高原川水系・笠谷
- GPS
- 39:02
- 距離
- 26.7km
- 登り
- 3,571m
- 下り
- 3,259m
コースタイム
- 山行
- 9:57
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 9:57
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
その他周辺情報 | ひがくの湯 奥飛騨温泉郷上宝 |
写真
感想
会の後輩と北アルプスの沢登りへ。
【経緯とか】
もともとは葛根田に行きたいというところからスタートし、前鬼からの流れでやりやすく、かつ先輩なしで、でも十分実力のあるメンバーということで、kaguさんとyoshikitoに声をかける。
葛根田が遠いと言うことと、どこにも行けないのが嫌だったので、期間を長めにとり、エリア違いで代替を考える。その中で、kaguさんが出してくれたのが笠谷だった。
結局、予報的には東方の天気はグズグズ、期間の後半は台風がくる、前半なら北アルプスは晴れそう、このあたりを考慮して、前半にかけて、笠谷+沢上谷に行こうということに。
笠谷は、標高600mからスタートし、笠ヶ岳山頂2800mまで詰め上げる体力勝負のルート。遡行本には乗っていないルートで(登山大系にはちょろっと載ってるようだが)、基本はネット等で概要を調べた。水量は近くの小倉谷や双六に比べると少なく、前半の大滝の巻きを上手くこなせば、後は歩き沢という印象だった。だが、しかしそんな甘い沢ではなかった。
【行程】
金曜夜、前泊し、仮眠をとってから、中尾高原登山口に、yoshikitoの自転車をデポ。笠谷林道から登山開始する。林道は前半は歩きやすいが、後半になると荒れてきて、藪漕ぎになる。ナメて半袖で漕いでいたら腕がキズだらけになる。3.5時間くらい林道を歩くと、入渓点につく。沢床に降りるのは簡単だった。
入渓するとテンションがあがる。水の色は透き通った色をしていた。水量、川幅ともにちょうど良い感じで難しくなく、歩いて行ける。しばらく歩くと、1つ目の大滝に到着。左岸を巻く。
この巻きが手強かった。左岸をあがり、リッジ状までついてから、抜け口方面にトラバースしようとするが、そこで岩壁に邪魔される。そこからは岩壁を左にトラバースしていくか、右よりに超えていくかどうかを選ぶことになるが、左にトラバースするのがかなりシビアに見えたので右よりに超えていくことにする。このとき、ロープを1回出す。超えた後はトラバース気味に進み、緩い沢形の地形に下りて、そこから沢を下降して歩き、抜け口付近に出る。安全を考えるとルートは間違ってなかったと思うが、これだけで2時間くらい使ってしまった。
その後、進むと2個目の大滝が出てくる。これも綺麗でいい滝だ。大きな岩小屋もあった。こちらも左岸巻き。傾斜のあるザレ状を登るが、上がるほど傾斜があがってかなり悪い。なんとか這い上がり、お助け出しつつ登ってもらう。その後、抜け口に向かってトラバースし、ドンピシャで抜け口へ。これは上手くいった。
この巻きが終わったところでかなり時間が押していたので、本来上げたかった1690mあたりまであげるのは諦め、1480mあたりで遡行を打ち切る。
この日は久しぶりの焚き火を肴に、kaguさんのカレーやyoshikitoの持ってきた焼き物、酒を存分に堪能した。良い夜だった。
2日目、4:30起床、6:00出発。
この日1400m標高をあげないと行けないが、前日に核心は終わらせているので、体力的に頑張れれば大丈夫というイメージ感でスタート。アルプスの沢特有のスケールの大きさ、明るい感じ、白い岩が映える渓相を楽しみながら標高を上げていく。最初に出てきた大きめの滝は右岸巻き。藪漕ぎだったが、コンパクトに巻けた。その後も、滝は出てくるが、難しいのは無く、2200mあたりまではあげてく。その後、4段120m滝が出てくる。めちゃめちゃカッコイイ。下部はフリーで右側寄りに草付きとリッジの境あたりを登ってく。その上の大滝は左岸を巻く。これも深い藪漕ぎになるが、上手くコンパクトに巻けた(yoshikito曰くベスト巻き)
その後、スラブ状30m滝。左ぞいに登るが、意外とワンポイント難しいところがあったりで、細かく段で区切ってロープを出しつつ登る。途中、自分が突破でてこずったところはyoshikitoが空身で突破。上手い。ほとんどyoshikitoと自分でつるべ登攀してた感じだった。滝の上部は自分が左側を藪漕ぎし、安定した所まで。
このあたりの処理でけっこう消耗した。
これでさすがにロープ出すようなところは終わりだろと思っていたが、その後も脆くて悪い岩登りが続く。ところどころたってる箇所もあり、お助けロープを出しまくり、登っていくが、このパートがどれだけ登っても全然終わらず、南西尾根が遠い。
さすがにヘトヘトになってくる。
他のメンバーも同様に疲れているように見えたので、難しい箇所が出てきた時用にエネルギーを残すため、省エネモードに切り替え進むことにする。
なんとか岩登りパートを終わらせ、南西尾根が近づいてくるが、そこからは斜度のある悪いザレパートになる。そこもなんとか終わらせ、やっと南西尾根にのる。藪漕ぎはほぼなしでハイマツを1mくらいだけ。2700mくらいに出た。
ちゃんと抜けられて本当に良かった。
南西尾根は登山道ではないが、今までのパートに比べると天国のように歩きやすく、ほっとした。
その後は、登山道に合流し、笠ヶ岳山頂へ。最後の登りがつらかった。後続を待って、3人揃って山頂を踏み、無事にここまで来れたことを喜ぶ。
小屋でそれぞれご褒美ビール・酎ハイ・炭酸を買い、最高の乾杯をする。この3人だからこそ抜けれたという達成感が余計にお酒を美味しくしてくれた。その日は笠ヶ岳のテント場で泊まる。笠谷では誰とも会わなかったが、テント場は人で溢れていた。夜は星も綺麗で最後の夜に相応しいものとなった。
3日目
下山だけなので、ダラダラと起きて、テント場からご来光を見る。下山は笠ヶ岳を経由し、クリヤ新道を下りる。途中で笠谷の上部が見えて、よくあんなところ登ってきたなと言い合う。そして、下山も長い長い。1800mダウンしないといけないので当然だが。それでもコースタイム0.8くらいで下山し、12時くらいには中原高原登山口へ。デポしたyoshikitoの自転車でyoshikitoに車を取りに行ってもらう。ありがとう。
いやぁ、お疲れ様でした。
その後は、ひがくの湯でお風呂に入り、ごはんを食べて、グダグダしつつ、次の日の沢上谷に備える。こんなハードな沢終わりにまたすぐ沢に行ってくれる沢バカなメンバーに感謝です笑
【ルート所感】
笠谷、ハードだったけど楽しいルートでした。アルプスの沢らしくスケールが大きく、低い標高から笠ヶ岳のピークまで詰め上げるロマンの詰まったルート。とはいえ、あまり記録がなく、全然人臭さが感じられない。(巻き道とか人の跡なのか獣の跡なのかわからずに辿っていた笑) だからこそ難しさはあり、高巻きに藪漕ぎに岩登りに沢登りの総合的な技術を必要とされつつ、体力勝負なエッセンスもある。そして、綺麗なところはとことん綺麗で、下部は水が綺麗で大滝も見応えあり、中間部の歩きパートは谷のスケールを感じつつ、たまに出てくる滝が綺麗なものが多く癒される。そして、上部は花崗岩系?の白い岩群と緑と青空のコントラストがとても素晴らしく申し分ない綺麗さ。こんなルートをノーヒヤリハットで抜けられて大満足です。メンバーに感謝。
yoshikitoは本当に上手くなっている。成長スピードが早い。特に登攀技術とロープワークが数ヶ月前とは段違い。車出し、自転車回収など交通手段、計画の全般でとても助かった。ありがとう。これからもガンガン行こう。
あ、あと次回はもっと軽量化してね!笑
荷揚げのザックが無駄に重かった!笑
Kaguさんは相変わらずの安定感。今回の笠谷も見つけてくれたのは、Kaguさんだったし、途中途中での判断・アドバイスも無難にいいことを言ってくれるし、怖いところはロープくださいとはっきり言ってくれるのがありがたい。ロープつけたら、自分らより綺麗なムーブで登ってくるし笑
そして、そんなに山入ってないはずなのに体力も申し分ない。歩きが上手いんですね。2日目の後半では、「ガンバ自分!」って自分で自分を励ましながら登ってたのがウケました。笑
とりあえず、会心の山行でした。
みなさん、ありがとうございました!
この夏は葛根田へ!と計画していたけれど残念ながら天気に恵まれず中止。
代替で計画していた笠谷へ。
笠谷は前に沢の記録を見ていて目に止まり、体力があれば行けそうに感じて、行きたい沢リストに入れてあった。
ただ、実際に計画を立てるとなると、記録が少ない上に単独遡行の強そうな人のだったりで、悩みつつコースタイムを作成。
1泊2日は厳しそうなので2泊3日に。
行ってみての感想は、体力核心と思っていたけれど全然それだけじゃなかった。
体力はもちろん、登攀力、高巻き力も重要。
記録で見ていたより滝が多く、ツメもかなり後半までクライミング要素が強かった。
グレード的には難しくないんだろうけど、岩が脆かったり高度感もあってしんどかった。そして長い。
下山の時に遡行した沢筋を見て、あんなところを登ったのかと。遠くから見てもかなりの斜度。
今回、yutaさん、yoshikitoさん、2人の足を引っ張ってしまって本当に申し訳なかった。
何度お助け紐を要求したことか。。
今回の反省はリサーチ不足、体力不足(筋力も心肺持久力も)、クライミング力不足、メンタル不足。
沢と自分の力量が釣り合っていないことを遡行中に痛感した。
文句も言わず何度も引き上げてくれた2人には本当に感謝。
今回は特に同期yoshikitoさんの成長ぶりに驚いた。
確かに沢ばっかり行ってるけど、確実に登れるようになってるし、支点作ってロープ出すのも慣れてきてるし短期間での成長が半端ない。
頼もしい。
yutaさん、yoshikitoさんはお互いに補いあえるいい沢のパートナーだなと思った。
セルフマネジメントのうまい2人だと思う。
個人的には大変な部分が多かったけれど全部含めて良い経験になった。
あと沢泊は何度かしてきたけれど、初めて焚火の横で寝た。
意外とよく眠れた。(一度増水の夢を見て目が覚めたけど。)
そして初めてテン場でタープを張って寝た。
風が弱くて気温も高くて快適だった。
何より広々していた。(小屋は2人1枚の布団だったらしい。)
下山のクリヤ谷ルートはあまり良くないという記録を見ていたけれど、岩場が多いものの道はそれほど悪くなく、ただひたすら下った。
雨の時は滑りそうなので嫌かも。あとフェルトの沢靴で下るのも厳しそう。
今回はラバーの沢靴でそのまま下山。ネオプレン靴下も濡れていたので靴擦れとマメがけっこうできた。ただ、それ以上に筋肉痛がひどい。週末の夏山トレまでに回復しないと。
追記:入渓までの林道でイノシシを見た。はじめカモシカかと思っていたけれどフォルムが違い、おしりにピョンとしたしっぽがついていた。すぐ横の斜面を登って行った。向かってこなくてよかった。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
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ただの記録でなくて、メンバーの思いが伝わってくる記録やね。
バリエーション初期にしか味わえない未熟さとそれ故の気持ち良い達成感を感じる。
良い山行で読んでいてこっちのモチベーションが上がるなー
またいい山行の記録あげてね。
ありがとうございます。初級ルートではありますが、人臭くなく、美しいルートでした。先輩抜きでやり切れて達成感がありました!他メンバーに感謝しないとですね。
これからも主体性をもってバリエーションに入ることで強くなっていきたいなーと思っています。今後ともアドバイスよろしくお願い致します!
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