新緑の雲取山・大ダワ林道から(過去レコ)
- GPS
- 25:13
- 距離
- 23.6km
- 登り
- 1,466m
- 下り
- 1,934m
コースタイム
- 山行
- 3:35
- 休憩
- 1:50
- 合計
- 5:25
天候 | 26日……晴れ時々くもり。夕方は夕立。 27日……雨ときどき霧 (T_T)。朝方、雲取山頂では青空も。 |
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アクセス |
利用交通機関:
電車 バス 自家用車
(日原林道を八丁橋まで進んだところで、渓流釣りの車に同乗し、富田新道分岐まで乗車) GOAL……峰谷橋から奥多摩駅ゆきバスに乗車。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【長沢谷から雲取山荘に向かう大ダワ林道は廃道になっています】 |
写真
感想
ヤマレコの赤線はできればヤマレコを始めてからの方が良いですが、その一方で、通行止め・廃道化のため、今後歩きたくても歩けないルートもあります。過去レコキャンペーンにあたり、そんなルートを優先してアップするのが良いと思いまして、往年の雲取登山のシブい名ルートでありながら、崩落のため廃道となってしまった「大ダワ林道」を歩いたレコを作ってみました。
大ダワ林道は、スタート地点の長沢谷から、ゴールの大ダワに着くまで、大雲取谷の支沢の豊かな水、そしてあふれる新緑が本当に素晴らしく、ルート付け替えによって復活しないものかと思うのですが、いろいろ世情を考えると難しいかも知れないですね。
いっぽう、石尾根界隈の新緑とツツジはやっぱり超一級。中国のせいで世界中が巻き込まれたこの災厄が終われば、また是非何度でも歩きたいものです。
デジカメなど存在しない時代ですので、今回の画像は全てポジフィルムで撮影したものを、ライトボックス+マクロレンズでお手軽スキャンしたものですが、色再現やいじりやすさという点で、すっかりデジカメに慣れきってしまったものだと痛感します。
過去レコではございますが、ご覧頂き誠にありがとうございました m(_ _)m
以下、当時の山行日記です。(長いですので注意! 湯水のように写真を撮れなかった代わりに、バックパッカーをやっていた当時の習慣で、帰宅後細かい日記をつけていました)
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◇7:26 青梅発車。次第に分け入る多摩川の峡谷は、20日余りの間にほとんど夏の緑色に変わってしまっている。一方、天気が良いため谷の奥に本仁田・川苔山がはっきりと見え、朝の光を浴びて山頂部の鮮やかな緑がたなびく雲と好コントラストをなしている。
◇8:00 終点奥多摩着。バスに乗車。登山客・釣り客で満たされたバスは立客も出るほどの混雑。
◇8:10 奥多摩駅発車。日原川は雨後のため増水しており、さらに川乗橋を過ぎた頃には茶色い濁流に変わった。車一台がやっと通れる程度のひどい悪路の日原街道も濡れており、所々に落石が。先刻まで日原一帯は土砂降りだったことが分かる。バスの客は、前回とは一転、川乗橋で下車した客は少数で、多くが鷹ノ巣山の登山客と日原川の釣り客。
◇8:43 想像を絶する山峡の村・日原の集落を抜け、終点の日原鍾乳洞バス停に到着。日原林道を歩き始める。青空が広がり、首筋が暑い。雨に濡れたばかりの木々の葉が太陽の光に映えている。日原川の濁流も急速に元の澄んだ色に戻りつつある。一方、林道歩きはやはり退屈で、しかも雨後のため所々ぬかるんでおり、靴が汚れて始末が悪い。しかしそれでも、天気が良く、行く先の美しい風景と写真の成果に期待が持てるため、許せる。
◇9:12 八丁橋通過。
◇9:15 その直後、後ろから来た車が目の前で停車。渓流釣りのおっちゃんが、大ダワ林道の入り口まで乗せてくれるというので便乗。おっちゃんは、恐妻から逃れて個人ないし友人との数人で谷の奥へ分け入り釣り糸を垂れるのは何よりも楽しいと言わんばかりで、恐ろしく快活。勤務先の米軍横田基地内のオンナ評価やら自分のフラフラ人生&遊び遍歴を機関銃のように聞かせる。なんのこっちゃ。
◇9:25 ちょっとスピードの出し過ぎではないか、と思っていたら、案の定「シューッ」という短い音とともにパンク。走り慣れた日原林道でこんなことは初めてだとおっちゃんは大いに狼狽。しかし一人きりで心細いということがないのは良かったと言いながら、気を取り直して修理。ジャッキ作業を手伝う。
◇9:45 修理完了。再び発車。
◇9:50 唐沢谷・富田新道への分岐点を過ぎたあたりで、ガケ崩れ車両通行止めのバリケードが。車を下りる。
◇9:55 おっちゃんの釣り支度完了を待って出発。石尾根・雲取の稜線と深い峡谷を眺め、下ネタで盛り上がりつつ前進。八丁橋から大ダワ分岐まで何カ所か良い撮影スポットがあったのだが、今回は仕方がない。
◇10:10 大ダワ林道への分岐到着。おっちゃんにお礼を述べて長沢谷へ下る。さっそく写真を撮りつつチンタラと歩く。
◇10:20 長沢谷到着。木橋の周辺は休憩に最適で、さらに周囲は苔蒸した原生林と清流が織りなす美しい環境。早速渓流の風景を撮りつつ、ラーメンを茹でて昼食。実にうまい。
◇11:30 知らず知らずのうちに長居をしてしまった長沢谷を後に、大ダワ林道の登りに入る。二軒小屋尾根への登りはきついが、目を転じると数人で囲むほどの巨木が林立する原始の森の表情が実に神秘的であり、感動的である。
◇11:40 ストックを長沢谷の休憩場所に置いてきたことに気付き、ダッシュで取りに行く。
◇11:45 再び出発。多少呼吸は乱れたが、クマ避けのためも兼ねて歌を唱うと、酸素が急速に吸収されて楽になる。
◇11:55 尾根の上に出る。ここで小休止。
◇12:10 出発。以降の大ダワ林道の登りは、時折足場が悪くヒヤリとする場所があるのを除けば、基本的に緩やかな登りが延々と続く道であり、歩きやすいことこのうえない。そして特筆すべきは、進むにつれてブナの原生林が一層見事に展開していることである。そこで自ずと撮影のための小休止が増えてしまう。感動の溜息の量も増す一方である。東京都内にこれだけ見事なブナの原生林が温存されていることは奇跡と言って良い。最早完全に大雲取谷・大ダワ林道の虜とならざるを得ない。
ぶな若葉 萌ゆる沢蔭 苔光り
◇14:00頃 すっかりチンタラとした登りとなってしまい、大ダワまでの残り道程がどの程度か気になり始める。ペースアップ。
◇14:30 急に空が暗くなり、周囲は霧に包まれ、腹も悲しいほど減ってしまった。小休止して燃料補給し、雷雨の可能性を恐れて奮闘モードに入る。この頃には周囲の森はカラマツやダケカンバ中心となり、霧の中でブナ中心の森とは違った新緑の美を醸し出している。しかしこの時ばかりは写欲は湧かず。いずれ撮りたいものだ。
◇14:55 大ダワ到着。急激に冷え込み、それまでTシャツ一枚で登ってきた体が凍え始める。あわてて着込み、スポーツドリンクを飲んで、雲取山荘までの最後の奮闘に備える。
◇15:05 出発。「男坂」を選択。シラビソ・コメツガの原生林と苔蒸した林床の風景に変わり、いよいよ奥多摩から奥秩父の世界に分け入ったことを感じつつ登る。
◇15:20 意外と早く雲取ヒュッテに到着し、さらに石楠花の花や大学ワンゲル部新人合宿のテント群を見ながら登ると、すぐに雲取山荘到着。宿泊手続きをする。
◇15:30 部屋に入る。戦前の建造による室内は大変古めかしく、暗い。まずは洗顔をし、体を拭いた後、身辺整理。
◇16:00 気象通報を聴きながらカメラ掃除。この時の感触では、翌日の天気はそう悪くないと踏んでいたのだが……。一方、外は激しい雷雨に。しかし気にしていても仕方がないので、持参のビールとチーカマを楽しみつつ、同室の人々(多くが還暦を過ぎた人)と歓談。
◇17:00 夕食。カレーと聞いていたが、実際にはおでんと味噌汁。後で聞いた話によると、雲取山荘の食事は、特に週末などは必ずカレー (しかもルウが薄く、タマネギとジャガイモがほとんど) で、すこぶる不評であるので、このような食事は喜ぶべきものであるらしい。あるいは、閑散とした平日 (この日の宿泊人数は15〜16名) ならではのサービスか。しかし、週末は一気に混雑し、特にゴールデンウィークには600人も宿泊して階段や玄関にまで人があふれ、食事は午後3時に始まって11時に終わる (!) という状況では、まずいカレーも致し方なかろう。食後、部屋へ戻ってヘッドランプの照明の下、読書。
◇19:00 他の人々が寝静まったのを待って、室内をバルブ撮影。
◇19:30 就寝。但し、実際に眠りに入ったのは相当後のこと(隣の老夫婦のいびきが大きいため)。
5月27日(火)
◇4:20 起床。身辺整理・布団片づけ・洗顔をする。
◇5:15 朝食。卵・味噌汁・海苔・漬け物という簡単な食事ながら、白い飯のうまさで満足。それにしても何故山での白い飯と茶はうまいのか。やはり水が最大の要因なのだろうか。朝食後は、時折襲う土砂降りの天気とにらめっこをしつつ読書及びコース検討をする。
◇7:00 天気予報で「平地は晴れている」という状況をつかんで見切り発車。一応レインスーツを着込んで出発準備。すると、太陽の光が差し初め、急に気分も良くなり写真撮影。
◇7:25 出発。雨上がりで湿った原生林に日の光が注ぎ込み、ドラマチックな原始の森の朝が展開する中を期待を込めてゆっくりと登る。
◇7:55 雲取山頂到着。周囲は新緑のカラマツ林が朝の光に光輝く意外全てガスの中。しかし頭上だけは青空が広がる。本当に青空と白い雲が近い。昨日おっちゃんにもらった缶コーヒーを飲み、記念写真を決め込み、カラマツの新緑を忙しく撮り回る。
◇8:40 山頂を出発。避難小屋の中を覗くと、新しく余りにも清潔な室内に感動。次回以降は寝袋と食事持参でここに泊まるのも実に良さそうだ。日没と日の出を山頂に居ながらにして楽しむことが出来そう。石尾根最上部の防火帯の中を軽快に下る。周囲はカラマツの新緑が霧に包まれているだけだが、晴れていればさぞかし眺めの良い道なのだろう。
◇9:30 町営奥多摩小屋前通過。この前後からミツバツツジの数が増える。
◇9:40 ブナ坂で鴨沢への道と別れ、七ツ石山への登りに入る。空からは雨が……
◇9:55 七ツ石山到着。しかし雨のため通過。直下の木陰で休憩。
◇10:05 出発。その直後、鷹ノ巣山避難小屋に泊まっていた人とすれ違い、会話。
◇10:10 再び出発。石尾根の尾根のすぐ下を通る縦走路をひたすら進む。次第にツツジの数が増える。
◇10:30 白樺・ブナの木々の新緑とミツバツツジの桃色の花の組み合わせが素晴らしい所へ来たと思ったら、千本ツツジの下に到着。とりあえず、「一目千本のツツジの絶景」に期待しつつ頂上に登るが、山頂を彩るレンゲツツジはまだつぼみの段階。拍子抜けしてすぐに分岐まで下り、燃料補給ののち、縦走路の新緑とミツバツツジの撮影を楽しむ。
石尾根や みどりの霧に つつじ映え
◇11:10 出発。ひたすら縦走路を進む。この時間には下の方のガスが取れて、奥多摩湖の水面は勿論の事、大菩薩方面の山々の中腹が光に照らされて映えている様子が見て取れる。縦走路は平坦で極めて快適だが、たまに足場が悪い場所が現れる。
◇12:00 鷹ノ巣山避難小屋到着。雲取山荘以来前後しつつ同じ行程をたどって来た人々にコーヒーを御馳走になりつつ昼食のラーメンを作り、味わう。この時間、日原及び峰谷から登ってきた人々が続々と避難小屋に到着し、思い思いに昼食をとっている。
◇13:00 避難小屋を出発。すでに時間の都合上、そして展望が効かないという判断のもと、鷹ノ巣山に登ることは諦めていたが、出発前の荷造りをしている間は、そのまま予定通り石尾根を縦走して奥多摩駅に出るつもりでいた。しかし小屋を出ると、空の色が俄然怪しい。そこで、急遽予定を変更して浅間尾根を通って峰谷に下りることに。この選択は、実際に夕立があったことにより、完全に正しかった。あとで峰谷橋から一緒にバスに乗ったおじさんの話では、鷹ノ巣避難小屋で休憩していた人々は殆ど石尾根経由奥多摩駅のルートへと向かったということだが、石尾根は最後の下りが非常に滑りやすく、雨天時はとても恐ろしくて歩けないので、今頃どうなっていることやら、とのことである。 峰谷に下りる道は、標高が高い場所はやはり落葉樹の原生林が美しいが、途中から杉の植林が増えてつまらなくなる。まあ致し方あるまいか。
◇13:55 明るいカラマツの植林の中で小休止。14:00に出発
◇14:15 浅間神社のすぐ下のヤマツツジ群生地で、偶然にも雨による傷みを免れているヤマツツジの花を発見。しばし撮影。
◇14:25 出発。暗い杉林へ突入。
◇14:40 目の前が明るくなると、奥集落を見おろす高台に出る。三頭山が望まれるので、絵にはならないが一応撮影。その直後から夕立が降り始める。集落の中を急いで歩く。自動車道を外れて再び登山道の下りに入る前にザックカバーと傘を取り出す。
◇14:50 夕立本降りに。傘をさしても半分濡れねずみとなる。さらに峰谷へと下りる途中、雰囲気の良い山の民家を撮影。
◇15:20 峰谷バス停到着。バスは朝・昼・夕方の1日3本しかなく、夕方のバスの時間17:00など待っていられないので、そのまま前進。峰谷の集落は、民家の数に対して商店の数が異様に多く、よく商売が成り立つものだと不思議に思う。留浦からのバスが峰谷橋を通る時間が気になり、ペースアップ。そしてダッシュ。結局峰谷〜峰谷橋の間を走ったのが2日間で最も疲れた体験となる。
◇15:52 峰谷橋バス停到着。橋のたもとには、戦前小河内ダムの建設に従事して事故に遭遇した台湾人のための「台湾人慰霊碑」がある。バスの時間は僅か4分後! 実に運がよい。
◇15:56 バス到着。やはりバスを待っていた通学の小学生は、バスが接近すると瞬時に、自分のお気に入りの運転手であることを確認して大喜びしている。都会では考えられない光景である。バスの車中で、やはり鷹ノ巣避難小屋前で昼食を食べ、自分とほぼ同時に峰谷橋まで到達したおじさんと会話。
◇16:25 奥多摩駅前到着。本仁田山の方面には青空が。
◇16:46 立川行き発車。鳩ノ巣・古里・川井・御嶽で確実に登山帰り客が増加し、沢井でリュックと澤ノ井を持った人々が乗り込むと、車内の座席はほぼ完全に登山帰りの中高年で埋め尽くされてしまった。そして青梅から先はさらに帰宅のサラリーマン・OLが乗り込み、4両編成の電車は相当な混雑。
◇17:53 立川着。駅構内はものすごい人波。キヲスクで売られている夕刊紙の見出しは、あの全国を震撼させた神戸小学生首切り殺人事件の第一報。完全に俗世に帰ってきてしまった。
(帰りの電車の中の光景に俗世を感じてよめる)
三十路女が 顔のしわ寄せ たまごっち
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こんばんわ。
過去レコにはお邪魔しますので、ガンガン上げていただけると助かります
こんばんは、過去レコをご覧頂きありがとうございます
ポジフィルムをデジタル化するのが結構面倒臭いですので w、ガンガンというわけには行かないです (滝汗 )。20代の頃は、全然変わったところは行っていないですし……
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