槍ヶ岳
- GPS
- 56:00
- 距離
- 41.0km
- 登り
- 1,955m
- 下り
- 1,945m
天候 | 晴れ/晴れ/晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
|
写真
感想
バスターミナルから5分で、かの有名な河童橋に到着します。
見てください、この素晴らしい景色!
いかにもアルペン的な穂高の山々の風景。
青い空、異様に透明度が高い梓川の流れ…。
なんかもう、この景色を見れただけでも大満足…。
…とはいえ、やはり槍には登りたいわけなので、歩き始めます。
このあたりは、登山道というより遊歩道。
実際、上高地にある案内図にも、明神までは「遊歩道」と明記されています。
河童橋から40分で、明神に到着します。
ここまでの道は平坦で、幅も広く、平地を歩くのと変わらないスピードで歩くことができました。疲労感も、まったく感じることがなかったのでそのまま進みます。
つづいて徳沢に45分ほどで到着しました。
この間の標準コースタイムは、手元の本ではそれぞれ55分、60分との事でしたので
かなり良いペースで進んできていることになります。
しかし、時間の経過と共に日が昇り、気温も上昇してきました。
基本的に道は樹林帯の中を通っているので、直射日光にさらされることがないのですが、それでもジワジワと上がってくる気温と湿度に体力が削られ始めます。
いや、これくらいの歩きと気温ならば、普段ならそうそうヤラれはしないと思うのですが、なにせ全然寝てない体には堪えます…。
夕べはツートンと交代しながら運転してきたのですが、緊張からなのか興奮からなのか助手席でも眠ることができずに、ほとんど完徹で今に至っているのです。
徳沢ではちょっとしたトラブルが発生しました。
ツートンがグローブを落としてしまったらしいのです。
あ〜…、何ヶ月か前に買ったばかりだったのですが…。
いつも元気なツートンも、ちょっと意気消沈。
まぁ、そう言うこともあるよね…と気を取り直して進むしかありません。
さらに40分で横尾に到着。
たくさんの登山者が休んでいました。
ここまでは遊歩同然とした幅広の緩やかな道でしたが、さすがに単なる観光客という人の姿は見かけなくなってきました。
横尾は穂高方面との分岐点で、横尾大橋の向こうには屏風の頭が見えています。
あちらへ向かうと、涸沢を経て穂高方面へと向かうんですね。
いよいよ北アルプス南部の深奥に入ってきたかと思うと身震いがきます。
また横尾は上高地〜槍ヶ岳の中間地点となっているようです。
上高地から11劼任垢…。そんなに歩いた気がしないのですが、奥入瀬をフルに歩くと12劼任垢ら、(このあたりの感覚はやっぱり北東北基準なんですよね〜)そう考えるとけっこうな距離を歩いています
横尾のヘリポートを過ぎると、ついに道は「遊歩道」から「登山道」へと変化しました。とはいえ、よく整備されてあるし、勾配も緩やかなので歩くのが大変だという事はありません。
横尾から40分で、槍見河原に到着しました。
ここは初めて槍の姿を見ることができる場所…とのふれこみだったのですが残念ながら午後になって雲が出てきてしまい、槍の姿を見ることはかないませんでした。
槍を見るどころか、槍見河原で休憩している間にポツリポツリと雨が落ちてきました。すぐに本降りになるような感じではなかったのですが、天気は確実に下り坂に向かっているようです。はやく槍沢ロッジに入らないと、雨に当たるかも知れません。
登山道は少しずつ傾斜を増していきます。
寝不足の体には、このちょっとした傾斜がキツイ…
時折、川からとても涼しく気持ちの良い風が吹き上がってきます。
天然のクーラーですね。
ラムネ色の水が豊かに流れています。
飲んだらシュワシュワして甘そう…。
一ノ又沢、二ノ又沢を橋で越えていきます。
手元の地図では「吊り橋」の標記があるのですが、全て真新しい木橋でした。
あちこちに、土石流が発生した跡があったので、それで流されて掛け替えたんでしょうか?
上高地からここまで、あちらこちらに比較的新しい土石流の跡が散見されたのが気になります。北アルプスの山が荒れてきているのか、それとも温暖化による豪雨などが原因なのか…。
槍見河原から50分で、今日の目的地「槍沢ロッジ」に到着しました。
いやぁ、最後の数十分は辛かったなぁ…。
なんかもう体が火照って、変な汗が流れて来たんですよね。
これ、完全に寝不足で体が参っている症状です。
受付を済ませて少しすると、ザーっという音と共に大粒の雨が落ちてきました
間一髪でした!
槍沢ロッジは、なんと山小屋にも関わらずお風呂に入る事ができます。
環境保全のために、石鹸類の使用は禁止ですが、それでも汗を流せるだけでとてもありがたいですな。
汗を流したあとは、当然ビール!
山の中で生ビールが飲めるとは!
至福の一時!!!
一杯900円という、結構な値段ではありますが、払う価値があると思いました♪
御飯を食べたら、早々に床につきます。
昨日の分の睡眠もここで取り返さないといけません。
いよいよ明日は槍に登るのですから!
初めての営業小屋泊、寝られないかなとも思ったのですがそんなことはなく二人ともあっさりと夢の世界へと落ちていきました
…あした、天気が良いといいなぁ…。
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2010年8月20日午前4時30分。外はまだ暗いですが、目が覚めたので寝床を抜け出します。私的にはかな〜りの早起きなのですが、もう起きて準備を始めている人の方が多かったです。さすがに山小屋の朝は早いですね。
槍沢ロッジは混むよぉ〜、混むと一畳に二人だよぉ〜、下手すると廊下や談話室にも人が溢れるよぉ〜と脅かされて行ったのですが、幸いなことに空いており、私達は二段ベットの2階一区画を4人で使うことができました。
とっても快適でした♪
五時から朝食をいただきます。
朝からご飯をお代わりし、エネルギーを体にため込んでおきます。
食事が終わったら、荷物をまとめて「恐る恐る」外へ出ます。
なぜ「恐る恐る」なのかと申しますと…ヘロヘロ隊は今まで三回の小屋泊を経験しています。で、その三回の小屋泊で晴天だったことは一回もありません(^^;
それどころか暴風が吹き荒れていたりとか、けっこう散々でした。
そんなわけで、四回目となる槍沢ロッジでも天気は非常に気になるところでした。
前日も到着後とはいえ雨に降られていますし、今日はどうなのか?
もし悪天だったら、いったい我々はどうすればいいのか?
などなど、色々な不安を抱えながら小屋の外に出たわけです。
でもまぁ、杞憂でした!
めっちゃ晴れてます!
昨日は見えなかった槍の穂先も姿を見せています!
よぉぉぉし! 行ける! 行けるぞぉ!!
がぜんテンションが上がってきました!
小屋で仕入れた予想天気によると、午後は雲が出やすく雷雨の可能性有り…との事で
少しでも早く上に登ってしまいたいところ。
あわてず、ゆっくりと急ぐことにします!
槍沢ロッジを出発すると、登山道はより「登山道らしく」なってきました。
所々ガレ場っぽいところがあったり、橋が架かっていたりと景色も変化に富んでいます。
ロッジから5分くらいのところにある「槍見岩」。
写真だけ見ると、まるで後ろにある岩峰が槍ヶ岳のようですが、あれは別の山です。
この岩に登ると槍ヶ岳を見ることが出来るって事でしょうか?
まぁ、あとでいくらでも見ることができるでしょうから、ここはスルー。
15分ほどでババ平に到着します。
ここは旧槍沢ロッジがあった場所で、現在はキャンプ場になっています。
小屋は度重なる雪崩被害で移転を余儀なくされたのだとか。
石組みの土台が往事を偲ばせますが、上屋は完全に撤去(倒壊?)しています。
今の槍沢ロッジよりも、ここの方が景色は良さそうですね。
窓から朝日に染まる槍沢を一望できたんではないかな…と想像してみたりします。
もっとも、いくら景色が良くても雪崩に脆弱なのでは移転も仕方がないですね。
このあたりまで来ると、表銀座の東釜尾根がだいぶ近くに迫って見えてきます。
いつかは表銀座を歩きたいと願っていますが、いや〜下から見ると嶮しそうですな…。比較的安全な縦走路と言いますが、ヘロヘロ隊には難所ですな。
槍沢ロッジから60分強で槍沢大曲に到着しました。
ここから分岐する道は表銀座コースの難所、水俣乗越に向かいます。
おお! 水俣乗越。聞いたことがある地名が出てきました! なんだか妙に嬉しいです。
槍沢ロッジ〜槍沢大曲の標準コースタイムは100分という事になっています。
そこを60分で歩くことができて、確信しました。
参考にした本のCTはかなり甘めである、と。
昨日は平坦地ばかりだったので標準CTより早く歩けたのかなと思っていましたが、山岳区間に入ってからも大よそ3分の2ほどの時間で歩けることが確認できました。
これを踏まえて、この先の予想到達時間を計算してみると…
むふ かなりの余裕を持って槍ヶ岳山頂を踏めるとの予想ができました。
時間に余裕ができると、精神衛生にも非常に良いですよね♪
大曲を過ぎると、いよいよ槍沢カールの全貌が見えてきます。
ふぉぉお! アルプスだ! アルプスだよ、この景色は!
アルプス「的」とかでなく、紛うことなくこれはアルプスですなぁ!
いかん、鼻血がでそう…
ここまでは樹林帯や、山の影に守られて歩いてきましたが、いよいよ日向に出ていかなければいけません。標高はいよいよ2000mを突破。しかし、それでも暑い!
体調を冷静に見極めながら登っていこうと思います。
傾斜が徐々に急になってきたのと、気温が急激に上昇してきたのが相まって一気にペースダウン…。
天狗原分岐に着く頃には汗だくになっていました。
休もうにも、ほとんど日陰が無いのがつらいです…。
槍沢カールの中程、一部分だけこんもりと盛り上がった丘になっている場所があります。これは氷河時代の痕跡で、氷河が運んだ岩石などが堆積した地形なのだとか。
グリーンバンドという名前が付けられていますが、こちらの由来は分かりません。
ここだけ植生が豊かだから…とか?
グリーンバンドを回り込むようにして越えると…
ついに見えました! 槍の穂先が眼前に姿を現しました!
蒼い宙にすっくと突き立った槍…。
かっちょぇぇ!!!
写真や映像で、この角度からの槍は何度も見ていますが、やはり実物の迫力には敵いません! こんなにも迫力あるものだったのか…。
刻一刻と姿を変えていく槍を見ながら、なおも登って行くと坊主小屋下分岐に到着しました。一般的なコースとしては、ここは直進して殺生ヒュッテ・槍ヶ岳山荘方面に向かうのですが我々はここを右折してヒュッテ大槍に向かいます。
理由は後述しますね。
小屋下分岐のところでは、なにやらメガホンを持った係員がいて我々が登ってきたのを見つけると、姿勢を低くしてしばらく待機して下さいと言ってきました。
はっ! これはもしや…ヘリが来る!?
つい興奮して、その人に
「も、もしかして、ヘリが来るんですか!?」
と食いついてしまいました(笑
「ええ、来ますから、休憩がてら待機していて下さい」
と係員さんは苦笑混じり(^^;
いや、ヘリなんて珍しいもんで…つい。ははは。
しばらく待機していると、バタバタバタという轟音と共にヘリが登場しました!
目標の荷物の上にピタッと停まり、ホバリングすること数秒。
すぐに荷物をつり下げ、瞬く間に飛び去っていってしまいました。
うーん、カッコイイ…。職人ワザですな〜。
ヘリが飛び去り、安全宣言が下されたので、登山を再開します。
ヒュッテ大槍への道は、東釜尾根へ直登する道ということになるので、かなりの急傾斜です。ジグは切ってありますが、それでも急です。
ハァハァ…。
分岐点から300mとの事でしたが、とても300mとは思えません…。
なかなか足が前に進みません。
それでも少しずつ高度はあがり、ついに殺生ヒュッテが目線の高さに…。
あともう少し!
300mに40分近くを費やし、ようやくヒュッテ大槍に到着しました!
きつかった〜。
しかし、ここまで来たら、あとは槍の穂先を目指すだけ。
槍ヶ岳登頂は目前です!
槍ヶ岳を目指す前に、まずはヒュッテ大槍にチェックイン!…と思ったのですが、まだ準備ができていないのでチェックインは少し待って欲しいとのこと。
考えてみればまだ10時にもなっていないですからね。
チェックインは後ですることにしても、荷物は置いていっていいし、サブザックもお貸ししますよ、との事だったので、ありがたくそうさせてもらうことにしました。
サブザックには現金とカメラ、それにペットボトルの水一本だけを詰め替え身軽になります。
さて、出発しますか!…と振り返ると、あれれ? 急に雲が湧いてきて槍ヶ岳はその中に姿を隠してしまいました。うそぉん! さっきまであんなに晴れていたのに!
ツートンは気が動転したのか、小屋のスタッフの方に
「また晴れますよね!? すぐに晴れますよね!? どれくらいで晴れますかね!?」
と無茶な質問をたたみかけます(笑
まぁ、そんな事を言われてもスタッフさんとしては苦笑するよりほかないでしょうが
「晴れるように、ここから祈ってますよ」
と笑顔で送り出してくれました。
ヒュッテ大槍から槍ヶ岳山頂に至る道は、表銀座縦走路の最後の部分に当たります。
表銀座を歩いたこともないのに、クライマックスの部分だけ先取りした感じですね。
いかにも稜線の縦走路といった風景です。テンション上がります。
「鎌」尾根、なんて名前がついているだけあって、右手は断崖絶壁になっています。
…もっとも、東鎌と北鎌の間にある谷からは、次々と濃いガスが湧いてくるので、あまり下の方が見えなくて、良かったような悪かったような…。バッチリ見えていたらヘタレな我々のこと、ビビってなかなか前に進めなかったかもしれません。
ハシゴもありますよ〜。ハシゴ自体はたいしたことないんですが、左側がどかーんと切れ落ちていてかなり高度感があります。
うっひっひ! 怖いはずなのに変な笑いがこみ上げてきます。
緊張するとニヤニヤしちゃうタイプなんですよね、私…。
だいぶ槍の根本に近づいたはずなのですが、なかなか槍の姿を見ることが出来ません。ガスはなおも次から次へとわき上がってきます。
晴れろ〜、晴れろ〜と二人で念じてみたり、手持ちのタオルで扇いでみたり肺活量の続く限りフーフーしてみたりしましたが、どれも効果がありません…。
今日はもうこのまま曇ってしまうのか…だんだんあきらめムードが漂ってきます。
最後の手段として、アースジェット並みの噴射力を誇る屁でもかましてやろうかと思っていると、フッと、わずかに風向きが変わるのを感じました。
するとみるみるガスが晴れて…
キタ━━━━━(゜∀゜)━━━━━ !!!!!
祈りが通じたのか、あるいは屁なんぞかまされてはたまらんと思ったのか(笑
ついに槍が姿を見せてくれました!!
遠くから見ると端正な姿をした槍ですが、近づいて見上げるとゴツゴツした岩塊で、ずいぶんと荒々しいお姿をしています。
圧倒されてしまいますね〜。
一度槍ヶ岳山荘へ立ち寄り、ここで息を整え登頂に備えます。
山荘前からは、我々が今日登ってきた槍沢の全景が一望の下に。
うーん、こうして見るとよく登ってきたもんだと感心してしまいますね。
しかし…緊張しますね、これを見ていると。
ちょっと行ってきますっていう雰囲気じゃないですもん。
独特の雰囲気というか、威圧感すら感じる荒々しさ…。
でもまぁ…覚悟を決めて登りましょう!
うーん、すごい岩壁です。
ペンキで印が付けられていなければ、どこを登れっていうんじゃー!って感じ。
ここが槍で、一般登山者も多く登っている…という事でなければ、とても登れる気がしません。
うははは! こぇぇぇ!(←でもニヤけてる)
もう両手両足フル動員ですよ。ちょっとした平場があっても立てませんよ。
腰が引けまくっていて、さぞかし格好悪かったことでしょうが…
そんなもん知ったことか!(笑
途中いくつかハシゴがありますが、これはまだユルいほう。
山頂直下のハシゴなんて地面に対して直角ですよ。
知ってはいましたが、いざ本物を目の前にすると…。
ちなみに、下に見えている地面との高度差は実に100mを越えます。
100mって言ったら…通天閣と同じくらいの高さです。そこに(ハシゴなどがあるとはいえ)身一つで登っていくのだから、たいしたもんです。
そして…ついに来ました。
山頂です! やったー!
ヘロヘロ隊にとって、初めての北アルプス、そして初めての3000m峰。
槍ヶ岳へ登ることが出来ました! いやー、感激!
これは三角点なんでしょうか?
こんなに風化した三角点は初めて見ました。
それだけ厳しい環境なんでしょうね。
残念ながらまたガスが湧いてきてしまい、360℃の展望というわけにはいきませんでしたが西鎌尾根とそれに連なる北部北アルプスの山々などが遠望できました。
ラッキーだったのは、ほんの数分の事ですが槍ヶ岳の山頂をツートンと二人占めにできたことです。槍の山頂なんていっつも混んでいて…というイメージがあったので、これは予想外でした。
実際、すぐにいっぱい人が登ってきて、あっという間に混み混みの山頂に戻ってしまいましたから。天気のことといい、槍ヶ岳に好かれましたかね〜。
山頂で「プシュ!」っと行きたいところですが、なにせ下りが怖いんでそれは自重します。ヒュッテ大槍に戻ってからのお楽しみですね♪
さぁ、無事に下りて祝杯をあげるぞ〜!!!
行きは良い良い、帰りは怖い〜♪
ってなわけで、案の定槍の穂先からの下りは、登り以上に怖かったです。
さすがのツートンもこの写真一枚撮るのが限界だったようです。
正直、ヘロヘロ隊はこのような岩場に慣れていないので、どこに足を置いたらいいのか瞬時に判断できないんですね。こういう時は、他の人の動きを見てみようと慣れているっぽい人に先行してもらいます。
そうすると、自分では足場に成り得ないと思っていた場所が立派に足場になったり
手の置き場所を少し変えるだけで、ずいぶんと楽な姿勢で動くことが出来たりするんだなぁということが分かってきました。
これはやはり経験を積んでいかねばならない事なのでしょう。
クライミングの基礎くらいは一度は学んでおいたほうがいいのかな〜。
怖々ながらも無事に槍の穂先から降り、ヒュッテ大槍に戻ります。
建物が見えてきたときには「無事に帰ってきた」とホッとしたものです。
もちろん、戻ったらすぐにビールを購入し、祝杯をあげました♪
部屋でじっとしているのももったいないので、近くの展望地に座ってビールをいただきます。
表銀座の縦走路が一望できます。
北鎌尾根から槍ヶ岳に連なる険しい尾根筋も一望の下に…。
ついつい槍ヶ岳の写真を撮りまくってしまいます。
飽きませんねぇ…。
本当にカッコイイ山です。
槍ヶ岳一帯に夜のとばりが降りる頃、本日の楽しみの一つ、夕食の時間がやってきました。今回、我々がヒュッテ大槍を一夜の宿として選択した理由の一つがこの夕食の噂を聞いたからでした。
この日のメニューはマリネ風の前菜、鶏のホイル焼きなど手の込んだ品々が並びます。生野菜のサラダもついていて、ドレッシングも用意してあります。
食前酒のワイン、大皿にはパスタ。
そしてデザートにコーヒーゼリーも付いてきます。
なるほど、女性に人気のある小屋というのがうなずけます。
ツートンも美味しい美味しいと言ってご満悦の様子。
食事の後はバータイムというのが設定されていて、食堂で各種アルコール類を楽しむことが出来ます。微かにジャズが流され、雰囲気もとても良い感じ。
山の上にこんな空間が用意されているなんて…良い意味で予想を裏切られました。
で、いい気分になってきちゃったので、利き酒セットなんぞを注文。
ヒュッテ大槍の手ぬぐいも記念に購入しちゃいます。
…ああ、散財してるよ〜
夕刻から雲が出てきていたので、星空を見るのは無理かな〜と思っていたのですが、
あきらめきれずに何度か外へ偵察に出ました。晴れろ〜、晴れろ〜と二人で念じてみたり、手持ちのタオルで扇いでみたり肺活量の続く限りフーフーしてみたり。
やっぱり最終手段として屁でもかましてやろうかと身構えたその時!
月が出てきた!…と思ったら夜空に槍ヶ岳がその姿を見せてくれました!
三脚がなかったので、近くの岩などを利用しての撮影。
ちょっとのブレは許容範囲…か?
時折、ピカッピカッと何かが光ります。
最初は誰かがフラッシュ撮影でもしているのかと思っていたのですが、どうやら穂高の向こう側で雷が発生しているようです。
ガスが晴れてきたら、光だけでなく稲妻も見えました。
でも、相当遠くの雷のようで音はまったく聞こえません。
いや〜、遠くで見ている分には綺麗ですな。
近くで炸裂されたら生きた心地がしないでしょうが…。
ものの十分くらいで、また周囲はガスに覆われてしまいました。
槍ヶ岳もあっと言う間にガスの向こう側に姿を消してしまいました。
さぁさぁ、もうお終い。早く寝なさい…とでも言われたような気分でした。
この日は団体さんが入って、もしかしたら1畳に2人かもしれない…と言われていたのですが、その団体さん以外のお客があまり入らず、我々は開いているベットに移動させて貰い2段ベットの2階部分1区画を2人で占拠。
快適に寝ることができました。ゆったりとした小屋泊…最高ですね♪
小屋を揺するような「ゴオオオ!」という音で目が覚めました。
夜半から風が出てきたようです。それとともに気温も下がってきたようで、布団なしでは寒くて寝ていられなくなりました。
…先日、岩手山に行った時の悪夢が蘇ってきます。
こんな標高の高いところであの強風に遭遇したら、果たして我々はしのげるのでしょうか? 風の音のせいか、不安な心理状態のせいか、立て続けに嫌な夢を見ました。
朝、天気を気にしながら外に出てみると見事なお天気。快晴無風です。
そして雲海の向こうには富士山が、その端正な姿をのぞかせているではありませんか!
そしてそして!
ご来光、キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !!!!!
5回目の山泊にして、ついに待望のご来光を拝む事が出来ました!
雲海を割るようにして太陽が昇ってきます。
思わず手を合わせてしまいました。
なにかいい事ありますように!
そして振り返ると、朝日を受けた槍ヶ岳が穂先から燃えはじめます
これがモルゲンロートってやつですね!
日の出から5分くらいで、周辺の山々は真っ赤に染まりました。
すごい! 感動であります!
近くに居た、いかにも山に登っているぞといった感じの人が
「こんな見事な朝日とモルゲンロートは数年振りだなぁ」
と感慨深げにおっしゃっていましたので、初アルプスで遭遇できた我々は
相当ラッキーだと思っていいのでしょうか。
これも日頃の行いが(ry
すごいモノを見た!という興奮を引きずりながら朝食の会場へと向かいます。
この日の朝食の時間は5時20分から。
なぜこんな半端な時間なのかというと、5時5分の日の出時間から計算して宿泊者がご来光を見て、そのあとすぐに朝食を食べられるようにとの配慮なのだとか。
きめの細かい心配りがうれしいですね。
夕食が美味しかったので朝食にも期待が膨らみます。
この日の朝食はさすがに食前酒は付きませんが山に入ると炭水化物中心の食生活になりますので、多めのサラダがありがたいです。
ドレッシングが夕べとは違うモノが用意されている事に感心しました。
私とツートンはぺろっと平らげ、とても満足したのですが、周囲を見回すとわりとおかずを残している人が多く目につきました。同じテーブルに座った人たち曰く、朝から油っぽいソーセージとか勘弁…ということのようです。
ああ、年輩の方…とくに男性が洋風の朝食に抵抗を感じている様子。
おかげで、我々は「良かったら食べてください」とおかずをもらったり(笑
と良い思いをしましたが、人によって食事に対する評価が分かれてしまうかもしれませんね。我々としては大満足でしたが。
朝食を食べ終わったら、すぐに下山にかかります。
非常に名残惜しいのですが、なにせ今日は上高地まで一気に下るのです。
一日で20卍兇鯤發通さなければいけませんので、もたもたしてはいられません。
帰りは基本的に往路を戻るのですが、同宿の人に
「余裕があったら、ぜひ天狗原の逆さ槍を見ていって」
と勧められていたので、天狗原分岐からちょっと寄り道をします。
ちょっとした雪渓を渡ったり、岩場にペイントされたマークをたどったりしながら目的地へ。ここはメインルートから外れているのか、ペイントが無ければどこが道なのかわからない部分があります。今日みたいに晴れていれば問題ないですが、ガスが濃い時などはルートロストが怖いかも…。
それなりに苦労してたどり着いた天狗池ですが…あれれ? まだまだ残雪が多く残っていて、池には水がほとんどありません。これじゃ逆さ槍なんて無理なんじゃ…。
ほんのわずかにできた水たまりに槍ヶ岳を映してみました。
うーん、プチ逆さ槍…といったところでしょうか。
期待していたのとはちょっと違いますが、でも美しい槍を堪能できました。
それにしても…この猛暑にもかかわらず、雪が溶け残っているんですね〜。
プチ逆さ槍を堪能したあとは分岐点まで戻ります。
片道800mとの事でしたが、もっと長い距離があったような気がします。
けっこうなアルバイトでした。
さて、見るモノも見たことですし、あとは一路上高地を目指して進んでいきます。
先日、雲のためなにも見ることのできなかった槍見河原では
お名残の槍の穂先が見えました。
槍ヶ岳よ、これでお別れだね…。
しかし、これがまた平坦な道だけになかなか着かないんですよね〜。
標準コースタイム以上のスピードで歩いてはいるのですが、だんだんと休み時間が長くなりペースが落ちてきます。
途中、英気を養うためにソフトクリームを買ってみたりしましたが…別に普通のソフトクリームですよね? 名物っていうからどんなに美味しいのかと思いきや、普通のソフトクリームミックスの味がしてがっかりしました。
徳沢を出てすぐ初日に落としたツートンのグローブを回収することができました。
同じ道を辿るので、もしかしたらと思ってはいたのですがこんなに首尾良く再開できることになるとは…。
しかし、同じく登山用グローブとして生を受け片や槍ヶ岳の山頂に行き、片や三日間も苔むした木の上に放置とは、なにやら人生の悲哀を感じさせますなぁ…。
ここから先はもうほとんど特筆すべき事はありません。
上高地に向かってひたすら歩き続けました。
はじめは登山者しかいなかったものが、徳沢、明神と歩くにつれ一般観光客の姿が多くなり、河童橋に至っては完全に逆転されむしろ登山者はマイノリティーに…。
なるほど、休日の上高地とはこういったモノですか。
河童橋からの風景とか、行きに撮っておいてよかった〜。
15時、上高地バスターミナルに到着しました。
無事に帰ってくることができてホッとすると同時に、ここから盛岡までの長い長い帰り道を思うと暗澹たる気分になったものです(笑
日本離れした風景、そしてとにかくカッチョイイ槍ヶ岳…すっかりはまってしまいました。ぜひまた行きたいと思います。次は穂高か白馬か、はたまた表銀座縦走か…ヘロヘロ隊の登山予定リストに、また山名が増えてしまいました。
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