剱岳


- GPS
- 40:23
- 距離
- 15.9km
- 登り
- 1,810m
- 下り
- 1,810m
コースタイム
17:32室堂〜17:55ロッジ立山連峰(宿泊)
●10月7日(日)
05:29ロッジ立山連峰〜06:56剱御前小屋06:56〜07:30剱沢キャンプ場(テント設営&朝食、天気待ち)10:09〜10:34剣山荘10:48〜11:13一服劔11:13〜11:56前剱11:56〜12:50平蔵のコル12:50〜13:23剱本峰13:43〜14:12平蔵のコル14:12〜15:12 3番鎖直下で遭難者介助の手助け15:30〜15:40一服劔15:40〜15:54剣山荘(山岳救助隊員の方に状況報告)16:05〜16:32剱沢小屋16:36〜16:44 剱沢キャンプ場(幕営)
●10月8日(月)
06:46剱沢キャンプ場〜07:26剱御前小屋07:33〜07:42剱御前山07:55〜08:04剱御前小屋08:04〜09:02雷鳥沢キャンプ場09:11〜09:55室堂
天候 | 10月6日(土):高曇り 10月7日(日):曇り時々雨 山頂付近はみぞれ&雪 10月8日(月):快晴! |
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過去天気図(気象庁) | 2012年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
扇沢市営無料駐車場(15:15頃到着時点でほぼ満車) この3連休、市営無料駐車場は通常の場所に加えて少し下ったところも開放されていた。 <立山黒部アルペンルート> 関電トンネルトロリーバス/片道:1500円、往復:2500円、手荷物10kg以上で200円 黒部ケーブルカー/片道:840円、往復:1260円、手荷物10kg以上で100円 立山ロープウェイ/片道:1260円、往復:1890円、手荷物10kg以上で150円 立山トンネルトロリーバス/片道:2100円、往復:3150円、手荷物10kg以上で150円 運賃と手荷物料トータルで往復1人9,400円 立山黒部アルペンルートの時刻表など詳細は下記より http://www.alpen-route.com/access/index.html |
コース状況/ 危険箇所等 |
【登山ポスト】 室堂ターミナルにあり。 【コース状況】 この時期すでにかなり寒く、早朝はフライシート、ファスナーも凍結。 積雪も始まっているので、アイゼンや防寒着など冬山装備で入山する必要あり。 ●室堂〜雷鳥沢キャンプ場〜雷鳥坂〜剱御前小舎 室堂から雷鳥沢キャンプ場までは石畳のとても整備された道。しかし意外とアップダウンが激しい。 雷鳥沢危険箇所は特になし。 ●剱沢キャンプ場〜剣山荘 剱沢小屋付近からしばらくは開けた岩ゴロの道となるのでガスが濃いときは道迷いに注意。 剱沢小屋でテントの受付をお願いしようとすると、 「管理人さんが山を下りたため、勝手に使ってくれ」とのこと。 水場は水は勢い良く出ているが、この時期の早朝、飛び散った水は凍結していた。 ●剣山荘〜一服剱 前半はガレ場、後半からクサリが現れ始め岩場っぽくなる。 ●一服剱〜前剱 一服剱からいったん下り、登り返した辺りから浮石と落石に注意が必要。 この辺り下りでの事故が多いとのこと。感想に記したがこの日も滑落者あり。 ●前剱〜剱本峰 危険箇所のオンパレード。雨の日や雨後の岩が濡れている場合はさらに要注意。 これからの季節は凍結するのでアイゼンは必須かと。 |
予約できる山小屋 |
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写真
感想
先々週に傷めた右足首。
紅葉がピークのこの三連休までに回復するかどうかこの2週間気を揉んで過ごしていたが、
多少の違和感はまだ残っているもののだいぶ回復し、
何とか決行できそうな状態まで漕ぎ着ける。
目指すは紅葉の剱。まだまだ無理はできないので欲張らずに室堂からの往復で。
当初は6日(土)から2日間の予定だったが、7日(日)の天気予報が芳しくない。
予報では6日夜〜7日午前は雪になり、午後以降に回復。8日(月)は好天になるとのこと。
ならば7〜8日にスライドするのが理想的。
だが、8日は予定があり17時までに都内に戻っている必要がある。
8日朝に剱に登り、連休最終日の中央道を通って17時に都内にいるなんて土台無理な話。
「さてどうしよう」と頭を突き合わせているのが、すでに金曜夜22時過ぎ。
いろいろと検討した結果、6日遅めに室堂に入り小屋泊。
7日午前早めに剱沢キャンプ場でテントを張り、天気待ちをして、午後に剱往復。
そして8日はAM中に扇沢まで戻るというちょっとゆったり贅沢プランで決行することに。
ただ心配なのがこのピークで、小屋が空いているかどうか。
■10月6日(土)
朝早く起きて室堂付近の小屋に電話を掛けまくると、
運良くロッジ立山連峰に個室が空いてるとのこと。すぐに予約をして8時30頃に自宅を出発。
しかし、初っ端からアクシデントに巻き込まれる。
中央道談合坂を過ぎた右ルートと左ルートが合流する直前でトラックが横転し、
積んでいたガスボンベが爆発するという事故現場にちょうど居合わせることに。
事故は起こったばかりで目の前で炎が上がっている。そして2回ほど大爆発が起こる。
これにより2〜3時間ほど足止めをくらい、扇沢到着が大幅に遅れることに。
(大きな事故だったが、運転手含めて死者や怪我人は出なかったことは幸い)
結局、室堂に到着できたのは、すでに暗くなり始めた17:30。
ハイシーズンのはずなのにもはや人影はほとんどなし。
寒風が吹く中、ヘッデンを付けて18時前に何とかロッジに駆け込む。
すぐに夕食を食べ、温泉に入る。
温泉は地獄谷の硫黄臭のためか、硫黄臭い少し白濁した温泉だと勝手に想像していたが、
実際は無色透明でサラッとした無臭のお湯。温度も絶妙でとても気に入りました。
さらにこの辺りの宿泊施設は山小屋とは一線を画していて、
水洗のキレイなトイレ、そして温泉にはシャンプーや石鹸があり驚き。
■10月7日(日)
濃いガスの中、5時半前にロッジ立山連峰を出発。
ガスってはいるものの、雷鳥坂から立山三山&雷鳥沢の紅葉が素晴らしい。
雪が少し積もった剱御前小屋を過ぎて、
剱沢キャンプ場に向かう途中で一瞬ガスが薄くなり、
錦繍に彩られた剱岳が姿を現した。
厳しさと美しさが同居した神々しいまでの存在感に大感動。
剱沢キャンプ場でテントを設営後、小屋で用意してもらったお弁当を食べて、
昼寝(朝寝?)しながら天気の様子見。
天気は回復するとの予想だったがしかし、むしろ悪化傾向に。
あまり遅い出発になると帰りが暗くなってしまうので、
仕方なく10時過ぎにキャンプ場を出発。
この日は前日夜からの降雪のためか、すれ違う人も少なめ。
さらにこの時間から登る人はあまりおらず、
静かに歩くことができたのがせめてもの救いか。
一服剱の手前から雨が降り出し、その後は降ったり止んだりを繰り返す。
その雨も高度が上がるとみぞれ、そして時おり雪に変わる。
岩は濡れていてかなり滑りやすくなっている。そしてここは剱。
いつも以上に慎重に進んでいく。
前剱から剱本峰までの難所も無事通過し、山頂に到着。
山頂の祠が無くなっていてちょっと残念。
聞く所によると9月に落雷で破壊されてしまったとのこと。
さて下山。
登り以上に気を引き締めなきゃと自分に言い聞かせて、ヨコバイなどをクリア。
ガスのため視界不良で、何度か道を失いそうになるが大事には至らず。
濡れたガレ場の下りは滑りやすく、足首サポーターを巻いているものの、
ちょっとした拍子に負担がかかり右足が少し傷み始め、より慎重に歩を進める。
ちなみにこの日はガスっていたので、登山道には雷鳥がウジャウジャ。
剣山荘から剱本峰までの往復で計12羽の雷鳥と出会う。ゲロゲロ言いながら飛んでたり、
3〜4羽まとまって登山道を塞いでいたり。最後の方はありがたみも薄れてしまって…。
そして、今回2度目のアクシデントに遭遇。
一服剱目前のクサリ場(3番)を過ぎると女性が倒れているのが見える。
2人組の1人がちょうどケータイで救助要請の電話をしている。
状況を確認すると滑落し頭と背中を強く打って動けないとのこと。
頭からは出血しているが意識はある。
連れの方が落ち着いて対応していらっしゃり、
ツェルトやレスキューシートなどの緊急装備もお持ちだったのでひと安心。
山岳救助隊の到着までにはまだ時間がかかる。
連れの方がいれば、大勢でこの場に留まっていてもできることはないと判断。
じっとしていると必ず寒くなるはずなので私たち2人分のフリースを預けて、
山岳救助隊の方に場所と状況を伝えるために下山開始。
しかしこのタイミングで雨が強くなり始めたのでちょっと心配になるが、
ちょうど剣山荘で山岳救助隊と合流し状況を説明。連絡先を伝えて剱沢キャンプ場に戻る。
前剱からのガレ場の下りは、難所を過ぎて緊張感がなくなるだけでなく、
足の疲労も蓄積しているので事故が多いとのこと。それに加えてこの日は雨。
(翌日、連れの方と連絡をとると、打撲で済んだとのことでホントに良かった…)
ただ、ヘルメットをかぶっていればもう少し怪我が軽度で済んだかもしれないので、
やはりこの山に登る場合はヘルメットは装着した方が良いと改めて思った次第。
■10月8日(月)
4時起床。寒い。なかなかテントから出られず。まずはラーメンを食べて暖まる。
フライシートはファスナーも凍結。
おそらく氷点下だったのでは…(ただ単に寒がりなだけ?)
しかし天気は快晴、空気は澄み渡っている。
昨日は全貌を見せてくれなかった剱岳が目の前にくっきりと佇んでいる。
そして、モルゲンロートが始まる。
ゆっくりと撤収して7時前に出発。
美しい紅葉の剱沢を何度も剱の方を振り返りながら歩き、剱御前小舎に到着。
剱御前山まで登ると、ここからの眺めがまた素晴らしい。
手前には見事に紅葉した立山三山や奥大日岳の姿。
そしてその奥に槍穂、黒部五郎、薬師、白山、そして富山湾がキレイに見える。
「来て良かった」と心から思える瞬間です。
写真を撮りまくりながら雷鳥坂をゆっくり下り、10時前に室堂に到着。
今回、雷鳥沢からみくりが池までの登り返しが一番キツかったかも。
最後の最後であの階段はホントに堪えます。
立山黒部アルペンルートで予定通り、お昼前には扇沢に戻り、
中央道で渋滞に巻き込まれたものの17:00前には都内に到着。
いろいろなアクシデントがあった山行でしたが、
どれも大事には至らなかったのがよかった。
今回、「登る」剱は残念ながらガスガスだったが、「見る」剱には大満足。
さらにガスに煙る紅葉と青空の紅葉と両方を満喫することができた。
そして怪我をした右足首がほぼ治り、紅葉シーズンに間に合ったこと。
そして無事に歩き通せたことで、また山に登れるようになったことが何よりうれしかった。
前から「10月の3連休は剱へ行こう!」と、
この日のために、毎週欠かさず山へ行き、体力をつけてのぞんだ今回の山行。
体調は万全、準備も万端だったはずが…
danyamaも書いているとおり、最初から出鼻をくじかれ、
その後もいくつかのトラブル(?)がつづき、やや自信をなくしてしまったものになってしまった。
■10/6(土)
この日はロッジ立山連峰に宿泊。
私は山小屋と呼ばれるところに宿泊するのは2度目で、
はじめて泊まったのは冬の燕山荘。
燕山荘も快適な山小屋だったけど、
ここロッジ立山連峰は、もう山小屋とは言えないくらいの快適さ。
温泉有り、毛布・掛け布団あり、きれいなトイレあり、洗面所あり…
(おまけにビールは500ml缶が500円。安い!)
翌日には朝風呂に入ったりと、すっかりくつろいだ気分になった。
■10/7(日)
朝5時半、くつろぎ気分を引き締めて歩きはじめる。
はじめて背負う10キロ以上のザックがズシンとのしかかり、
バランスがうまくとれないため、一歩一歩慎重にゆっくりと先を進む。
それにしても、立山三山と雷鳥沢の紅葉が素晴らしかった。
何度も何度も振り返り、景色を堪能。
もしかしたら、こんなにすごい紅葉をみたのは初めてかも!
標高をあげていくと少しずつ寒くなってきた。
剱沢キャンプ場は、じっとしているとかなり寒い!
朝ごはんを食べてから、テントの中でしばらく天気待ちをしていたのだけど、
シュラフにもぐっても、歯がガタガタするほど。(寒がりなもんで…)
動いていないと、どんどん冷えそうなので、
横でうたた寝しているdanyamaを起こして剱岳へ出発することに。
天気待ちをしたわりに、小雨が降り、ガスもすごい。しかも寒い。
こうなるとテンションは下がる一方。。
そんな気分で登っていたら、岩にかけた足が滑り、
どこかにつかまることもできなくて、1.5mほど滑落。
膝と太ももを思いっきり打ってしまう。
しばらくは、恐怖と大事に至らなかった安堵感で体が震えて力が入らない。
体が浮いた瞬間の怖さは、下山した今でも思い起こされるほど。
その後も、天気はどんどん悪くなる一方で、下山してきた人から、
「上は雪が降っている。滑りやすいから気をつけて」と言われ、
恐怖感はますます募るばかり。
「私、本当に山頂まで行けるんだろうか…」何度そう思ったことか。
でもこの思いを振り払うように、慎重に慎重に、
これでもないくらい慎重にのぼり、難関といわれるカニのタテバイなどもクリア。
ようやく山頂へ。
いつもなら達成感でうれしく思うところだけど、
今回ばかりは「下山こわい…」と早々に下山の恐怖を考えてしまった。
予定以上のタイムで無事下山できたときは、
やや放心状態。そのままテントの中に倒れこむ。
しばらく休んで、danyamaがつくってくれた温かいごはんを食べて
ようやく元気を取り戻した。
今思うと、自分の滑落、あと下山時に遭遇した滑落事故など、
体力的というより、むしろ精神的に疲れてしまったのだと思う。
この日はそんなこんなでクタクタで、早々に就寝。
■10/8(月)
朝、まだ暗いうちに起床。
よく眠れたので、体調も心もすっかりもと通り。
まだ暗い空に見える満天の星で、テンションもアップ。
そして陽が昇ると、真っ青な空と赤と黄色のコントラスト。
何度も「すごーい!」と連発しながら下山する。
前日の過酷さとは打って変わって、穏やかで雄大な山々。
いろいろあったけど「やっぱり来てよかった!」と思うことができた。
とはいえ、反省点や思うことの多かった今回の山行。
最近一人で歩いたりして、ちょっと自信がついてきたところだったけど、
“剱様”は私のこの自信を、フッといとも簡単に消し去った。
この経験はしっかり心と体に刻み、次にのぞみたいと思う。
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