赤岳で雪山デビュー♪
- GPS
- 09:24
- 距離
- 11.0km
- 登り
- 1,028m
- 下り
- 1,547m
コースタイム
二日目…赤岳鉱泉8:00頃-赤岳-13:30頃赤岳鉱泉-赤岳山荘
天候 | 一日目…晴れときどき曇り 二日目…曇り(ガス) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
初心者の情報なので、予めご了承願います。 ・赤岳山荘-赤岳鉱泉はアイゼンつけませんでしたが、雪が薄く凍結している場所があるのでので下りは要注意でした。 ・赤岳鉱泉-行者小屋-文三郎尾根取りつきまでは、アイゼンつけませんでした。 ・文三郎尾根-赤岳山頂-地蔵尾根の途中まではアイゼン、ピッケル使用。文三郎尾根の鉄階段と鎖は出ていました。下りは階段が雪で隠れてしまったら怖そうです。 ・山頂から地蔵ノ頭、地蔵尾根は階段部分を除き特に問題なし。階段が雪で隠れたら、やはり初心者にとっては怖そうです。 ・地蔵尾根の下りでは、樹林帯に入った頃アイゼンを外しました(傾斜が緩むので、その方が歩きやすい)。但し赤岳鉱泉付近は雪が薄く、アイスバーンになっているので要注意でした。 |
写真
感想
赤岳で雪山デビューしました♪
もちろん単独ではありません。全くの初心者ですから(笑)。ガイド登山に参加しました。
あいにくのガスと強風で展望ゼロでしたが、ロープで確保されていたとはいえ、登頂できたという満足感で一杯です。
またそれ以上に、前日のアイゼンワークの講習が充実していたこと、あらゆる場面で様々な技術や知識を教えていただいたことで、とても中身の濃い二日間となりました。
ガイドさんは一流のアルパインクライマーでありながら、とても気さくな方で、楽しく学び、楽しく登頂することができて本当に感謝です。
同じ参加者のヤマレコユーザー、ak7mailさんと出会えたこと、(多分)ヤマトモになっていただいたことにも感謝です。
とても礼儀正しく明るい好青年で、かつアグレッシブなスポーツマンでした。
のんびりハイカーの私とは目指す方向が違うような気もしますが、どこか雪山をご一緒できればいいなあと思っています。
初日は赤岳鉱泉をベースに裏同心ルンゼまで足を延ばし、氷の斜面でアイゼンワークの講習を受けました。
最後にピッケルワークも習いましたが、ほとんどの時間をアイゼンワークに費やし、その重要性を認識させられました。
正直、翌日の赤岳登頂よりキツかったです。今まで使ったことのない筋肉を使ったためか、夜は脚がつりそうになりました。
毎日200回のスクワットを続けていたので、脚には多少自信があったのですが、使う筋肉が違うようです。
講習から赤岳鉱泉への帰り道、雪に隠れた岩に乗って転倒し、足首を軽く捻挫。
おまけにアイゼンをひっかけて再び転倒し、両膝を打撲。オーバーパンツには切れ目が入ってしまいました。
筋肉痛やら捻挫痛やら打撲痛やらで、翌日本当に登れるのか実は不安でした。
赤岳鉱泉では個室に宿泊しました。
食事がとてもおいしいし、スタッフの対応も気持ちよく、満足度の高い山小屋でした。
ただ夜はあまりにも寒くて、ほとんど眠れませんでした。
あとから考えれば、毛布か布団をもう一枚かぶればよかったんですが、寒すぎて布団から出られなかったのです。
自分には冬のテント泊は絶対無理、と確信しました(笑)。
翌朝暗いうちに目が覚め小屋の外に出て見ると、前夜には見えていた星が見えません。
天気予報では晴れのはずだけれど…
明るくなってくると、空一面が雲で覆われていることがはっきりしてきました。山頂はガスに包まれています。
景色が見えないのは残念ですが、単独だったらまず登らないコンディションで登れるのは、それはそれでいい経験ですから問題ありません。
少し時間を遅らせて、8時に赤岳鉱泉を出発。
途中、稜線の強風に耐え切れず、引き返してくる人たちとすれ違いました。眉毛や髭が凍りついていましたよ。
文三郎尾根に出る前にアイゼンを装着。オーバーグローブをつけたまま装着するのは、やはり大変でした。
雪山の魅力は自分で道を決められることですよ!どこにでも行ける、自由です!ということで、ところどころトレースを外して登るのが楽しかった。
鉄階段もほとんど使わず、四つん這いになってアックスとアイゼンで登りました。テンション上がります!
場所によってはかなりの強風で、もしかしてオレ吹雪の中を登っているの?何かカッコイイ!と思い、ガイドさんに聞いてみたところ、この程度では吹雪とは言わないそうです。ただの強風で、5段階レベルの3だそうです(笑)。
岩場を通過し、やがて山頂の標識が見えてくると、嬉しさが込み上げてきました。
ガスで周りは何にも見えませんでしたが、ピークを踏むのはやはり嬉しいものです。
風の弱いところで三人でツエルトを被りながら、ご馳走になったカフェオレが美味しかった。
下山は、赤岳展望荘、地蔵ノ頭を経て地蔵尾根へ。ak7mailさんを先頭にズンズン下ります。
ガスで下が見えず、高度感がないのが、高所恐怖症の自分にとってむしろよかったかも。
樹林帯に入り傾斜が緩んだら、アイゼンを外し、靴の裏で滑るようにして下ってゆきます。
何度が転びましたが、問題なし。雪がクッションになるので、ダメージはありません(もちろん、場所によります。赤岳鉱泉近くは雪が薄く、凍結しているので危険でした)。
13時過ぎに無事赤岳鉱泉に戻り、温かいラーメンをすすってホッと一息。
温かい部屋で緊張感から解放されると、ドッと疲れが押し寄せてきましたが、充実感で一杯です。
この日の赤岳登頂はガイドさんのおかげであり、初心者が単独で登れるようなコンディションではなかったと思います。
体力的には問題ありませんでしたが、アイゼン歩行の上達、天候判断、ルートファインディング、読図、ビバーク、無雪期の地形把握など、身につけなければならないことや経験しなければならないことが山積みです。
天気さえよければ、今度は単独で来ても恐らく登れるでしょうが、天候が一変するのが雪山の難しさなのだと思います。そういう意味で、ある程度の悪天候を経験できたことは有意義でした。
積雪期の赤岳は、総合力としての自分の力では当分無理な山だな、というのが正直な感想です。
どんな悪天候になっても最終的に独力で無事下山できる総合力がついたら、いつか単独で挑戦してみようと思います。
次回は、もう少し難易度の低い八ヶ岳のどこかで経験を積みたいと思っています。
できれば移動性高気圧がやって来たときがいいですね。ノンビリ景色も楽しみたいですし。
(いやその前に、まずはアイゼンとピッケルを買わねば。)
色々書きましたが、細かいことはさておき、楽しかった〜。
【この日の装備とレイヤリング】
・冬靴(モンベルアルパインクルーザー3000)、アイゼン、アックス、アックスバンド
・アンダー(上:キャプリーン2、下:ジオラインMW)、ミドラー(R1フーディニ)、アウター(ガイドジャケットフーディ)、予備アウター(ゴア雨具の上)
・薄手トレッキングパンツ、オーバーパンツ(ゴア雨具の下)、ゲイター(OR)、厚手毛靴下(+予備)
・耳あてつき帽子、オーバー手袋(BDソロイスト5本指+予備)、薄手インナー手袋(+予備)、厚手ウール手袋(予備)、バラクラバ、防寒具(ナノパフフーディ)
・40リットルザック、オーバーグラス(ハードケースつき)、予備眼鏡、ゴーグル、サーモス、ストック、ヘッドランプ(+予備電池)、ミニランプ、ミニナイフ、コンパス、ホイッスル、ファーストエイドキット、高度計つき時計、地形図、登山地図、日焼止め、健康保険証控、山岳保険控、行動食(パン)、ボトルパック行動食(粒チョコ、ナッツ、かっぱえびせん)
※今後必要なもの
ツエルト、ガスバーナー(ガス缶)、コッヘル
※失敗だったもの
ウールの耳あてつき帽子(飾りのボンボンが邪魔で仕方なかった)
【以下は自分用の備忘録なので、無視してください。】
・インナー手袋での作業はNG。少しでも濡れると凍傷のリスクあり。オーバーグローブで作業できるのがよいが、無理なら素手の方がよい。
・ハイドレーションは凍るので不可。雪山一日の水分補給はテルモス500mlで十分(汗をかいてはいけない)。
・ツエルトは必携。ビバーク時は、風の弱い場所を探して被るだけでよい(どんなに強風が吹いていても、風の弱い場所がある)。
・目出帽で鼻と口を覆ってはいけない。顎の部分までにする。吐く息でサングラスが一瞬にして氷結するため。ずっと冷気に晒さなければ凍傷になることはないので、鼻が冷えて白っぽくなってきたら暖める(風に背を向ける、顔を太陽に向ける、息を止めて目出帽で覆う等)。
・アウターのフードを後ろの紐で絞ってはいけない。後ろに引っ張られて、頬の部分が露出する危険があるため。
・雪山登山では汗をかいてはいけない。汗をかきそうになったら、ベンチレーションする、アウターやミドラーを脱ぐ、ペースを落とすなどして調節する。例えばアンダー一枚で丁度いいなら、その方がいい。体感温度は人によって違うので、臨機応変に対応する。
・雪山だからといって、必ずグローブをしなければならないということはない。雪で濡れるのも汗で濡れるのも同じことなので、暑ければ素手になってもよい。
・予備のグローブは、ザックの一番上に取り出しやすい状態で入れておく。
・体温調節のため脱いだグローブや帽子はいちいちザックにしまわず、アウターのジッパーを開いて、その内側に入れておく。
・アイゼンの引っ掛けは、がに股で両踵が近すぎるのが原因。がに股というより、両足に間隔を開けるよう意識する。
・アイゼン歩行(登り)。基本はハの字でフラットフッティング。急斜面では前爪だけのフロントポインティング、横歩き(谷側の足を山側の足の前に交差し、残った足は前に出した足の後ろにより先に進めないところに置く)などを組合わせる。登りではアイゼンの爪を前方に蹴り込むイメージ、前爪は靴底より下を向いているので、踵をやや下げて蹴り込む。前爪を蹴り込む際、靴の中で少し踵が浮くのはやむを得ない。靴がタイトだと血行が悪くなり凍傷のリスクがあるので、余裕が必要。
・アイゼン歩行(下り)。斜め歩きを意識し、山側の足は横向き、谷側の足は爪先をやや開いて谷方向に向けて効かせる。下りでは、アイゼンの爪を上から下に踏んで効かせるイメージ。
・特に急斜面では、アイゼンの爪がしっかり効いたことを確認してから、体重を移す。また硬い氷の斜面で一発でアイゼンが刺さらない場合は、何度か蹴り込んで加工する。
・踵の浮きを軽減し、靴紐の緩みを防止する方法。足首部分の靴紐を締める際、途中を飛ばして最上部の金具に引っ掛け、それを下に持ってきて結ぶ。蝶結びにしたあと、輪の部分同士をさらに結んで固定する。
・アイゼンを装着しないで歩ける場所では、できるだけ装着しない方が歩きやすい。
・アイゼンはザックの後ろにぶら下げてはいけない。重いものが背中から遠くなり、バランスが悪くなるため。ザックの雨蓋の下に挟んでおけばよい。アイゼンケースは不要。アイゼンの爪でザックが切れることはない。
・アイゼン装着時は、コバに雪がついていないかどうか要チェック(一度、アイゼンが外れてしまった、セミワンタッチの方がいいか?)。
・ピッケルは必ず山側に突く。斜面で使うものだから、50cmもあれば十分。長過ぎるものはNG。
・沢筋はどんなに小さくても雪が溜まり、雪崩の危険がある。沢筋に溜まった雪面を初めて歩く場合(特にトラバースする場合)、人工雪崩を誘発する危険がある。
・大雪が降ったあと、最初に人が入るときは、均衡を崩して雪崩を誘発する危険が高い。ある程度、トレースがついてからの方が安全。
・強風が吹いている場所は、できるだけ素早く通過する。風の吹いてくる方向にできるだけ背中を向ける。
・斜面で休憩するときは、膝をつき、ピックを雪面に打ち込む。
・雪山では、地図とコンパスに加え、高度計を利用した読図ができるようにする。
・滑落の危険がない緩斜面の雪道で転倒した場合は、手をつくのではなく、ザックで受身をとる。
・尻セードは、アウターがすぐ磨耗するのでやめた方がいい。
・万一ホワイトアウトし、方向が分からなくなったら無闇に動き回らない。風の弱い場所を探してツエルトを被る。あらゆる衣類や袋が防寒に役立つ。アウターの内側に詰め込んで、空気の層をつくることで防寒になる。
・雪山装備として、ビバーク用のスコップが必要。
詳細な赤岳登頂ルポ、ありがとうございました。
私たちは、夫婦で山歩きを始めて7年になるものです。
私たちも積雪期の「初」赤岳は、ガイド登山でした。
山岳会等の組織に属さず、自力で分相応の雪山に入るための基本的な技術の習得には、
ガイドにお願いするか、冬山教室等に参加するしかないと思います。
アイゼン歩行の重要性が認識できたのは、最大の収穫ではないでしょうか?
オーバー手をしたまま、アイゼンやワカンのバンドを操作するのは、難しいですよね。
私は、家で冬山装備を身に着け、タウンページを下敷きにして(でないと床が傷つくので)
練習しました。
指先ではなく、指の腹を意識するのがポイントでしょうか。
これからもマイペースで、安全に山を楽しんでくださいね
ricalonさん、はじめまして。
温かいお言葉ありがとうございます。
アイゼン講習は本当に勉強になりました。
こればかりは、習わないことにはどうにもならないので。
指の腹ですか、なるほど〜。
今回のアイゼンはレンタルだったので、早速買って練習してみます。
今週末に雪山に行かれるのでしょうか。
お気をつけて。レコ楽しみにしております。
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