奈良岳周回 (ブナオ林道-境川ダムショートカット)
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- GPS
- 12:10
- 距離
- 32.7km
- 登り
- 2,764m
- 下り
- 2,763m
コースタイム
天候 | 曇りのち雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
自転車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
<ゲート-大笠山登山口> ダムまで自転車使用。落石などの通過障害はなく特に問題なし。6月1日からゲートが開きます。ビジターセンターのトイレはすでに開いてました(使用はせず)。 <大笠山登山口-前笈> 倒木の処理がされている。 <前笈-大笠山> ところどころ残雪あり。アイゼン・ピッケルは使わなかった。 1550mのポコを左巻きするところでクマに唸られた。 <大笠山-奈良岳> 下り始めてすぐにヤマザクラに出迎えてもらえた。 一部崩壊地あり。滑落注意。笹刈りされていた。ありがとうございます。 以後稜線沿いや鞍部谷筋に残雪あり。ところどころ登山道を外れて使用する。 <奈良岳-ブナオ峠> アップダウンの繰り返し。整備は大笠-奈良間よりもさらに良くなっている。 <ブナオ峠林道> クマに唸られた… <林道からタカンボウ山トラバース> 国土地理院地図には点線で登山道として表記してあるが限られた方しか用いていない道。 入り口には階段があるので探せば見つかる。以後終始背丈ほどの笹薮。 入ってすぐに倒木があり迷う。よく足元を見ればトレースが分かるので慎重に探せばよい。リボンであちこちにマークされている。 タカンボウ山方面への登りは尾根通しで途中には素敵なブナ林が広がる。 そのうち道はジグザグとなる。4-5回繰り返すとトラバースに入る。 沢を一つ超える。 少し開けたところに出るので、あとは基本的には迷うような支尾根もないので稜線沿いに降りればよい。 が、途中からマークはなく時々ロスト。 ヌタ場が各所にあり、ここは公衆浴場かと思うようなところも… そうなると周囲には獣道もあり更に迷う。 よくよく見れば足元に階段がある。 最後の最後に道をロストしクライムダウンまがいの下降になった。 Nishidenさんの分析を参考にしてください。 |
写真
感想
石川・富山県境の山、奈良岳に行きたい。Nishidenには富山百山の97番目の山として、シンモンさんには自身の住む金沢市の最高峰という理由があった。
奈良岳には北側からブナオ峠、赤摩木子山、見越山を経て、南側は桂湖の南端から大笠山を経て達する。ブナオ峠ルートが所要往復5時間半と短く一般的で、大笠山経由は10時間を越え、奈良岳-大笠山間は破線の難路だ。しかし僕もシンモンさんも桂湖-ブナオ峠の縦走踏破を志向した。この場合の登山口間の所要時間はブナオ峠から約8時間半、逆が9時間で、車2台で1台を終点にデポするのが最も容易だ。しかし今年の事情として、ブナオ峠の林道が冬季閉鎖でなく道路の破損・決壊による通行止めで開通時期は示されていない。国道からの行き来を歩いて(一部走って?)いるHIGEDANSYAKUさんのレコが最近あったが、それよりはブナオ峠から桂湖境川ダムまでの山道を使う周回にしようと考えた。桂湖への道路にしても例年GWから5月半ばには冬季閉鎖解除になるのだが、今年は新型コロナ影響で開通が6月1日となった。6月を待って実施との案もあったが2人の都合なり思惑があり、5月31日この日にやるしかない。そこで境川ダムまで自転車アプローチということになった。
3時ゲート前に集合、自転車で標高差280m登って境川ダム、歩いて約4kmで大笠山の登山口となる。計画ではダムまで出発前準備を含めて1時間、登山口までさらに1時間としておいたが、3時ほぼぴったりに出られてダムまで30分で着き、そこから徒歩もハイペースで40分で登山口に着いた。5月31日の日の出は富山市で4:34、明るくなってから登り出すつもりだったのがヘッ電登山となった。でも間もなく東の空が赤く染まり、明るくなっていった。但し曇り空で日の出を含めて太陽を見ることはなかった。
大笠山へは、僕は2017年4月30日に登って以来2回目。シンモンさんは2,3度行ったと言っていて登山道の様子には僕より明るい。僕の場合前回は900mの標高点より上は雪道だったので夏道の様子は分からない。初っ端の梯子と鎖場に続く急坂は記憶通りだが、900Pから前笈ヶ岳に至るまでこんなに急坂続きだったっけという感じだった。前笈から後に3つのピークが続き、そのアップダウンに早くもうんざり感が出てくるが、これはその後の前哨戦でしかない。最後の鞍部から標高差300m余りを一気に登って大笠山へ。登山口から3時間半の良いペース。14時間余りと読んだ計画所要時間より遅くはならないだろうとの見当はついた。
奈良岳へは、大笠山から距離2.5kmをかけて最低鞍部まで下り、そこから距離500m程度で奈良岳に上がる。下り部分は全体にはなだらかだが、細かいアップダウンがあり、部分的に急坂があり、そして残雪と夏道の行き来がある。眺望に優れ、春の花が咲き、飽きない部分ではある。僕が驚き嬉しかったのがカタクリで、その数、密度ともかって見た覚えのないものだった。シンモンさんには初めてでもないらしかったが。道の中にもいっぱい咲いていて踏まずに通るのに気を使う、というのも通行者が少ないここならではの感がある。この区間が整備状態にも乏しい難路と、ガイドブックにもレコにも記述があるのだが、入ってみると綺麗に刈り払われていて、何だ大丈夫じゃないかと思ったのは前半部分。後半は崩壊地など危険場所が繰り返しあって緊張し、なるほどであった。
本日最大の目的地、奈良岳に到着。登って来た背後に大笠山が大貫録で聳え、その間の落差に達成感一入である。富山百山達成を目指して、この冬は12月1日から3月28日まで15座を登ったが、その後2ヶ月かけてやっと一つ増やせた。ビールで乾杯と行きたいところでもあるが、今日は残りも長く厳しいのでアルコール飲料は持ってこなかった。その代わりシンモンさんが運んだコーラで乾杯、ビールに劣らず美味かった。写真を撮りまくり、少し長く休憩したが、さて今日はこれからも長い。
奈良岳から見越山へは直線距離で800m、標高差120m下りて100m登り返す。ここはまぁ一頑張り程度。次の赤摩木古山へは、見越山から200m下りた鞍部を経て小ピーク、その先にまた大きな下りが見えてここで辟易する。最低鞍部から赤摩木古山への正味の登りは140m、その間の一旦下りは20mほどだが、その数字より長く辛く感じた。シンモンさんも同じような思いだったようだ。ここまでは昨年10月に4人PTで来ていて、その時僕は、もう一足奈良岳まで伸ばしたら百山一つ増えるとの思いがないでもなかった。でもその時奈良岳まで行っていたら、今日のようなエクサイティングな山行はなかった。
赤摩木古の次は大門山にも寄ると計画には一応入っていた。それには分岐から、短いけどもう100m登ることになる。もう十分です、行かなくていいでしょうとキャンセルして、真っすぐブナオ峠へ下りて行く。途中一人が登って来てご挨拶。峠に下りると自転車が1台あって国道からの標高差640mをヒルクライムして来たと判明。僕らは林道を歩いて、標高840mの山道下降点を目指す。
タカンボウ山の西面を通り、ブナオ林道と境川ダムを結ぶ山道は4月19日と25日に僕が調査していたものである。知っておかなければ、ブナオ林道からの降り口は大変分かり難い。入口直下には人工の階段があって道と分かるが、その先倒木で道の方向が分からなくなる。記憶によって倒木を跨いで踏み跡を見つけ先に進む。それからしばらくは踏み跡がはっきり分かり、テープマークが所々にあって安心して進める。
851pを過ぎて登りになる。痩せ尾根の所は道がはっきりしているが、緩くなると分かり難くなり一度ロストした。標高900mの辺りでつづら折りが4ターンほどあり、それからトラバースに移って行く。トラバースから尾根上に抜けるところが調査時と同じく分かり難く、なんとか探し当てて尾根上のマーキングに出た。ここから後はもう安心、とその時は思ったが、そうではなかった。
標高700mで尾根を左に外れ、水平道に下り着く。もう眼下に桂湖が見えて殆どフィニッシュなのだが、この先で大きくロストした。詳しくは次の分析に記すが、どうにか抜け出てダム横の自転車デポ地に辿り着いた。後は爽快なダウンヒルで本当のフィニッシュとなる。充実の12時間だった。
最後にロストしてしまったことが、調査もして大丈夫な部分だと思っていただけに屈辱的に思え、GPSデータを照合して分析した。分析図において赤線がシンモンさんのトラック、黄線が僕のトラック、白線は4/19踏査時の僕のトラックである。図左上からの尾根道を下りて来て、A点で水平道になる。水平道をC地点まで進んで折り返しながら下るのが正しいルートなのだが、B点辺りで藪が濃くて真っすぐ進んで良いのか分からなくなった。B点が下降点かと思い下って見た。そうでないことは直ぐ気がついたが、正しいルートが見つかると思い下り続けた。実際D点で正しいルートと交差しているが、現場ではそれを見つけられずにさらに下降してしまった。その後E点でシンモンさんはトラバースに移り、僕は下り続けてF点で道路に出てしまった。シンモンさんはG点で正規ルートに一瞬乗ったか霞めているように見えるが、そこから真っすぐ下りて道路に抜けている。正規ルートはH点から入り、G点で折り返してC点に達するが、HからGに向けて入ってみると、調査時よりも草が遥かに育ってもう道とは思えない状態になっていた。B-C間も同じように分かり難くなっていたのだと思う。ルート全体では、樹林帯の中は調査時と藪の程度はあまり変わっていないが、この場所の様に日当たりの良い箇所は1ヶ月あまりでの変貌が大きかったのだ。水平道と言っている道はC-B-AからI点まで続き、刈り払いすればオフロード車なら通れそうな幅がある。I点には何かの施設の残骸があるので、かってはそこまでの運搬路だったのだろう。調査時の登りではA点の山道入口が見つけられずにI点まで進み、僅かな踏み跡を見つけてJ点へと登ったが、崩壊地で際どく危険だったので勧められない。A-J間はI-J間の崩壊のために後から付けられた道だと思われる。最後の写真ではH-Gとその少し上までを見ている。
ブナオ林道-境川ダムのショートカット道はなぜできたのだろうか?
ここに道をつける意味が分からない。我々のような物好きが多いとはとても思えない。
そもそもかなり深くえぐられて幅広い道になっている部分もあり、そう新しいものとも思えなかった。
少し調べてみた。
https://sakiura.jp
金沢市崎浦公民館のページに「塩硝の道を訪ねて」という部分がある。
ここに「塩硝の道 飛騨街道」として現在のブナオ林道の原形が書かれている。
五箇山から塩硝を加賀藩(金沢)に運ぶための街道の一つだったということだ。
桂集落に抜ける道としても紹介されている。
四十八曲峠(http://www1.tcnet.ne.jp/tu-box/touge/touge_2.html)
少し引用。
「塩硝街道にある峠でブナオ峠〜西赤尾にあります。(西赤尾〜越戸峠〜四十八曲峠〜ブナオ峠)
四十八曲峠は、塩煙街道の脇道的な役割を持ち、加賀から飛騨・江戸への近道として、ブナオ峠→四十八曲峠→桂→おのえ峠→加須良→卒塔婆峠→野谷峠と通じていたらしい。」
このページに乗っている地図をよく見るとブナオ峠から抜ける四十八曲峠は開津橋あたりにつながっていたのだろうと思われる。
そのバリエーション(谷筋を避ける)が、今回歩いた道?
この四十八曲峠、hokekyoさんが歩いておられる。さすがです。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-726513.html
この入り口には道標が立っているらしい(見逃している)。
そういえば桂湖方面に折れて入っていく僅かなトレースがあり、「あれは何でしょう?」とNishidenさんと話していた。
桂湖に沈んでしまった桂集落から加須良集落に抜ける道は逆向きにスズケンさんが歩いておられる。
https://suzukenforce.exblog.jp/239689172/
この加須良集落、冬は加須良川沿いを歩いて西赤尾に出ることができず、雪深いオゾウゾ山の稜線を北に超えて西赤尾に出ていたらしい。
その悲哀が、さらに南東方面に抜ける蓮如峠(蓮如岩近く)の記録に記載されている。
これはぜひご一読いただきたい。
ここで紹介されている海野先生は久美愛病院の院長さんだったそうだ。
そう、久美愛病院は東海北陸道で高山に入ってすぐにある久美愛厚生病院のこと。https://faggio.exblog.jp/15060061/
同行のがおろ氏の記録。
https://sspaces.exblog.jp/17792219/
なおこの蓮如岩は数多くの興味を引いているらしく、
山中山岳会のmi-bouさん、
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1955625.html
藪山エキスパートのfloat cloudさん、
https://49454513.at.webry.info/201406/article_15.html
と記録がある。
この峠を越えれば馬狩に抜けることができる。そこから南に行くと野谷橋あたりまで行くことができ、めでたく平瀬は近い。
さて、本題に戻って、このショートカット道はどうしてできたのだろう?
いくら探しても出てこないが、Nishidenさんが探索したようにブナオ峠と桂集落とタカンボウ山(超えの西赤尾)の3つの道の一部だったのでは?と推測する。
以前にNishidenさんと辿ったコース
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1719272.html
は現在のブナオ林道が雪で閉ざされて雪崩の巣となっているときでも通行可能な経路。
同じように桂集落の人々も雪に閉ざされた冬にやむなく使ったのだろうか?
加須良集落からオゾウゾ山を超えたように。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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ニシデンさん、
写真の花はムラサキヤシオでは?
葉が3枚ではなく、5枚に見えるので・・・
色もムラサキヤシオっぽいし。
山では、ビールよりもコーラがうまいですよ(笑)
シンモンさん、
ごぶさたです。
少し太りました?
ストレス太り?
ボクは完全に、テレワーク太りです。
介護疲れもあって、やれやれです。
クマ
kuma-san、まいどです。
自分で写真見ても太ってますよねー
ま、もちろん体重計も…
これでも5月は260kmほど走り込んだのですが、食欲が止まりません
やはりコンスタントに山に入らないといけないようです。
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