(過去レコ)北岳・嶺朋ルート
- GPS
- --:--
- 距離
- 11.1km
- 登り
- 1,782m
- 下り
- 1,782m
コースタイム
- 山行
- 7:00
- 休憩
- 1:30
- 合計
- 8:30
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス タクシー 自家用車
|
写真
感想
【山行記録投稿=2017年08月04日】
今回、北岳へ行ったのは嶺朋(れいほう)ルートを歩くのが目的。
嶺朋ルートというものを知ったのは昨年8月、両俣小屋から北岳へ上がり、北岳山荘で泊まった時に他の登山者から聞いた。ひどく荒れており、とても勧められないと言っていた。
池山吊尾根のボーコン沢ノ頭から北へ延びる嶺朋尾根がルートで、昭文社の山地図にもルートがあるということだけ書かれている。
今年の9月初め、ネットで知り合った山好きの女性と間ノ岳へ登る。その際、北岳山荘に泊まり、一週間前にこのルートを下ったという山荘のスタッフから詳しい情報を得る。
そのスタッフの話では展望が良いとのことだったので、好天の日に下ってみたいと思い、機会を狙っていた。
芦安駐車場から始発の乗合タクシーで広河原へ。登山届には日帰りであること、嶺朋ルートを下ることを明記し、6時10分、朝日に輝く北岳を見上げて広河原橋を渡る。
未踏のやぶルートが何時間で下れるか・・・
余裕を持たせるため登りはハイピッチで歩き、八本歯ノコルでサブザックにカメラと少量の水・食料を詰め替えて北岳へ。
9時40分に北岳登頂、八ヶ岳連山の中ほどに雲が掛かっているものの、北アも中アも全山がパーフェクトな眺望。過去4回は何れもガスの多いすっきりしない眺望だった。5度目にして初めて満足できる眺望が得られ、10時20分に山頂を辞する。
八本歯ノ頭へ向かう途中で、コルから先では行き会うことはないだろうと思っていた他の登山者に会う。話をすれば、夜叉神峠を今朝の5時15分に走ってスタートしたと言う。
歩けば12時間以上掛かる区間を6時間足らずで駈け上がったのだ。しかも、体調が悪いので北岳へは行かないでコルから広河原へ下りたいと言う。世の中には凄い人がいるものだ。
八本歯ノ頭は北岳バットレスを正面から眺める絶好の展望台だが、コルからすぐなのに寄り道して訪れる人は非常に少ないようだ。
ナナカマドやウラシマツツジが紅葉する中、素晴らしい眺望の吊尾根をボーコン沢ノ頭へ向かう。
コンクリで固めた大きなケルンの建つボーコン沢ノ頭で数分間小休止し、その少し先数十mの所に池山吊尾根の道標がある。
ほぼ直角だが、右折すれば歩き沢橋で、嶺朋ルートは斜め左に入る。
裸地化した緩やかな尾根を10分ほど下ると、『嶺朋ルート入口 広河原へ3時間』と書かれた道標がある。
ここからハイマツ帯〜ダケカンバやナナカマドの混生林の疎林帯を経て、標高2550m付近から針葉樹林帯となる。
疎林帯では背後に巨大なバットレスを擁する北岳、左手に小太郎山、前方に鳳凰三山、地蔵のオベリスクも見える。
早川尾根の赤薙沢ノ頭の奥には赤岳、それから左に横岳〜硫黄岳〜阿弥陀岳〜天狗岳〜蓼科山までよく見える。
撮った写真を拡大すると横岳の大同心、小同心も写っていた。アサヨ峰の右には甲斐駒、左には鋸岳の山頂部が尖っている。奥秩父や大菩薩方面は見えない。
針葉樹林帯では地面を這う姿勢で倒木下をくぐる所が数ヶ所、嶺朋ルートと書かれた、小さな古びたブリキの標示板が3枚ほどある。
ルートは全体的に直線状に下る部分が多いが、鎖、梯子、ロープは全くない。激下りではあるが、岩場でもスタンスやホールドがうまい具合にあり、危険を感じることはない。
やぶ漕ぎするほどの難路ではなく、足元は常に見えている。岩場や針葉樹の大木に付けられたペンキマークが多過ぎるほどあり、迷う心配はないが、目印が全くなければ進めないほど踏み跡・ルート跡は判然としない。
ルート入口の道標には広河原まで3時間とあるが、下りでも普通に歩いて3時間半は要するだろう。
途中の森林限界までは眺望が素晴らしいので、晴れた日に下山路として歩くには良いルートだ。
広河原発芦安駐車場行きの最終便は16時10分、その前は15時00分。
眺望の良い上部では写真を撮ったりしてゆっくり下っていたが、標高差1300mにも及ぶ嶺朋尾根は下れども下れども下山しないという感じであった。
14時25分、近くに東屋のある遊歩道へ降り立った際は安堵感から大きなため息が出る。もう下山したのも同然で、水をがぶ飲みして5分の小休止。
大樺沢と野呂川に架かる二つの大きな吊橋を渡り、14時40分、広河原のバス乗り場へ着く。
振り返れば北岳がまだ雲に隠されず、泰然とそびえていた。今日一日を無事に遊ばせてくれた山へ深謝し、帰途に就く。
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