岩手山遠征(松川温泉から馬返しまで縦走)
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- GPS
- 11:27
- 距離
- 17.9km
- 登り
- 1,507m
- 下り
- 1,702m
コースタイム
- 山行
- 9:36
- 休憩
- 1:52
- 合計
- 11:28
コースタイムがタイトである場合には,黒倉山を巻くべきである。
天候 | 曇り後晴れ(強風) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
(1) 登山前日 自宅 → 【中央線】 → JR東京駅 → 【東北新幹線】 → JR盛岡駅 → 【岩手県北バス】 → 松川荘前バス停 → 松川荘【泊】 (2) 登山当日 ≪馬返し登山口に下山後≫ 馬返し登山口駐車場 → 【タクシー】 → JR盛岡駅付近のホテル【泊】 帰り: JR盛岡駅付近のホテル → 【タクシー】 → JR盛岡駅 → 【東北新幹線】 → JR東京駅 → (飲食店立ち寄り後帰宅) ※主なタクシー及びバスの料金等 ・岩手県北バス : JR盛岡駅(3番乗り場)→ 松川荘前 @1140円 (所要約1時間30分) ・みたけタクシー : 馬返し登山口駐車場 → JR盛岡駅 約6500円 (所要約50分) |
コース状況/ 危険箇所等 |
1 松川コース (1) ロングコースであるので,コースタイム設定,体力維持に注意。 (2) 熊の出没事例が多い。熊鈴必携。 (3) 道は細いが,登山道の草木がよく刈り払われていて,歩行し易い。 (4) 姥倉山通過後,地熱地帯あり。注意看板に従い,規制ロープを越えないこと。 (5) 黒倉山を登頂する(巻かない)場合,がれ道と急登に注意。特に下降時。 (6) 大地獄分岐付近は,火山ガスが多く発生している。景色に集中し,長時間滞在しないこと。注意看板を要確認。 (7) 沢筋の歩行及び渡渉箇所がある。誘導テープに進めば問題ない。 (8) 不動平手前は,樹林帯の地味な登りの連続。 2 岩手山山頂付近 (1) 火山灰土壌により,山頂に向かって左側のルートは,大変歩き難い。ラッセルのようである。 (2) 火口周回(お鉢巡り)は,滑落に注意。時計回りの方が楽。 3 柳沢コース(馬返し登山口方面) (1) ほぼ全編,がれ道と露岩帯であり,極めて歩き難い。転倒に注意。 (2) 道が細いので,登山者の多い時期は,すれ違いにおいて,配慮が必要。 |
その他周辺情報 | 1 松川温泉は,日帰り温泉可能。午後6時まで。 2 ピンバッジ(山バッジ)は,8合目避難小屋で購入可能。ただし,小屋番がいる日(土日等)のみ。 3 馬返し登山口駐車場は,ハイシーズンは,満車となる模様。 |
写真
装備
個人装備 |
Tシャツ
半ズボン
長ズボン
防寒着
靴下
雨具
靴
ザック
昼ご飯
非常食
飲料
地図(地形図)
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ガイド地図(ブック)
ファーストエイドキット
保険証
携帯
時計
タオル
カメラ
熊鈴
着替え
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備考 | 熊鈴必携 |
感想
今回は,岩手県最高峰の山である岩手山に遠征山行をした。東北エリアの登山は,初めてであり,とても期待した。
岩手山は,独立峰の様相であるが奥羽山脈の一部を成し,長いすそ野が特徴的である。盛岡市内から見る岩手山の姿は,富士山のような整った形をしており,「表富士」と呼称されるようである。また,岩手山は,活火山であり,現在も,火山活動による火山ガス,蒸気の噴出が見られる。近年までは,入山規制が行われていた。ふもとでは,温泉に恵まれ,温泉旅館が多い。
今回は,岩手山を堪能するべく,ややロングコースとなる松川温泉を起点に,登頂,お鉢巡りを経て,馬返しに下山するコースを計画した。要するに,岩手山の横断である。
さて,時系列的に今回の山行を述べていきたい。
登山前日は,松川温泉の温泉宿である松川荘に宿泊した。ここは,松川コース登山口に最も近い宿泊施設である。同登山口まで徒歩約10分となる。現地入りにしたのは,午後3時頃。下山者でにぎわっていた。松川荘は,日帰り温泉もやっている。なお,宿泊料金は,1泊2食付きで約1万1000円である。割と安い。私のようにかなり早い時間に出発する者は,朝食に代えて,前日におにぎりセットを用意してもらえる。松川荘の温泉は,硫黄臭のする白濁したお湯である。箱根の大涌谷と似ている。そして,露天風呂(混浴風呂と女風呂の2つ)と屋内風呂とがある。ぬるめであり,中々良い。ただし,シャンプーやボディーソープが備置してあるものの,シャワーがなく,温泉のお湯とじゃ口からの冷水で洗うことになる。食事は,味は今一であったが,この値段であれば満足である。売店があり,お土産,飲食物が購入できる。
登山当日は,午前4時に起床。誰もいない温泉に浸かり,身支度をして,午前5時に出発。登山口まで行く。前日,旅館関係者から,熊の出没情報を聴いた。何と,前日の登山者も熊を目撃したとのこと。少し警戒心を高めながら登山を開始した。
しばらくは,樹林帯で,両サイド笹薮の細道である。尾根筋ではなく,谷のような部分を歩いていることから,わずかに水が浸み出て,かつ,登山道中央がくぼんでおりそこに岩石が転がっているような道を進む。緩急ある登り道。すると,左手(北東)に山並みが見えてくる。朝日の紅に照らされ,美しい。東北の山を登っている実感を得た。
登りを進めると,姥倉山分岐に着く。ほんの少し登ると,姥倉山。山名標識はあるが,3人くらいが座れる狭いスペースが山頂である。すぐに後にした。その後,すぐに,地熱地帯に入る。注意看板と規制ロープがあるので分かり易い。地面を触ってみると,温かい。また,一部,蒸気が出ており,試しに触ろうとすると,火傷するくらいの熱さであった。踏み抜きがあるようなので,規制ロープを脱線しないようにしたい。
しばらくすると,黒倉山分岐に出る。計画では,ここを巻く(黒倉山ピークを行かない)予定であったが,コースタイムに余裕があったので,黒倉山を登頂することとした。がれ道を過ぎ,急傾斜を登ると,黒倉山。樹林・草はなく,石ばかりの山である。晴れていれば景観に優れているとのことであったが,あいにく,ガスが濃く,何も見えなかった。ここも,早々に後にする。
切通分岐に到達し,私は,大地獄分岐に向かった。切通からは,鬼ヶ城の崖沿い歩きが楽しめるのであるが,今回は見合わせた。ハイカー1名に会った。その後,いったん,急降下する。
大地獄谷は,景観に優れたところである。一方は鬼ヶ城の山並み,他方は大地獄谷と黒倉山の迫力。そして紅葉。見とれてしまうが,近くの注意看板にあるとおり,有毒の火山ガスが発生するエリアであり,速やかな通過を要請していることから,休憩はしなかった。避難小屋泊まりの下山ハイカーとすれ違い,少し雑談をした。晴れていれば,絶景であるとのこと。
その後,尾瀬のような木道歩き・御花畑を経て,樹林帯に入る。そして,一気に400mほど登り詰める。地味な樹林帯であり,中々きつい。そうすると,開けた地点に出て,すぐに,不動平に到達する。
不動平は,立派な避難小屋がある。バイオトイレで臭いが,男女別トイレもある。見た目だが,収容10名から15名はあるだろう。群馬から来た女子高生山岳部員5名が入ってきた。華奢な体形で,70リットルはあるザックを背負っている。2泊3日の山行とのこと。関心した。
いよいよ,岩手山の山頂に歩みを進める。しばらく登った所で,左右に道が分かれている。左側が山頂方面だが,右側でも火口周りに着いた時点で左に移動できるから,どちらでも良い。私は,左側を選択した。しかし,火山灰土壌のため,雪ラッセルの様に歩き難く,時間がかかった。ここは,下山向きである。
火口周りに着くと,先ほどまで酷かったガスが取れて(ただし,強風。)晴れてきた。景色が良い。ラッキーである。左手眼下には,御苗代湖が見えた。火口周回路には,約5m間隔で石仏が建っており,噴火のないことの祈願なのか,霊山としての祈りなのか,神仏祈願の目的を感じた。
しばらくあるくと,ようやく岩手山山頂である。山頂は,簡素である。一等三角点と山名標識,祠がある。なぜか,錆びた剣も置いてあった。ベンチもなく,山頂は,休憩には適さない。やはり,8合目避難小屋か,不動平避難小屋辺りだろう。
その後,お鉢巡りを楽しんだ。眼下に,東北の平野(八幡平など。)を見ながら,火口周りを歩いた。時計回りの方が明らかに楽である。
そして,いよいよ下山。不動平分岐地点の手前で馬返し方面の分岐道標がある。柳沢コースである。15分くらい歩くと,立派な8合目避難小屋に到達する。豊富な水場もある。この小屋には,土日と一部の平日(たしか,木,金曜日。要事前確認。)に限り,小屋番が駐在し,小屋の管理と飲食物やお土産品の販売をする。私は,ピンバッジを当てにしたのであるが,あいにく,この日は,小屋番が不在であり,手に入れることができなかった。小屋は,複数段式ベッドになっており,とても大きい。何人収容できるかは分からないが,大規模な小屋と同等であろう。
柳沢コースは,新道と旧道に分かれるところ,私は,新道を選択した。「新道」という名前からは想像ができない,石が転がるがれ道と露岩帯が続く足場の悪い登山道である。器用な者は,スピーディーに歩けるのだろうが,暑がりで不器用な私には,とてもとても慎重に歩くしかない。これが疲れる。
途中,避難小屋で泊まる前提の人数名が登ってきた。その中には,丸太を背負っている人がいたので,理由を聞いてみた。そうすると,小屋泊まりにおいて,丸太を燃やしてストーブを使いたいとのことである。楽しそうである。
ところで,「○合目」という道標が適宜設置してるあるが,1合分を下げるのに,思いのほか距離感がある。そう思いながら,黙々と下山を進めると,2合目相当地点に到達した。ここで休憩していると,「きゃーきゃーわーわー」と馬鹿な声を上げている若いカップルが降りてきた。しかも,普段着であるほか,街歩き用の垂れたザック(小さなリュック)と軽いスニーカーである。なめた連中である。しかし,その連中は,器用さだけはあるのか,ペースが速い。結局は,私は抜かしたが,若さというか,馬鹿さというか,疲れ知らずである。
さて,ようやく,馬返し登山口に下山した。水場,トイレのある広場があり,キャンプができそうである。ここで,タクシーを呼んだ。地元のタクシー会社がすぐに来てくれた。盛岡駅付近のホテルまで約6800円である。なお,馬返し登山口は,岩手山の一般向け登山口であることなどから,シーズン中の土休日は,駐車場が混み合うとのこと。
タクシーの運転手と雑談をしながら,ホテルに到着。その夜は,近隣のビアバーで登山の余韻を楽しみ,翌日は,盛岡市街の観光をした。
東北の名山である岩手山の遠征登山。素晴らしい感動と高い充実感をもって,締めくくることができた。
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