記録ID: 2522513
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
奥秩父
雁坂峠〜時代を巡る山旅(^^)
2020年08月22日(土) [日帰り]
体力度
5
1泊以上が適当
- GPS
- 09:44
- 距離
- 19.0km
- 登り
- 1,820m
- 下り
- 1,822m
コースタイム
日帰り
- 山行
- 8:47
- 休憩
- 0:58
- 合計
- 9:45
距離 19.0km
登り 1,823m
下り 1,822m
16:30
ゴール地点
天候 | 晴れ のち ガス のち 雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
自宅〜一般道(R129〜R20)〜相模湖IC〜(中央高速※1)〜石和IC〜フルーツライン〜R140〜道の駅みとみ 【駐車場】 道の駅みとみ (50台くらい・無料) (車中泊は10台くらいで、テント組も2張り) 【往路】 道の駅みとみ〜旧三富村※2〜R140〜フルーツライン〜塩山市街※3〜R20〜道の駅つる※4 ※1:一般道で行く根性を無くしてR20のクネクネを高速でパス。 ※2:温泉。 ※3:晩飯とか調達。 ※4:帰宅面倒になって酒盛り車中泊。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【道の駅みとみ(a)〜雁坂トンネル料金所〜沓切沢橋】 駐車場から、時々、車が走る国道140号線を渡って少し下り側に登山口の案内看板がある。 舗装された林道を進むと旧三富村営・久渡沢釣場があり、その駐車場入口の網柵の向こうが登山道への続き。灌木の夏枝が迫り出しているので廃道と勘違いするかも。 すぐに「雁坂峠登山口」の立派な標柱(ロードサイド広告塔並)があり、そこから登山道っぽくなるが、すぐに下流からの林道(舗装)に合流する。この林道は終着まで舗装されているが、一般車両通行止め、且つ、途中の料金所駐車場から業務用車両が入れるためか、下のほうは自然の為すがまま。側溝が土砂で埋まり、沢水が溢れて路面に土砂を運んでそこに流れが抉って沢を作っている。 料金所駐車場は施設がない割には駐車数が多く、いかにも登山者って人々が沢歩きの準備をしている姿も見える。 山腹をトラバースしながらクネクネ登る林道は、終点の沓切沢橋を渡り終えるまで舗装。 ちなみに、橋の名前は沓切沢橋だが、実際は久渡沢の支流の唐松尾沢であり、おそらく命名時に間違えたものと想定している(山の林道橋では、たまにありますね)。 【〜沓切沢出合〜井戸ノ沢出合】 ここから登山道だが、雁坂トンネルが開通する1998年まで国道140号に指定されていた。 久渡沢の支沢・唐松尾沢の谷へ進み、すぐに尾根方面の登り返して久渡沢の渓谷に入ってトラバースが続く。 途中、滝に近い状態の支沢を渡るが、ここはしっかりとロープを握ろう。 引き続きトラバースとなり、沓切沢を渡渉したあたりで久渡沢に下りて間もなく右岸へ渡渉するが、ポイントを示すものはないので右岸に道が見えたら飛び石で渡り、ゆったり登りで久渡沢が井戸沢と峠沢に分かれる手前で山腹の斜面登りになる。 【〜雁坂峠】 沢の分岐手前でスイッチバックして登りになる。 長いジグを1セットしたら井戸沢を徒渉し、そこから九十九折りの急坂登り。ブナとダケカンバが美しい森は、シラビソらの針葉樹に変り、急に東へのトラバース路に変わった上から灌木帯となって峠に至る。 日本3大峠の中で最も標高が低い(2082m)だが、駐車場からのアプローチでは最もアプローチが複雑だと思う。 <日本3大峠の個人記録> 針ノ木峠:標高2536m(北アルプス)2017.9.10踏破 三伏峠 :標高2580m(南アルプス)2018.7.15踏破 雁坂峠 :標高2082m(東アルプス)2020.8.22踏破 峠の南側は甲州の眺望が開け、東西は東アルプス(奥秩父山塊)の縦走尾根が見渡せる。 【〜△雁坂嶺〜△東破風山〜△破風山〜破風山避難小屋〜木賊山まき道分岐】 ほぼ尾根縛り縦走路。 西へ向かう尾根道はスズタケのコーティンググリーンの上に枯木と針葉樹の雁坂嶺が見え、近寄ると骸骨の林を進むよう。樹林の雁坂嶺ピークでは甲高く抗議するような鳴き声に振り返ると、若鹿2頭が睨んでいたが、私の顔を見て逃げ出した。どう言う意味じゃ! 2つの破風山へは、樹林と枯木帯のアップダウンの繰り返しで、文字通りハフハフする。木立に囲まれた東破風山をあたりから扁平岩が入り組む尾根となり、樹木の主役が高山コンビ(ハイマツ・シャクナゲ)になり、林間の破風山ピークを少し東進すると灌木帯の上から、木賊山・甲武信ヶ岳に繋がるグラマーな吊り尾根がガス間から見え隠れするのがたまらない。 枯木と針葉樹が散立するコルはガスのハイウェイで、霧間に小屋が表れた。小屋は、雪と強風対策なのか、窓はなく中央に囲炉裏が切られ、小屋の外には薪が積み上げられており、ひっそりとした宴会をやってみたくなる。 ここから一方的な登り返しが続くが、最初はブナ・ダケカンバの枯木帯が続く。以前に、以西の笠取山方面を縦走したが同じような尾根が多く、奥秩父主脈は首都圏のスモッグの煽りを受けていることが感じられる。 尾根がシャクナゲのトンネル状態になったら斜度がキツくなり、突然ポッカリと岩稜・砂地の空間に出るが、すぐにまたシャクナゲのトンネルとなって、甲武信ケ岳方面の巻き道分岐を過ぎると、いよいよ名物の苔の森が始まる。 【〜戸渡尾根分岐〜徳ちゃん新道分岐】 登山道以外は地面が見えないくらいに、苔や樹木の幼生たちが覆う豊かな森を登り、苔生す戸渡尾根・木賊山分岐に至る。木賊山ピークまで苔景色を楽しんで甲武信ケ岳に挨拶もしたかったが、真横で雷が鳴り続けているので下山に向けて分岐する。 戸渡尾根へ分岐するトラバース路は苔森のメッカで、ダケカンバ・シラビソの森床は倒木の上にもびっしりと苔生し、樹々の幼生たちの滋養を満たしているようだ。 尾根筋に出ると、広めの登山道を一気に下降し、高木の屋根と灌木の回廊が繰り返され、ちょっとだけの登り返しの先が、山小屋主人の愛称を冠した徳ちゃん新道との分岐点。 【〜ヌク沢】 徳ちゃんは6年前の下山で歩いたが、道を開いた徳ちゃんに敬意を表す尾根筋ルートだった。 今回は、同じく6年前に登りで歩いた近丸新道に下る。なぜなら、あの近世の開拓期を彷彿とさせる森林鉄道軌道の残骸を再び見たくなったから。 分岐点には「近丸新道コースは、この先登山道の一部に崩落がある為通行が困難です。徳ちゃん新道を利用ください 山梨市」と警告がある。前回から変わっている箇所もあるのだろう。だが、通行止めにはなっていない。ヤマレコで直近の登山者はいないが、昨年秋の下山記録はある。地形図を再確認して、おそらくはヌク沢沿いの崩落が進んでいると想定し、通過困難な場合には斜面を登って林道へ出るケースも想定して下山を開始した。 南南東に下る尾根筋の道はそんなに荒れていない。道であることはわかりやすい。1か所だけ尾根筋から外れて、さらに南南東の斜面をジグザグトラバースするポイントで、過去の作業道と思しきトラバース路(トラロープで遮断)と分岐するくらいで、ほとんど尾根縛りで歩きやすい。ルートは、ところどころに白い珪石がジャラジャラとしており、宝の山からの零れモノのように思える等、開拓者気分で歩ける。 尾根道はヌク沢とその支沢との合流点で終えるが、尾根を支沢側に巻いて沢床に下り、ヌク沢に出たら上流にある滝状態の堰堤の手前が左岸への渡渉ポイント(右岸は岩壁で歩けない)。2か所にロープが張ってあるが、下流部は床板があっても濡れずに渡るのは難しいので、上流側で自分の歩幅にあった箇所を選ぼう。ちなみに、私は上流側のロープ近くから飛び石ステップで渡った(悩ましいポイントだが、前回の経験が活かせた)。 なお、尾根筋は歩きやすいと書いたが、メインルートではないので最近の踏み跡は少ないため、初級者には向かない。 【〜近丸新道登山口】 ヌク沢左岸に渡ると、小さな積石ケルンが倒木の上で歓迎してくれる。 すぐにヌク沢渓谷の左岸トラバースルートになり、最初の支沢渡渉の手前に倉庫の残骸が表れ、渡渉後に鉄路の跡が始まる。 三塩森林軌道(鉄道)は昭和8年〜43年まで世の中の発展のために頑張ってきた。主に西沢渓谷・東沢の切出し木材の運搬目的で運営されたが、ヌク沢の支線は上流部で掘り出した珪石の運搬のために活躍したらしく、軌道跡の終点近くに小さな土砂用貨車の残骸が横転している。 森林鉄道の軽便軌道なので線路径は細くて幅も狭いが、よくぞこの急峻で支沢も多くて脆い渓谷斜面に通したものだと感服する。線路は朽ちた枕木の上で鈍い色を輝かせ、崩落個所で宙に浮いていたり、落土砂の中から現れたり、消えてしまったりする。 ルートそのものが崩落で無くなっている箇所もあり、気を付けてトラバースしてほしい。中級者やバリルート趣向者にとっては難しくはないが、崩落地で滑落すると遥か下の沢まで転がるので命にも関わる。いくつかの崩落地を過ぎて、石垣作り軌道土台あたりで線路が見えなくなるが、斜面を下るルート下で再び会える。軌道跡が巻きに入るが、登山道は尾根下りとなり、昭和が活気づいていた時代に終焉を迎えた遺構に別れを告げる。 少し下って西沢渓谷に向かう林道に合流する。 【〜西沢渓谷駐車場〜(a)】 広めの林道をてくてく。 観光ルートだが、雨予報(3時間前から降られた)もあって国道口のバス停まで誰にも会わず、待機中のバスには5組くらいの乗客がいた。 雨の雁坂道(国道140号線)を少し歩いてゴールの道の駅。 |
その他周辺情報 | 【買い物】 塩山市街で済ませておこう。 道の駅牧丘近くのデイリーヤマザキ(登山口14km手前)を過ぎたら何もない。 道の駅みとみに売店はあるが9:00まで開かない。 【温泉】 みとみ笛吹の湯 (510円・アメニティ有) (JAFカード・SDカード提示で100円引き。私はSD利用) ※公営(旧三富村営・現山梨市営)。 コロナ禍では予約制になっており2時間毎(1時間半入浴・30分清掃)の入れ替え制。 それを知らずに訪れたが、親切な職員(オバちゃんお二人)は次の枠を確保してくれただけでなく、急ぎなら近くの民間湯もあるとご案内してくれた。 18時開始まで待機にして車内で待っていたが、年長のオバちゃんは開始時刻5分前に、わざわざ駐車場まで教えにきてくれた。ありがとう!! ※ちなみに、お湯のほうも、熱めの内風呂と温めの露天が心地よく、人数も抑えているので快適なお湯が楽しめる。 |
写真
装備
個人装備 |
ザック:チャチャ35
靴:ツォロミー3
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感想
『雁坂峠〜時代を巡る山旅(^^) 〜日本三大峠コンプリート!』
8/22(土)は、AM晴れ・PM雨のピンポイント予報に、晴れて登りたい峠道・雨で癒されたい苔道の山路を巡ってみました(^^)
奥秩父は東アルプスとも呼ばれる高層山脈。
そして、日本書紀〜昭和までの歴史がたくさん刻まれた山域。
その翻弄の中で、道の踏み跡も、尾根の空気も、森の様相も、人々の営跡も、たくさん感じることができた(^^)
【山行記】
渓谷の細道はトラバースと渡渉を繰り返す
ロープで滝も渡るけど22年前まで国道登録
狭くて険しい公の道は
ヤマトタケルが蝦夷を追い
武田の軍団が跋扈して
幸田露伴が感じ入り
繭を求める商人たちが
甲斐から武蔵へ越える道
奥秩父の尾根道は笹と樹林の峰々が続く
針の美林の間には枯木が白く寂しく居並ぶ
岩稜と樹々が茂れる道は
北の武蔵は雲沸いて
南の甲斐から風が吹き
神秘の幕をくゆらせて
山香を求める山人たちが
甲武信の向こうへ焦れる道
鬱蒼の森の苔道は幾重の輪廻が重なる
朽木を覆う緑の間から幼生たちの顔を出す
雨に濡って瑞々しい道は
雫をいっぱい吸い取って
そっと顔を近づければ
生まれたての空気が香り
癒しを求める生き物たちが
故郷の我が家に帰る道
笛吹に流れる渓谷は珪石と材木の宝庫
昭和の核を支えた森に人々の吐息が残る
鉄路の名残を残した道は
自然の輪廻に溶け込んで
鈍色の軌道に耳を澄ませば
在りし日の喧噪が耳朶に鳴り
郷愁を求める人々たちが
もっと活きたいと蘇る道
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