飯豊川本流
- GPS
- 80:00
- 距離
- 42.3km
- 登り
- 2,743m
- 下り
- 2,520m
過去天気図(気象庁) | 2019年08月の天気図 |
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アクセス |
写真
感想
8/10(土)
6:50 ゲート−7:30 加治川治水ダム−10:50 湯の平温泉−13:05 福取沢出合−14:45 C1
8/11(日)
5:00 C1−7:45 不動滝−10:00 洗濯沢出合 10:30−10:50 赤渋沢出合−15:50 地蔵カル沢出合−17:30 C2
8/12(月)
5:05 C2−5:30 滝谷沢出合−9:15 天狗沢出合−9:50 文平の滝 10:50−13:40 稜線−14:50 大日岳−17:15 飯豊本山−17:30 本山小屋
8/13(火)
5:00 本山小屋−5:15 飯豊本山−11:00 飯豊山荘
8/10(土)
大阪でお盆前の仕事を終えて一旦京都に帰宅。荷物を回収して新幹線に乗り込み、品川乗り換えで新宿に到着したのが23時。そこから車で新発田付近に到着したのが午前3時過ぎ。関西から飯豊は本当に遠い。睡眠時間は二時間程度しかなかったが、眠さよりもこれからいよいよ飯豊川本流という気持ちの方が勝り、睡眠不足感はなく出発。
加治川治水ダム〜湯の平山荘までの林道が通行禁止になったのはしばらく前からだが、今年は加治川治水ダムの手前もスノーシェッドの工事中とのことで、さらに一時間弱の歩きが加わる。ゲート前に車を止めると早速メジロアブの大群のお出迎え。車内でできるだけ着替えをすませてから出発する。
林道歩きの最中も案の定メジロアブが絡んでくるので、ドカヤッケの着脱を繰り返しながら進む。加治川治水ダムの手前で後ろから来た軽トラに少しだけ乗せて頂く。ここからダートの赤谷林道を黙々と進むが、暑いので谷筋を横切る度に水浴びをして体を冷やす。加治川ダムから登山道となり、雰囲気の良いぶな林を過ぎると、ゲートから四時間でようやく湯の平山荘に到着。小屋の手前で赤黄緑のまだら模様の沢筋を横断するが、水に足を浸けると結構な熱さであった。
山荘の先から沢に降り、ギアを装着して11:20に入渓。水量は平水よりやや少な目という印象。さすがに本流だけあって気を抜くと流されてしまいそうではあるが、序盤は特に詰まるところもなく、飯豊川本流の美しい流れに癒されながらの遡行となる。
やがてゴルジュ地形に入って行き、淵を泳いで突破するシーンも出てくる。両岸が一層狭まった淵が難しく、ヘツリ泳ぎで進んでも最後でホールドがなくなるので、数回トライして断念。左岸巻きに入り福取沢の手前で沢に戻る。
さらにゴルジュが威圧感を増したあたりで4m大釜魚止滝が登場。戻って大高巻きする事も検討したが、よく見たら大釜手前の右岸壁が悪そうながらもなんとか登れそうなので、ロープを出して空身でブッシュ帯まで這い上がる。そのまま切り立ったゴルジュ状の黒沢出合も右岸の樹林帯から巻いて滝の上へ出る。河原を少し進むと幕営適地を見つけたので、14:50とまだ時間は早いが、この後にヒルカルの悪場が待っているのでここで行動を打ち切る。
お隣のルンゼには乾いた薪も十分にあり、盛大な焚火で入山初日を祝う。星空が美しく、明日も良い遡行日和となりそうだ。
8/11(日)
3時起きで朝焚火を楽しむ。各自入念にストレッチを行い、5時出発。
いよいよ下部ゴルジュの核心となるヒルカルの悪場へと入る。最初の大淵を左岸バンドを使って越えると、次は水流突破は難しそうな4mCS滝。カムあぶみで水流から左のチョックストーンの隙間に入る。上部はさらに岩が挟まるCSonCS構造なので、空身になってステミングで登り、左の隙間に身体をねじ込んで這い上がる。ショルダーも不要で、面白いムーヴが楽しめる。この直後の大釜は泳いで取り付くが、スタンスが少ないのフッキングからの全身フリクションでズリ上がる。
この先は急激にゴルジュ地形が発達して流れの強い淵となる。過去の記録では1〜2m滝となっているが、落ち込みは50cm程度でもはや滝ではなかった。おそらくここ数年の間に埋まってしまったのであろう。しかし水圧が強く、泳ぎて水線沿いに抜けるのは不可能。過去の記録では右壁からかなり苦労して突破しているが、今回は比較的すんなり登ることができた。後続は水線沿いにロープで引っ張る。
なおも圧倒的なゴルジュの中を進んで行くと、大水量の落ち込みが立ちふさがる。右岸バンドがなんとかラインが繋がっていそうなので、空身で慎重に取り付く。リードが引くロープに次々とトンボが止まる。後続のビレイでは釜に落ちても流せる様に、ビレイ器のオートロックではなくボディビレイを活用するのがポイント。
ヒルカルの悪場を十分堪能すると、怪しげな冷気と共に今回初のスノーブリッジがお出迎え。お盆には消滅していることもあるらしいので、今年の雪渓は平年並みかそれ以上に残っているのだろう。慎重に潜り抜けると、奥には端正な不動滝50mが鎮座していた。滝の飛沫を浴びながら一休みして地形を探る。
ここは左岸から高巻くこととするが、高度感のある草付き部分は念の為ロープを出す。ブッシュ帯に入って尾根を乗っ越すと、ルンゼからクライムダウンで滝上に出ることができ、一時間程度で不動滝を巻く事ができた。
ここから洗濯沢出合までは河原状地形となり、快速歩行で10:00に洗濯沢出合に到着。計画ではここで二泊目だったが、まだ8時間も動ける時間が残されているので、昨夜の打ち合わせ通り先に進むこととする。
赤渋沢出合から先は赤茶色の側壁が反り立ち、屈曲したゴルジュとなる。このゴルジュは赤茶色の側壁に青白い水流が滔々と流れ、コントラストが映えて美しい。頭上10mぐらいには大きなポットホールが見られるので、増水したら地獄の様な景色に豹変するのだろう。しばらく進んでみるが、奥の方で案の定突破が難しそうな滝が出てくるので入口まで引き返す。ここから右岸巻きとするが、炎天下の高巻きは熱中症との闘いなので、ウォーターベッドに全身を浸しておく。
取り付いたルンゼはワンポイント悪いのでロープを出す。岩も脆いが、ルンぜ状で落石は後続を直撃する可能性が高いので注意が必要。ルンゼ上部で密度の濃いシャクナゲの藪に入り、尾根筋に立つと上流に雪渓が詰まったゴルジュが続くのが見える。雪渓の上には問題なく出られそうだが、少し先で途切れており、その先でまた不安定な形状の雪渓が続いているので、どういう風に攻略していくか考えるのが面白いポイント。
今回はブッシュ帯からの懸垂下降で雪渓に降り立った後、スノーボラードで沢底に降りることにする。退路の確保をどうするかがポイントだが、一人目が沢底に降りて乗っている雪渓をくぐって戻れることを条件とする。ボラードは先端だと崩壊のリスクが高まるので、側壁の足がしっかり接地している場所に進行方向斜め45度に掘る。一旦側壁に7mほど降りると、沢底までさらに立った岩壁を15〜20mほど降りる必要があることが分かり、ロープをダブルにする。沢底からは下流側へ雪渓をくぐって戻れることが分かったので、後続に合図を送る。ラストは側壁で一旦止まり、ロープの結び目が引っかからない様に雪渓のヘリから下へずらして降りてもらうが、それでもロープ回収でスタック。一瞬嫌な考えが頭をよぎるが、なんとか立った壁を米田さんがロープを使って登り返す。ロープの結び目は雪の凹状部分に引っ掛かっていた様で、こちらをギリギリまで下にずらしてから再度懸垂下降。今度は無事にロープを回収することができたが、一連の作業を雪渓の横でやる羽目になったので反省。結果的には雪渓手前で沢底に降りてくぐった方が、リスクに曝される時間が少ない分、よかったかもしれない。
この先のスノーブリッジを潜ると、一旦左岸から地蔵カル沢が入るポイントで上部の窓が開けるが、そのまま先のスノーブリッジも潜り続ける。カーブの外角で再び崩壊した雪塊が散乱する窓に出るが、最後の雪渓の手前が崩れた雪塊で埋まって塞がれており、沢中の突破は不可能。左岸から高巻きに入り、50m懸垂で雪渓の上部へ降りる。
河原を少し進むと、大日沢手前に幕営適地が現れたので本日はここで行動終了。それなりの広さがあり、薪もしっかり確保できたので、上部ゴルジュ核心を目前にして幸運であった。
8/12(月)
前日と同様に3時起き、5時出発。天気は高曇り気味でよい巻き日和。
いきなり雪塊の浮かぶ淵の泳ぎ、からのスノーブリッジ潜り。薄暗い谷に冷気が立ち込め、おどろおどろしい。ヘッデンを付けて薄暗い冷蔵庫の中を小走りで抜ける。散乱する雪塊を掻き分け、滝谷沢出合から雪渓の上に立ち、そのまま本流上流の雪渓の切れ目まで歩く。
沢が右に屈曲した地点で登れない3m滝に行く手を阻まれる。ここから上部ゴルジュ核心のグネグネゴルジュが始まる。不安定な片足雪渓の後ろから右岸巻きに入り、濃密な藪の中へ。ここから先は両岸とも強烈に聳え立っているので、一度雪渓に降りてロープを抜くと登り返しはできない。雪渓が上流側に繋がっていることを確認していざ懸垂下降。バイルを出してそのまま雪渓上を進むが、所々傾斜があるのでアイゼン系の装備があった方がよいと感じた。特に幅が狭く傾斜のついた箇所は、滑落したら穴から沢底まで30〜40mほど墜落してしまうので、左岸のスラブに乗り移って巻く。しばしスラブ帯をトラバースして灌木から懸垂するが、落石が多くハッチのザックのバックルが破損してしまった。
再び雪渓を歩くと、切れ目の先に登れない滝が現れるので、再び側壁に取り付いて左岸巻き。高巻き途中から見るグネグネゴルジュはやはり圧巻で、飯豊川本流の核心に身を置くことができた幸せを噛みしめる。最後は草付きを歩いて降りて、端正な斜瀑を快適に登ると天狗沢出合に到着。本日はここで泊まる予定だが、まだ9:15なのでまだまだ先に進む。
御西沢付近は再び厚い雪渓に覆われるので、上を快適に歩く。谷が右に曲がるポイントで切れるので、左岸に飛び移りクライムダウン。すぐ先のスノーブリッジを潜ると、文平の滝30mに到着。下部は水線すぐ左を登るがこの滝から以降、ヌルヌルが出てきて悪さを感じる様になる。上部は水線通しは厳しいので、左壁のブッシュ帯に移るが、特に支点を取れそうな箇所もないので、ノーピンで登ってしまった。これまで本流ということもありクライミング要素が少なかったので、良いアクセントの登攀になった。滝上からは5mほどの懸垂下降で沢底に降りる。
沢はいつしか文平沢と名前を変え、左俣か右俣かを選ぶことになる。今回は二俣の雪渓を巻き気味に越えて、文平ノ池に出る左俣へと進路を取る。左俣の遡行は特に難しいところはないが、小滝を直登しようとするとヌルヌルで厳しいポイントもある。水枯れ以降は沢型が残っているので下半身は空いているものの、上部が灌木と笹薮に覆われ、やや難儀させられる。花の咲き乱れる草原が広がってきた頃、文平の池に飛び出す。わずかな藪漕ぎで13:40に登山道到着。
まだ時間があるので、飯豊連峰最高峰の大日岳を往復することとする。山頂はガスが沸いていたが、たまにガスの切れ目から飯豊川本流の波打つ切れ込みが臨め、沢旅の余韻に浸ることができた。本来なら御西小屋に泊まるところだが、一日早く抜けられたことで他の合宿パーティとも落ち合える可能性があるので、少し縦走して本山小屋で泊まることとする。飯豊本山につく頃にはガスも取れ、夕日に照らされる雄大な飯豊の山容を拝むことができた。昨年の御秘所沢から一年ぶり、GWの山スキー縦走から三ヶ月ぶりだが、飯豊は何度来ても素晴らしい。
本山小屋では同会のパーティと落ち合い、他の登山者の方も含めて楽しい最終夜を過ごす。就寝中に隣の長身の登山者が体を何度か蹴ってきて喧嘩したのもご愛敬。
8/13(火)
本日も5時出発。昨年と同様に飯豊本山で集合写真を撮り、ダイグラ尾根を降りる。このお盆は胎内市で40℃を越えた様で、この日の下山も相当に暑かった。最終日なのでメジロアブの滅多刺しにも鈍感になっていたら、背中が大変なことになっていた様で驚かれたが、藪漕ぎのキズと虫刺されは夏合宿の貴重な思い出。
下山後は同会メンバーの車で加治川の車駐車地点まで送迎して頂く。どうもありがとうございました!
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