちりガードされた牧場の敷地を大きく迂回。谷筋を乗っ越す際のアップダウンも大きく、すぐ右に大展望が拡がっているはずの広大な牧草地があるのを横目で見ながら、イライラしつつ樹林の道を辿っていきます。
ついに高ボッチ山頂手前の電波塔が見え、目指す三角点も指呼の間、というところで、いよいよ当方我慢の限界を越え、有刺鉄線の緩くなったポイントで牧場を突っ切ります(牧場関係者の方、申し訳ありません…)。期待に違わず、南面の視界が開けた牧草地からは、未だ白銀の御嶽〜乗鞍が大迫力で登場!電波塔広場の木柵を越すと、程なく山頂に繋がるハイキング道に合流、山頂駐車場方面より見るからに一般観光客風の方々も現れ、つい先程までの地味でヤブヤブの踏跡歩きは何だったのか、という気分に。ともあれ、山頂手前では南ア〜中ア、そして諏訪湖越しに富士山の大パノラマが出現。マイカーでのラクラク登山とは違って、苦労の末に得られた大展望に「ご褒美」感もひとしおです!
高ボッチは小生初踏破にて、やって来た観光客の方にシャッターをお願いし、居合わせた他のカメラマン各氏とともに暫しのパノラマ撮影を楽しみます。時刻はまだ8時過ぎですが、ふと進行方向を見ると、目指す鉢伏山はまだ尾根の遥か彼方…。先は長い、ここからが本番と気合を入れ直し、山頂駐車場の先から舗装の道を歩き始めます。鉢伏までは6km余り、しかも変化に乏しい車道歩きが長く続き、精神的にキツい区間です。せめて変化を付けようと、右手に分岐する「見晴らしコース」に入り、小さいお子さん連れのご家族や山菜採りのジモティの方々とすれ違いながら、黙々と先を急ぎます。
奮闘の甲斐あって、当初計画より2時間近く早い時刻に牛伏寺への下降点に到達。いよいよ数年前の足跡が残る鉢伏山へのピストンに取りかかります。有難いことに、ここから鉢伏山荘までは、車の行き交う舗装道の左脇にショートカットを兼ねた踏跡が伸びており、登り基調ながら、疲れた両足には優しい区間です。思い出深い鉢伏山荘の脇を通り過ぎ、山頂へのハイキング道との合流点で、ついに前日開通したばかりの八ヶ岳→霧ヶ峰→三峰→分水嶺トレイルの長大な足跡としっかり線が繋がりました!どうということのない標識の立つ四つ角で、一昨年に烏帽子岳の直下にて北アの足跡が繋がった際のような感慨に一人浸ります。
それまでガスに隠れていた鉢伏山頂も、いつしか鮮やかな青空の下にたおやかな山容を見せ、不沈空母さながらの美ヶ原もその巨体を現しました。ここからは思い出のフィルムを再生するように、長閑なハイキングコースを進みます。辿り着いた久しぶりの鉢伏山頂は、相変わらずの地味な佇まいながら、少し進んだ神社の先には、かつて木片の残骸が散らばるだけだった展望台が石造りで立派に再建!勇んで台上へのハシゴを登ると、風は大変冷たいものの、高ボッチに勝るとも劣らぬ八ヶ岳〜南ア〜中ア、そして昼前になっても健在の富士の大パノラマ。
すっかり満足し、展望台の周りに設置されたベンチにて、宿で握ってもらったオニギリ弁当を頬張り、コンロで沸かした温かいお茶を流し込んで、いよいよ計10km余の長い長い下山&足跡延ばしにかかります。帰路は若山牧水の歌碑経由のコースを下って変化を付け、鉢伏山荘でトイレ休憩、利用料金+入山料(各100円)をポストに放り込み、ショートカット路であっという間に牛伏寺下降点に帰着。「フランス式階段工経由」の道標に何だろう、とワクワクしながら、途中の尾根通し/沢筋コースの分岐に差し掛かり、距離は遠回りながら「階段工」を経由する後者を迷わずチョイス。
かなりの急なつづら折れ斜面を快調に下り、林相改良&砂防堰堤の丁寧な解説板に感心しながら歩を進めると、やがてしっかり河床が石組で補強された日影沢(牛伏川源流)に降り立ちます。当初は人っ子一人いない地味な下山路を想像していたのに、何と複数の親子連れのパーティとスライド。更に、その先の歴史ある砂防施設のスポットではカメラ片手のハイカーや一般観光客の姿も見られ、俄に観光地の賑わいです。とどめはこのエリアのメインディッシュ、小規模な堰堤構造物が階段状に連なるフランス式階段工。未だ現役稼働中のこの砂防建造物は何と国の重要文化財に指定され、明治の産業遺産としての保護運動も展開されている由。
思いがけない観光名所との遭遇に静かに感動しながらも、下り着いた牛伏寺手前からは再び地獄の車道歩き。堪らず軽登山靴を脱ぎ、持参したサンダルに履き替えて先を急ぎますが、道端に現れた「中部北陸自然歩道」の道標に「村井駅まで5km」の表示…。ゴールまでの残り距離がハッキリしたのは有難いものの、炎天下の住宅街、舗装道路歩きはさすがに心身へのダメージ大。「何の因果で、貴重な休日を潰してこのような愚行を…」と禁断の自問に苛まれつつも、道端のジュース自動販売機で渇いたノドを潤し、時折振り返って背後の鉢伏山頂からの長い道程に自己肯定しながら、ひたすら足跡を前へと伸ばします。
JR駅が近づき、残る本日唯一のお楽しみ、ゴール後の日帰り入浴スポットを決めるべく、通り沿いのコンビニでレジのおばちゃんに訊ねると、駅から少し歩いたところに「健康ランド」なる日帰り入浴施設がある由。この耳よりの情報に俄に心身の活力を取り戻し、ズンズン歩を進めると、ついに予定より2時間近く早い午後3時前、ゴールの村井駅到着!八ヶ岳山麓からの足跡が、いよいよ松本盆地のど真ん中まで繋がりました。オバチャン情報を頼みに日帰り風呂目指し線路沿いを歩くと、約10分弱で本年の「おふろ甲子園」(そのような大会があるんですね…)決勝にエントリー中という、立派な「信州健康ランド」に到着。さすが甲子園組?だけあり、フロだけで大人2,000円強という立派な値段にたじろぎながらも、受付嬢の「JAF割引効きますよ〜」の一言に背中を押されて、暫しホッコリ、プシュー、プハーの悦楽に疲弊した心身を委ねたのでありました…。
ともあれ、今回のツアーで日本海→太平洋の「大足跡繋ぎ」の旅も、ついに残る区間は上高地(徳本峠)→松本盆地、八ヶ岳山麓→瑞牆山(ここが意外と難関…)、そして箱根湯本→小田原海岸の3箇所のみに。当初は300名山ゴール後の次なる大目標として意識していたはずが、残る唯一の300山未踏、箱根山の入山規制が未だ解除の見込み立たずで、今後の箱根山の神のご機嫌次第では、足跡繋ぎの方が先に栄光のゴールを迎える可能性も出てきました。寄る年波で段々厳しい山登りや足跡繋ぎをこなす気力・体力も低下しつつあることを実感…今後の目標達成をどう図るべきか、ここが思案のしどころです…。
本日も、駄文・長文、退屈かつマニアックな山行記録にお付き合い下さり、誠に有り難うございました。。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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satonao1jpnさん、二日にわたる長い行程、お疲れさまでした。
凄いですね。有言実行、着々と目標に向けて!
素晴らしいです。
私の地元のマイナーな山をいろいろご紹介頂き、何だか嬉しいですね。
残りの区間の制覇、そして目標達成の大成功をご祈念申し上げます。
trekker_さま:小生のオタッキーかつ駄文レコに、早速の温かいメッセージを頂戴し恐縮至極です。高ボッチ山頂からの展望は「日本一のシャッタースポット」の名に恥じぬ素晴らしいものでしたが、鉢伏山と共にラクに車で登れてしまうため、高山植物など貴重な生態系の保護にも一層気を配る必要がありそうですね。
貴殿の先週末の八ヶ岳開山祭直前・当日のレコも拝見しました。開山祭に加え、見頃を迎えたツクモグサ等の撮影を狙って、多くのハイカーが押しかけたようですが、貴殿他レンジャーの皆様の植生保護・登山マナー向上へのご尽力、頭の下がる思いです。
そろそろ梅雨入りも近く、小生も暫しの充電・休養期間入りですが、梅雨が開けたら是非足跡繋ぎの一環で、県境尾根 or 真教寺尾根あたりから赤岳〜阿弥陀岳ルートにチャレンジしたく思います。また八ヶ岳〜霧ヶ峰エリアや北アの片隅で、貴殿とスライドできることを楽しみにしております!
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