U.L.第3弾 南阿蘇外輪山 プチ・スルーハイク
- GPS
- 08:08
- 距離
- 19.6km
- 登り
- 991m
- 下り
- 1,216m
コースタイム
12:00清水峠ー13:00高千穂野ー15:00駒返峠ー15:40ビバーク場所(地震ガ岩付近)
25日
5:00ビバーク地ー7:00地蔵峠ー7:50外輪分岐ー9:00一ノ峰林道
天候 | 24日 快晴 25日薄曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
よく整備されている。 駒返峠付近は、野生動物が多い、特に猪には注意。 |
写真
感想
24日の午後と25日の午前中に時間が取れたので1泊で、ウルトラライトに挑戦。
今回のテーマは「ステルスビバーク」に挑戦、ということで。
ルートは、先週の外輪縦走の続きだが、帰還する時、早くレスキューしてもらうために遠い方からスタートし、自宅に近い方をゴールとする。清水峠まで送ってもらい、しばらく一緒に自然林をハイキングし途中で別れて、明日、西原村の宮山、一ノ峰付近でレスキューしてもらう予定。
今回は、坊がツルと違い「水がない。」「緊急時のレスキューなし。」「寒い。」の条件下で歩く人もほとんどいない。
水は5L、1日1.5Lの給水、食事等で1Lを消費すると設定し、その2倍。
そして、今回の目玉は、「タイベックシュラフ!」
Gシートとしてではなく、透湿防水のシュラフカバーのような役割をこのタイベック1枚にすべて任せる、というちょっと無謀な挑戦。
タイベックは、前回の山行に間に合わず、送ってきたままの状態で放置していた。
幅1m*長さ4mを2つ折りにして、両サイドを縫ってシュラフ状にして使う、という計画までは問題なくOKだが、この先が問題山積み。
ちゃんとした防水にするには、縫った場所に防水テープを張らねばならないのでとても面倒、出発まで時間もない、どうしよう…。
両面テープでやってみよう、強度の心配はあるが、「1回だけ試し」ということで簡単に完成する。大喜びしたのは、重量がなんと250g、凄過ぎ、超UL。
「アッ、そうだった! Gシートにプチプチシートがいるなあ〜、出発前にホームセンターで買うのは面倒だし、時間もない…。」と悩んでいたら、ふと目の前に神様がそっと、プチプチシートを置いてくださった…、そう、タイベックの梱包材を破って捨てていた梱包材そのものでした。50cm*1mのジャストサイズの35g。
防寒用にULのインナーダウンを追加して出発。
今回はキャンプ場ではないので、決して汚水を捨てたり環境を汚すことはしない、森の中にツエルトを張り、誰にも迷惑をかけず、跡を残さない「ステルス」を目的にしたビバークが今回の最大のテーマ。
12時にスタートして、4時までにはビバーク設営をしたいのだが、どこにビバークするかが問題。
午後3時に駒返峠着。ここには2m*3mのフラットで乾いた場所があり、ビバークには最適の場所。それにこの先は道が荒れていて道幅もない。「緊急時の路上ビバークもしにくい。」という面もある。でも日没まで時間があり、先に進みたい気もする、この場所には何か気になる点もいくつかある、やっぱり先を急ごう。
坂を上り始めると左の方から沢の音がする。すぐ近くに水場がある、ラッキー、この辺でいい場所を見つけてビバークしようか、水の使用量を気にせず、たっぷり使えるのはうれしい…。
待てよ、前回この辺でイノシシと遭遇し、山道を猛スピードで走ってくる音が近づいてきて、5m先のカーブでお互いを確認し「ぶつかる!」と思った瞬間、猪は、進行方向を約30度左に修正し、藪に消えた。「猪は曲がれるんだ…。」その時、しっかり学んだ。
そんな過去を思い出していたら、左前方に笹を踏みしめる微かな音がする。
たぶんイノシシだろう。気にはなるが、そのまま止まらず同じ歩調で歩き続ける。
お互いの足音がだんだん接近し、足音が約5m付近になって、相手からこっちが見えたのだろう、「ザッ!!」とすごい音がして猛スピードで走り去った。「こっちに来なくてよかった…。」と思った瞬間、ピタリ、と足音が止まった。「引き返してこっちに来るかも知れない。」と思った瞬間、背筋が凍った。
直後、さらに左前方20m程に笹を踏みしめる大きな音がする、2匹目、結構でかそうな感じ。でも2匹目はお互いに平和な距離を保っているので歩調に変化はない。相手も気づいているはずだが、気にしてない様子。イノシシは下の水場に向かっている。こちらは縦走路を登っているので次第に距離が遠ざかり、いつのまにか聞こえなくなった。
水場があるということは、野生動物にとって住みやすい環境で、道沿いにも猪が堀り返した跡がたくさんある。
樹林帯も深く大きな木が多く、木の実もたくさんあるにちがいない。
こんな場所で猪と衝突して、大怪我して下山後笑い話になるのは嫌だなぁ〜。ビバークしたい場所ではあるが、逆に「早く抜けなければいけないエリア」と感じ歩調を速めた。
日没を気にしながらビバーク地を探すが、フラットで広い場所はそうあるものではない。「フラット」となると峠近くか、ピーク周辺に限られる。さらに広い所、となるとさらに難しい。登山道の真ん中は、できれば避けたい。この時間帯なので歩く人はいないと思うが、道の真ん中だとナイト・トレイルランニングの人に踏まれる可能性もある。
道から離れて、ちょっと眺めがよく、周囲が明るく地面が乾いていて「いいな、この場所」と思うような強風も吹かない、そんな場所は見当たらない。
地図を見てちょっと閃いた。地震ガ岩付近の場所。ルートから外れた場所にビバーク地を見つけた。ホッとする。しかし、1晩すごしてみないとわからないのも事実。夜中、周囲はイノシシだらけ、なんてこともある。でも大丈夫だろう。
設営はいつもの通り。
最大の不安は、タイベックに頼り切った装備。これもウルトラライトの考え方。「自然の環境に左右されるのもいいことだ。」と。最強のゴアテックスのシュラフカバーを捨て、性能と信頼性は未知数で「軽くて安い」しかも手作りのタイベックを持ってきた。不安だらけ。
結論から言うと、何より「ゴアテックスと同じ性能ではないか!」と疑う程のタイベック、透湿性は最高で、気温が下がっても蒸れた感じは全くなく、本当に快適なシュラフになってくれた(寒かったけど)、何より250gのスーパーULですね。今後も湿度の違いや耐久性は検証していく必要があるのでしょうが、予想以上のハイスペックでした。
さらに、両面テープも予想以上に強度があり問題なし、自作大成功! さらに偶然ですが、ツエルトUL450の全長2000mm*幅1000mm、つまり2m*1mのジャストサイズでした。両面テープのタイベックは、耐久性も強度もOKで「すごい」道具の仲間入りをしました。まあ、負荷がかかる部分だけ後からダクトテープで補強すればいいかな、程度に思っています。
夜は、風もなく気温も9度程度。イノシシの遠吠え(?)が駒返峠の方から闇夜に響く。「もののけ姫」のような大迫力。鹿の遠吠えは、どこか哀愁がある。すぐ近くにフクロウ(?)が飛んできて色々な鳴き方をする。へんなやつだ。こんな広い森なのだから、ここに来なくてもいいのに。他の場所に飛んで行けばいいのに、なぜここに? と思ってしばらく聞いていたら、いつのまにか眠っていた。
朝3時起床、ゆっくり食事を楽しみ5時には出発。夜明けまでのナイトハイクを楽しむ。今回は3WのLEDヘッデンを捨て、95gに変更。
3Wは、バッテリーは単3が4本で持久力もあり、強力な光で闇夜を照らし、完全防水で豪雨の中を歩いても「絶対」の安心感のある。
まあ、これから経験値を上げていけば95gも「あり」だな。少しずつ贅肉をそぎ落としていく。
快晴と思っていたら、樹林帯を抜けると曇っていた。夜は月と星が輝いていたのに…。
少し雨が落ちてきたが、問題なし。
獣道を歩み、保安路を通り、防火帯から林道にはいる。舗装道路は歩きやすいがなんか疲れる。携帯が使えない谷筋を黙々と歩く。
予定の9時ジャストに一ノ峰付近の車道でレスキュー車と遭遇し、下山。
「タイベックシュラフのテスト」と最大のテーマ「ステルスビバーク」に大満足の山行でした。
「ちょっとウルトラライトシリーズ」も1回目から読んでいただくと、珍道中ぶりがよくわかっていただけるかと思います。
第1回
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-128363.html
第2回
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-130608.html
追伸
「ウルトラライト」「ライトウエイト」に関するコミュニテイは、
「ライトウエイト 軽量化への道」
http://www.yamareco.com/modules/xsns/?cid=71
にたくさん情報が集まっていますので、ご覧下さい。
装備重量一覧
今回も公表しますが、小さい物は、料理用はかりで計測するのでg単位、大きい物は、体重計使用で100g単位となります。多少増減しやすい物は、10g単位で四捨五入している物もあります。
ベースウエイト(食料・水・燃料等の消費材を除いた重量)
ツエルト450g 紐・ペグ165g タイベック250g インナーダウン240g プチプチシート35g cooksetエスビット250g 緊急セット(医療関係)300g 洗面セット60g
ライト95g 雨具600g 水筒300g(キャメル2L+プラテパス1L+ペットボトル3) GPS300g カメラ200g ザック(20L)1200g ブレサーモタイツ175g モンベルメリノウールシャツ250g ユニクロメッシュシャツ100g ユニクロクロスパンツ50g タオル40g ウインドブレーカー200g 予備電池96g(エネループ単3を2本で60g エネループ単4を3本で36g) 使い捨てカイロ20g
ベースウエイトの合計5396gとちょっとオーバー、まあ、ザックの買い替えで500g軽量可能。雨具もゴアからポンチョにすれば400g減量。これは次回挑戦予定。ということで防寒着分の重量増でも合計が4.5kg程度のベースウエイトは即可能。今回はタイベックで350gもの減量ができた、レスキュー不可ということで、医療系緊急装備300gはフル装備、ヘッデンも100gの減量、洗面セットは200gから一気に60gの140g減、一方防寒対策でインナーダウンの240g追加、ツエルトの紐やペグを本格追加して付属品が少々重量増、予備服も防寒用に少し追加、水キャリーも合計5Lだったのでペットボトルを追加、予備電池も単3と単4で共用できないので36g追加、寒い時のための使い捨てカイロ20g追加
コメント
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UL山行お疲れ様です。
タイベックはロゴが英語バージョンもありますが、ちょっとだけ格好良い?ですよ。
近所のホームセンタは以前は何故か英語バージョンでしたが今は国産に変わっていました。
ちなみに3m幅のやつは無地です。
それから、グランドシートですが、ULハイカーのブログで「最強のグランドシート」とレビューされていたMLDで販売しているプラシートを最近入手しました。
素材は何だか良く分かりませんが、薄いPETかPEではないかと思います。
確かに尖ったものでも簡単には穴が開かず、これはテントの下に敷くには良いと思いました。
サイトは現在工事中でリンクがエラーになってしまいますが、修復したらレビュー記事を書こうかと思っています。
お疲れ様でした・・南外輪山いいですね〜。
7枚目の写真の自然歩道は記憶がありますよ・・ 。
それにしてもUL恐るべし・・・ですね。全装備で5.5kgいかないとは・・私なら15kgは超えてしまいますね 。
それとプチプチシート(35g)はグランドシートになるんですね 。VL33用のグランドシートってそれだけで460gもあるのに・・。いろいろ参考になりま〜す 。テン泊の時に考えてみようかな・・ 。
MATSUさん、こんばんは
「最強のグランドシート」「ULハイカーのブログ」と聞くとつい触手が伸びてしまいます
プチプチシートは、膝に体重をかけると「ぷちっ」と破損することに、ツエルトの中で気づきました…。
レビュー楽しみにしています
CHENGFUさん、こんばんは。
前回chengfuさんと峠のお話をしていたら、いつのまにか、はっと気づいたら歩いてました
まあ、5.5kgといっても食料と水で10kgは越えますからまあ、そんなに軽くはないんですが、まあ、考え方が変わりますね。
ULは、「軽量化に伴って不安要素を増やし、経験値でそれを克服していく楽しさ。」そんな感じですね
でも寒くなるし、ULもしばらくは閉店です
ウルトラにヘビーだった113でぇ〜す。
神様のプチプチシートにハマってしまいました(^^♪
おはようございます
最高の天気に恵まれた3連休でしたね。
こんなに条件がいいと、ふと「ツエルトじゃなくてもミニタープでもいいよね。」と最後の領域に足を踏み入れたくなる衝動に駆られました
雨風の時、タープだけで生きていけるのだろうか…
でも沢ヤさんとか、凄い人いますよね〜
今年の閉店前に時間があれば、もう1回チャレンジしたいのですが、無理かな〜
実践こそ楽しいですね。
今後も、エスカレートしていくことを期待しています。
事の正否には関わりなく。
タイベックがあれば、ツェルトはいらんかも・・
シームテープは、ホームセンターのブル−シート売場に
白いのが安くあります。
個人的には、ツェルトは、タープやフライが地面に付いているだけで、そんなに差は無いと思ってます。
> タイベックがあれば、ツェルトはいらんかも・・<
なんて、さらに限界の領域に踏み込めと…
UL第1弾の暴風雨を想定した場合、傘をさすか、アドベンハットの様な広いつばの帽子で雨を凌ぐかな〜、1日中そんな恰好で寝ていたら、死体袋か粗大ゴミとして扱われそうで、つらいな…。
でも、やってみたいな、なんてULを尊敬しています
シームテープ、さっそくチェックしてみます。今、考えている補強は、多少重量増でも最強のダクトテープで内側から補強すれば、完璧だろう と思っています。
今思っているULの理想完成形は、オスプレーのホーネット46の670gとタイベック補強版300g、服500g、ポンチョ200g、諸々追加1000gとしてベースウエイトは、何と3kg以下ですよ kimidoriさん
たくさんのアイデア、今後もいろいろ教えてください
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