池に落ちた瞬間頭を飛び交ったのは・・・霊仙山
- GPS
- 06:10
- 距離
- 8.7km
- 登り
- 808m
- 下り
- 784m
コースタイム
天候 | 曇り 頭の上に低く雪雲が垂れ込めていました。 山頂部はガスのため視界がなく、強風で往路の足跡も判別しづらい困った状況に。 下山途中からは雪でなく雨が降り始めました。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
登山ポストがあるものと思っていたのですが見つからず、登山届は持って帰ってしまいました。 |
写真
感想
先週の武奈ヶ岳で雪山に味を占めた私はとうとうアイゼンを手に入れました。
こいつのデビューをどこでさせるか・・・
比良のルートが思い浮かびますが、そのうちにふと忘れていた山が浮かびました。
霊仙山です。
鈴鹿山脈で北端に位置する山で、伊吹からは近くに見えて気になっていた山です。
夏の間に行こうとしなかったのはこの山が知る人ぞ知る「ヒル」の山だから。
鈴鹿の北部はどこもヒルはそこそこいるのですが、ここばかりは誰に聞いても生息数が半端じゃないらしくてついつい行きそびれていた山です。
鈴鹿の中で独立峰のように孤高を保っているこの山を登ってやろう!
比良の山ならルートや位置関係が頭にイメージできますが、初めて登る山で雪上体験のリスクはどうだろう?
ルートの判別は?
地形から現在位置の確定がどれだけできる?
自分にできること、できないことを明確にイメージしながら計画を立てます。
ルートは短めにすること。
等高線から地形を予想すること。
ガス、雪等の状況の判断をいつどのようにするか・・・
怖がりの私が臆病風を吹かせてできる限りのリスクを挙げてみます。
自分は練習をしに行くのであって冒険をしに行くんじゃない。
このキャリアで雪山に単独で登ることがすでに無謀の一歩手前であること。
危険の線引きは無雪期の状況判断と別にすること。
あれやこれやと箇条書きに出てきたリスクを自分なりに消化してしまうと、あとは行くだけです。
朝はスタートを8時に設定したので比較的ゆっくりです。
(冬は毎回ゆっくりになってますね)
木曜日に履き替えたばかりのスタッドレスタイヤも雪道は今日がデビューです。
おっかなびっくり雪の林道を進み、登山口まで登ってきました。
停まっていた車は1台。
これから登りはじめる男女のペアです。
見るとスノーシューを付けています!
聞こえてくる会話からお2人もそれを履くのははじめてらしく、車の周りを歩いてみたりしています。
私もどうやら無事にアイゼンを装着して歩いてみます。
微調整の必要な箇所を直してスタートです。
少なかった雪が登るに連れて厚くなり足が暖まってくると、どう歩くかに留意して足を運びます。
傾斜の緩いところと急なところ。
雪の多いところと少ないところ。
標高が上がると一歩ごとにふくらはぎが隠れるくらい雪に埋まります。
次の一歩の前に足を「抜く」作業がかなり重労働になります。
しばらく試行錯誤する間に感覚をつかみました。
太ももの筋肉で足を持ち上げるのではなく腰をうまく使うこと。
特に登りの傾斜では腰を高く保って前方向に意識するだけで驚くほど楽に足が抜けるようになります。
(これを書いているのは1日後ですが、若干ふくらはぎが張っているくらいで筋肉痛は皆無です。 上記の歩き方はたぶん有効です)
先行はスノーシューの2人。
姿は見えませんが雪にトレースが残っているのを私も辿らせてもらいます。
(よほどこの山には詳しい方なのか迷っている気配がありません)
スノーシューは雪にもぐることもなく滑ることもなくしっかりと痕跡を残しています。
あんな大きいものを履いて歩くのだからすぐに追いつくんじゃないか・・・
そう思っていたのですが、よほど軽快に進んでいるらしくさっぱり姿が見えません。
道沿いに鳥居があり、どうやら霊仙山を向いているらしいと鳥居の後ろから方向を定めようと後ずさりしながら回り込みます。
・・・突然体が50cmほど低くなったような気がしたのですが、両足は池の中でした。
プールサイドから立ったままプールにズボッと入るような感覚です。
視界に水が入った瞬間これはまずいと足を抜こうとして靴が泥に埋まっているのを感じました。
脱出できるか?
濡れた足の対処は?
下着の替えは持っているがズボンはない。
凍傷の防止策は?
一番早い下山ルートは?
麓の山小屋に行けばなにができる?
この辺は携帯の電波が通じるので警察には連絡できる。
風が強いので声は届かない。
・・・・・・
足を抜いて池から上がるまで2〜3秒だったでしょう。
その間にこれらのことが次々頭を飛び交いました。
何十年ぶりかで脳がフル回転したんじゃないかと思いますよ(笑)
驚いたのはスパッツの中もシューズの中も水が浸入していないことでした!
防水機能バンザイです。
当然本日の大賞です。
手袋はじっとり濡れて手はかじかんでいます。
軍手でもいいから予備を持つべきとこれは教訓ですね。
足にもべっとり泥がついてだんご状態。
それでもそこからまた続けられるのがうれしくて足取りは案外軽く先を急ぎます。
経塚山(1040m)、霊仙山山頂三角点(1083m)、霊仙山最高点(1094m)とピークを辿ります。
ただそのときの頂上部はガスに包まれて真っ白。
先行者のトレースも風で消えてしまい頼りは地形図の等高線とコンパスのみ。
予定では反時計回りに周回ルートを歩くはずで、ここから西南尾根を下って笹峠へ向かうはずでした。
尾根の下りには道を間違える要素がたくさんあって、今この状況で間違えて始末に負えなくなるのは避けたいところ。
標高が下がれば視界は晴れるだろうとは思いましたが、今回はここで線を引いておこうとピストンルートに変更を決めます。
風が強くて自分の足跡の判別もつきにくく、白い景色の中でさっぱり曖昧な記憶を頼りに引き返しました。
予想通り標高が下がるとガスの下へ抜け、いっぺんに視界が広がります。
となるとまだ食事をしていない腹が騒ぎ出し、場所を決めて雪を踏み固めランチタイムの準備。
「冒険をしに行くんじゃない」といいながらちょっと冒険だった行動のせいでラーメンはあっという間になくなりました。
立ったままの食後のコーヒーで落ち着いたのもつかの間、ぱらぱらと降ってきたのは・・・雨(嘘!)
雪ならわかるけど今になって雨なんて予想外です!
ユニクロダウンジャケットを仕舞ってザックの底からレインウェアを出します。
着てしまうと腹も落ち着いたことで妙に安心してしまい、雨の中のんびり鼻歌混じりに駐車ポイントまで戻ったことでした。
霊仙山、いいですよ!
今週もう一度行ってきます。
予定していた周回ルートを回りたいのもあるし、今回ルートが半分でもこれだけの体験ができたのなら後の半分に何が待っているかワクワクですよ!
綺麗を通り越して神々しい景色の中に立つことができました。
ただ「雪山楽しかった」ではなくて自分に足りないところやできないことも知ることができたし、美しさと表裏一体の怖さも垣間見れて本当に目一杯のご馳走だった今回の山行でした。
山が怖さを見せてくれたおかげで無謀にならずにすみました。
また来ますね!
monsieurさんが はまってしまった池は
琵琶湖の形をしているそうですよ〜
霊仙山、残雪期の4月に登りましたけど
その時期でもガスはすごかったです。
冬型の気圧配置の真っ只中、緊張の連続
だった様子が、ラーメンのエピソードから
伝わりました
次回行かれる時も、道中の車の運転を含め
大過なきよう願っております。
後ずさりしながらドボン・・・考えただけでもパニックです
大事にならなくて良かったです。
雪山で体得されたことが感想からよく伝わってきます。
行ってもないのに行った気にさせてもらって、ありがとうございます
今週末も寒波がやってくるようなので、冒険ではなく練習。
モノトーンの世界に吸い込まれないよう気を付けて下さいね
凍りそうな寒さの中、池に落ちたとお聞きしましたが、あぁ、防水できていて幸いでした。
霊仙山の神様が守ってくださったんですね、きっと。
お写真の雪景色、とても美しくて、、
春に霊仙山に登ったのですが、冬にも行ってみたくなりました。
次は周回できますよう、応援しております
鈴鹿の中にあって霊仙山は独特の雰囲気を持つ山ですね。
「独立峰のような」と感じた私の印象は変わっていません。
最初と2度目の気の持ち方の違いで次は少しじっくり山と向き合ってみようかと思っています。
西南尾根の稜線を辿りながら今回と違う感じ方ができればそれはすごく贅沢なことです。
天気が少し不安ですがね
nobuchiさん、こんにちは!
今回なかったのがアウターのフードです。
耳を覆うものがなく、手足より応えました
耳パッドでもつけようか・・・(おっさんの格好でもなさそう )
次回も油断せずに地に足をつけて行ってきますよ
なんか私の山行はいつもドタバタしてしまって落ち着かないのが難点です
この雪景色の中でこそ山の声が聞こえるほど窓をオープンにしたいんですが・・・
霊仙山も花の山なんですね。
雪が消える頃にも登りたいです。
ヒルが出る前に
今回の山行記録は、なんだかいつも以上に臨場感があって、楽しく拝見しました。
積雪量がちょうどいい感じでうらやましいです。
私は最近雪がないか、豪雪で進めないかのどちらかを繰り返しているので・・・(笑)
登ってきた自分の足跡が風でなくなってしまう恐怖を、今年2月に嫌というほど味わったので、monsieurさんは帰ってきてこのレコを書いてるんだってわかってるのに、読みながらドキドキしてしまいました。
お互い、雪山安全に登りましょうね〜
雪景色の中で自分ひとりを実感する心細さは感じましたが、等高線の読み取りにも妥協が許されない厳しさは逆に病みつきになりそうですよ
ただ現在の自分のレベルをきちんと把握していないとどこかで一線を越えたとき のリスクは大きくなってしまうことです。
その点で私は怖がりでよかったと思っています
山行計画に「霊仙山」と書いておられ半信半疑でした。18日(日)R8号を車で走りながら霊仙と伊吹を見上げ誰か山頂にいるのかなぁ などと考えてましたが登っておられましたか!
鳥居越しに山頂を見るとは無雪期に登った事のある人間なら絶対に出来ない発想です。思わず感心してしまいました。
しかし初めての霊仙山が積雪期とはチャレンジ精神にも感心します。
次回は西南尾根を目指されるとのこと、そちらは今回のコースよりも格段にハードになります。どうか安全第一で無事の山行をお祈りします。
と書きながら私も今週末あたり・・・・・(笑)
池にドボン!!
足を濡らすことなく、脱出出来てヨカッタです。
靴の中を濡らしてしまうと、あっという間に冷えて凍傷になります。
本当にラッキーでした
空も も真っ白の時は、冷静な判断が求められますね。
綺麗な景色も沢山見られますが、難易度も高くなることを改めて感じました
近々再訪とのこと、お気をつけて楽しんできてくださいネ
はじめまして! でしたっけ ?
お月様をいつも拝見していたのではじめてのやり取りとは思えず・・・いやいや、よろしくお願いします
鳥居の向こうはすぐ池でした
後ろから見ようとは誰も思わない・・・はずですね
先週西南尾根を歩く予定でいたのですが、ごらんのような事情で叶わずに今回の宿題です。
比良のようなトレースを期待できないとすれば、無理やり山頂までと固執することも危険ですね
気をつけて行きますよ
実は・・・今回凍傷になってしまったんです
両耳を第1度の・・・しもやけとも言いますが
冬の休日に一日外にいるなんて去年まで想像もしていませんでした
今は屋内にいるとそわそわしてしまって
雪山歩き・・・間違うと生命にかかわりかねないことで見切り発車をしない
たとえ危険と感動が比例するとしても
自分の身は守らないといけませんね
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