U.L.第2弾、黒岳ー大船山・坊がツル
- GPS
- 15:00
- 距離
- 18.1km
- 登り
- 1,953m
- 下り
- 1,917m
コースタイム
29日 5:30坊がツルー7:00段原ー7:30大船山山頂・御池8:00-9:30雨堤分岐ー10:30上峠ー11:30黒嶽荘
天候 | 28日 晴れ 夜は星がきれい 29日 終日快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
黒嶽荘から前岳は、雨が多い時期は、岩が苔むして危険 風穴から雨堤も同様、今回は、苔が乾いて危険ではなかった。 |
写真
感想
前回の「ちょっとULに挑戦」に続き、今回は「ちょっとULシリーズ第2弾」ということで。
前回は悪天候にもかかわらず、うまくいって自信が、ちょっとUP。
今回は、55Lから20Lのザック(-400g減)に変更して、服もギリギリに減らし非常用キットも医療系を増やし、予備バッテリー類はGPS用のみで、あのエネループプロ(黒)を導入し容量25%UP、洗面セットもさらに減量化を図る。でないと、20Lのザックに入らない…。まあ、天気もよさそうなので、サンダルは追加。ベースウエイトが減量できた分、食料も予備食も含め、今回は追加して安全面を強化。
残念だったのは、ネットで買ったタイベックがまだ来ない…、それだけ。
「何を持って行き、何を持って行かないか。」は、今回は、ほとんど迷うことはない。前回の経験値から条件ははっきりして「何が必要で、何が必要でないか。」がとてもよくわかったからだ。
「油断して忘れ物がないようにしなければ…。」と逆に思う。装備に関しては「もうOKだな(ホントか!)。」、じゃ〜次のテーマは、何にしよう?
もともとの目的は「3日から1週間の縦走を想定しての確認作業」なので、さらに条件を厳しくしなければならない。(かなあ〜)
という訳で第2弾は、「さらにウルトラライトを実感する。」ということで、具体的なミッションがついに決定する。
今回は、「ULなのだから、全部野営道具を担いで、長く厳しい道を歩くべきだ。」と自分で勝手にハードルを高くして、UL(そうでもないんだけど)だから、黒岳でも一番きつい黒嶽荘からの登り、帰りは大船山頂上を通過して黒嶽荘へ戻る、という計画を平気で立てる。
黒嶽荘からの北斜面の登りは、2週間ほど続いた長雨で、岩が湿って苔が滑りやすくなり、1歩1歩がとても疲れる。岩のとんがった先に、靴底を水平にのせても滑るところばかり。疲れて集中力を失うと、スリップし、とても危険。
逆に用心すると、どんどん遅れる。このコースは、苔の状態でタイムが全然違ってくる、もちろん、疲労度も雲泥の差となる。
ルートに水場はないので水は今回も多目の2.6Lにした。
前岳までもきついが、それから先の高塚山(黒岳)までのアップダウンと滑りやすい苔が体力を大きく消耗させる。
そこから急な谷を下り、さらに大戸越まで登り返し、それから先のだらだら斜面を坊がツルまで、結局ヨレヨレになって歩く。
予定外の苦戦に「明日の大船山はキャンセルして、さっさと帰ろう、吉部か、そりゃ逆にキツイ、やっぱ大戸越経由の男池か…。」などと、早々に明日の撤退計画に着手する始末。
そもそも自分の体力レベルがウルトラライト(超軽)のくせに、「前回、ちょっとうまくいった。」と調子にのって、こんなとんでもない計画を立てること自体、ウルトラライト(超オキラク)。「2日間もこんなことやってられるか。」と自分が立てた、この計画に腹を立てる。
もうすぐ坊ガツル、という時に雨が少し落ちてきた。「また雨か、日田市の天気予報が3時から曇の予報だったから、坊がツルじゃ〜豪雨かな。」と前回を思い浮かべる。避難小屋が見えてきた。
やっと到着。荷物とフシブシの痛さからやっと解放され、しばし放心状態。
でも、雨が降ったら大変だ。倒れたい気持ちを我慢し、豪雨の襲撃前にツエルトを設営せねば。
何とかできた、ホっ…。
しばらく空の様子を見ていたが、夕立の気配がないので、先に何か食べようと、夕食の準備。食べるとちょっと生き返る。
心に余裕ができると、我に返る。
そうだ、靴を脱ぎ、靴下と靴を乾かし、汗まみれのシャツも干す。
ホッとする時間が流れる。
そういえば、前回は、そんな場面が1度もなかった。
温泉にも行かずウトウト…。
そういえば、今回は歩きの途中、あんまり食べてないな、それでバテたかな。
しばらくするとやっと生き返り、やっぱり温泉だけは行く。
さっぱりして外へ。
夕闇が迫っているが、まだ外は明るいので、ヘッデンなしで歩く。
そういえば今夜は新月、星がきれいかな〜、と空を見上げると、いくつか星がある程度。
まだ空が明るいからなあ〜、と思いながらしばらく歩いて、また空を見上げると、さっきまでは見えなかった小さな星が、「ぽつん・ぽツン」とライトがつくように見え始める。
今まで見えていた星はどんどん輝きを増し、刻々と変化する天体ショーを坊がツルの真ん中で夜空を見上げる。
星をしっかり見たのは、何年振りだろう、夏の大3角で白鳥座だろ〜、などと眺めていたら、どんどん星座が姿を現し、南から北にかけてハッキリと大きな天の川が流れ、南の空低くにはさそり座、周囲には、平地では見られないような小さな星がいくつも輝いていた。
この山行は、前回の「雨の楽しさと野営」と今回の「晴の楽しさと歩き」とテーマが2回で1セット、のような気がして、「この星空を見れただけでも来てよかったな〜。」とつくづく思う。
これで一気に元気が回復し、明日の撤退計画は、早々に却下。
「明日4時、できれば3時半起床、5時、遅くとも5時半出発」とし、就寝。
夜は微風、快晴、そのおかげで放射冷却でちと寒く、持ってきた服すべてとカッパまで着込むと寒くなかった。
結露はあったが、ツエルトの中央で外側にテンションをかけたので、ツエルトがはためかず、結露が落ちてくることはなかったので、とてもよかった。
その効果を思い知らされたのは、撤収の時、紐を外した途端に結露が雨のように落ちてきた…。少しでも動いたら落ちてくる、なのだ。
3時半に起床、外に出ると快晴で満天の星空、凄いことに気づく、天の川が昨日の南から北、ではなく東西に流れている…天の川も星と同じように日周運動しているらしい。(帰って「すごい発見をした!」と一生懸命話したら「そんなことも知らなかったの…」と一言。)
冬の星座、オリオン座が東の空に輝き、いつのまにか、さそり座はいなくなっていた。
ここで「朝のクッキング」手順をご紹介。
クッキングセットの内訳は、エスビットチタン超軽量五徳(超コンパクトで超軽)、T’sストーブの超高性能風防(強風でもOKのスグレモノ)とチタン蓋(湯切ができるできるGOODS)、SNOWPEAKのチタンマグカップ600mlと450mlのセット(完成度高い)、エスビットチタン折りたたみスプーン(コンパクト軽量なのに使いやすい)と防水マッチで実質合計250g。これにエスビット6食分の燃料で約300g、それがすべて600mlのマグカップの中に完璧に収納されている。
14gのエスビット燃料(ミリタリーサイズ)で600mlのマグで400〜500mlのお湯を沸かす。
お湯が沸くまでに、ドリップオンのコーヒーを450mlマグの上に準備、アルファ米と今回はマーボー丼と親子丼(Wで超豪華)をアルファ米の容器にぶち込み準備完了。お湯が沸いたら、まずアルファ米の容器に200mlのお湯を入れる、次にコーヒーに150mlでドリップオン、最後に「中華スープinおこげ」を600mlのマグに残っている約150mlのお湯に投入してスープも完成。
アルファ米が完成する間(15分間)に、周囲の風景を眺めながらゆっくりとコーヒーをすすり(モーニングクッキーなんてあると最高!)、今日1日の行動計画を頭の中にしっかりトレースし、頭も胃袋も目が覚めたら、ゆっくり味わいながら中華スープを飲み、ちょっとくつろいでいる間に、マーボ親子丼完成して、あっという間に完食。質素だけど、心が満たされる食事。
風が吹いても雨が降っても(土砂降りはちょっと不可かな)ツエルトの外で出来るお手軽クッキング。25分以内にすべて完了する。
もうシステマチックにテキパキできる。(暴風雨ではちょっと苦労したが…)
撤収も簡単に完了し、いざ大船山へ。帰りも水場がないので2.6Lの水を確保、食料が少し減った分、結露等で他が重くなっているが、歩行はゆっくりが大切。
昨日は、途中の登山道で若者とついつい速さを無意識のうちに競ってしまい、その後、ガクッと来たことをしっかり反省(涙)。
「段原までの登りで今日の体調をしっかりチェックしよう。」と最初はゆっくりゆっくり歩く。2日目で体も慣れたのか、今日は、意外にも絶好調。でも調子にのることなく、その後もゆっくり歩く。大船山頂上から御池まで降りて、朝日に輝く紅葉の名所を堪能する。
紅葉がなくても日本庭園のような美しさ、というか、こんな風景をお手本にして庭園を作った、が正しい解釈ですね。最近の雨で水位が上昇して池畔の砂浜が消失していた。
少し登り返して、すぐ横の東尾根を下る。
この尾根は、樹林帯も薄く、南東からの日差しが強い。そのため、この時間帯は、結構暑い。そこで登場するのが(というか、夏はずっと使っているが)、ハッカ・スプレー。シュッと一吹きで、汗をかけばかくほど爽快感が広がり、汗臭さもなくなる、何より防虫効果が素晴らしいことを今回実感した。ハッカ・スプレーは、約2時間効果があるといわれるが、今回のように暑い時は、実質1時間の効果がある。爽やか度でもわかるが、「近くにアブが寄ってくるようになったな〜。」と思って時計を見ると1時間が経過している。さっと一吹きすると、近くにいたアブもしばらくするとどっかに行ってしまう。スプレーを顔にかける(非常に危険)ことはできないので帽子のツバに吹きかけておくと顔の周りに虫が寄ってこない。こんな快適な工夫もあって、順調に尾根を下る。
今日は「ゆっくり」を意識した割には、ここまでコースタイムは予定通り。そして最後の難関、雨堤コースを歩く。苔むしていれば、大変なコースとなる。
岩がゴロゴロしてどこも苔むしているが、今日は乾燥していて全く問題ない。この程度だったら、ホントに助かる。全然違う。
標高1000mの上峠まで来ると、ホッとすると同時に、さすがに疲れた。
でも、ここから先は、道が安定している。途中から廃道寸前のような林道を歩く。途中に黒嶽荘への分岐があるはずだが、見落としたのではないか…、とドキドキしながら歩く。
もし見落としていたら、結構下の集落まで下りて、車道を登り返しとなる、だからと言って、ここから確認しに引返すのもしゃくだし、と思ったその瞬間、発見。ホッとする。
やっと黒嶽荘に着いた。
炭酸水がエンドレスに出ている蛇口に直行し、楽しみにしていた炭酸水を思いっきりごくごく飲む、予定だったが、そこには、たくさんの人がいたので、思い直して先に車に行って、ザックを置く。
簡単に着替え、登山靴を脱ぎサンダルに履き替え、ペットボトルを持って蛇口のところへ。
黒嶽荘の横にある天然炭酸水。平日でもたくさんの人が水を汲みに来ていて、蛇口がなかなか空かない。
やっと自分の番。水を汲む前に、コップで何杯もごくごく飲む。
中途半端なく、よく冷えていて、炭酸も天然なのに結構シュワ〜とくる。
この黒嶽荘のおかげで炭酸が好きになった。
何杯も飲んで、その後お土産用に3Lを持ち帰る。
「さて、どの温泉に行こう?」といつも迷うが、黒岳や大船山から東に下りた時は、七里田温泉か、長湯に決めている。今回も近くてお手軽な七里田温泉に決定。ここから見える大船山が大好きだ。
次は、紅葉で「ちょっとULシリーズ第3弾」もしたいが、時間が取れない…、冬はULシリーズは冬眠なので、「次回は来年の春」になってしまいそうです。
追記
<第2弾の装備一覧>
○ツエルト450+グランドシート 600g
○シュラフカバー350g+シーツ250g 600g
○ストーブ+食器等込(6食分の燃料込) 300g
○洗面キット 300g
○エマージェンシーキット(非常用すべて) 300g
○ライト(3Wの強力LED) 250g
○服(すべて) 400g
○雨具 450g
○キャメルバック2.1+プラテイパス 200g
○ザック 20L 1200g
○サンダル 200g
ベースウエイト合計 4800g
実際は記録用のコンパクトカメラ 200g
GPS 250g
他、コミコミで実質のB.W.は、5250g
今回食料は多めで 3000g
水も今回は、 2600g
総合計 10850g
まあ、総重量約11kgとなりました。
※想定条件
○気温は15度程度を想定した防寒対策のみ。
○「エスケープは確立されている。」ので非常用キット(予備バッテリー等)は減量。
※改良点
○グランドシートをタイベックの代わりに簡単なものを追加
○減量可能なものは、軽量ザックを買い替えれば、500gは減量でき、この装備でのB.W.は、4.8kgまでは、誰でも簡単にできる。ツエルトも軽量なら300g程度なので買い替えれば4.6kgまで可能。
前回の「ちょっとUL 第1弾」は
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-128363.html
「第3弾 南阿蘇外輪山 プチスルーハイク」
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-136286.html
合わせてご覧いただくと、珍道中がよくわかります。
また、ウルトラライトに関するコミュニテイ「ライトウエイト 軽量化への道」は、
http://www.yamareco.com/modules/xsns/?cid=71
です。スペシャリストの方々がたくさんおられますので、こちらは、是非ご覧ください。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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UL山行お疲れ様でした。
ULはやっぱ晴れた時に限りますね。
ULの長所を最大限に生かせるののも晴れた時だと思います。
九州の地理がわからないので、山名がちんぷんかんぷんですが、雰囲気はよくわかります。
サイドリフター効いてますね。
クッキングのレポも参考になります。
天然炭酸水、って初めて聞きました。
そんなのがあるんですね。ちと驚きです。
美味しそうですね。
来年と言わず、秋にもう1,2回ぐらい、仕事サボってUL行ってください(笑)
tabioさんの最後の一言
> 来年と言わず、秋にもう1,2回ぐらい、仕事サボってUL行ってください <
に、妙に反応してしまいました。
下山して、携帯の電源を入れ、着信歴を確認する時のあのドキドキ感、本当に緊張します。
tabioさんのアイデア「インナーフレーム」も考えたのですが、「自分には技術がない 」と却下し、外からテンションをかけることにしました。前回の経験からtabioさんの意図されていたことの意味が自分なりにわかりました。
こんばんわ。先日の旅行では、久住のくの字も見えなかったので、なんかこの景色、うらやましさ半分、悔しさ
半分ですね。山は、ドライブにしろ登山にしろ
晴れないと意味ないですね。
話変わりますが、そのあたりは、温泉目白押しで とこに入るか迷いますね。
私たちは、麻生釣温泉(涌蓋山山ろく)の温泉に泊りましたが、本州では、聞いたことない「コインタイマー式」の温泉で、いつでも新しいお湯を張ってもらえて最高でした。
UL山行お疲れ様です。
もし宜しければ装備一覧を掲載して頂けると助かります。
私も先日テン泊した時に、最初は28Lのザックで準備したのですが、食料やビールが入らなかったため55Lに一気に容量アップしましたが、結構一杯一杯でした。
飲食物が一番の大物であることを改めて認識しましたが、それ以外の容量的な大物は
1.テント
2.シュラフ
3.ジェットボイル+フライパン
4.雨具上下
5.着替え一式
6.ダウンジャケット+ウインドブレーカー
7.シュラフカバー+インナーシーツ
ぐらいですね。
現在、軽量ザックと1,4の軽量化を検討していますが、それが実現すればテント泊でもベース2.5kgが可能と考えています。
miccyanさんのせっかくの九重来訪、地元民としては、「最高の天気を」と願っていました。
それでも温泉に関しては、メジャーからマイナーまで、それぞれの良さがあります。
涌蓋山山ろくは、有名、無名も含め凄い温泉がありますね、温泉だけでも満足していただいてホッとしています
私も温泉のバリエーションを増やしたいのですが、疲れている時は結局「慣れた所に」とついつい固定してしまいます。
MATSUさん、こんばんは。
仮にも「UL」などと言っているくせに、装備一覧を掲載しないのは不親切だ、とも思ったのですが、前回の第1弾で掲載しているので「今回は、もう、いいか〜。」とつい手を抜いてしまいました
追記でちゃんと掲載します (今、完了しました)
それにしてもテント泊でベースウエイトが2.5kg
教えてください、その技を
第2弾 お疲れ様でした。
20リットルですかぁ・・。
テン泊の装備を35リットルに詰めて見ましたが、私の技量では全く無理でした〜
黒岳の厳しさを思い出しながらレコ拝見しました。
来週あたり、坊がツルの天体ショー眺めに行くとしよう
夜の冷え込みレコ、参考になりました
113さん、こんばんは。
わたしも35Lが無理なくいいかと思います。
ほしいのは、40L前後の700〜800gです。
持っている35Lは、旧式で55Lより重いので泣く泣く20Lでした。
でも削ると入るもんですね。もちろんパンパンでぶら下げられる物は全部ぶら下げる感じです
星がきれいだな〜とホントに久しぶりに思いました
星座も「たぶん…、だったと思う。」程度のかすかな記憶でいい加減です
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