薬師岳 -金作谷も滑った、シーズンラストBC-
- GPS
- 11:32
- 距離
- 24.0km
- 登り
- 2,144m
- 下り
- 2,130m
コースタイム
- 山行
- 9:21
- 休憩
- 2:11
- 合計
- 11:32
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
この週末の山行予定は自他諸々の事情で二転三転した。八ヶ岳方面の話もあったが、僕が土曜日都合が入ったので、前夜発日曜の日帰りで薬師岳に行くことにした。東北・北陸を除き全国的に梅雨入りし、天気予報が日に日に変わる不安定さでやきもきしたが、土曜は強風・時々雨強く、日曜晴れと僕には運が良かったが、土曜日だけの人にはごめんなさい。
土曜日午後7時に亀谷の有峰林道料金所を通過し、8時前に折立の駐車場に着くと、駐車場所は概ね埋まっていて、残り少ない空き場所を探して入った。この混み方は、そうか、太郎平小屋の開山祭だと気がついた。明日の薬師岳も賑わうことだろう。
日曜朝、スキーを背負っての出発は4時20分頃となった。夏至が近い今頃はこの時間でヘッ電が要らなくなる。車の外面にびっしり霜が付く寒さ、前日の雨で道は濡れており、薄氷の張った水たまり、ぬかるみも随所にある。間もなく男女ペアのスキーヤーと合い、休憩がらみで三角点ベンチまで抜きつ抜かれつだった。ザック脇のスキーに兼用靴をセットし、軽登山靴で登るスタイルが、僕と彼らとで全く同じだった。
三角点の少し手前から登山道上の残雪が現れ始め、三角点ベンチの直後に少し長い雪道登りがあったが、その後夏道が続く。標高2100m以上の緩い尾根道は、夏道は概ね露出し、その横にスキーで下りて来られる雪面が続いている状況だった。太郎平小屋には直前の坂に並んだ雪上の赤旗に導かれて到達。
薬師峠への木道も最初は露出しているので、軽登山靴のままで峠に向かう。峠への下りで、その向こうは薬師平に至るまで雪が繋がっているのが見えた。峠で兼用靴に履き替えてアイゼンも着け、薬師平への急坂のトレースを辿る。僕が峠を出発した直後に、あの2人組は峠に、スキーで下りて来ていた。
急坂を抜けて緩やかな薬師平となり、薬師岳への尾根を右から回り込んで登って行くと夏道露出、以後時々雪を踏むが大概夏道上。好展望を順調に登り、薬師岳山荘を過ぎて避難小屋後まで登ると風がやや強く、冷たく感じたが我慢して山頂に到達。予想を越えて人が多く、酒盛りもあったり大変賑やか。
さて今日のハイライトは、山頂から金作谷カールへの滑降。滑り出し40度はある斜面で緊張するが、飛び込んでみれば難なく曲がれ、少し下りて行けば30度程度の斜面をスラロームして行ける。そして今日の雪質は、ずばりフィルムクラスト。ザラメ雪の表面が薄氷で覆われてテカテカしているが、スキーでは簡単に砕け、滑る感触は普通のザラメ雪と変わりない。氷を砕く音がパリパリとかシャリシャリとか、これが気持ちいいのである。一番上の急斜面ではこれがスラフ化して斜面を遥か下まで滑り落ち、長い間音を立て続けていた。標高2926mの山頂から、カール下の落ち込みの2630mまで滑ったが、ほぼ全面がフィルムクラストで、これだけ見事なのは初めて経験した。このカールはカール底で斜度は緩むものの平坦部あるいは窪みにはならず、その下まで滑ったが、これ以上進むと急になるばかりで戻りが危険になる手前で終了とした。標高差300m、時々止まりながらでも10分で下りた区間を1時間かけて、ツボ足で登り返した。
山頂に戻るとあの喧騒が嘘のように、誰もいない、風音だけの静かな薬師岳だった。山頂から雪田部分を滑り降りるが、あっという間に終了となって避難小屋までは稜線の夏道を歩く。ここで朝発日帰りで登って来たmomochanと遭遇。これは絶妙のタイミングで、これより下だと登りの夏道と滑りの雪斜面が離れるので会えなかった。
避難小屋直下の標高2875mから薬師峠の2294mまで連続して滑降が可能だった。薬師岳山荘の裏の2701mピークは東を巻いていくと雪がつながっているが、急斜面のトラバースとなる。他は大概適度な斜面を、雄大な景色を正面に、時には登山者の視線を尻目に、気持ちよく滑って行ける。薬師峠に下りる最後の急斜面が、横滑りは多くなるものの、さほど手こずらなかった。太郎小屋に向かって夏道を登り返し、途中ピークになったところで板を履いたが、緩すぎてあまり滑らなかった。太郎平小屋で腹ごしらえの休憩。
太郎平小屋直下から2196mピークの手前まで、夏道を左手に見て稜線脇の雪を辿って滑って行ける。ピークを歩いて越えてまた板を履き、2060mピークの手前までまた滑った。この間に朝の2人組を一旦追い抜いた。ここまででスキーは終了とするのが一番効率が良かったのは分かっていたのだが、未だ兼用靴のままで歩いて下り続けた。その下の、標高1950mから1900mにかけての樹林帯に雪が残り、そこを今日のラストで、恐らく今シーズンのラストの滑りにすることにしていたのだ。その部分は、人が通れる樹間で雪が残っているところを、むりやり曲がりながら必死で辿るものだったが、ここまで滑ったぞ、という気分にはなった。雪が切れていよいよ滑降終了、靴を履き替えて軽い藪漕ぎを2,30mほどで夏道に戻ったが、そこで丁度、朝の二人組がやはり靴を履き替えていた。
以後は淡々と歩いて下りて1時間ちょっとで登山口に戻ってきた。家に帰ってみると、今日は日帰りのスキーとしては大分疲れたと感じた。折立から薬師岳は標高差で1600mほどだが、途中の登り返しを勘定に入れると、一往復で累積1800m位登る。それに金作谷の登り返しを加えて2100mをスキー担いでのシートラで登ったことになる。それに相応しい疲れ方で、相応しい満足感も得られた。
Nishidenさん、こんばんは。
五郎からずっと薬師を眺めていましたが金作谷カールはもちろんのこと、薬師峠までの滑りもよかったみたいですね。
カールはなんとフィルムクラストでしたか!
僕もあと少し遅く出れば同じ状況に遭遇できたかもしれませんが、トラバースの効率性を選んで気温の低い時間帯を狙っちゃいました。
1950mのところもスキー使ったんですか!?
僕はさすがに靴スキーで満足してましたよ。
ともあれ、好天にめぐまれお互い最高の滑り納めになりましたね!
来シーズンもまたよろしくお願いします。
フィルムクラスト楽しかったですよ。シャリン、シャリ〜ン、ザ〜ッ、てね。
1950mまでは、2100mからえっちら歩いて、標高差50mも滑れないんですが、登山者のトレースから少し離れて平行に、狭いツリーランでした。
僕からも、来シーズンもよろしく。
Nishidenさん こんばんは
最高のシーズンラスト山行でしたね!過去2回この時期に登っていますがいずれも雪は少なくガスで眺望もないという結果に終わっていますので今年こそはと思っていた矢先兼用靴破損で叶いませんでしたが素晴らしい景色でものすごく行きたい気持ちになっています。(山スキーで)
実はれのんでNishidenさんとSanchanの合流の話で盛り上がっていたのでレコを楽しみにしていましたがお互いに最高の板納となり羨ましいです。今シーズンはいろいろ同行させていただきありがとうございます。また来シーズンもご一緒させてください。
koueiさんの薬師岳レコ見ると、去年も一昨年も、今年と比べて同時期とはとても思えない雪の少なさでしたね。
また滑り初め、厳冬パウダー、残雪と狙っていきましょう。
Nishidenさんこんばんは!
金作谷、かなり深くまで滑られてたんですね〜私もほんの少しだけにしました
やはりシーズンラストを飾るには山頂からの滑降と、ギリギリまで根性で滑る!というのが必要ですね
ちなみに私はまだラスト宣言していません(笑)
もう少し悪あがきさせてください
薬師山頂から夏道を外れて少し滑り、夏道に戻ったところで会えましたから、絶妙のタイミングでした。あの後直ぐに雪上に戻り、登りトレースとは離れっぱなしになっちゃいますから。momochannの悪あがきも楽しみにしています。
momochann山頂から滑り降りたのは中央カールの方みたいですね。
Nishidenさん、おはようございます。
下界は涼しい晴れだったので、山はさぞかし気持ちのいいコンディションだろうかと思っていましたが、今シーズンの有終の美と言える素敵な山行でしたね。
Koueiさんとれのんで「行きてぇ~」と唸っていましたが、ホントに行きてぇ~ですね
私は今週末が板納めと思っていますが、はたして良いコンディションをつかめるか…
来シーズンも同行などお願いするかと思いますが、またよろしくお願いします。
また、夏山も行きますのでそちらでも!!
北陸はいつ梅雨入りするんだろう、という感じで今度の土日も予報は雨になってませんね。
shinmonさんも良いラストを飾れるよう祈っています。
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