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Yamareco

記録ID: 2314596
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
甲信越

苗場山(過去レコです)。

2009年07月11日(土) ~ 2009年07月12日(日)
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onisan その他1人
GPS
32:00
距離
14.2km
登り
1,261m
下り
1,252m
天候 晴れ。
過去天気図(気象庁) 2009年07月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
 豊田飯田ICで高速道路を降り、R117で秋山郷へ。
コース状況/
危険箇所等
危険個所はありません。
2009年07月12日 05:52撮影 by  u780,S780 , OLYMPUS IMAGING CORP.
7/12 5:52
撮影機器:

感想

7月の第2週末に登る山に苗場山を選んだ。苗場山は長野と新潟の県境の山、登山口までの行程が長いので、土曜日は秋山郷の小赤沢に宿泊し、翌日、日帰りで苗場山に登って岐阜まで帰るか、或いは頂上の小屋で泊まるかどちらにしようかと迷ったが、余裕を持って登り、頂上をたっぷり味わうため後者を選んだ。09年7月11日、車の中でラジオが東海環状道路の関・富加ICと美濃加茂ICの間で事故があり現在通行止めとなっていると云っている。各務原ICから東海北陸道、一宮JCTから名神高速道、小牧JCTからは中央自動車道に乗り、岡谷JCTから長野道、梓川SAで一度トイレ休憩し、更埴JCTから上信越自動車道を経て豊田飯田ICで高速道路を降りる。国道117号線を千曲川に沿って北上し、野沢温泉への道を分け、津南から秋山郷への道に入る。2車線の道はいつしかセンターラインが無くなり、川沿いの細い道を走ることになる。秋山郷に入り、萌木の里、大赤沢を通り小赤沢に到着。苗場山3合目への入り口に入り、細い林道をぐねぐね走る頃には、ナビは空中を飛んでいる。和山温泉からの道と合流するとようやくナビにも道が表示され、見通しの悪い霧の中、フォグランプをつけてゆっくり走る。3合目の駐車場に着くと、霧の立ち込める広い駐車場には沢山の車やバスがとまっているが、まだまだ余裕はある。綺麗なトイレもある。仕度を整え、腰も少々痛いのでロキソニンを服む。11時半、クマに注意とか、遊仙閣は休業していますとか、登山カードボックスとか、幾つもの立て札がある登山口に入る。暗い登山道はいきなりのグチャグチャ道。スパッツは着けていない。比較的なだらかな道、ブナの根っ子がからみあった階段をゆっくり登る。すぐに汗が出始め、長袖シャツを脱ぎ、Tシャツだけになり、さらにゆっくりゆっくりと登る。二人連れのおじちゃん達を先にやり、時間はまだまだたっぷりある、幾らゆっくり登っても明るいうちに小屋まで行けると、ゆっくり登る。4合目の水場で昼食を摂っている先ほどの二人組みを後にし、わたしは休まず登る。少し慣れてきたのでペースも少しはやくなる。ぬるぬる、どろどろ、泥沼状態と化した登山道には、「お釜の蓋」の形をした輪切りの木が並べてある。泥にまみれて黒くなった木は最初は石に見え、石に木の取っ手が釘で打ち付けてある、不思議だなと思ったが。所々お釜の蓋が飛ばされているが、深い足跡が付いていない所には、見えないけれどもお釜の蓋が泥の中にうまり込んでいるので、そこを渡れば良い。タカネニガナの黄色い花、コイワカガミの赤い花がちらほらと、そしてゴゼンタチバナが惜しげもなく群生。ムシが顔に纏わりつき、目や鼻や耳、口の中にまで入ってくる。モミジカラマツ、房状の純白の雄蕊が四方に広がるさまは、線香花火が散る姿そのもの。○合目まで○○分と書かれた所要時間、大幅に遅れて登る。時間から見るともうとっくに6合目は過ぎただろう、そろそろ昼食にしようと、登山道に座り込んでオムスビを取り出す。例の二人組みがわたしを追い越して行く。じっとしていると寒くなり、オムスビを食べ終わって早々に出発すると、30秒も経たないうちに「6合目」の倒れかけの柱が現れる。左程遅いと思っていなかったので、ガックリ。水場で団体さんが休んでいて、これから下っていくようだ。先ほどから行き交う人も多くなり、今晩は小屋泊まりの人はそう多くは無さそうだ。道から外れた場所に咲くキヌガサソウを見つけて、例の二人組みが写真を撮っているのを片目にわたしは先に進む。ロープやクサリの掛かった急登が続く。谷側が崩れかかった道を慎重に渡る。7合目は知らないうちに通り過ぎ、気が付くと「8合目」の柱が現れる。そしてひとふん張りして急坂を登ると、パッと山頂台地の一角に飛び出る。何処までも広がる湿原に、木道が一本続く。ここからはもう急な登りは無いだろうと、ホッとして一息ついていると例の二人組みもやって来る。「どこから来たんですか?」と尋ねると、一人は川崎、一人は前橋と云う。「じゃ、和田小屋からの方が近いのでは?」と云うと、「小赤坂からの登山道が一番楽だから」。へ〜、和田小屋からの方が楽なのかと思っていたが、これは間違いのよう。ラッパ状の黄色い花を眺めていると、前橋の人が「オオバミゾホウズキ」、釣鐘様の白い花は「アカモノ、赤い実がなるんだよ」、これまた釣鐘様の赤い花は「ウラジロヨウラク、葉の裏が白いでしょう」、ふちに波状のしわがある花は「イワイチョウ、葉がイチョウの葉に似ているでしょ」と、何でも知っている。二人組みを先に行かせ、わたしはゆっくりと景色を堪能しながら木道を歩く。ワタスゲが風になびき、すでに紫褐色の絹毛が開いて羽毛状と化した辺り一面のチングルマも揺れている。まだ7月の中旬に入ったばかりなのに、白いチングルマはチラホラ見かけるだけ。苗場山頂、さすが日本有数の豪雪地帯、未だ雪渓も残っているが季節の移り変わりが早い。あちらこちらに池塘が現れる。池面に何も無い水だけの池塘から、スラリと真っ直ぐに伸びたミヤマイが集まって、池面に緑色の線が引かれたように見える、これぞ池塘と云ったものまで、風情も色々、形も色々、大きさも色々。茫々たる広大な霧の湿原、これは絵になるなと写真を撮り、デジカメのレンズを閉じていると、木道の滑り止めの出っ張りに躓いて湿原に倒れこむ。池塘の周りで、小さなモウセンゴケが草むらに埋もれているのを発見。木道をぶらぶら歩き、赤倉山分岐に至る。振り返れば沢山の池塘が光る湿原の向こうに、雲におおわれた山々が連なる。ワタスゲ、チングルマ、イワイチョウに混じってティアラを冠ったミツバオウレンもちらほら。木道が切れ、潅木の中の大岩が転がる泥道となり、滑らないように気をつけながら岩に登ったり、泥沼に入ったり。登山靴は勿論のこと、ズボンも裾まで泥だらけ。おまけにムシの大軍、先ほどまでの天国のような頂上湿原がウソのよう。ここを抜け出すと再び湿原の木道歩きとなる。コバイケイソウの群生。木道はなだらかな傾斜で上がり、発電機のぶ〜んという音が聞こえ始め、登りきったところに苗場山ヒュッテが建っていた。登り始めてからおよそ4時間半、標準時間より1時間も長くかかったが、それでもちょっと疲れたな。ヒュッテは新しく建て替えられ、「苗場山自然体験交流センター」と名づけられた立派な建物である。玄関を入ると、廊下を挟んで右手に受け付けとトイレ、左手に畳敷きの食堂。廊下の奥が宿泊場所となっている。受付けをし、明日の朝食は弁当にしてくれと頼み、案内された場所は垂直梯子を上った2階の棚状の寝床。すでにおばちゃん達が占拠している一角を頂く。本来なら二人分のスペースを3人で使用するため、敷布団は横向きに敷かれている。客の少ないことを期待していたが、どうやら今晩は満員のよう。頭の上には棚があり、その上は布団置き場だろう、ザックを置いておくにピッタリ。夕食は6時半から、まだたっぷり時間はあるので、小屋のスリッパを履いて外に出る。「見晴台まで30秒」との案内に従って泥道を行くと、ベンチがある。そこに坐って柿ピーをサカナに缶ビールとウイスキー。霧がかかって真っ白な世界であるが、強い風に霧が流され一瞬向こうに山が現れる。風はササに遮られているとは云え、長袖シャツ姿では少々寒い。小屋へ帰って夕食までの時間、横になる。6時半に夕食の館内放送が流れ、受け付けでカレーライスを貰い、食堂でポテトサラダとラッキョウを皿に盛り、缶ビール。本日三回目、これで最後の夕食なので机には余裕がある。カレーライスはお代わりが出来るが、お代わりしたいほどのものでもない。さっさと食べ終わって寝床へ戻り、何もすることが無いので横になる。寝返りする余裕もあるが、まだ7時、寝付かれない。9時の消灯時間を過ぎてもウツラウツラ、いつもの如く眠っているのかいないのかわからない夜を過ごした。
 翌朝は暗いうちからゴソゴソという音や話し声が始まり、4時に起床。4時50分に小屋を発ち、まずは山頂へ。徒歩1分、休館中の遊仙閣の裏に「苗場山山頂 標高2,145.3M」の柱が立っている。柱が無ければ「これが山頂?」、山小屋のただの裏庭にしか思えない。曇り空、ご来光は無く、雲の切れ目が赤くなり始めている。5時10分、下山開始。澄んだ空気を胸一杯に吸いながら木道を下る。今朝は遠くの山々も見渡せる。天上の湿原を充分に堪能しながら湿原台地の端に至り、別れを惜しんで木道のテラスに坐り、小屋の作って呉れた朝食を取り出す。大した弁当では無いが、朝のひんやりした高原で食べる弁当は格別。名残惜しいが湿原台地と別れ、急坂を下る。朝も早いのにもう登ってくる人がいる。おそらく駐車場での車中泊だろう。7時も過ぎると登ってくる人と行き交う事が多くなる。その人達は一様に、「もう登ってきたのですか?」と驚く。常識的にはこんな朝早く下りてくるのは、山小屋泊りの人だと思う筈だが、皆さん自分達と同じ日帰り登山だと思っている。自分中心でものを考え、自分以外の考えを容れない人達が多い事に改めて驚く。滑らないよう気をつけながらゆっくりと下り、コースタイムよりおよそ一時間余分の3時間40分かけて無事駐車場に帰り着いた。
苗場山はスキー場というイメージしか無かったが、汗を掻き、ムシに刺され、どろどろになって登ったものだけしか味わえない天上の世界であった。

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