記録ID: 21556
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
ヨーロッパ
Mont.Blanc
2006年08月30日(水) ~
2006年09月01日(金)
イグルスキー米山
その他4人
- GPS
- 56:00
- 距離
- 15.7km
- 登り
- 2,867m
- 下り
- 2,867m
コースタイム
8月30日
レ・ウーシュ1000m→ベルビュ1800m(リフト終点・11:00)→ニデーグル2400m
(登山鉄道終点・11:20)→テトルース小屋3167m(14:40)
8月31日
テトルース小屋(8:15)→グーテ小屋3817m(10:40)
9月1日
グーテ小屋(2:40)→山頂(6:45-7:00)→グーテ小屋(8:30-9:30)→テトルース小屋(11:00)→ニデーグル(12:50)→登山電車で下山
レ・ウーシュ1000m→ベルビュ1800m(リフト終点・11:00)→ニデーグル2400m
(登山鉄道終点・11:20)→テトルース小屋3167m(14:40)
8月31日
テトルース小屋(8:15)→グーテ小屋3817m(10:40)
9月1日
グーテ小屋(2:40)→山頂(6:45-7:00)→グーテ小屋(8:30-9:30)→テトルース小屋(11:00)→ニデーグル(12:50)→登山電車で下山
過去天気図(気象庁) | 2006年08月の天気図 |
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アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
原さんに誘われて、モンブランパーティーに入れてもらった。メンバーは原さんの知り合いで他に2名、当初もう少しいたのでガイドは3人。しかし原さんが風邪をひいてしまった。エリザベスさんが最初の小屋テトルースまで見送りに来てくれた。ガイドは英語が出来るとはいえ、日本人と同じく進んで英語を話すわけではない。エリザベスさんがフランス語で手配してくれたのでいろいろなことがうまくいった。 【ルートについて】 ルート全体は4月の北アルプス風だ。一番急な雪、岩ミックスの両小屋間は槍、穂高の一般ルートを標高差600mに伸ばしたという感じでワイヤーロープが整備されている。テトルース小屋を出てすぐ、急斜面の基部で落石の多いクロワールのトラバース50mほどがある。ここのためにヘルメットがいる。グーテ小屋の上は多少クレバスの危険のある雪の尾根だが、遠見尾根のような感じ。しかし山頂直下の20分ほどは、幅1m足らずの雪稜で、利尻の南峰、北峰間くらいの爽快感があり、良い気分で山頂に行ける。グーテ小屋より上は視界の無い時は相当厳しい。ルート自体は山岳部の2年班で行けるが、ここの天気予報をいかにキャッチするかが大問題だ。小屋での情報は全てフランス語だ。今年は、僕らの登った三日間より前は、全然ダメな天気だったそうだ。ハズレ年の中の幸運だった。小屋のまわりに天場指定地があり、20張りほど張ってあった。イグルーはどこでもできる。 【ガイドとの山行】 フランスガイドとの山行は初めてだ。今回はメンバーに雪山初級者もいたし、天気が三日間保証付きだったので、ゆっくり進めた。ガイドはテトルースから上は全て短めのコンテニュアスでロープを繋ぐ。こんな簡単なルートで繋がれるのは何だか信用されていないような気がして最初は抵抗があったが、ガイドと行くとはそういうもので、アルプスではこれが普通らしい。ロープは問題箇所だけで繋ぐというのが日本のセンスだが、クレバスのあるアルプスでは、つなぎ続けるという技術が有ることを知った。全体に、ガイド無しでも僕には行けたルートだがガイドの仕事振りをよく知ることが出来た。エリザベスさんがウェブと電話で探してくれたガイドで、よい仕事ぶりだったと思う。 フランスには国家資格のガイド免許があり、みっちり三年間の国立登山学校がある。会員数十万人の誰でも入れるフランス山岳会があり、その会費で運営される資金で山小屋も遭難救助も運営される。登山者による登山者のための組織が公平に簡潔に整備されている。既得権益や特権意識や排他習慣のため誰も音頭をとらず、公共の登山教育の欠如で混乱する日本の様子を改めて思う。人は外を見聞しなければならない。 【小屋など】 モンブランはヨーロッパ人にとっては富士山みたいなもので、いろんな人が登りに来る。ガイド無しも7割くらいはいる。グーテ小屋は一ヶ月前から予約を入れないとベッドでは眠れない。アポ無しの人は床や食堂で寝ていた。午前二時、グーテ小屋の朝飯時間だが、食堂は暗闇の中座ったまま夜を過ごした人で一杯。パンとお茶の朝飯を受け取って、彼らにどいてもらう時が一番ガイドを頼りに感じた時だった。130人の定員にたぶん200人くらい泊まっていた。もちろん中高年は少なく若者が多い。健全だと思う。素人風ながら、一生懸命登っていた。 【アタックは早朝】 夜が明けて明るくなる7時前にちょうど山頂につく様に、真っ暗な中グーテ小屋を出る。満点の星、山頂の上にオリオン座、そこに向かって人々のヘッドランプの列が伸びている。シャモニーはもちろん、ジュネーブの明かりが見える。氷河地形が作る広く深い谷を見下ろす風景は、日本ではあり得ない独特の高度感だ。山頂ではマッターホルンの後ろから日が昇った。齢63歳の伊藤さんはとっても嬉しそう、下村さんもこんな経験はこれまで無かったと話していた。 二人とも抜群の体力で高所の影響も全く無く、高度差2000mをすいすい下山した。ガイドも良い仕事が出来たと満足そうだった。レ・ウーシェにもどると、娘(二歳)がハイジのように芝生を駈けてきて、頬ずりしてくれた。嬉しいネ。 【アルプスとモンブラン】 ジュネーブで買った5万分の一地形図はとっても美しい。ル・ドゥリュ、フレネイ、プトレイ、エグイ・ヴェルト、名前だけは知っていた。昔読んだボナッティやテレイの山行記録に覚えがある。アルプスの風景は山好きな日本人にとっては憬れの原風景だ。小学生のとき宮崎駿のハイジをテレビで見た身には懐かしい風景にも思える。どうもあれが僕の山好きの出発点ではないかと思う。 位置関係では、モンブランを白馬岳あたりにたとえると、ジュネーブが松本、シャモニーが大町、レ・ウーシュが白馬村という感じか。ジュネーブにもどると、モンブランがレマン湖越しに見える。麓から見上げたモンブランは白いまんじゅうみたいな山だったが、ここまで離れると山頂部分はきれいな三角になっていて端正だ。ジュネーブの恵さんの家のテラスからも見える。サマータイムの遅い日没まで山を見送って、野菜煮込みとチーズと、葡萄酒で祝杯を合わせた。 |
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