白山新ルート開拓(白峰-ナナコバ南西尾根-シゲジ-湯の谷-御前峰-楽々新道)
- GPS
- 16:15
- 距離
- 32.2km
- 登り
- 2,708m
- 下り
- 2,646m
コースタイム
天候 | 高曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2019年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
入山は白峰風嵐ゲート前に駐車。 いずれも除雪の邪魔にならないように注意すること。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
白峰林道、ホワイトロードともに除雪が始まっている。 白峰はゲートから2km先まで、ホワイトロードはゲートから1kmまで除雪済み。 標高2,300mを超えると斜面の氷化箇所多数。滑落要注意。 導水管尾根は雪切れ。 |
写真
装備
個人装備 |
Seven Summit 163cm(Dynafit)
TLT mountain5(Dynafit)
ウィペット(BD)
アイゼン(CAMP)
等々
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感想
この日は親子で白山の新ルートを目指した。白峰からナナコバ山、シゲジ、湯の谷を経由して御前峰に行く。フィナーレは楽々新道。これをワンディスキーツアーでやる。しかも子連れで。と言ってもひよこは僕。
ここ最近の晴天で山はモフモフパウダーからカチカチ氷の山と変貌した。2月でこの様なので将来この時期を厳冬期と呼べないかも知れない。兎にも角にも、賞味期限が短い山は早めに行っておいたほうがいい。
自分の車は下山用に白山ホワイトロードのゲート前にデポ。23:30に父が迎えにきて一緒に白峰に向かう。前日は普通に仕事だったが3時間くらいは眠れた。白峰のいつものゲートに着き、除雪車が!まさかとは思ったが、すでに除雪が始まっていた。いきなり板を担いでのブーツ歩きかと思ったが、除雪車が残したうっすら雪、氷があったのですぐで板を履くことができた。除雪は2km先で終了。
長い距離林道を歩くなら先に標高を上げてしまおう作戦実行。白峰ゲートから4km林道を進んで対岸に渡りナナコバ南西尾根に取り付いた。対岸へは橋を渡る。こんなところに手取川に掛かる橋があったんだ。標高が低いので取付き下部は雪が切れている。暗闇の中、ライトの光の先には一筋の白い道。林道?作業道?らしきものを偶然にも発見し雪切れのないところまで標高をあげることができた。この辺りは植林地帯で手入れ士のためのものだろう。4時間半でナナコバ山についた。ただの白い台地だ。
シゲジまで最初から尾根上ではなく、緩いところをトラバース気味に登る。「尾根上は急で硬い。痩せ尾根なので難儀すること間違いない」という父の読み。私はそれについていく。トラバースも容易ではなかった。もちろんクトーをつけて、小指の痛みに耐えて先に進んだ。1783m先で尾根に乗る。カチカチ度は増し、ここからはアイゼン。気温の上昇で雪庇が落ち雪割れしている。落とし穴に注意した。モルゲンで取立、大長山、赤兎山はいい色に染まっている。薄っすら雲っているが天気はまずまずだ。
シゲジからは一旦スキー。渋い爺さんみたいな名前の山だ。標高差150mロスするがこれが最短ルートだろう。沢が口を開けている箇所があり、雪不足が伺える。2050mの二股を右に入る。右股に入ったところから自分が少し遅れ出す。沢中でも雪が硬くクトーをつけていたが、平坦なところでは父はクトーを外しスイスイ進んでいく。自分はシールの効きが悪くズルズル、足も踏ん張らなければ登れず疲労が出て余計なところで体力も消耗してしまった。変な意地が出た。細板のせいかな、シールがへたったかな、なぜかシールの効きが甘かった。標高2500mからはカチカチを通り越してアイスになっていた。アイゼンしかこの先は無理。帰りのために雪質を確かめながら進む。選べばスキーはできそうだ。風も少し出てきたが、無事山頂着。あわよくば別当経由の砂防ルートより早く着くかと思ったが、全然そんなことはなく時間はたっぷりかかった。こちらの方が早ければ今後はスタンダードコースになるところだった。僕は今年初めてのお参りだったので心を無にして手を合わせた。
本当の試練はここからだった。
セオリーならアイゼンで歩いてきた道を下るのだが(登りで滑降可能と確認済み)、行きで確認はできていないが多少日が当たって緩んでいることを期待して山頂から右斜面に入る。入ったところで父が止まり躊躇している。ちょっとマズイ、やはり氷っている。もう戻ることもできない。こんなところでアイゼンを履くのも無理。エッジに命を賭けるしかない。上空では爆音でヘリが旋回している。誰かを探しているのか、僕らを上から様子見しているのか、気が散って仕方がなかった。エッジ2本が氷に突き刺さる。命がけのスケート選手か。リンクに傾斜があると考えれば羽生選手もビックリだろう。とにかく本当に痺れたし、マジで勘弁だった。
大汝峰も硬かったが、直下に比べれば、、、。御手水鉢でシールを着けて七倉山に登り返す。先輩のSさんが離れて遭難してしまったターニングポイントだ。意外に見通しが良かったので前の人の進行方向と地図を見ていれば四塚山の方向に行ったりしない印象を持ったけれど、余裕がなければ思考も行動も狂う時があるという例だろう。冷静な判断を心がけよう。七倉山からは火の御子を見ながらのスキーとなる。少しずつ新雪が出てきてようやく安心の滑りとなった。清浄ヶ原は最後カニになるのであまり高度を落とさずトラバースすると良い。
見返り坂からは快適そのもの楽々滑りです。高曇りで雪も生きていてパウダーが残っていた。小桜平避難小屋がポツン、樹林も疎、尾根も広くなだらか、とてもスキーに適していた。アプローチは苦だが、もっと人に滑ってもらいたい尾根。今シーズン3度通っている父にアドバイスを受けながら降りていった。導水管尾根は雪が切れていて、スキーはできないので作業用の階段を利用させてもらう。もう期限切れでしょう。最後は除雪されたホワイトロードを板を担い終了。
16時間を超える長い山行だった。
白峰ー市ノ瀬間には手取川を渡る橋が5本前後存在する。この橋を利用して対岸に渡ることで新しいルートが見えてくる。白山へ至るコースは既存コース以外にも雪の季節は何本も取れる。
ナナコバ山からシゲジに至る稜線は大展望の稜線となる。シゲジに立つといきなり眼前に大汝峰、御前峰が見えてくる。
楽々新道は日本離れしたロングスキーツアーコースとなる。変化に富んだ素晴らしいコースである。
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